シケプリ - 15組

現代教育論(火5、丹野教官)
学校教育の病理
a校則強化
bいじめ
c対教師暴力
悪循環説
「a→borc→a→borc→
」
厳しい校則に対し生徒の不満が募り、いじめや校内暴力が起こる。教師はそれを取り締
まろうとより校則を厳しくし、またいじめや校内暴力が悪化していく(以下エンドレス)
エスカレート説
「(受験、ストレス)→b→c→a」
受験などのストレスに対する憂さ晴らしとしていじめが発生。それがエスカレートして
校内暴力が起こり、教師は校則を強化する。
板ばさみ説
「(非行)→c→a→b」
まず生徒の学校外での非行があり、それが学校内に入ってきたものが校内暴力。校内暴
力を止めようと校則を強化。校内暴力には有効なのだが陰でいじめが起こってしまう。し
かしいじめを止めようと校則を緩めればまた校内暴力が起きる。教師は校内暴力といじめ
との間で板ばさみになる。
日本の教育史
1960 年代
半ば:非行の第2のピーク
後半:大学紛争(68-69)
1970 年代
前半:シラケ←大学紛争で挫折を経験し、その反動として
学生運動は一部の過激派(ex.連合赤軍事件)による先鋭化
暴走族の登場
半ば:乱塾←大学受験過熱
勉強についていけなくなった生徒は落ちこぼれに
後半:非行の第3のピーク←落ちこぼれになった生徒による
家庭内暴力(子→親)
1980 年代
前半:非行+校内暴力(1983 年ピーク)
半ば:いじめ+子供の自殺
後半:管理過剰+登校拒否
1990 年代
前半:オカルトブーム
半ば:新々宗教事件(ex.オウム真理教)
→生徒、内向的に
後半: キレる 、ナイフ事件
2000 年代
前半:学級崩壊
半ば:学力低下、NEET
学校の抱える問題
学歴価値と非行価値の間で揺れている。
・学歴価値:学校は学力をつけるための場で、よい学校を出ることで学歴を得たいとい
う価値観
・非行価値:学校にしばられることを拒み非行に走る価値観
学歴に重きがおかれると学校は受験体制に
↓
学業不振に悩む生徒達が非行へ
↓
学校は管理体制をしく、生徒の間には閉塞感が
↓
受験体制の見直し、ゆとり教育へ
↓
学力低下
校内暴力
1.現象
A器物損壊
↓
B生徒間暴力
↓
C 対教師暴力(体罰)
・特に中学生に多い(高校生は義務教育でなく退学もありえるので反抗は不利益だと生徒
も知っている)
A 器物損壊
School Vandalism(vandalism:芸術や文化を破壊する行為のこと)
放置(ごみなど)
破壊(ロッカー、天井 etc)
落書き
B 生徒間暴力
校外非行集団(暴走族や暴力団)との接触
↓
金品の強奪
↓
校内侵入
文化祭などの学校イベントのときなど、校外非行集団が校内に侵入し校内が遊び場
化する
↓
抗争
他の学校の非行集団などとの抗争
↓
非行集団結成
これは抗争における自衛の意味も含んでいる
↓
正常集団(非行に走っていない生徒達)への中傷
真面目に授業を受けている人たちに対し、クラスのリーダーを先生の言うことばか
り聞くぶりっ子だと中傷したり、「正義は格好悪い」などと言ったりする。教師はクラスに
リーダーをおくことで非行に走る生徒が派閥を作れないようにしていたのだが、校外の非
行集団(暴走族など)とつながりを持っている不良生徒は幅を利かせるようになり
↓
中間層の迎合
一般生徒が不良生徒の中傷に感化される。リーダー格の生徒は「格好悪い」と言わ
