~中国株ウィークリーレポート~ 2012 年 10 月 26 日 景気底入れ期待から海外マネーの流入はみられるも、企業業績の悪化懸念が重しに 本土市場 ~4 週ぶりに 反落し今月の 上げ幅を喪 失、商いも薄 い~ 本土市場は 4 週ぶりに反落した。上海総合指数は売却条件付き流通株の売買解禁にとも なう需給関係悪化への懸念から 23 日に反落。企業業績の下振れ懸念も重しとなり、25 日も 下落した。それでも 10 月の製造業購買担当者指数(PMI、HSBC 算出の速報値)でも確認さ れた景気底入れの兆候が下支えとなり、2100 ポイント台は維持できた。しかし、これ以外 の買い材料に乏しいなか、26 日は利益確定売りが一気に増加。指数は 2100 ポイントを大き く割り込み、先月末頃の水準に逆戻りした。 また、商いの回復は鈍く、日々の売買代金は 1000 億元前後と低迷。企業決算を見極めた いという思惑から、手控えムードが広がった。 香港市場 ~高値更新の 場面があるも 週末に大幅調 整、8 週ぶり の反落~ 香港市場も小幅ながら 8 週ぶりに調整した。香港当局が約 3 年ぶりに市場での香港ドル 売り・米ドル買いを実施したことを受け、ハンセン指数は 22 日に上昇。祝日の 23 日を経 て、24 日はスペイン情勢に不透明感が漂ったが、PMI を手がかりに小幅続伸。翌 25 日も米 連邦公開市場委員会(FOMC)が予想通り金融緩和の継続を決めたこと受けて上昇。これで 10 営業日連騰となり、年初来高値を更新した。しかし、26 日は高値警戒感が燻るなか、本 土市場に引きずられて急反落、終値は 2 万 1545.57 ポイントと先週末をわずかに下回った。 商いは回復基調。22 日こそ祝日前日で売買代金は少なかったが、24 日は 3 割以上も増加 し 700 億 HK ドルに迫った。翌 25 日も 600 億 HK ドル台をキープ。海外からの資金流入が起 きているようだ。 景気底入れ観 測から海外マ ネーの流入期 待が続くも、 企業業績の不 振が重しに 両市場の状況について、主な背景として以下の点を挙げる。 ◆引き続き国内経済に改善の兆しがみられ、両市場ともに海外投資家の注目が集まった。 24 日に発表された 10 月の PMI は前月比 1.2 ポイント改善。これで 9 月に続き 10 月も景 気回復の材料が確認された。 ◆人民元高・香港ドル高が進み、海外マネー流入への期待感が続いた。特に規制の少ない 香港市場ではこれが顕著。香港当局がレート維持のため香港ドル売りを連日にわたり実 施したことは、市場への香港ドル供給を意味しており、地場系銘柄への買いに繋がった。 ◆FOMC が金融緩和の継続をあらためて表明。予想通りの内容だったが、これが世界的な金 融緩和、つれて新興国市場への資金流入という構図を投資家に認識させる結果となり、 特に香港市場の地合いを下支えした。 ◆一方、決算発表シーズンを迎え、業績悪化を嫌気した売りも増加。特にすべての企業が 1 -9 月期決算を明らかにする本土市場ではその傾向が強まり、週後半にかけて調整した。 ◆また、米国市場でも主要企業による弱い決算内容が続き、ダウ平均が週ベースで反落。 これに連れて商品相場も調整し、エネルギー・資源株などの売りに繋がった。 ◆これまでの堅調相場を受け、高値警戒感が一層鮮明に。また、決算発表を今後も多く控 えていることから、様子見ムードも燻り、全般的に高値を追いにくい状況だった。 来週の注目点 ~決算、米国 の経済指標に 加え、米中 の政治イベン トも近づく~ 国内景気に回復の兆しが出てきており、海外マネーがけん引するかたちで特に香港市場 は戻りを試す展開。今週はやや調整したが、基本的には来週もこの傾向が続こう。ただ、 上昇ピッチは鈍る公算が大きいほか、本土市場の調整リスクも指摘できる。31 日までに本 土上場企業の決算が一気に出揃うことに加え、再来週は米国大統領選挙、中国共産党の全 国代表大会という政治イベントが控えているからだ。