2015 年 6 月(第 36 号) 中国ビジネスニュース 編集:香川県上海ビジネスサポーター 川田真理子 今月の注目トピックス ■消費財の輸入関税引き下げによる値下げの動き 中国財政部は、「国務院関税税則委員会の一部日用消耗品輸入関税の調整に関する通知」(以下、通知と記 載)で、今月 1 日から一部の日用消費品に対する輸入関税率の引き下げを発表しました。通知によると、対象商品 の関税は平均して 50%引き下げされることとなります。日本製品人気の高い紙おむつの場合、7.5%から 2%とな り、5%の減税です。今回の通知で対象となる商品とその税率については、下表のとおりです。 対象商品 輸入関税コード 関税率 変更前 変更後 スキンケア用品 33049900 5 2 毛皮衣類 43031010 23 10 カシミヤの衣類 61101200 14 7 ウールのコート・アウター類 62011100、62021100 16 8 ウールのスーツ 62031100、62041100 17.5 10 靴・ブーツ・スニーカー類 64029100、64029910、64041100、64051010、64051090 24 12 64052000 22 96190010 7.5 紙おむつ 2 中国で販売されている輸入品は、貿易・流通・物流にかかる中間マージンのほか、輸入及び販売に伴う税負担 も大きく、国外価格より 2~4 倍の高額となってしまうのが現状です。そこで、中国人観光客が海外で爆買いしたり、 国内外ネットショッピングサイトでの海外商品販売市場が急成長しているわけです。商務部研究院の消費研究部 門主任・趙萍氏によると、昨年の中国人による中国国外消費総額は約3兆円(約 1520 億元)にも及び、中国の消 費品小売総額の約 26 分の1を占めているそうです。趙萍氏は、通知の主目的は、輸入商品の値下げではなく、輸 入商品の課税負担を軽減して輸入の促進を図ることだと述べています。確かに、今回の関税引き下げによって大 幅な値下げは難しいでしょう。対象商品のうち、衣類や靴などのアパレル製品については、大半が中国で製造され ているため、この通知の影響を受けやすいのは、スキンケア用品と紙おむつです。そこで、輸入化粧品に課せられ る税金を見てみると、関税以外の課税合計は約 57%(増値税 17%、消費税※30%、その他各種税 10%)となって います。このように、中国人消費者の国内消費を促進するためには、関税だけでなく税制全体の改革によって、価 格の合理化も必要です。 ちなみに、通知に先駆けて、4 月 28 日の国務院常務会議において、以下の政策 5 項目が発表され、前述の消 費税をはじめとする税制改革を今後の課題とする旨が発表されています。 ① 需要の大きい日用消費品について、6 月末までに輸入関税引き下げを行う対象商品など具体的試行内容 を発表する。 ② アパレル製品・化粧品などの大衆消費品に課す消費税※の税制改革を推進する。 ③ 免税店と免税商品数の増加により免税品の購入額を増やすことによって、中国国内における海外商品購 -1- 2015 年 6 月(第 36 号) 入を利便化する。 ④ 外国人客の税還付手続を利便化するとともに、中国に持ち込まれる海外商品に対する納税申告に対する 管理を厳格化する。 ⑤ 中国ブランドの技術や店舗展開を促進し、O2O(Online to Offline の略、ネット上と実体店の双方が相互作 用して販売促進を図る)戦略を実現すること、そして模倣品や粗悪品を撲滅して市場の秩序を保つ。 通知による輸入商品値下げへの影響は限定的だと推測されているものの、仏・化粧品大手ロレアル社が中国 販売商品の大半について値下げを発表するなど、早速、市場への影響が見られます。また、上述の国務院常務 会議での発表のとおり、今後国内に免税店を増設する方針であることから、大衆消費品の輸入促進に加えて、贅 沢品消費の中国国内消費にも力を入れていくようです。 ※ ここで言われている消費税は、日本の酒税やたばこ税などの個別消費税のこと。日本の消費税(一般消費 税)は、中国の増値税に相当。 政策・経済トピックス 【新政策動向】 ■輸出税還付・免税申請 紙の申請書が不要に 国家税務総局は、「輸出企業の税還付・免税申請における紙の輸出貨物申請書免除に関する公告」を公布した。 