れ孤立し、もうリーダーを中心としたクラスは成立しなくなっていく。また、非行に対し
て見て見ぬふりをするようになる。
↓
玉突き現象(被害者の加害者化)
いじめの被害者が別の生徒をいじめ、またその生徒が別の生徒をいじめ
、と連
鎖状にいじめが発生する。(非行集団が全体の5%になると教師による指導は不可能となる)
↓
脱落防止策(非行集団からの脱退、密告を防ぐため)
例:不良顕示スタイル(長ラン、そりこみなど)
見た他人に「あいつは不良」とラベリングされる。
このイメージは変わりにくいため一度不良になってしまうと抜けにくくなる。
↓
教師への挑発
↓
C 対教師暴力
段階的規則違反
まずは軽い校則違反から、教師の様子を見ながらだんだんとエスカレートしていく。
↓
合理化
非行に対する罰の与え方など、教師ごとの対応の違いにつけこみ、非行を合理化し
ていく。
例:A 君が校則に違反することをしたところ B 先生は叱り、C 先生は何も言わず、D
先生はちらりと見ただけ、そして E 先生は嫌味を言った。こんなとき「C 先生は何も言わ
なかったのに B 先生は叱った。これは差別だ!」などと言って違反を合理化する
↓
違反を承認(暗黙のうちに)
↓
公然化
↓
授業妨害
↓
衝動的対教師暴力
教師からの注意などに「ついカッとなって」暴力をふるってしまう。
↓
挑発行動
↓
計画的対教師暴力
教師をわざと挑発して注意、体罰を誘い、それをきっかけとして教師に暴力をふる
う。教師よりも生徒のほうが数で勝っているので教師が負けてしまうことも。助けに来た
先生が第二の被害者になったり、教師が職員室に退散したところで生徒が学校をのっとり
教師を職員室に軟禁したりすることもあった。たいてい警察沙汰になると沈静化する。
2.原因と対策
外的
内的
誘引の増大
①
②
抑止力の低下
③
④
①外的誘因の増大
金、人
中学
校外非行集団
番長グループ
暴走族
暴力団
力
非行集団は人や金を暴走族に提供するかわりに、暴走族がバックについているという
「力」を得る。まさに虎の威を借る狐。
また暴走族と番長グループの関係は暴走族と暴力団の関係と対応している。
地域の非行発生率と暴走族には深い関係がある。
対応
1.暴走族などとの接触を断つ
オートバイ3ない運動
「免許取らない、バイクに乗らない、買わない」
地域巡回
2.番長集団の解体
3.番長引継ぎ阻止
番長は次の番長候補に目をつけて声をかけることで番長が引き継がれていく。これ
を阻止するために学年隔離政策がとられることが多い。(例:学年ごとに昇降口、教室のあ
るフロアを変える)
②内的誘因の増大
(学校に)欲求不満→暴力
1.学業不振
対教師暴力加害者の 78%が成績下位(しかし知能とイコールではない)
→教師へのうらみ(例、成績が悪いのは授業がわかりにくいせいである)
2.自己評価の低さ
自分は駄目な奴だ、と卑下することで非行に走る原因となる。
3.将来への展望のなさ
将来に希望が持てないので、もうどうなってもいいという投げやりな気持ちにな
り非行に走る生徒がいる。
対応
1.「わかる授業」をする
学業不振対策。例:ゆとり教育
2.肯定的利己像の育成
3.進路指導
生徒に将来に対しビジョンを見せる。進学指導だけではなく、将来の人生までをも見
据えた「進路」指導。
③外的抑止力の低下
学校=間接的抑止力「教育」
家庭=間接的抑止力「しつけ」
→うまく機能していない(親の 69%は子供を放任)
