田辺市地域防災計画の見直しについて 先日 8 月 29 日、国は南海トラフ沿いで連動して最大級の地震が起こった場合、最悪の事態を 想定して震度分布と津波高、浸水域等の推計また、被害想定を発表しました。最悪のマグネ チュード 9.1 の巨大地震が冬の深夜に発生したと想定して、最大で死者 323 千人、負傷者 623 千 人、全壊と焼失建物は 2382 千棟と推定され、私たちに大きな衝撃を与えました。 国としては昨年の東日本大震災を教訓に想定外を出さない被害想定であるとしています。また、 県内では最大死者数を8万人と推定しております。田辺市においては、最大津波高 12 m、津波 到達時間は 15 分と推定されました。 やはり田辺の中心市街地はほぼ全て浸水してしまうのか、と思うと何をしても無駄のような気に なってしまいます。 しかし、これは、1000 年に 1 度クラスの地震の推定であって、避難することを諦めてしまう「避難 放棄者」が最も危険であると言われています。今回の被害想定では、適切な避難行動や対策をと れば死者数を最大 5 分の 1 に減らすことができるとされています。 国民一人ひとりが地道な対策や訓練を重ねることが減災につながるということも同時に強調され ています。市としては、昨年の東日本大震災や台風 12 号の被害を受けて、すでに様々な防災対 策の見直しを行っておられることとは思いますが、さらに今回の推定が発表されたことにより見直さ ざるを得ないところもあるかと思います。特に 12 mという大津波が予測されると田辺沿岸部の浸水 域がどこまで広がるのかが、田辺市民にとって最大の関心事であると思います。 そこで、今後の田辺市における防災計画やハザードマップが見直され、市民の各世帯に配布さ れるまでのスケジュールをどのように考えておられるのかお聞かせください。 2 つ目に、避難路についてお伺いいたします。津波には、先ず高台に逃げるということが 1 番の 対応策ですが、各地域の避難路の確保が最優先課題となります。東日本大震災後、新たに地域 から要望のあった避難路の整備を行っておられることと思いますが、どのような進捗状況でしょうか。 また、今回の津波高想定によって新たに整備しなければならない地域はあるのでしょうか。今後の 整備計画をお聞かせください。 3 つ目に、防災協定についてです。昨年からすでに取り上げている質問でもありますが、防災協 定には色々な協定先があります。他市町との相互応援協定やライフラインに関する協定、津波避 難ビルとしての指定など 23 年度末までに 25 の協定を結んでおります。 しかし、今回の被害想定が発表されて、津波避難ビルがさらに必要となって来るのではないでしょ うか。 市街地で高台までかなり距離がある場合は、どうしても3階以上のビルの協力を得なければなら ない地区もあると思います。また、昨年の台風 12 号による甚大な被害を受けた時、情報伝達の必 要性が、実感として経験しました。情報伝達の多重化の重要性が言われている中、FM コミュニ ティ放送局との災害協定は必須であると思います。 このように、様々な分野でまだまだ災害協定の必要性を感じているところですが、今後の目標と 現在の進捗状況は、いかがでしょうか。1回目の質問といたします。 <回答> 回答者:市長 松下議員からご質問をいただきました「田辺市地域防災計画の見直しについて」お答えいたしま す。 まず、議員ご質問の1番目「南海トラフ地震による被害想定が発表されたが、今後の田辺市 における防災計画やハザードマップの見直しのスケジュール」についてでありますが、議員ご承知 のとおり、このたび内閣府から公表されました南海トラフの巨大地震による被害想定につきまして は、現時点の最新の科学的知見に基づき、「発生しうる最大クラスの地震・津波」を推計したもので あります。 特に、津波につきましては、「発生頻度は極めて低いものの、ひとたび発生すれば甚大な被害を もたらす津波」を想定していることから、津波高10メートル以上の津波が11都県にわたる広い範 囲で来襲する想定となっております。しかしながら、今回推計された津波高や浸水想定は、国の 広域的な防災対策の立案や計画等を検討するための基礎資料とすることが目的でありますことか ら、現在、国の中央防災会議において災害対策基本法の改正とともに、防災基本計画の修正が 進められているところでございます。こうした防災分野の最上位計画の修正とともに、今年の冬ご ろに取りまとめが予定されております、応急対策、復旧・復興対策を含めた「南海トラフの巨大地 震対策」を基に地域防災計画の見直しを行うこととなります。 また、津波ハザードマップにつきましては、和歌山県が今回の公表結果等を基に、それぞれの 地域の実情を踏まえた津波浸水想定を設定し、より詳細な浸水計算を今年度中に行いますことか ら、津波ハザードマップにつきましては、来年度中に市民の皆さんにお示しする予定であります。 しかしながら、新たな津波ハザードマップの公表につきましては、あくまで想定の一つであることを 忘れず、さらに大きな津波が起こりうるということを念頭に置き、 児童・生徒への防災教育をはじ め、市民の皆さんにも 「想定にとらわれない」津波対策について、より一層の 啓発が必要で あると考えているところでございます。 