第1部 第 1章 SD カー ド・ マニアの チャレ ンジ 書き込み時間のばらつきに要注意! 音声 / 画像に! 超定番 SD カード SPI モードの実力 森岡 澄夫 CS (カード・セレクト) DI (データ入力) SCLK (クロック) マイコンや FPGA DO (データ出力) SPIモードでは, DAT3端子をCS (カード・セレクト) CMD端子をDI (SDカードへのデータ入力) CLK端子をSCLK (SDカードへのクロック入力) DAT0端子をDO (SDカードからのデータ出力) として使う. 実回路では10kΩ前後でそれぞれプルアップする 図 1 SD カードは SPI モードでアクセスできる ● SD カードの二大インターフェース「SD モー ド」と「SPI モード」 記録メディアとして,SD/SDHC カードが広く使わ れています. 最近は,数十 M バイト /s の書き込み速 度を持つ SD カード(SD スピード・クラスの Class 10 で 10M バイト /s, UHS Speed Class 3 で 30M バイト /s) が安価に手に入るようになりました. SD カードのインターフェースには, 「SD モード」と 「SPI モ ー ド 」が あります.マ イ コ ン や FPGA(Field Programmable Gate Array)から扱う場合には,利用 にライセンスが要らず,回路がシンプルに済む SPI モ ー ド が 広 く 使 わ れ て い ま す.Arduino や mbed と いった入門用マイコン・ボードでは,SD カード・ス ロットの付いたベース・ボードやシールドが売られて いますが,それらも SPI モードを使っています. SPI モードの一つのメリットは,SD アソシエーショ ンからライセンスを取らなくても無償で使え,仕様も 公開されていることです(2).もう一つのメリットは, カード端子の一部をマイコンの SPI 端子に直接つなぐ だけでよく,複雑な回路が要らないことです(図 1, 写真 1).3.3V インターフェースさえあれば,マイコ ンのみならず FPGA などとも接続できます. 18 左から DAT3, CMD, GND, VDD , CLK, GND, DAT0 (a)SDカード 左から DAT3, CMD, VDD , CLK, GND, DAT0 (b)マイクロSD 写真 1 SPI モードで使用する端子 SPI モード入門 ● 2M バイト / 秒書き込みはいける SPI モードでは,SD カードが本来持つ性能をフル に出せるわけではありません.それでも最近の SD カードを使うことで,従来品の 1.5 〜 4 倍に相当する 2M バイト /s 程度の高速書き込みや(SD スピード・ク ラスの Class 2 相当) ,変動が少ない安定した書き込み 速度,消費電力の削減など,かなりメリットが得られ ます. 例えば音声であれば,高サンプリング・レートのリ ニア PCM での記録ができると期待できます(写真 2, 写真 3) .また,動画像であれば,Motion JPEG を出 力 可 能 な カ メ ラ・ モ ジ ュ ー ル を 使 う こ と に よ り, VGA(640 × 480)画像を 10 〜 20 フレーム /s 程度で記 録できるかもしれません 注 1.状況にもよりますが, VGA 画像 1 フレームの JPEG サイズはおおむね 50K バ イト前後なので(1),30 フレーム /s ならば 1.5M バイト /s ほどのレートになります.2M バイト /s というのは, リアルタイム HD 動画像といった高速記録用途を除け ば,幅広い用途で活用できる速度といえます. 注 1:実際には,速度がぎりぎりであるため,FAT ファイル・ システムを使わずにセクタに直接アクセスする,マイコン でなく FPGA を使うなどの実装上の工夫を併用する必要が あると思われる. 2015 年 2 月号
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