1. 平成28年度 公開講座 歴史文化講座 タイトル : 小松学入門―源平争乱に関する物語と小松- 講座概要 : 講師は主に日本の山岳信仰・修験道を研究しています。小松と山岳信仰との関わりは 色々ありますが、注目されるのは、『平家物語』他の源平争乱期に関する軍記物、およ びそのバリエーション的な作品(謡曲など)において小松が描かれる際に、白山あるい は山伏が登場することです。 本講座の第1回では『平家物語』の諸本や『源平盛衰記』に描かれた安元事件、第2 回では『義経記』や謡曲『安宅』などで描かれた安宅および勧進帳について考察し、こ れまであまり取り上げられることのなかった小松の側面について理解を深めたいと思い ます。 講 師 : 小松短期大学 教授 由谷 裕哉 講座日時 : 第1回 6月25日(土) 13:30 ~ 15:00 第2回 7月 9日(土) 13:30 ~ 15:00 内 容 : 第1回 小松の山岳信仰 『平家物語』の諸本や『源平盛衰記』で安元2年(1176)のこと として描かれる「安元事件」の舞台は、鵜川の涌泉寺という寺とされ、その寺の僧侶 らが加賀国司と対立し、白山配下の他の寺社とも協力して白山の神輿を振って比叡山 に強訴したことが描かれています。『源平盛衰記』で涌泉寺は、「中宮八院」という 寺のグループとされていますが、この名称は白山に関する他の史料にも登場し、当時 の軽海郷(梯川とその支流である滓上川が合流する付近)に実在していた寺院群と考 えられます。 この涌泉寺をはじめとする中宮八院について考察します。 第2回 小松と勧進帳 勧進帳の物語と勇仁智という文言は小松のいわばシンボルのように捉 えられることもありますが、弁慶による勧進帳の読み上げとそれに続く山伏問答は、 修験道に由来するものです。南加賀を舞台とする義経一行の都落ち物語のうち、初め て安宅の名前が出るのは、室町時代成立とされる『義経記』です。そこでは、白山加 賀側の宗教施設や聖地に関する情報も記されており、物語の成立と修験道との関わり が推察されます。その後の安宅と勧進帳に関する物語の展開も含めて、修験道研究か ら小松の一面に接近します。 会 場 : 小松短期大学 講義室 受 講 料 : 無料 定 員 : 50 名 - 16 -
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