臨床開発を変容させる

インサイト概要
クインタイルズは
マーケットリーダーとして
リスクに基づく
モニタリングを
実施した試験を
100件以上
行っています
クインタイルズが開発した
ソリューションは
従来の試験遂行アプローチ
と比べて
25%もの
コスト削減
を実現します
リスクに基づくモニタリングの進歩を
通じて
臨床開発を変容させる
エグゼクティブサマリー
本稿では、臨床開発の課題を示すとともに、リスクに基づくモニタリング(RBM)の方針とプロセスを用
いて試験を実施した長年の経験から得られた試験遂行へのアプローチを共有します。
このアプローチでは、長年の試験実施で得た専門知識と経験を活用して、患者の安全性と品質を向上さ
せながら、臨床試験のリスクを低減します。科学、テクノロジー、グローバルな実施によって効率的に試
験を実施することにより、パイプラインを促進し、拡大することができます。
クインタイルズは幅広い
治療分野でリスクに
基づくモニタリングを
実施した試験を行い、
今日までに多数の申請・
承認を実現しています。
このインサイト概要をお読みいただくと、以下のことがわかります。
• テクノロジーと経験の統合が、どのようにインサイト(洞察)を結びつけて臨床試験の遂行を変容させるか。
• 優れたデザインはどのように遂行に影響し、優れた結果をもたらすか。
• ほぼリアルタイムのデータがどのように迅速な意思決定のためのインサイト(洞察)を提供するか。
• 優れた試験実施のために役割がどのように変わっているか。
• このアプローチがどのように結果の向上 - より早く、より安価に - をもたらすか。
クインタイルズには、長年にわたり多数の試験を成功に導き、臨床開発の進化と変容をもたらしたことで培っ
た、RBMにおける豊富な経験とベストプラクティスがあります。これをご活用いただければ、大きな自信を持って
リスクに基づくモニタリング手法を適用した試験を実施できます。
リスクに基づくモニタリングを活用して効率の向上とコストの削減を実現する
臨床試験のモニタリングの将来は岐路に立っています。従来の方法が依然として多数を占めていますが、リスクに
基づくアプローチが今後に向けた新たな方法として浮上してきました。リスクに基づくアプローチは、データの品
質や患者の安全性を損なうことなく、より効率的な試験実施を促進する方法を提供します。
クインタイルズは、リスクに基づくモニタリングの方針とプロセスを用いて試験を実施することにより、Data-driven
Trial Executionを開発しました。Data-driven Trial Executionは、患者の安全性や運営のパフォーマンスに影響を及ぼ
す可能性のあるシグナルやトレンドを迅速に特定し、それに対応することによって、治験依頼者が試験の最大の潜
在リスクを低減するのを助けます。リスクに基づく考え方、先進のデータ分析、プロセス改良の長年の経験が組み
合わさることによって、効率を高め、試験結果の予測可能性を高める - さらに、コスト削減の可能性も秘めた -
このリスクに基づくモニタリングの進化が可能となりました。
増大する課題の克服
臨床開発の将来像としてリスクに基づくアプローチが浮上しています。これは、明確に文書化された事前のリス
クアセスメントと継続的なリスクアセスメントを特徴とし、セントラライズされたモニタリング と被験者レベル
のデータレビューが併用されます。このアプローチは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)から支
持されています。また、試験の潜在的リスクを低減し、臨床試験の遂行を効率的にするとともに品質を向上させ
るのに役立つ方法として、TransCelerateが文書化したような業界コンソーシアムの方法とも一致しています。
増大する圧力のため、バイオ医薬品会社には、この新しいアプローチを使って臨床開発を変容させること以外に
選択肢はほとんど残されていません。この業界は、おなじみの手ごわい課題である、開発コストの増加、複雑さ
を増す試験、強まる規制の厳しさに直面しています。これらの難題とともに、償還の減少、パイプラインの縮小、
製品を上市する機会の減少といった市場の現状があり、変化は不可避となっています。
より良いデータ、より少ないリスクで前進する
リスクに基づくモニタリング(RBM)は、データの品質と患者の安全性の両方を向上させる可能性のある効率的