5月1日以降、輸出する貨物について輸出企業が輸出税還付・免税申請を行う際、紙の書類提出を免除する。そ のかわりに税関輸出申請書の電子申請で、従来の項目を記入した上、申請する。 ■預金保険制度 開始 1日から銀行の預金保険制度が導入された。保護範囲は預金者1人当たり 50 万元(約 975 万円)まで。銀行が負 担する預金保険料率は銀行の信用力に応じて設定する。 ■軍事パレード 9月3日を休日に 抗日戦争勝利から 70 年を記念する軍事パレードを9月3日に北京で実施する。これに伴い、今年の9月3日を休 日とする旨を 13 日に通知した。 ■消費税の減免申請を規定 国家税務総局は「消費税の納税申請関連事項の調整に関する公告」を公布した。2015 年7月1日より施行され る。製品油、電池、塗料、煙草、酒等の消費税納税申請資料に減免税額明細表が付け加えられた。対象となる納 税人は同表に記入の上、申請しなければならない。 ■製造業の 10 年計画 国務院は、製造業の高度化をめざす 10 年の行動計画「中国製造 2025」を発表した。情報技術やロボット、バイオ など 10 分野を重点産業に指定し、製造大国から製造強国への転換をはかる。2025 年までに製造業全体の効率 や水準を向上し、2035 年までに国内製造業の全体水準を世界「製造強国」レベルに引き上げ、中華人民共和国 設立 100 周年(2049 年)までに、総合的な実力で世界の製造強国のトップクラスに入る。 -2- 2015 年 6 月(第 36 号) 【経済・産業】 ■訪日客消費 中国1人 30 万円 観光庁によると、2015 年1~3月の訪日外国人の1人あたり消費額の国・地域別で、中国が前年同期比 21%増の 30 万円でトップに立った。旧正月(春節)や花見シーズンに合わせた来日客が増加した。 ■訪日旅行 多様化 中国からの訪日観光客の増加をにらみ、中国の旅行関連各社が新たな動きに出ている。中国国際航空などは日 本向け新路線を設け、オンライン旅行サービス大手「携程旅行網(シートリップ)」は上海市と福岡を結ぶフェリーを 就航する。これまでの特定の時期に特定の場所へという「集中型」から分散化及び多様化が加速しそう。 ■工作・鍛圧機械市場 新しい局面へ 中国の工作・鍛圧機械市場が、3月に打ち出された産業分野の中国 10 カ年計画「中国製造 2025」に従い、高付加 価値帯への製品にシフトされる模様。価格ではなく、技術革新で成長する事業モデルへと変わっていく。 ■カード各会社 特典付きサービス拡充 中国人の旅行消費需要を取り込むため、新しいクレジットカードを出す動きが出てきた。中国建設銀行の「日本旅 行カード」は、利用者が成田国際空港などの空港で買い物をした際に割引が受けられる他、商品券プレゼントの 特典もある。中信銀行のカードは利用代金を引き落とす際、日本円から人民元に切り替えるための両替手数料を 無料にした。イオンは香港の「イオンカード」保有者に為替手数料を無料にするサービスを始めた。 ■4月の中国製造業景況感 1年ぶり低水準 英金融大手HSBCによると、中国の4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値は 48.9 となった。3月確報 値(49.6)から大幅減で、2014 年4月以来1年ぶりの低水準となった。 ■広州交易会 輸出契約額 9.6%減 広東省で5日まで開かれた中国最大の貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」の輸出契約額が、 2014 年春比 9.6%減の 280 億 5600 万ドル(約3兆 3700 億円)となった。見本市での契約額が今後半年間の中国 の輸出動向の先行指標となる。今回は約2万4千社の中国企業が出展。12 年の春以降、7回連続で契約金額が 前年を下回っている。 ■国有石油3社 一斉にトップ交代 中国石油化工集団(シノペック・グループ)、中国石油天然気集団(CNPC)、中国海洋石油総公司(CNOOC)の 国有石油大手3社の董事長が一斉に交代した。中国では大手国有企業のトップは、党中央が人事を決める慣例 がある。汚職摘発された首脳・幹部職の人事を正常化する。 ■対豪投資 中国が首位に オーストラリアへの直接投資額(認可ベース)で、中国が初の首位となった。