対応
1.手口、対応の研究
非行の手口や対応を研究。家庭裁判所調査官などに話を聞いたりすることも。
マニュアル作り(先生間の役割分担、生徒を鎮める言葉 etc)
校内暴力事件が起きてしまったときに他の生徒に気付かれずに教師にだけその事実を
伝えるための業務放送を取り決めておく。
2.毅然とした態度
非行に対する態度など、教師で足並みをそろえる。
体罰は逆効果である(生徒の挑発にのるだけで、かえって反撃される恐れ)
3.家庭との連係
4.早期発見、早期指導
しかしこれらの対応が行き過ぎると管理主義を引き起こす原因に。
④内的抑止力の低下
内的抑止力=規範意識
規範意識を低下させるもの
a自己中心性
b自己顕示性
相手の痛みを痛感できない
対応
内的抑止力=規範意識を回復させる
1.暴力否定宣言
2.民主的生徒集団作り(ex.生徒会)
3.部活動の活性化
また、自己顕示性に着目した対策としては個人指導があげられる。生徒は自己顕示欲
から集団でいるとつっぱるのだが、1対1になるとおとなしくなることが多い。
体罰管理教育
禁止論
許容論
古典的(形式的)
①
②
現場的(実質的)
④
③
古典的→いつの時代でも通用する
①形式的禁止論
学校教育法 11 条で禁止されているから
生徒の人権を侵害している
単なる暴行である
②形式的許容論
愛のムチ論
体罰が全て悪いわけではなく、体罰は生徒の間違いを正すための愛のムチである。
スキンシップ判決
裁判で「体罰でなくスキンシップ」という判決が。この判決自体はなんら体罰を認
めるものではないがこれで体罰が許容されたと考える教師もいた。
限定容認している国が多い@欧米
in loco parentis(親の立場として)
家庭でのしつけでは体罰は必要である
→学校は親の代わりにルールのもと体罰を行ってよい
しつけ委任論
親による学校に対するしつけの押しつけ
③現場的許容論=非行対策
対教師暴力
生徒間暴力、いじめ
規則違反
授業不成立(授業三悪:遅刻、おしゃべり、忘れ物)
④実質的禁止論
体罰に代わる非行対策
a倫理的要求
毅然とした態度で「悪いものは悪い」と生徒に倫理を要求しぬく。
bわかる授業
また、学級通信の発行など。
いじめ
1.統計
2.経過
3.原因
4.対策
1.統計
補導(警察の認知):0.3%
学校の認知:1%
親の認知:15%
生徒の認知:40%
軽微ないじめ 75%
2.経過
①鞘当て段階
クラス替え直後など。お互いに無差別のからかい合い。別に悪気があるわけではな
いが、ここでいじめに弱い子がわかり、ターゲットにされていく。
②流動性の段階
加害者と被害者の立場がくるくる入れ替わる状態。全員がターゲットになりうる。
集団の力学でだんだん立場が固まっていく。
③固定化の段階
被害
加害者
⒚ 加
害
⒛ 者
20→8
被害者
16→9
7 仲
裁
4 者
観衆
傍観者
小学校(%)
6→16
33→44
中学校(%)
レッテルの拡大(いじめられる原因となる
レッテル
は)
・弱者
・まじめ
・密告者
・成績優秀(もしくは、成績が悪い)
・先生にほめられる
・先生に従っている
集団の画一化
いじめられっ子の転校(欧米ではいじめた子が転校を勧められる)
④手口の陰湿化
言い訳づくり
先生にばれないように、またばれても問題がないような言い訳
粗暴化
だんだん行動がエスカレート、激しい暴力行為にまで発展(文明堂のクマみたいに
蹴る
?)