な試験実施を促進することによって、お客様が直面しているこれらの難題の多くに直接影響を及ぼすことがで
きます。RBMでは、試験固有のリスクを特定し、それらのリスクを低減してモニタリングするためのプロセスを
実施し、試験のライフサイクル全体に渡ってそれらのリスクを継続的にレビューする必要があります。より厳密
な精査を必要とする重要なデータポイントや実施医療機関に的を絞ることによって、リスクが最も高いところで
オンサイトやリモートのリソースを利用できます。このようにモニタリングリソースのバランスを最適化すること
によって効率も高まり、同時に、先進のテクノロジーを用いた中央でのデータ監視によって試験データをより厳
密に精査できます。
クインタイルズには、参加実施医療機関2万以上、参加患者25万人以上にのぼる100件を超える試験でリスクに
基づくモニタリングを行った経験があります。この経験と、業界をリードするQuintiles Infosario® Clinicalテクノロ
ジーにより、あらゆる段階で患者、実施医療機関、試験のデータを統合してホリスティックに表示でき、すばやい
意思決定が可能になります。このアプローチは合理化された運営 - そして、試験成功へのより予測可能な道筋
- を実現します。
2 | www.quintiles.com
考え方やデザインを変えると結果も変わる
リスクに基づくモニタリングは、一般的には遂行のためのモデルです。しかし、リスクを最適に低減するための
理想的な第一歩は、事前のデザインとプランニングすなわちリスクに基づく考え方です。これには、Data-driven
Trial Executionを実現するための適切な人材、プロセス、テクノロジーの導入が必要です。
試験遂行中にクインタイルズのアクションをお知らせするために、Quality by Designアプローチを取り、科学的リ
スクと運営上のリスクを事前に特定し、その後、試験全体を通して継続的に特定を行います。多くの場合、リスク
低減をプロトコールとモニタリングプランに組み入れることができるよう、このプロセスはプロトコールのデザイ
ンの時点で開始されます。このリスクに基づく品質マネジメントアプローチは、EMAのRBMに関するリフレクシ
ョンペーパーの勧告に沿ったものであり、臨床試験について私たちがどのように考え、管理し、報告するかの指
針となります。
私たちは、クリニカルプロジェクトマネージャー、安全性および治療担当の医師、生物統計担当者、データマネジ
メントと運営のエキスパートを結集して、デザインフェーズを開始します。これらのエキスパートが共同で、お客
様の科学的なプロトコールや運営に関するプロトコールのデザインをレビューし、評価します。これらのエキスパ
ートから成る統合チームは、エンドポイントから投与、潜在的な有害事象に至るまで、有効性と安全性に関する
リスクを特定し、プロトコールが試験の科学的目的を達成できるものであることを確実にします。また、統計解
析計画書に目を通し、統計上のリスクを早い段階で見つけ出します。これによってデータの収集や可視化が変わ
ってくる場合があります。次に、運営に関するリスクアセスメントを実施し、パフォーマンス記録に基づいて最も
適切な実施医療機関から高品質のエビデンスが得られるような手順とツールが準備されていることを確認しま
す。
プランニングフェーズでは、プロトコールをレビューし、試験遂行全体を通して特定されたリスクをモニタリング
するアラートとトリガーを設定します。重要なリスク指標には、臨床検査パラメータ、安全性シグナル、エンドポ
イントの発生数、患者の層別化などがありますが、患者の保護と効率的な運営に役立つ指標であればどのよう
なものでも含まれます。
リスクに基づく考え方はプログラムレベルでも適用できます。実際、プログラムのクリティカルな問題を考察す
ることは、より効率的なプロトコールのデザインとプランニングに役立ちます。ある特定のプロトコールをプロ
グラムの他の全てのプロトコールと整合させるにはどうしたらよいか?特に患者の安全性に関して、予期しない
所見が得られた場合はどうすればよいか?プロトコールのスケジュールが守られなかった場合や、試験中に標準
治療が変更された場合はどうすればよいか?このデザインで、規制当局だけでなく支払者や提供者も満足させ
られるエビデンスが得られるか?