2013 会計年度(13 年7月~14 年6月) の投資額は中国が 276 億5千万豪ドル(約2兆6千億円)で米の 174 億 5700 万豪ドルを上回った。中国の投資先 は4割強が不動産。 -3- 2015 年 6 月(第 36 号) ■相次ぐ地下鉄開業・延伸 中国で地下鉄の開業・延伸が相次いでいる。今年は大連市、昆明市、福州市、北京市、上海市などで開業や延長 し、今年1年間で、日本の全地下鉄の営業距離にほぼ同じ約 750 キロメートル延びる見通し。 ■小米 アプリでMMF 世界第3位の規模を誇るスマートフォンメーカーの小米はオンラインMMF(マネー・マーケット・ファンド)を創設し た。資産運用会社の易方達基金管理(Eファンドマネジメント)と提携し、自社OS(基本ソフト)にバンドルした金融 アプリを通じてMMFを販売する。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)と対抗する。 ■4月の主張統計 国家統計局が発表した4月の主要経済統計によると、1~4月の不動産開発投資は前年同期比 6.0%増で、伸び 率が1~3月より 2.5 ポイント縮小、6年ぶりの低い水準となった。建設・設備投資を合わせた固定資産投資は1~ 4月に 12.0%増、伸び率は1~3月より 1.5 ポイント減。また、4月の工業生産は前年同月比 5.9%増、伸びは3月 比 0.3 ポイント改善。4月の乗用車の生産台数は 11.2%減で、08 年 12 月以来の2桁の減少幅となった。 ■新車販売 0.5%マイナス 中国汽車工業協会によると、4月の販売台数は前年同月比 0.5%減の 199 万 4500 台で、実質2年7カ月ぶりのマ イナスとなった。新車販売が前年比で減少するのは、春節(旧正月)を含むため統計が変動しやすい1~2月を除 いて、反日デモの影響で 1.8%減少した 2012 年9月以来。 ■追加利下げ 0.25% 中国人民銀行は 11 日から貸し出しと預金金利を 0.25%引き下げた。利下げは今年3月1日以来約2カ月ぶりで、 昨年 11 月から3回。追加利下げで企業の資金調達負担を軽くする。 人民元預金金利 項 目 金利(%) 普通預金 定期預金 0.35 満期型3カ月 1.85 半年 2.05 1年 2.25 2年 2.85 3年 3.50 人民元貸出金利 期 間 金利(%) 1年以内(1年含む) 5.10 1-5年(5年含む) 5.50 5年以上 5.65 -4- 2015 年 6 月(第 36 号) ■住宅価格 48 都市で下落 国家統計局によると、4月の新築住宅価格動向は、主要 70 都市のうち 48 都市で前月比値下がりした。下落した 都市数は3月より2つ減り、北京、上海、広州など大都市で価格が下げ止まる兆候が見られた。価格は 69 都市で 前年同月比下落しており、最大の下落幅は1割に達した。 ■CO2 累積排出量 世界1位に ノルウェーのオスロ国際気候環境研究所によると、2016 年には中国の二酸化炭素(CO2)の排出量が 1990 年以 降の累積で 1464 億トンとなり、米国の 1462 億トンを超えて世界1位になる見通し。 ■BOE 「8K液晶」日本で先行販売 中国液晶パネル大手「京東方科技集団」(BOE)は「8K」の業務用液晶ディスプレーを日本で先行発売する。病院 での利用を想定した 98 型の大画面、価格帯は2千万円台の見通し。 ■交通銀行 ブラジル老舗銀行買収 中国準大手銀行の「交通銀行」はブラジルの銀行「バンコBBM」を買収する。5億 2500 万レアル(約 210 億円)で 発行済み株式の 80%を取得する。ブラジルには中国企業が多数進出しており、交通銀行は地元銀行を傘下に収 めることで、現地の中国企業の投資や貿易を支援する。 ■中国南車 英国に子会社設立 国有鉄道車両大手「中国南車」は英国に子会社を設立した。英国の高速鉄道計画「HS2」の受注に対応するもの で、鉄道車両のほか、建設工事や運営、維持、保守まで一括して受注する計画。日欧企業も既に受注に向けて動 きだしている。 ■水力発電能力 3億キロワット超 国家エネルギー局によると、2014 年末時点の中国の水力発電能力が3億キロワットを超えた。世界全体の水力 発電の4分の1にあたる。 ■重慶-中央アジア間 定期貨物列車が開通 重慶市とカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンを直接結ぶ定期貨物列車が開通した。石油掘削設備や 工業機械、食品、服飾品などを運ぶ。月1便から始めて3カ月後には月2便になる予定。シルクロード構想の一環 として、中央アジアとの結びつきを一段と強めるもの。 【日系・外資企業動向】 ■伊藤忠 ネット通販参入 伊藤忠商事と上海市政府、タイ最大財閥チャロン・ポカパン(CP)グループなどは、中国でのネット通販事業提携 の覚書に調印した。日本製品のインターネット通販事業に乗り出す。事業会社「見見面」を設立し事業展開するこ とで合意した。 -5- 2015 年 6 月(第 36 号) ■TOWA 生産体制増強 TOWAは江蘇省蘇州工場で、既存工場の敷地内に新工場棟を建設する。蘇州工場は半導体製造装置や精密 金型を扱う。5軸マシニングセンター(MC)などを新たに据え、主に大型化装置を製造する計画。複合化した半導 体材料を切断するシンギュレーション装置の需要増に応える体制構築を急ぐ。 ■菊水化学工業 塗料製造工場建設 菊水化学工業は、国有大手建材メーカー「上海建材集団」(上海建材)と塗料製造販売 JV を設立する。資本金約 18 億円、総投資金額約 23 億円。出資比率は菊水化学工業が 90%、上海建材 10%で、江蘇省常熟経済化学園 区において建設を予定している。 ■米アップル 中国売上高過去最高 米アップルの1~3月期売上高で中国が前年同期比 71%増の 168 億ドルで過去最高を更新した。初めて欧州を 抜いて米国に次いで世界2位となった。スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」やパソコン「Mac」が販 売をけん引した。タブレット(多機能携帯端末)の「iPad」も販売台数で過去最高となった。 ■伊藤忠 上海でネット通販 伊藤忠商事はタイ最大財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ、中国最大の国有複合企業「中国中信集団」(CITI C)と今秋、上海市で日本製品のインターネット通販事業に乗り出す。同市の経済特区を活用し、人気の日本製 品を3割程度安く、かつ早く届ける体制をつくる。 ■マツダ 4月中国販売 37.4%増 中国におけるマツダの4月の新車販売台数(小売りベース)が前年同月比 37.4%増の2万 196 台となった。前年 比で3カ月連続のプラス。1~4月の累計販売も前年同期比 13.1%増の7万 8832 台で、同期間としては過去最高 となった。 ■ソニー ネットで算数教育 ソニーの教育サービス子会社のソニー・グローバルエデュケーションは、中国のベンチャー企業「一起作業」と連 携し、インターネットを通じて算数を学べるサービスを展開する。 ■ハウス食品 「ウコンの力」中国で発売 ハウス食品グループ本社は1日、健康飲料「ウコンの力」を中国で発売開始した。中国の法規制に合わせて配合 の一部を変えた。内容量は 100 ミリリットル、店頭小売価格は 25 元(約 480 円)。日本で製造し輸出する。 ■王子 紙おむつ生産 王子ホールディングス(HD)は、江蘇省の製紙工場の能力増強投資を中止し、紙おむつ工場建設に切り替える。 2016 年中に自社ブランド製品で同国市場に新規参入する。 ■独ダイムラー BYD との共同開発 EV、販売網拡大へ 4月 20~29 日に開催された「上海モーターショー(Auto Shanghai 2015、)」の会場で、独ダイムラーが BYD と共同 開発した電気自動車(EV)の「DENZA(騰勢)」が注目を集めた。DENZA は今年4月には杭州と南京の販売拠点を -6- 2015 年 6 月(第 36 号) 開設し、2015 年内には広州と天津の合計7都市まで広げる計画。価格はベースモデルが 36 万 9000 元だが、新 エネルギー車の補助金を差し引くと、上海では自己負担が 27.5 万元(約 523 万円)となる。 ■花王 化学製品新工場 花王は上海市金山区「花王(上海)化工」の化学品工場の竣工式を行なった。新工場の初期投資額は、約 50 億 円。各種産業用の界面活性剤をはじめ、高機能な産業用化学製品を製造する。 ■岩手銀 人民元建て外貨預金 岩手銀行は人民元建て外貨普通預金を始めた。