ボスの命令(体系化)
いじめにおける上下関係が体系化し、ボスの命令に従いその他の生徒がいじめを
するようになる
⑤非行化
性犯罪
着ているものを脱がせる
トイレ実況放送(上から覗いて)
3.原因
外的
内的
誘因増大
①
②
抑止力低下
③
④
①外的誘因の増大
非行集団の「弱いものいじめ」
校内暴力のときと図式は似ている。つまり非行集団がいじめを始め、次第に一般生
徒がそれに迎合して、リーダー格による仲裁の効果がなくなってくる。
②内的誘因の増大
校内暴力
↓
生徒管理強化(校則強化など)
↓
生徒の欲求不満
↓
いじめ
③外的抑止力の低下
教師からの不可視性
手口が不明、動機が不明であることに加え、いじめの被害者加害者が流動的である
ことから教師にはいじめが発生していることがわからない。
仲裁者が出にくい
リーダー格の生徒の仲裁は「いい子は格好悪い」というレッテルから効力を失って
いき、また同調行動によって一般生徒の中から仲裁者が減り加害者、傍観者へと変わって
いく。
④内的抑止力の低下
いじめは面白い
生徒達はいじめは悪いことだが面白いことと捉えている。
対策
1.いじめの発見
ソシオメトリックテスト
集団の構造を把握するためのもの。たとえば「一緒に勉強したい人3人、したくな
い人3人の名前をあげなさい」という質問を投げかけると、だいたいの生徒間には誰かし
らとのつながりがあるのだが、中に全然友達がいなさそうな子が出てくる。
2.いじめへの介入
ロールプレイ
まず生徒達に仲間はずれを主題としたシナリオを作らせる。この時点では「ある人
は自己中心的なところがあったので仲間はずれにされた。結果その子は改心せず転校して
しまった」などのシナリオも多い。そこで、その自己中心的な生徒の役をいじめられてい
ない子供に演じさせる。
いじめられる側を演じることでいじめによる不快感を体感することができる。
また、次に、どうしたらその自己中心的な子が転校せずにすむか、ということを生
徒に考えさせ、またシナリオにして演じさせる。ここで普段傍観者だったり、いじめに対
しNOと言えない生徒に仲裁者役を演じさせることでいじめをやめさせる勇気を与えるこ
とができる。
3.いじめの予防
(1)Lewin の実験
11 歳の子供を5人1組のグループにする。
グループでクラブ活動をさせて仕事の量や質を見る。
ただしグループには大人がリーダーとして入る。リーダーには専制型、民主型の二
種類がいる。
・専制型リーダー:生徒には仕事の見通しがない。個人攻撃をする。
・民主型リーダー:生徒にも仕事の見通しを与える。また仕事に対する客観的評価を
与える。
専制型リーダー
民主型リーダー
方針
リーダーが決める
討議で決める
仕事
リーダーが決める
討議で決める
仕事量
○
○
仕事質
受動的
能動的
雰囲気
弱いものいじめ
友好的
↑専制型リーダーの下では子供同士が敵対しいらいらしている。
(2)異年齢集団づくり
年齢による体力の優劣がはっきりしている。年長者は年少者を仲裁するスキルを身
につけていく。
小学校では「きょうだいづくり」など上級生と下級生のつながりを作るプログラム
が実行されている。(ただし中学生では校内暴力の問題などもありかえって学年隔離政策が
とられるのはご存知の通り。かわりに部活動を活発にしたりして対応)
不登校
1.類型
2.経過
3.原因
4.対策
1.類型
長期欠席
年 50 日(30 日)
理由①経済的理由
②病気による
不就学:年 500 人
年 13000 人
③学校嫌い(心理的理由:ただし学校が嫌いでない場合もある)
広義の不登校
a(精神病による)統合失調症、うつなど
b怠学(非行型)
c神経症型(学校恐怖)
狭義の不登校
学校には行こうとするけどいざとなると体調が悪くなる、など
2.経過
身体症状(お腹が痛い、だるいなど)
↓
心気的な時期
身体的には重大でないのに重大な症状と思い込む
↓
暴力の時期(家庭内暴力)&合理化の時期
学校に行かせようとする親に対して暴力をふるったりする。また生徒は「学校なん
てくだらない、先生の教え方が悪い、学校なんて行かなくなって立派な人間にはなれる」
など、学校に行かないことを合理化し始める。
このころ生徒には学校に行かないといけないという「登校強迫」と、学校に行くの
が怖いという「登校不安」という二つの感情の板ばさみになり激しく葛藤する。
↓
内閉(引きこもり)
やがて暴力の頻度は減少していくがかわりに昼夜逆転など生活のリズムが乱れたり、
引きこもったりするようになる。
↓
回復期
生活リズムが自然と元に戻り、外界に興味を持ち始める。
↓
登校開始
(ただしこれは一つのパターンであり、回復期を迎えたかと思いきやいきなりまた引きこ
もったり、あるいはずっと引きこもったりと登校開始までには段階を行ったり来たりする
ことも)
3.原因
a本人の性格
b家庭の養育態度
c学校状況
・不登校児へのアンケートでは
1子供同士の関係
2学校の雰囲気(悪口の言い合い、居場所がない)
3いじめ
・森田調査
年 50 日以上休む中学生
1%
不登校経験(年 50 日未満)
17%
登校拒否感情を抱いたことがある
67%
→不登校はどの子にも起こり得る!!