プロトコールについてもプログラム全体についても、デザインとプランニングによって、効率的なリスクに基づく
モニタリング戦略の基礎が築かれます。このシンプルだけれども強力な原則が、お客様の試験の遂行に対してど
のようにアプローチし、試験の遂行を最適化するかの指針となります。
図1:Quality by Designアプローチ
デザイン
科学的なプロトコール、
統計計画書、運営計画書を
作成/レビューします
プランニング
アラートとトリガーを設定します。
特定されたリスクに基づいて被
験者レベルのデータのレビューを
行います。
実施
試験を実施し、リスクアラートを
モニタリングします。必要に応じ
て措置を講じます。
リスクの特定と軽減
クインタイルズのData-driven Trial Executionは、リスクに基づく考え方と洞察に満ちたなデータ分析を統合するこ
とにより、試験の遂行全体を通してすぐに利用できるインサイト(洞察)を提供します。
実際、クインタイルズのデリバリーモデルが従来のオンサイトモニタリングと違う点、さらに、オンサイトモニタリ
ングとセントラライズドモニタリングを併用するだけのRBMアプローチとも違う点は、統合されたホリスティッ
クなデータを使用して意思決定を導く点です。Infosario Clinicalは、包括的なリアルタイムのデータを統合し、イ
ンタラクティブに可視化してお届けします。これにより、患者の安全性や運営のパフォーマンスに影響を及ぼす
3 | www.quintiles.com
先進のテクノロジーによる
データの統合
Data-driven Trial
Executionの力は、その背
後にあるテクノロジーに
よって強化されます。強
固なテクノロジーセット
であるInfosario Clinicalに
より、試験レベル、実施
医療機関レベル、被験者
レベルのデータをほぼリ
アルタイムでレビューで
きます。これにより、現
実に問題となる前に、潜
在的な問題を特定して
対応することが可能とな
ります。Infosario Clinical
は、CTMS、リソース管理、
検査室、サードパーティの
データ、EDCなどのデー
タソースを、全て1ヵ所に
統合します。多数の役割
に基づくデータの可視化
により、有害事象や募集
率などの主要な指標を追
跡し、表示します。その結
果、潜在的なリスクの透
明性を高め、よりプロアク
ティブで効率的な試験の
管理を実現できます。
可能性のあるシグナルやトレンドに照準を合わせることができ、さらに、モニタリングリソースの活用方法に関し
てよりスマートな決定を行うことができます。
リスクアセスメントには、遂行の指針となるデザインやプランニングのフェーズの多数の活動が必要です。科学
的リスクと運営上のリスクを評価し、適切なトリガーとアラートを設定した後、適切なモニタリング戦略を立て
ることができるよう、分析対象とするクリティカルなデータを特定します。
次に、登録、プロトコールからの逸脱率、不遵守歴などの要素に関する実施医療機関のパフォーマンスについて
の知識を用いて、各実施医療機関で使用するモニタリング計画を決定します。患者を登録し、トリガーをレビュ
ーしながら、実施医療機関のパフォーマンスが予想通りであるかどうかを評価します。予想通りでない場合は、
軌道修正ができます。これにより、より対象を絞った効率的なモニタリングが実現されます。
リスクアセスメントにはいくつかの戦術的活動も含まれ、これは主にプロジェクトマネージャーが扱います。運
営計画と運営チームの間の支柱となるプロジェクトマネージャーは、試験の日々の計画と完全性を監督するうえ
で重要な役割を果たすと同時に、リスクを低減するために試験チーム内のアクションを調整します。
デ
ト
ン
タ
監視
ダ
ー
リスクアセ
ス
メ
図2:変化を可能にするテクノロジー
クインタイルズのアプローチは
3つの重要な要素を統合します。
•リスクアセスメント
•データ監視
イナ
ミックなモ
ング
ニタリ
•ダイナミックなモニタリング