岩手県では貿易する企業の1~2割が中国と取引しており、貿 易決済の需要に対応した。 ■ビジネスラリアート 「微信」で中国人向けPR支援 インターネット関連サービスのビジネスラリアートは、中国版LINEといわれる「微信(ウィーチャット)」を活用した 販促支援サービスを始めた。対象は中国で事業展開する日本企業や訪日客の取り込みを狙う自治体など。店舗 で使えるクーポンを発行するほか、アクセス解析、抽選機能を提供する。 ■米アップル アリババと提携協議 米アップルは電子商取引最大手のアリババ集団と、スマートフォン向け決済サービスについて提携協議を始め た。決済サービス「アップルペイ」を中国でも開始したい考え。 ■米GM 大幅値下げ 米ゼネラル・モーターズ(GM)と上海汽車集団の合弁会社「上海GM」は主力 11 車種の定価を最大で約 100 万円 引き下げる。中国で販売する「ビューイック」「シボレー」「キャデラック」の3ブランド全てが対象で、値下げ幅は1 万元(19 万 5000 円)以上。他社の競合モデルより値ごろ感を出して販売を促進するのが狙い。 ■羽田―中国 定期便 2.5 倍 国土交通省は、羽田空港と中国を結ぶ昼間時間帯の定期便を 10 月末から現在1日8便から 20 便にする。10 月 末に始まる冬ダイヤから開始。次の冬ダイヤでは、羽田―北京と羽田―上海に加え4便それぞれ増便、新たに 羽田―広州の定期便を4便運航する。 ■AIT 華南プレミアムデリバリーサービス開始 AIT は華南(東莞)プレミアムデリバリーサービスを開始した。華南から上海への陸上輸送と、上海から日本への 海上輸送を組み合わせ、これまで「10~12 日」かかっていたところを「6~8日」へとスピードアップした。更に週4 便を週 11 便に大幅アップし、東京・大阪に名古・博多便も追加し、さらに便利になって、ローコストを実現した。 ■立花エレテック 深センと上海にFA技術拠点 立花エレテックは 2015 年内をめどに、深センと上海に工場自動化(FA)システムの技術営業拠点「FA技術センタ ー」を新設する。拡大する中国での自動化ニーズに応じ、営業提案力を高める。 -7- 2015 年 6 月(第 36 号) ■キユーピー 中国の営業人員 500 人体制に キユーピーは 2020 年をメドに中国の営業人員を 25%増の 500 人に増やす。中国でマヨネーズやドレッシングな どの売り上げが伸びており、17 年には新工場も稼働する。営業体制の強化で試食などの販売促進の機会を増や し、ブランド認知度の向上や売り上げの増加につなげる。 ■みずほ 投資ファンド みずほフィナンシャルグループは、中国の大手国有企業「招商局集団」(CMG)と共同で、中国の未上場企業に 投資するファンド「CMHグロースファンド」を設立する。国際協力銀行なども出資し、出資総額は2億ドル(約 240 億円)となる。 ■Jフロント 上海百貨店の全面開業 J・フロントリテイリングは、2月8日から一部店舗で営業していた大型の百貨店「上海新世界大丸百貨」を全面開 業する。営業面積は6万平方メートルで、「グッチ」や「ティファニー」「バーバリー」などの高級ブランドを導入する。 ■サラヤ 甘味料の新工場 せっけんメーカーのサラヤは、桂林市に天然素材甘味料「ラカント」の新工場を建設する。ラカントの原料も自社 生産する。ラカントはトウモロコシと果物「羅漢果」から作るカロリーゼロの甘味料。中国のほか欧米市場向けに 供給を拡大する。 ■クレハ PVDFの生産体制見直し クレハはフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の生産体制を見直す。PVDFはリチウムイオン二次電池(LIB)用バイン ダーや太陽電池バックシートに使われる。いわき事業所(福島県いわき市)で生産する汎用電池用の一般品の大 半を江蘇省にある中国工場に集約し、いわきは高性能電池用の特殊品に特化する。 ■クラリオン 中国生産を国内移管へ クラリオンは今夏から、新規受注した北米市場向けカーエレクトロニクス製品を日本で生産、輸出する。当初は中 国生産の予定だったが、対ドル円安のメリットを享受でき、国内拠点を有効活用できる日本生産にする。日本市 場向け製品の一部も中国生産などから国内生産に切り替える。 ■住商 インターネット通販をアリババ経由に 住友商事は中国で運営するインターネット通販サイト「品店」を6月末に閉鎖し、電子商取引最大手「アリババ集 団」のサイトを通じた商品供給に切り替える。アリババとの連携で集客力やコスト競争力を高め、日本の生活用 品を売り込む。 ■タキヒヨー 大連に品質管理センター開設 タキヒヨーの子会社の「タキヒヨー(上海)」は遼寧省大連市に大連支店を設立した。大連地区買付商品の品質管 理を行う。大連を中心とした中国東北地区の品質管理センターとし、品質向上と不良品を作らない体制づくりを目 指す。 -8- 2015 年 6 月(第 36 号) ■日立システムズ 「疲労・ストレス検診システム」中国に投入 日立システムズは地方自治体や企業向けの「疲労・ストレス検診システム」を、中国で本格的に販売する。第 10 回中国国際福祉機器展示会で同システムを設置した。 ■経産省 中国に銀行のIT規制是正要求 経済産業省は主な貿易相手国・地域の不公正な貿易政策を指摘する 2015 年版「不公正貿易報告書」で、中国で 導入検討中の銀行IT(情報技術)機器に関するセキュリティー規制を挙げた。ATMなどのメーカーに技術情報の 開示などを求めるもの。 ■独コンチネンタル 合肥市に研究開発センターを開設 コンチネンタルは合肥市の自社タイヤ工場の敷地内に、第一期計画として年間約6千回のタイヤテストが可能な R&D センターを完成させた。第二期の計画も策定中で、タイヤテストの処理能力が千回分向上する予定。 ■ドイツ証券取引所 合弁で取引所を設立 ドイツ証券取引所は、上海証券取引所、中国金融先物取引所と提携した。ドイツのフランクフルトに合弁会社「中 欧国際取引所」を設立する。欧州の投資家向けに人民元建て証券とデリバティブ(金融派生商品)の売買ができ るようになる。 【人民元情報】 人民元市場レート(2015 年5月 29 日) 外貨名 100 日本円 中間値 4.9571 人民元 【中国ビジネスワンポイントアドバイス】 外貨規制緩和政策 「外貨資本金の人民元転規制緩和及び再投資資金への活用」 資本金口座の人民元転規制緩和 6 月 1 日から「外商投資企業外貨資本金元転管理方式の改革に関する通知」(以下、匯発[2015]19 号)の実施に より、資本金口座の外貨に対する自由元転が認められることとなりました。従来は、日本企業をはじめとする外資 企業が資本金口座の外貨を人民元転する場合、実需原則に基づき、資金使途を証明する書類の提出や各種支 払いに用いる場合はその真実性や支払い履歴を証明する書類の提出が必要とされており、企業自身が自由に元 転することはできませんでした。その後、昨年から上海自由貿易試験区をはじめとして、天津や蘇州など指定され た 17 の試行区域において、人民元転規制緩和や人民元転資金の再投資活用が実施されていましたが、匯発 [2015]19 号により、今月 1 日から中国全土でも認められることになりました。 再投資資金への活用が可能に 従来、投資性公司を除き、中国現地法人の外貨資本金を国内再投資(日本本社からみると孫会社)に用いるこ とは禁止されていました。しかし、昨年から上述の試行区域において認められており、匯発[2015]19 号により、今 月 1 日から中国全土でも認められることになりました。 -9- 2015 年 6 月(第 36 号) 注意事項 使用目的の制限 外貨資本金の自由元転や再投資資金としての活用は、中国現地法人の経営範囲内での運用を原則としていま す。なお、証券・不動産などの購入、直接的・間接的な貸付や償還などの目的で使用することはできません。 銀行での手続関連規定の未整備による実務運用上の問題 匯発[2015]19 号では、銀行での必要提出書類について規定されていませんので、このたびの改正で規定上では 提出が不要となった書類についても、実務上において銀行から提出を求められる可能性もあります。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 香川県上海ビジネスサポーター 川田真理子 上海市延安西路 1088 号 長峰中心 705,706 室 TEL:021-6207-6687 FAX:021-6207-6640 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