ちなみに学年ごとの不登校件数はいじめに似た形を示し、小学生のうちは少ないが学年
ごとに徐々に増加、中学に入り急増、そして高校に入ると極端に減る。
ここでは学校状況について詳しく見ていく。
1次原因
↓
学校状況(いじめ)
1次反応(2次原因)
不登校
↓
2次反応(3次原因)
両親:不安を感じ子供に学校に行くようしきりに促す(登校刺激)
教師:登校刺激を行う
本人:登校強迫、登校不安の板ばさみとなる葛藤状態。罪悪感を感じる
↓
3次反応
神経症症状
暴力、合理化、引きこもり
4.対策
どこまで段階が進んでしまったかにより対応は変わってくる。
1.不登校を起こさない
学校状況の改善
いじめ対策
2.不登校が起きてしまったら
登校刺激をやめる
登校刺激は登校強迫と登校不安のなかで苦しむ生徒をさらに苦しませる結果にな
るだけである。
まず、行かなくてもよい指導を行う。それから様子を見ながら「家を出る」「曲が
り角まで行ってみる」「校門前まで行く」「校門から一歩だけ入る」など段階を踏んで行か
せる指導に切り替えていく。
3.神経症症状が出てしまったら
不安や葛藤の解消
カウンセリング
不登校児のための場
夜間中学
私塾、フリースクール(ex 東京シューレ)
学歴社会
学歴社会
↓
入試過熱
↓
落ちこぼれ(学業不振)
↓
教育病理(非行!!)
A 企業では
B 社会では
C 世界では
(授業では「企業では」のパートが2つに分断されていたけど簡便のためここでは一つに
まとめます)
A 企業では
昇進の学歴差
タテの学歴とヨコの学歴が存在する!!
•タテの学歴:最終学歴がどこか(ex.院卒 VS 学部卒 VS 高校中退)
•ヨコの学歴:どこの学校を出たか(ex.国立大卒 VS 私立大
本当はレベルごとだか
らもっと細かい)
タテの学歴
生涯賃金に大きな差が!!(場合によっては2倍にも)
低学歴の人は初任給が低く、その後昇給しても大卒に比べると安い。
ヨコの学歴
たとえば専門的な世界における学歴派閥を見てみると
ヨコの学歴差がかなりあることがわかる!!(特に官界)
企業は官庁とのコネが欲しいので東大卒は採用されやすい。
学歴格差は少なくなっている?
例:学歴無用論 by 企業
(不景気のときに出やすいのでこれがあながちいいとも言い切れない。中高年を
リストラしたいという思惑も)
企業と大学
企業にとっての大学
a職業教育機関(工、医、法)
b学力選別機関
入試タダ乗り論
入社試験の際にわざわざ学力試験をするのは面倒&お金がかかるので大学入
試を学力試験のかわりとして、どの大学を出ているかでだいたいの学力を判別する目安に
する。職業教育は企業内教育で(ただし最近は不況でそのような余裕がない企業も
)
c人間形成機関
大学は人格を形成する場である、という捉え方も存在する。
アメリカの企業
職務別構成
日本の企業
ジョブ・ローテーション
職務別労組
企業別労組
能力主義
能力+年功
転職
長期雇用
スペシャリストを求める
ジェネラリストを求める
・アメリカでは職種が変わることがない。その分野のエキスパートになる(この際大学での
専攻が重視される)。そしてもし誰かが退職したら他の会社から同じ職種に就いていた有能
な人材をヘッドハンティングしてくる。
・日本ではいろいろな仕事(人事、営業、総務
)を順番にこなしていかないといけない。だ
からある分野に精通している人材というより何でも器用にこなせる素質を持つ人が好まれ
る。誰かが退職した際にはローテーションが進んで、空いた分は新入社員で補填する。
・アメリカでは大学内で就職活動ができる。就職活動のための施設が大学にあるくらいだ。
教育への影響
アメリカ
日本
能力評価
多元型(個性)
一元型
職業教育
即戦力
企業内教育
教員社会
スペシャリスト集団
いろいろな分野を体験
大学の就職
On Campus Recruit
指導
職業指導
進学指導
補足説明
・アメリカは能力を測るものさしがいろいろあるので個性が尊重されているが、日本にお
けるものさしは学力一本であり、そのために大学も序列化されている。
