健康情報専修 でのICT学習

 健康情報専修
でのICT学習
福祉
コンピュータ
ソフトウェア
ネットワーク
(スマートフォン•
Webアプリなど)
健康
生活の質の向上や,健康•福祉に役立つ
情報システム•情報アプリケーションの開発•活用
主なサポート資格
CompTIA (Strata IT Fundamentals, Network+),情報処理技術者,
医療情報技師,マルチメディア検定,福祉情報コーディネータなど
福祉工学科健康情報専修でのICT(情報通信技術)学習
情報化・少子高齢化時代に必要とされるICTエンジニアを目指して 以下の文章は架空の学生A君が,健康情報専修に入学して卒業するまでの一つのストーリーを,健
康情報専修の学習内容や半田キャンパスで行われている諸活動をもとに描いたものである.
A君は,中学高校時代,人と連絡を取ったり,何かを調べたりするときに,パソコンやスマートフォンを
利用していた.電子メールや電話などICT(情報通信技術)は,直接会って話のできない人でもコミュニ
ケーションが取れるのでとても便利だと思っていた.
また,Webで調べ学習を行ったときに,インターネットや携帯電話の普及率が,国内だけでなく世界
的に高くなっていることも知った.最近は,発展途上国でも携帯電話の普及が進んでいるようだ.
一方で,ICTの普及につれて,ICTを使いこなせる人と使いこなせない人との間に社会的格差(デジタ
ルデバイドの問題)が発生しうることも知った.今後,公共サービスや防災対策などで,ICTの利用が進
めば更に大事な問題になるかもしれない.インターネットや福祉機器を利用して,なんとか社会参加し
ようとしている人々もいるので,誰もが使いやすいICT利用環境が必要だ.
入
学
前
進学先を決める際,幾つかの大学のパンフレットやホームページに目を通した.その中で,日本福
祉大学健康科学部福祉工学科健康情報専修に興味を持ったので,オープンキャンパスに参加してみ
た.オープンキャンパスでは,健康情報専修の教育内容について詳しく話を聴くことができた.また,
iphoneアプリの開発体験や,情報処理演習室や福祉テクノロジーセンターなどの演習・実験施設をじ
かに見ることができた.
新しい分野の専修ではあるが,漠然と技術のみを学ぶのではなく(福祉•健康など)応用を想定して
技術が学べる点,情報処理演習室や福祉テクノロジーセンターなどの教育設備やそこで行われる演
習科目が充実している点に魅かれ,この専修に入学した.情報化・少子高齢化が進行するであろう将
来を生き抜くためには大学時代から自分の持ち味を身につけようと思った.
大学に入学すると,教務・学生生活などさまざまなガイダンスが行われた.入学直後のガイ
ダンスでは,半田キャンパスの情報環境についての説明もあった.そして,アカウントの発行
を受けた.これで,半田キャンパスのPC(パーソナルコンピュータ)を利用できる!半田キャン
パスの情報処理演習室は,授業時間以外は自主利用できる.情報処理演習室の利用時に
困ったときには,システム管理者の近くにいる一般相談TA(Teaching Assistant)の先輩に助け
てもらうこともできる.
また,大学の授業を履修するためには,履修登録を行う必要がある.しかも進級卒業条件
や資格取得のための科目など,さまざまな条件を考えて登録する必要がある.教務ガイダン
スを一通り聞いた徳後には,どの授業を取るべきか混乱しそうになったが,専修のガイダンス
の中で,履修登録科目を考える時間があり,わからない科目については,1科目毎に教員に
聞くことができた.
1年生の授業を受け始めてわかったことは,健康情報専修の場合には,少人数クラスで行
われる授業が毎日のようにあることだ(専修定員30名).入学直後に行われる新入生セミナー
年
次
に加えて,高校時代と同じような雰囲気で受けることのできるクラス制授業があるので,すぐ
に友人もでき,昼食時の会話もはずんだ.
健康情報専修では1年から,教養科目だけでなくコンピュータや福祉工学につながる科目
があり,この専修ならではの学びの実感も持てた.コンピュータを利用する演習授業では,
Linuxオペレーティングシステムの操作やプログラミングの基礎(C言語)を学習した.これらの
授業は,担当教員と授業補助TAとで行われるので,わからないときにはTAにも相談できた.
また,情報工学入門の授業の最後に,CompTIA Strata IT Fundamentals資格を受験した.
この資格は,基礎的ではあるが,国際的に実施されている資格で,健康情報専修のほとんど
の学生が合格している.今後は,上位のCompTIA Network+にもチャレンジしたい!
半田キャンパスの情報処理演習室には,Adobe Creative Suit Production Premiumが入っ
ており,動画,イラスト,音声などの編集ができる. 健康情報演習2の授業では,新しいWeb
コンテンツ作成言語であるHTML5やCSS3を使って,マルチメディアWebコンテンツの作成を
行った.
学生生活で発見したことは,半田キャンパスでは,PCを用いた障害者支援が日常的に行わ
れていることだ.入学してまもなく障害者支援活動の説明会があり自分も参加した.特に,聴
覚障害者向けのノートテイクには多くの学生が参加している.夏休み前には,半田キャンパス
で行われる七夕祭に参加した.学生に混ざって地域の人が大勢参加していることに驚いた.
よい思い出になった.