データ監視により、運営計画で定めたアラートやトリガーを発見し、対処することができます。このステップで
は、リモートでデータクリーニングが行われ、オンサイトのCRA訪問よりも徹底的にクリーニングされたデータ
が得られます。次に、様々なソースデータをダッシュボードに統合します。これにより、事前に設定した間隔では
なく、試験の遂行全体を通してインサイト(洞察)が深まります。例えば、患者募集率を重要な指標として選択し
た場合、募集率の高い施設には、適切な患者が選択されていることを確認するために追加のリソースを集中的に
割り振る必要があります。データ監視によって、試験全体を通して事前に立てた仮説を検証でき、トリガーを設
定し直すことができます。
クインタイルズのモデルでは、患者、実施医療機関、および試験のデータを統合して使用するため、医学的なトレ
ーニングを受けたスタッフが、ほぼリアルタイムで被験者レベルのデータをモニタリングし、従来よりも早くイン
サイト(洞察)をつなぎ合わせます。クインタイルズは、経験とテクノロジー、そして患者の安全性を向上させる、
合理化され自動化されたプロセスを組み合わせて、業界をリードするこのモデルを開発しました。
データ監視の内容:
データマネジメントのレビュー。データはまず、データ入力、編集仕様、クエリー作成などの、おなじみの多くの
技法を用いてクリーニングされます。クインタイルズは重要なリスクを組み入れたデータクリーニング戦略をデ
ザインしています。そのため、後でクエリーが実行された時に、事前に設定したリスクアセスメントの目標に沿っ
ていることを確認できます。
被験者レベルのレビュー。クインタイルズの包括的な被験者レベルのレビューでは、データが医学的に適合して
いるかを評価します。ホリスティックな患者レビューとも呼ばれるこのプロセスでは、医学的なトレーニングを受
けたモニターが被験者のデータを中央で連続して閲覧できます。これらの被験者レベルのデータのレビューで
は、クリーニングされたデータを複数の訪問時に比較することにより、複数時点のデータの統合を行わなければ
見過ごされていたかもしれないトレンドを効率的に検出できます。
4 | www.quintiles.com
パフォーマンス向上のため
に実施医療機関のデータ
を追跡
遂 行 がデ ザインとプラン
ニングの イン プットに 左
右されるのと同じように、
実 施医療機関のパフォー
マンスは試 験に参加する
個々の実施医療機関によ
って 変 わ って き ま す。そ
のため、クインタイルズの
Data-driven Trial Execution
には実施医療機関の選定
とフィージ ビ リティ調 査
が 組み込まれています。
実施医療機関の挙動を経
時 的に、複 数の 試 験に渡
って追跡することにより、
それぞれの試験で適切な
患 者を 登 録し、リスクを
低減するのに役 立つ施設
はどこであるかを高い信
頼性を持って特 定できま
す。実 施 医 療 機 関につい
ての 知 識 が 多け れば、開
発のあらゆる時点で品質
をさらに完 全なものとす
ることが で き、試 験 が 成
功裏に終了する可能性が
高くなります。
図3:実績のある運営モデル
アクションの改善:
取り扱うデータが
多すぎる
クインタイルズのプロジェクトチーム
リスク
アセスメント
データ監視
トリガー
&アラート
データ
実施医療機関
被験者
データ
クリーニング
試験
実施医療機関
クエリー
ダイナミックな
モニタリング
CRA
統
合さ
れた試 験
Info s
タ
デー
アクション
a r i o C li n i c a l
この被験者レベルのレビューにより、以下のことが行えます。
• データクリーニングと医学的レビューから問題/アクションをモニターする。
• クエリー発生率とメトリクスをモニタリングする。
• データの問題とSDVの減少との関連性をモニタリングする。
• 実施医療機関のパフォーマンスメトリクス - データフロー、未処理のSDV、未解決のクエリー - をモニターする。