・アメリカでは新入社員は即戦力であることを求められるので大学のうちから職業教育が
始める。日本では逆に職業教育は企業に入ってから。(On the Job Training)
・アメリカの先生は「一年の理科担当」など細かく専門が分かれている。これに対し日本
は担任が持ち上がり制であることが多く、また平教員から教頭、そして校長へといろいろ
な分野を体験する。
B社会では
学歴社会を何と比較するかで学歴に対する見かたは変わる。
身分社会⇔学歴社会:学歴効用論
学歴社会⇔能力社会:学歴無用論
a
b
学歴効用論
学歴無用論
社会流動性を高め
身分社会の偽
る
装
学歴=能力の証明
学歴の名目化
学歴効用論
a社会流動性を高める
身分社会に比べれば機会均等である。
b学歴=能力の証明
(グラフが描けませんでした
ごめんなさい)
調査の結果、産業化が進んでいる国ほど父親の職に関らず子供が高学歴をおさめてい
ることがわかっている。
学歴無用論
a身分社会の偽装
学生の親の平均年収
国立大=100
私大=138
東大=152
京大=123
名大=84
→結局所得が高くなければ高学歴など無理。見た目が変わっただけの身分社会。
b学歴の名目化、空洞化
貴族主義(aristocracy)ではなく学歴社会(degree-ocracy)
学歴=学校歴=入試歴
→学習歴(理想)ではない!!
なかには大学に入っただけであとは遊び暮らしてしまう人もいるので、出た大学から
入社時の正確な学力は測れない。
改善法
1学歴の取り直しを可能にする
2学習歴の重視
リカレント教育、生涯教育
つまり、人生で一度きり大学に通うのではなく、何度も大学に戻り学習し学歴を取り
直すことができる。社会と大学を行ったり来たりする。
3.世界では
(プリントは重くなるので載せません。もし持ってない人がいたら連絡ください
対処し
ます。ただし 04 年の過去問に外国の学校制度が出たりもしたので文字で細かく書きます)
<イギリス>
三分方式→一本化(CS)
一本化はさして重要でないので三分方式について。
・お金持ちの場合
公営学校ではなく、独立学校、つまり私立学校へと進む。
前期準備校(プレ・プレパラトリ・スクール)→準備校(プレパラトリ・スクール)→中等学校
(パブリック・スクール)→名門大学
・中流階級以下の場合
初等学校(プライマリ・スクール)に通った後、11 歳のときに 11 プラス試験を受ける。こ
の結果により、そしてだいたい階級によって進む学校が変わってくる。
グラマー・スクール:上位 20%、中産階級
テクニカル・スクール:10%、技術者
モダーン・スクール:70%、労働者階級
大学に行くためにはグラマー・スクールを出ていないといけない。
Aレベル試験(Advanced)
卒業試験と大学入試資格試験を兼ねる。ちなみに難しい。
階級制度が残っており、そのために進学率も高くない。
階級社会
↓
複線型教育制度
子供のうちにどの学校に行くか決められる
学校によっては大学に行けない
↓
階級社会を固定
(cf.単線型:高専を除いた日本→進学率不変)
<ドイツ>
複線型教育制度
下手に大学に行くよりマイスターを目指す人も多い。
基礎学校(グルント・シューレ)
↓
ギムナジウム:全体の 25%が進学。大学に行ける。
実科学校(レアール・シューレ):全体の 25%が進学。技術者階級。
基幹学校(ハウプト・シューレ):全体の半分が進学。労働者階級。
↓
1.大学へ(ギムナジウムから)
アビトゥーア
大学入学資格試験。簡単。日本のように大学別にやるのではなく州ごとに問題を作る。
かならず望んだ大学には進学できるが人気のある所へ進学するには待機期間を経なく
てはいけない。
2.二元制(デュアル・システム:実科、基幹学校から)
定時制の職業学校に通うのと企業内職業訓練を並行して行う。
<フランス>
やはり複線型。ただ大学のところでちょっと違いがある。
小学校
↓
コレージュ(中学校)
↓
リセ(普通高校)
職業高校
1.リセから進学