2年になると,専修単位で行われる情報分野の演習科目・講義科目が増えてきた.ネット
ワーク設計演習という授業では,ネットワーク構築の基礎を学んだ.ソフトウェア演習に関して
は,Androidアプリ開発などで利用されているJava言語の基礎を学んだ後に,iPhone/iPadア
プリ開発で用いられるobjective-C言語についても学んだ.
また,情報分野の講義科目も受講し,コンピュータの構成と仕組み,情報ネットワーク,マル
チメディアなどについて学んだ.講義ではあるが毎時間のように問題演習があったので理解
の助けになった.情報処理技術者や医療情報技師などの情報系資格取得にも役立つ内容で
年
次
ある.自分(A君)は,情報技術と関わる学習を中心に考えているが,技術を人のために役立
てたいので,福祉用具や社会福祉士関連科目,リハビリテーション分野の科目も一部学習し
た.
夏休みにはインターンシップで情報系企業に出向いて実習を行った.自分(A君)は,前期か
ら事前指導を受け,夏休みにICT企業の現場でシステム開発と関わる実習を行った.短い期
間であったが,現場でプロとして活躍している人から直接指導を受けられたのでよい経験に
なった.社会人としてのマナーの話も聞く事ができた.友人のBさんは,医療事務のインターン
シップに参加したようである.2年後期には,CompTIA Network+資格を受験した.ネットワー
ク技術について少し詳しくなった.
3年になると,健康情報専修ならではの専門科目や卒業研究が始まる.Webプログラミング
演習では,サーバサイドのWebプログラミングについて,医療システム開発演習や健康情報
実験では,ICTを健康や福祉に応用するための技術を学習する.自分は福祉情報実験など
ハードウェア制御の基礎を学べる実験も履修した.実験では,情報処理演習室や福祉テクノ
ロジーセンターなど大学ならではの教育施設を利用できた .
年
次
また,3年からは卒業研究が始まる.これは,ゼミ単位(1クラス7人程度)で行われ,各学生
にテーマが与えられ,それについて活動するものである.自分の希望にも配慮して担当の先
生がテーマが決めてくださったので,興味を持って研究を進めることができそうだ.健康情報
専修の卒業研究テーマには幅があるが,例えば,リハビリテーションや福祉に役立つiPadア
プリやWebデータベースの開発などがある.Kinectセンサーアプリやコンピュータ教材の開発
などの教育やエンタテインメントに通じる卒研も行われている.
授業以外では,初めて授業補助TAを行った.これは,低学年の演習授業でアシスタントを
行うものである.授業で学生に教えてみると,予想以上に自分自身の勉強にもなった.また,
いろいろな下級生とコミュニケーションが取れて楽しかった.
3年の春休みから本格的に就職活動を行った.大学からの就職サポートや,同じ専修の学
生間の情報交換,自分自身の努力により,様々な情報を得ることができた.就職活動では何
社かの就職試験を受けたが,情報系企業から内定を得ることができた.大学で身につけた技
術や将来の希望を整理して,就職面接に臨んだのがよかったと思う.とにかくやる気を見せた
のがよかったかもしれない!
4年の授業の中心は卒業研究だ.これは,4年間の総仕上げとなる学部教育の最重要科目
年
次
である.就職活動が一段落した後からは,卒業研究を本格的に進め実験なども行った.そし
て,卒業論文をまとめ,卒業研究発表会で自分の行った研究について発表した .卒業研究
の追い込みの時期は大変だったが,後で振り返ると充実していた時期であったと思う.卒業
研究終了後の春休みは最高に楽しく過ごすことができた!
卒業研究の他にも,医療情報システムの授業を受講した.この授業は,医療情報技師資格
の学習に関連の深い授業である.将来は,ICT技術者として,医療福祉系のシステムにも携
わりたいので,この資格の取得にもチャレンジしたい!
(その1) 情報系企業にICT技術者(システムエンジニアなど)として就職
システムエンジニアとして,情報システム設計やソフトウェア開発を行っている.企業や
大学の活動を支える一般的な情報システムに加えて,介護を支援する情報管理システム
やWebデータベースなど,高齢者・障害者を支援する情報システムの設計・開発を行った
こともある.また,企業や大学のLANに加えて,障がい者が在宅等で仕事をするための
SOHO(Small Office/Home Office)環境の設置を行ったこともある.将来は,医療情報シス
テムや健康アプリケーションの開発にも挑戦してみたい.
(その2) 一般企業・医療福祉施設などのシステム管理者・利用者リーダーとして就職
卒
業
後
進
路
例
事務的な仕事を行いながら,情報システムの導入・管理も行っている.時には他の利
用者へのアドバイスも行っている.情報システムの設置の際には,システムエンジニアと
何度も話し合って,現場で役立つシステムを効率よく導入するように努力した.自分の部
署のWebページを作成した際には,Webデザイナーと打ち合わせをして,自社のサービス
や諸活動を,視覚・色覚・聴覚などの機能の低下した人も閲覧できるように,文字の大き
さ,図の色,音声の使い方などを工夫した.
(その3) 情報機器・福祉機器・健康機器などの製造業に技術者として就職
情報技術だけでなく,福祉機器関連の科目で身につけた知識・技術を生かして,製造
業に就職した.一般向けや高齢者向けのさまざまな生活機器・福祉機器を扱っている.機
器の選定や改修の際には,利用者の視点もできるだけ取り入れるように配慮している.ま
た,最近の生活機器には,マイコンと呼ばれる小さなコンピュータが組み込まれていること
もあり,機器に組み込まれるソフトウェアを開発したこともある.