6 シヌクレイン病における生存期間の検討:前向きコホート研究 Survival in synucleinopathies: A prospective cohort study Goldstein DS, Holmes C, Sharabi Y, Wu T. Neurology 2015;85:1554-1561. 目的:パーキンソン病(PD) 、多系統萎縮症(MSA) 、純 時から死亡までの期間のハザード比(HR)を算出した。 粋自律神経不全症(PAF)にはα‐シヌクレインの細胞質へ 結 果:MSA-Cまたは MSA-P の患 者は、PD(OH 有り) の蓄積が関与しており、シヌクレイン病であると考えられる。 、 患者(年齢、性 別調整 HR 6.1、HR 5.6、各 p<0.0001) また、PD 患者の約 40%、MSA 患者のほとんど、PAF の PAF 患者(HR 10.8、HR 9.9、各 p<0.0001) 、PD(OH 無 全患者が神経原性起立性低血圧(OH)である。本研究 より症状発現か し)患者(HR 14.9、HR 13.6、p<0.0001) では、これらのシヌクレイン病患者の長期生存について らの生存期間が短かった。死亡した PD 様疾患の患者に 比較検討を行った。 おける、運 動症状発 現から死亡までの期間中央 値は、 方 法:本 前向きコホート研 究では、1994~2014 年に MSA-P が 7.5 年、PD(OH 有り)が11.6 年、PD(OH 無し) 評 価を行った全 患 者 206 名の生存データを検 索し、 が15.8 年であった。関連症状の発現から10 年生存の可能 97.6%から生存データを入手可能であった。206 名の内 性 は、MSA-C が 0.39、MSA-P が 0.33、PD(OH 有り) 訳は、PD(OH 有り)が 47 名、PD(OH 無し)が 54 名、 が 0.74、PAF が 0.87、PD(OH 無し)が 0.93であった。 小 脳 MSA(MSA-C)が 15 名、PD 様 -MS(MSA-P)が 結論:シヌクレイン病において、生存は特定の疾患に関連 57 名、PAF が 28 名であった。個々の診断は、臨床的 しており、死亡リスクは PD(OH 有り)患者よりMSA-P の 基準と、ノルアドレナリン神経支配の薬理学的検査、神 患者で高く、PD(OH 無し)の患者よりPD(OH 有り)の患 経化学的検査、神経画像検査の結果より確認された。 者で高かった。 Cox 比例ハザードモデルを用いて、症状発現および評価 7 多系統萎縮症においてシュワン細胞に認められるリン酸化α‐シヌクレインの 線維状凝集(シュワン細胞質内封入体) Filamentous aggregations of phosphorylated α-synuclein in Schwann cells (Schwann cell cytoplasmic inclusions) in multiple system atrophy Nakamura K, Mori F, Kon T, et al. Acta Neuropathol Commun 2015;3:29. 背景:多系統萎縮症(MSA)の組織学的特徴はオリゴ 陽性であった。SCCI は MSA 患者 14 名中 12 名(85.7%) デンドロサイ トに認められるリン酸化α‐シヌクレインの線維状 にみられた。SCCI は仙髄前根に好発し、少ないながらも と呼ばれる。 凝集の存在で、グリア細胞質内封入体(GCI) 脳神経(動眼神経、舌咽・迷走神経、および舌下神経) 、 GCI は中枢神経系に広く出現するが、シュワン細胞にお 脊髄神経、交感神経節にもみられた。SCCI は内臓には けるリン酸化α‐シヌクレインの蓄積は MSA では報告されて ほとんどみられなかった。免疫電子顕微鏡法で、SCCI と対照者(20 名)の いない。そこで、MSA 患者(14 名) は直径 15~20 nm の異常な線維から形成されていること 脳神経、脊髄神経、末梢神経節、および内臓自律神経 が立証された。対照群ではこうした封入体は認められな 系を免疫組織学的に検討した。 かった。 結果:MSA では、リン酸化α‐シヌクレインの蓄積がシュワン 結論:今回の所見から、シュワン細胞もMSA の疾患プロ 細胞の細胞質内に認められた。こうしたシュワン細胞質内 セスに含まれることが示された。 封入体(SCCI)は、ユビキチンおよび p62 の免疫染色でも 6 Update on SCD
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