バカロレア
大学入学資格試験。20 科目中 10 科目を受けなければいけない。国が作成。
↓
大学
グランド・ゼコール
大学よりもエリート。高級官僚や高級技術者を育てるための機関。
2.職業高校
↓
BEP(職業教育修了証)
<アメリカ>
単線型だし大学入試の項でいろいろ出てくるので細かい説明は省きます。
英、独、仏
米、日
階級社会
流動性大
複線型(職業教育)
単線型
共通試験=資格試
験
大学≠社会的成功
共通試験=競争試験
大学=社会的成功
→英、独、仏:進学競争は過熱しない
米、日:進学競争過熱
大学入試
大学入試形式の歴史
・共通テスト
1947‐54
進学適性検査
1963‐68
能研テスト
1979‐89
共通一次試験
1990‐
センター試験
・グルーピング
1947‐79
一期校(3月上旬試験)・二期校(下旬)
1987‐
受験機会の複数化
―79 年の改革―
共通一次試験の導入
目的1.アメリカモデルの導入
尺度多元化による総合選抜
アメリカの入試制度
過去(内申書)、現在(学力)、未来(可能性)を総合して見られる。
a内申書(しかし日本では軽視されている)
非常に細かい。どんなボランティアをしていたのか、クラブは何か、何が得意かな
ど。
GPA(Grade Point Average:成績評価の方法)
b学力
ACH(ACHievement)
基礎的な学力テスト。ETS(大学連合体)が作っている。
c進学適性検査
SAT(Scholastic Aptitude Test)
論理力、読解力などを問う。したがって事前勉強は効果なし。知能テストであっ
て学力試験ではない。連合体が行う。年数回あり最高点を申請すればよい。
共通テストは世界に例がたくさんある(SAT、Aレベル試験、バカロレア、アビトゥ
ーア)
→日本にも共通試験を!!
では日本では目的1を達成できたのか
?
目的:尺度多元化による総合選抜
共通一次試験=画一化
個別二次試験=多様化(面接、小論文)
一次試験で基礎学力をチェックし、その分二次試験ではもっと個性を見たりするの
が当初の理想だった。
しかし面接試験などに工夫をこらし、学力に関らず合格できるようにしたところ学
力の低い生徒が一発逆転を狙って殺到するようになってしまい、一次試験が学力試験であ
るにも関らず二次試験でも学力試験をやることになってしまった。
目的2.一期校二期校の格差解消
3月上旬
一期校
東大、京大 etc
下旬
二期校
地方大
旧帝大
→学生浪人して一年後に一期校を目指す生徒が大量発生
→二期校の先生はおもしろくない
1972
連合赤軍
→横浜国大出身多い(二期校コンプレックス→過激派へ
?)
日本は尺度が学力しかなく、二期校の上に一期校、そして東大を頂点とする富士山型
の構造をしていた。全員が一つしかない頂上を目指すので必然的に受験地獄を招く。
そこで一期校二期校の格差を解消し、加えて尺度を多元化することで分野ごとに頂点
が存在する八ヶ岳型の構造を目指した。(しかし結局は偏差値に尺度が一元化され、より厳
しさを増したヒマラヤ型となってしまった)
話の続き
共通試験をやるにあたり、点数を公開にするか非公開にするかでもめた。大学ごとに
偏差値に差ができてしまうのは目に見えていたので非公開にしたかったのだが、高校教師
などからは進路指導する目安が欲しいと公開を求めていた。その結果として生まれたのが
自己採点方式だ。
しかし予備校などの受験産業によって自己採点のデータが大量に集められ偏差値が明
らかになってしまった。結局受験産業は巨大化したかわりに国公立大は偏差値体制となっ
てしまい、追い討ちをかけるように受験生の国公立離れが起きてしまった。(理由としては
共通一次試験で多くの科目を受けなければならないこと、またバブルを迎えて私立文系に
行ってお金を稼ぐ方がいいという風潮が生まれたことが挙げられる)
国公立大の逆襲
1.センター試験
アラカルト方式(必ずしも全科目を受けなくてもよい)
2.受験機会の複数化
私大:日程ばらばら→みんな受ける
→国公立も!!