また、2番目の「津波避難路の確保は」というご質問でございますが、昨年の東日本大震災以降、 本市の津波対策につきましては、国や県の新たな防災対策の指針が示されるまでの間、従来の 津波対策をより強化し継続することを基本とし、これまでの津波ハザードマップにとらわれず 広い 範囲で地域の皆さんと連携し、津波避難路の整備や 津波避難ビルの指定など可能なことから対 策に取組んでまいりました。こうした取組と並行いたしまして、津波からの一時避難場所や地域の 海抜を表示した防災マップを町内会独自で作成するなど、地域社会がお互いを災害から守るとい う「共助」の取組を展開している地域もございます。とりわけ、津波避難路につきましては、自主防 災組織が中心となり、地域の力で整備された箇所もございます。 市といたしましても、昨年度は5箇所の津波避難路を 整備するとともに、平成24年度の当初予算 におきましても8箇所の津波避難路の整備に係る事業費を予算措置しているところでございます。 そうした中、先ほども申し上げましたが、「発生しうる最大クラスの地震と津波」の推計結果とともに、 今後さらに詳細な津波浸水想定等が示されることにより、これまで以上の津波対策を講じる必要 が生じるものと考えますが、新たな津波対策の課題に対しましても、津波避難路の整備を含め、引 続き対策を講じてまいりたいと考えております。 続きまして、ご質問の3番目「災害協定の目標と進捗状況」についてお答えいたします。 本市におきましては、現在47団体等との間で30協定を締結しているところでありますが、いずれも 基本的には災害時に、それぞれが現に有する人的や物的財産を活用したご協力をいただくこと になっております。 一方、議員ご質問のコミュニティFM放送局につきましては、災害時においてきめ細かな放送を 行うに当たり、 今以上の体制や設備の拡充が必要とされており、さらには限定された受信エリア といった課題もあることから、現時点では、市内のどの範囲までが、どの程度聞こえるのかなどの 現状を把握するとともに、先進地の事例を調査している段階であります。 議員ご承知のとおり、コミュニティFM放送につきましては、地域に密着した情報を発信できる放送 手段として、阪神淡路大震災や新潟中越沖地震、そして東日本大震災が発生した際には、被災 者への情報提供に大きな成果を挙げており、またインターネットのサイマルラジオを利用して全国 へ情報を発信できるなど、市といたしましても災害時における有効な情報媒体であると認識してお ります。 しかし一方では、先ほど申し上げました様々な課題があり、特に受信エリアの拡大に当たっては 相当の費用を要することも可能性としては考えられ、さらには拡大した場合、本局から中継局まで は有線による送信となることから、 昨年の台風12号災害時において、他の情報媒体で露見した その脆弱性も懸念されるところであります。 市といたしましては、こうしたコミュニティFM放送の有効性や課題も踏まえながら、行政負担も含 めた放送局との連携のあり方を整理した上で、事業者と協議を行い、平成25年度に予定している 地域防災計画の見直し時までには、一定の方向性を見出してまいりたいと考えておりますので、 ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。 <再登壇> 防災協定についてですが、FM 田辺との協議をされているということですが、昨日の夕刊に、この 12 日に総務省消防庁からの全国瞬時警報システム(J アラート)の一斉訓練で、田辺市など 15 市 町の防災行政無線から音声が流れないトラブルあったという報道がされていました。 先月 8 月 8 日には、「地方公共団体における災害情報等の伝達のあり方等に係る検討会」の中 間取りまとめが公表されました。 このまとめで「情報伝達手段の多重化・多様化の推進」や「迅速性に優れた情報伝達手段の確 保」「訓練・試験及び点検・改善の充実」の基本的な方向性が述べられ、市町村防災無線に限ら ず、できる限り複数の手段について J アラートによる自動機能を可能とするように努める、とされて います。 先日、白浜町の FM コミュニティ放送局にこの J アラートについてどのように行われているか伺っ てまいりました。白浜 FM 局では、震度 4 以上の地震速報、津波警報、弾道ミサイル情報等の J ア ラートによる防災行政無線の自動放送や白浜町からの緊急割り込み放送ができるような防災を第 1 義として設立した旨を説明していただきました。 また、日置川町との合併後は、中継局を日置川町にも設置し、全町をカバーしているそうです。 白浜町では、多額の出資をしてまで重要な情報伝達手段として位置付けているにもかかわらず、 当市では民間の有益な資源をなぜ活用しないのでしょうか。 確かに旧町村部に電波の届かないのが最大の問題点ですが、FM 田辺では、龍神、大塔、中 辺路のケーブルテレビを使って昼間 2 時間ラジオ放送を流しているそうです。全く届いていない 本宮町にだけでも先ず中継局を設置してみてはどうでしょうか。再度お伺いいたしますが、今後の FM コミュニティ放送との防災協定をどのようにお考えでしょうか。さらなるご検討をお願いしたいと 思います。
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