• 実施医療機関のモニターにデータ報告書を提示し、実施医療機関のモニタリング戦略に関して情報を得た上
でのダイナミックな意思決定を促進する。
• 定期的にプロセスの批判的レビューを行う。
データ分析のレビュー。これは、データの問題、運営に関するメトリクスやトリガーの継続的なレビューとトレン
ド分析であり、ダイナミックでフレキシブルな、的を絞った実施医療機関のモニタリング戦略をサポートするとと
もに、高品質な試験の遂行を推進します。日々の運営データを全参加施設および全参加国で比較することは、
パフォーマンスが低い実施医療機関や運営上のリスクに対処できていない実施医療機関の特定に役立ちます。
また、同じ治療分野、同じ地理的分布、または同じ選択/除外基準で実施された最近の試験のメタデータを検証
することにより、登録率、スクリーニング率、ランダム化率を予測できますので、予期しない試験のコストや遅延
に驚くことがなくなります。
中央でのデータと運営の監視は、最適なデータクリーニング法をもたらすと同時に、クインタイルズの治療に関
する知識を活用し、全体的な試験のコスト削減をサポートする革新的なテクノロジーを使用して、世界クラスの
分析により品質と施設のコンプライアンスを向上させることができます。
5 | www.quintiles.com
クインタイルズは、オンサ
イトやリモ ートで の施 設
訪問による試 験データの
モ ニタリングのため のト
リガ ー の 設 定 が、リスク
を ター ゲットとする上で
重要であるという認 識に
立って、1つの治験依頼者
の全ての試 験に使 用でき
る豊富なジェネリックトリ
ガーを開発しました。しか
し、私たちはすぐに、重要
な いくつ か のコアトリガ
ーに焦 点を合わせる必要
があるとの判断に至りま
した。そこで、潜在的な運
営上の要因や品質上の要
因を特定するための特に
重 要なトリガー のみを設
定することにし、それによ
ってアクションをとること
が可能になりました。
この新しいモデルがもたらすもの:
• 臨床モニタリングのコストに影響を及ぼすことができる
• 被験者レベルの医学的レビューのためにデータの分析準備が整うまでの時間が短縮される
• 患者、実施医療機関、試験のホリスティックなレビューにより、品質が向上し、リスクが低下する
ダイナミックなモニタリングは、試験全体を通じて、実施医療機関のパフォーマンスデータに基づき、各試験に
固有のニーズに合わせて適切なリソースを配分できるよう、オンサイトモニタリングとリモートモニタリングのバ
ランスをとる方法です。「ダイナミック」とは、適切な組み合わせのリソースを割り当てることだけでなく、プロジ
ェクトマネージャーやクインタイルズのデータ監視グループから得られる継続的なインプットに応じてモニタリ
ング戦略を絶えず調整することを意味します。
例えば、リスクアセスメントに基づいて、ある実施医療機関に必要なオンサイト訪問が当初は少なく設定された
とします。ところが、その施設のデータに外れ値や不一致が見つかるようになった場合には、追加のオンサイトモ
ニタリングを組み入れたり、モニタリングスケジュールを6週間ごとから2週間ごとに増やしたりすることができ
ます。重要なことは、データによってモニタリング戦略を決定するのであって、当初の戦略に従った運営を継続
するのではないということです。
ダイナミックなモニタリングにより、治験モニター(CRA:clinical research associate)の役割と、実施医療機関と
の全体的なコミュニケーションプロセスが変わります。クインタイルズは、潜在的にリスクの高い実施医療機関
に重点を置くことでコミュニケーションを改善し、クリティカルな項目をさらに重視してきました。CRAは全ての
データを照合するのではなくクリティカルなデータを重点的に扱うため、CRAと実施医療機関にとってリソース
の配分や効率が高まります。中央でのモニタリングをより重視したアプローチでは、CRAはデータシグナルを解