1987
連続方式
西日本をA日程、東日本をB日程とした
しかし京大、東大を両方とも受け両方とも合格した人の多くが東大に流れてしまった
ので京大は面白くない
1989
分離分割方式(京大)
前期・後期
京大に受かったらもう他には行けないシステムに
→今度は東大がおもしろくない
1990
東大
分離分割方式→全国化
大学の一般教育(1、2年)
一般教育に対する批判
1.マスプロ(生徒は多い、教員は少ない)
2.早く専門に
3.専門的過ぎ、断片的(主に理系科目)
4.レベルが低い、高校でやったことのやり直し(主に文系科目)
一般教育に対しても、重視論と無用論の間を行ったり来たりしている。(ちなみに今は極
端に無用論側)
無用論
①戦争のとき
戦争の役に立たない教養よりも理学、工学などの実学が重視された時代
②1991
一般教育の自由化
→ほぼ全ての大学から教養学部が消える
重視論
①旧制高校
6‐5‐3‐3制
複線型(ヨーロッパ型)
小学校
↓
高等小学校(2年制)
実業学校(3年制)
中学校(5年制)
↓
高校(中学校から進学)
↓
大学
1.外国語重視
2.人文主義
西洋哲学を原書で読んだり
3.全寮制教育
人格教育の場
バンカラ意識(不良のふり)
4.少人数教育
人格形成教育
批判
1.小規模だからできた
今の東大だと 10 倍の生徒がいる→とてもやってられない
2.エリート形成教育
旧制高校は官僚などのエリートになる人間、金持ちしか入れない。
国民を支配する立場の人間に教育していくのが旧制高校の役目。
「伊豆の踊り子」→エリート意識
②新制大学
アメリカ・モデル
アメリカの教育制度
6・3・3・4・院
大学院
Academic School(日本の大学院はだいたいこれ)
修士2年(MA、MS)→博士3年(Ph.D)
Professional School
専門職大学院
Law School
法科大学院
LLD
Medical School
医学大学院
Business School
MD
MBA
アメリカの教養教育
Liberal Arts
Ex.ハーバード・カレッジ
・三分野(人文科学、社会科学、自然科学)の均等必修→総合力、批判力の育成
・個人指導
・図書館
1コマ履修したらその2倍は予習が必要と言われるほど、アメリカの大学生は勉強
を余儀なくされる。その勉強をバックアップするのが図書館制度だ。24 時間制で、勉強に
必要な資料が揃っている。
民主的市民(反エリート主義)の教育を目指しているので総合力、批判力が大事。
院
大4
大3
高3
高3
中5
中3
小6
アメリカ
専門 2
職業専門教育
教養 2
教養教育
高3
中3
小6
戦前
小6
戦後
上手く行かなかった理由
1.教養
4年→2年
2.専門
3年→2年
3.大学院制度がすぐにはできなかった
③大学紛争
専門分化への批判
専門バカ
1.マスプロ→小人数ゼミ
2.早く専門へ→クサビ形カリキュラム
4
専門
3
2
1 教
養
クサビ型
3.専門的過ぎ→総合コース(テーマ講義、オムニバス講義)
4.高校の繰り返し→放送メディア(昔の放送大学)
最後に
かなりやっつけ仕事的に作ってしまったので見にくいことになっています。図とか。
過去問を見た人も多いと思いますが、正直そこまで難しくないです。2004 年の過去問や
2005 年のシケプリなんかはネット上にごろごろしているので見てみるといいと思います
(ただし一部範囲が違うので注意)。正直説明が合っているかどうか若干不安なので
いろ読んだほうが記述は書きやすいと思います。
あと、いっぺんに作ったんで何か書き落としとかあったらごめんなさい!!
いろ