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分離大豆タンパクの酵素反応に及ぼす食物繊維の影響についての

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Foods Food Ingredients J. Jpn., Vol. 210, No.10, 2005
分離大豆タンパクの酵素反応に及ぼす食物繊維の影響についてのレオロジー的研究
吉村 美紀 a)
西成 勝好 b)
a)兵庫県立大学環境人間学部
兵庫県姫路市新在家本町 1-1-12
b)大阪市立大学大学院生活科学研究料
大阪市住吉区杉本 3-3-138
要旨
分離大豆タンパク(SPI)は、機能性に優れ、栄養価が高く食品加工に広く使われている。食物繊維ハ
イドロコロイド(DF)も健康に有益な効果を持つことが知られており、油脂を減らし食物繊維を増やし
た加工食品により、その需要が増加している。食物繊維ハイドロコロイドは水に分散して粘性を増加
させ、加工食品に新規のテクスチャーをもたらす。また、食物繊維が消化・吸収機能に影響しタンパ
ク質、脂質の見かけの吸収率を減少させることが示されている。この研究の目的は、レオロジー的方
法により分離大豆タンパクの消化酵素による分解に及ぼす食物繊維ハイドロコロイドの影響を調べる
ことである。
動的粘弾性測定法は、ゲル化の途中で形成される構造を壊すことのない微少歪で測定されるのでゲ
ル化過程を研究するのに有効な方法である。これまでに、アルカリ凝固剤添加によるコンニャクグル
コマンナンのゲル化、グルコノ-δ-ラクトン添加による大豆のゲル化過程のレオロジー的変化を動的粘
弾性の観測により検討した。
(実験方法)
試料には、分離大豆タンパク(不二製油)、キサンタンガム(太陽化学)、ジェランガム(大日本製薬)、
グアーガム(オルガノ)、ローカストビーンガム(三晶)、コンニャクグルコマンナン(三栄源 FFI)を用い
た。パンクレアチン酵素(天野製薬)は、動物の膵臓から抽出され、アミラーゼ活性、プロテアーゼ活性、
リパーゼ活性をもち、タンパク消化力は 1g 当たり 26,000unit 以上である。試料の調製は、SPI(15%)
単独系、SPI(14%)と DF(1%)の混合系、DF(1%)単独系を 25±2℃でミキサーを用いて蒸留水に分散し
た。パンクレアチン(0.5%、1.0%、10%)は、NaOH で pH7 にした 0.2M へペスバッファーと 2.0M NaCl
とで調製したヘペスバッファーストック液に分散させた。定常ずり粘性は、レオメーター(Haake 製)
において、測定温度は 25℃とし、直径 3.5cm の円錐平板を用い、ずり速度は 0.01∼500s‐1 で測定し
た。動的粘弾性はレオログラフゾル(東洋精機製)において、歪 0.05 に相当する 50μm の振幅で 1Hz
の周波数で測定した。10g の SPI 単独系分散液または SPI・DF 混合系分散液と 2g のパンクレアチン
酵素溶液を混合し(時間t=0 とする)、直ぐに 37℃に設定した装置のセルに入れ、貯蔵弾性率 G′と損
失弾性率 G″の時間依存性を 30 分間測定した。
(結果および考察)
Fig.1 は、キサンタンガム(XG)、ジェランガム(KG)、グアーガム(GG)、ローカストビーンガム(LBG)、
Foods Food Ingredients J. Jpn., Vol. 210, No.10, 2005
コンニヤクグルコマンナン(KGM)1%溶液の粘性のずり速度依存性を示す。よく知られているように、
5 種の DF の粘性は、ずり速度の増加に伴い減少するずり流動化流動を示した。Fig.2 は、1%DF 溶液
の貯蔵弾性率 G′および貯蔵弾性率 G″の周波数依存性を示す。XG は測定した周波数範囲内で G′が
G″より大きく、弱いゲルの挙動を示した。KG、LBG、KGM は、G″が G′より大きい希薄溶液型
の挙動を示した。GG は低周波数側では G″が G′より大きく、高周波数側では G′が G″より大きく
なる濃厚溶液型の挙動を示した。Fig.3 に、パンクレアチン濃度の異なる SPI 単独系分散液の G′と G″
の時間依存性を示す。G′と G″は時間とともに減少し、パンクレアチン濃度の増加に伴い減少の程度
が著しくなった。パンクレアチン存在下での 1%DF 溶液の G′と G″の時間依存性では、時間に伴う
G′と G″の変化はみられず、これらの DF がパンクレアチン酵素によって影響を受けないことが示さ
れた(Fig.4)。パンクレアチン存在下での SPI とキサンタンガム(XG)混合系の G′と G″は XG 濃度に
依存し、減少傾向は XG 濃度の増加により抑制された(Fig.5)。Fig.6 は、パンクレアチン存在下での
SPI 単独系分散液、SPI・DF 混合系分散液の G′と G″の時間依存性を示す。G′と G″は時間とと
もに減少し、平衡値に達した。貯蔵弾性率 G′の減少曲線の形と減少割合は SPI と DF の種類により
異なった。
Fig.7∼9 は、SPI 単独系分散液と SPI・DF 混合系分散液のパンクレアチン酵素による分解を
G′1/G′0 の時間依存性から示す。G′1/G′0 は、時間 t=t の G′値を測定最初の時間 t=180s の G′
値で除したものである。ゲル化過程のレオロジー的変化は 2 段階の一次反応式で取り扱われることが
多く、分解過程のレオロジー的変化も次式により近似できる。
G(t)=1−G′1s(1−e-k1t) −G′2s(1−e-k2t)、G′3s=1−G′1s−G′2s、k1、k2 は速度定数(k1>k2)
であり、G′3S は平衡値を示す。最小ニ乗法を用いて、k1、k2、G′3S を求め、実験値は記号で、計
算値は実線による曲線で示す。Table l∼3 では、求められた速度定数k1、k2 値と平衡値 G′3S を示す。
パンクレアチン濃度の異なる SPI 単独系分散液では、速度定数k1、k2 はパンクレアチン濃度に依存
して増加し、SPI の分解はパンクレアチン酵素濃度の増加により速く進んだ。SPI・XG 混合系分散液
では、XG の増加に伴い、速度定数k1 は減少し、平衡値 G′3S は増加した。SPI・XG 混合系分散液の
分解は XG 濃度の増加に伴い、ゆっくり進んだ。SPI・DF 混合系分散液において、SPI 単独系より、
速度定数k1 とk2 は共に小さく、平衡値 G′3S は大きい値を示した。SPI・DF 混合系分散液の分解は
SPI 単独系より遅く進むことが推察された。SPI・KGM 混合系、SPI・XG 混合系の分解がゆっくり進
み、コンニャクグルコマンナンとキサンタンガムが酵素反応を顕著に阻害することが推察された。
本実験において、動的粘弾性測定により食物繊維ハイドロコロイドの添加が分離大豆タンパクのパ
ンクレアチン酵素による分解を遅延させることを定量的に示せることがわかった。
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