釈し、プロトコールや実施医療機関の要求事項に関する知識を使ってアクションを推進する準備ができていな
ければなりません。また、CRAは、施設訪問を実施するだけでなく、リモートで施設を管理し、施設とコミュニケ
ーションをとる準備ができていなければなりません。これによって、オンサイトでもオフサイトでも実施医療機関
とモニターとの関係が深まることがわかっています。これは、ダイナミックなモニタリングを行ううえで非常に重
要です。
あらゆる段階でパフォーマンスを高める
Data-driven Trial Executionの3つの機能 - リスクアセスメント、データ監視、ダイナミックなモニタリング - は
それぞれ異なる活動を構成しますが、サイロ化(縦割り化)することはなく、各領域が他の領域に絶えず情報を
伝えます。データ監視により、リスクアセスメントフェーズで設定されたリスクの閾値を変更する必要があるか
どうかを判断できます。また、データ分析担当者がダイナミックなモニタリング戦略の立て直しを必要とする実
施医療機関を特定できる場合もあります。プロジェクトマネージャーとメディカルモニター/臨床モニターとの
コミュニケーションは、継続的なプロトコールの遵守を確実にするためにも、試験期間中に試験リスクが発生し
て進展した場合に各自がそのリスクに集中できるようにするためにも、非常に重要です。Infosario Clinicalへの共
同アクセス/使用により、こうした効率的な協力が可能になりました。
図4:試験固有のリスクに基づきオンサイトモニタリングとリモートモニタリングのリソースの
最適なバランスを達成
セントラライズ&
リモートモニタリング
オンサイトモニタリング
プロトコール
インフォームドコンセント&IP
メディカル&データモニタリング
オンサイトでの関係
バーチャルな関係
原資料
実施医療機関の進捗管理
高
中
実施医療機関のリスクレベルに基づく対応
6 | www.quintiles.com
低
FDAは、最もクリティカルな
データ要 素に対するリスク
に重点を置いたアプローチ
は、ル ーチンの実 施医 療 機
関訪問と100%のSDVに比べ
て、患者の 安 全 性と試 験の
品質を確保する可能性が高
いと認識しています。
新たなレベルの
透明性の達成
最も強力なデータ可視化
の1つにSite Viewがありま
す。このダッシュボードで
は、モニターはマイルスト
ーンを追跡し、全実施医
療機関のパフォーマンス
を解釈して、潜在的な問
題やトレンドを迅速に特
定することができます。
試験全体を通して利用で
きるこのホリスティックな
表示により、以前より早く
アクションをとることが
でき、あらゆる段階で試
験を正しい軌道に保つこ
とができます。
自信を持ってRBMを実施する - 規制ガイダンスを遵守
新たなテクノロジーによってRBMが可能になったことを受けて、新たな規制ガイダンスにより多くの製薬会
社がこのアプローチを検 討できるようになっています。FDAのRBMに関する最 終的な業 界へのガイダンス
と、EMAのリスクに基づく品質マネジメントに関するリフレクションペーパーでは、モニタリングに対するリス
クに基づくアプローチはデータの品質を維持しながら - さらには向上させながら - ますます複雑になる臨
床試験に対応できると認められています。
FDAは、100%のSDVを伴うものであっても、あらゆる試験に有効な臨床モニタリング業務へのただ一つのアプ
ローチは存在しないと認めています。実際、FDAは、最もクリティカルなデータ要素に対するリスクに重点を置
いたアプローチは、ルーチンの実施医療機関訪問と100%のSDVに比べて、患者の安全性と試験の品質を確保
する可能性が高いと報告しています。
重要なのは、個々の試験に合わせたモニタリング戦略を立てることです。100%のSDVを用いたオンサイトモニ
タリングだけが含まれる場合もあります。しかし、この選択肢を事実上の標準的アプローチと考える必要はも
はやありません。オンサイトモニタリングをセントラライズドモニタリングやリモートモニタリングと併用する
ことによって、臨床的な監視において同様の警戒を行うことが可能です。クインタイルズは、腫瘍、糖尿病、そ
の他多くの治療分野の試験でリスクに基づくモニタリングの原則とプロセスを使用してきました。FDAは、特定
の活動(欠測データや不整合データのフォローアップ、パフォーマンスメトリクスの分析、管理業務や規制関連
業務の実施など)は、実際にリモートモニタリングに適していると思われると指摘しています。全てのモニタリ
ング戦略に品質の重視を含めるべきです。
FDAによれば、品質は、クリティカルなデータとプロセスを特定できる優れたデザインのプロトコール/モニタ
リング計画から始まります。言い換えれば、患者と試験の完全性を守るためには、事前のデザインとプランニ
ングが必要です。さらに、FDAは以下の使用を奨励しています。
• モニタリング活動によって潜在的なエラーの原因を確実に防ぐための、徹底的なリスクアセスメント
• オンサイトモニタリングでは見過ごされる可能性のあるトレンドを特定するための統計解析
• セントラライズドモニタリング、リモートモニタリング、およびオンサイトモニタリングの組み合わせ
• リアルタイムで品質メトリクスを評価するテクノロジー
規制当局は、どのテクノロジーが試験の品質を高めることができるかは特定していませんが、クインタイルズ
は独自のシステムを構築した経験から、効率的な品質データソリューションには以下に示す重要な要素が含ま
れることを学んできました。
• データウェアハウジング構造からクリティカルな値を引き出すことのできるマスターデータマネジメント
(MDM)ソリューション
• 組織全体で条件を標準化した、統合されたデータ
• 全サイロでのデータ使用に対応するデータ品質ガバナンス計画
• 幅広い主要ユーザーのための、最適化された、セキュアなアクセス
これらの要素は、全体として、データの透明性を高めます。また、より重要なこととして、信頼を高めます。同じ
情報、同じ条件にアクセスできることにより、全ての人がデータに対してより強い信頼を持ち、それに基づいて
行動できるようになります。
インサイト(洞察)をつなぎ合わせて、優れた実施とより良い結果をもたらす
試験の複雑さとコストの増加を考えると、品質を犠牲にしたりリソースを無駄したりすることなく試験をより
効率的に実施するために、テクノロジーを利用してインサイト(洞察)を迅速につなぎ合わせる時が来ていま
す。クインタイルズは、新たなテクノロジーとワークフローに投資して、優れたデリバリーとより予測可能な試
験結果を - 潜在的に低いコストで - 得るために、リスクに基づく考え方、データ分析、および長年にわたるプ
ロセス改良を統合してData-driven Trial Executionを完成させました。Data-driven Trial Executionは、試験の立ち
上げ、プロジェクト管理、臨床モニタリング、データマネジメントと分析を組み合わせて、規制当局の要求事項
やGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)の品質要件を満たしながら、試験の実施を最適化します。
この種のイノベーションが、医薬品開発の未来を確かなものにします。
7 | www.quintiles.com
「私たちの経験と新た
なプロセスや役割の発
展に加えて、先進のテ
クノロジーを統合する
ことにより、新たなレ
ベルの価値をお客様に
お届けできます。」
- Martin Giblin、
クインタイルズ社RBMリーダー
Copyright © 2014 Quintiles. All rights reserved. 30.0004-1-05.15
連絡先
フリーダイヤル: 0120-994-060
直通電話: 03-6859-9700
ウェブサイト: www.quintiles.co.jp
電子メール: [email protected]