業績不振銘柄を中心に利益確定売り、 全般的な手控えムードが予想される。また、1 日の ISM 製造業景況感指数、2 日の雇用統計 と続く米国の重要指標が下振れすれば、香港市場の調整が続く可能性も。 なお、足元での株価の回復トレンドが続くか否かは、人民元、香港ドルの為替レートに 大きく左右されるだろう。米国当局は QE3 を推し進め、大統領選挙を前に国内経済に敏感 にならざるを得ず、米ドル安を志向する可能性が高い。一方、中国も米国に配慮し一定の 人民元高は容認しよう。また、8 日に開幕する党大会を経て、当局の政策対応が徐々に加速 し、景気浮揚に繋がる期待も。中長期的にみれば人民元・香港ドルの上昇要素は多く、仮 に調整しても、スピード調整にとどまることが予想される。 2012/10/26 広告審査済 1/5 注目ニュース ◆マクロ ・10 月 22 日:李克強・副首相は先ごろ開かれた会議の席上、営業税から増値税への移行を 進める税制改革について、適用業界・都市を拡大させる考えを示した。 新たに郵便・電気 通信、鉄道輸送や建設セクターなどを加え、モデル実施地域も全国に拡大するという。 (企業税制改革の目玉がこの営業税の増値税への移行。営業税・増値税の実質的な二重 課税という制度的欠陥が指摘されてきたサービス業にとって、実質的な税負担軽減に繋 がる。関連業界への直接的な恩恵が見込める) ・10 月 24 日:HSBC が発表した 10 月の PMI(速報値)は 49.1 となり、前月に比べ 1.2 ポイ ント上昇。3 カ月ぶりの水準に持ち直した。新規受注が伸びたほか、在庫整理も一定の目処 がついてきたとみられる。 (ただ、12 カ月連続で景気判断の目安となる 50 を割り込んでおり、景気先行きは楽観でき ない。景気の二番底回避に向け、政策対応の重要性は増している) ◆金融市場 ・10 月 25 日:報道によると香港当局は今月 20 日から外為市場で香港ドル売り・米ドル買 いを続けており、これまで計 4 回の介入を通じて総額 144 億 HK ドルの流動性が供給された。 (米ドルとのペッグ制を採用する香港ドルは、1 米ドル=7.75HK ドルの上限に近づいたら 当局による香港ドル売りが実施され、流動性が供給される。その一部が株式市場にも向か っていることが考えられる。香港ドル相場が株式市場に与える影響は大きい) (中国部 畦田) 業種 銘柄 項目 売上高 不 動 産 銀 行 発 電 鉄 鋼 建 材 万科企業 (200002) 中国銀行 (03988) 461.3 81.5 45.5 純利益 50.8 41.7 経常収益 2693.4 9.9 営業利益 1425.7 8.7 純利益 1063.6 10.4 売上高 1001.2 302.0 純利益 41.9 197.4 売上高 583.8 四大国有銀行の一角を占める同行の1-9月期決算は引き続き増収増益を確保 した。今年6月に行われた利下げ、金利決定の自由度拡大を受け、市場では銀 行の利ザヤ縮小の懸念が広がった。しかし、同行の純金利マージンは4-6月 期の2.10%から7-9月期に2.12%と僅かながらも上昇。景気減速、預金流出の 圧力などを勘案すると、銀行の収益力の底堅さを裏付けるものといえよう。 まりが前年度の業績不振に繋がったが、今年に入り状況は改善。発電コストが 大きく減少し、業績が回復した。一方、これまで年間2桁ペースで増加してきた売 上高は、伸びが大幅に鈍化。景気減速の影響で発電量が落ち込んだ。同社を 含めた発電大手の業績は回復基調にあるが、多くは石炭価格の下落によるも のであり、課題は少なくない。 -16.3 1-9月期は売上高が2桁減少したほか、営業・純利益も赤字を計上した。景気 営業利益 -45.3 赤拡 純利益 -31.7 赤転 売上高 322.5 純利益 年同期に比べ増え、大幅な増収増益となった。9月末時点で完工を待つ販売済 物件の残高は1631億元に達しており、今後も業績の拡大基調は続きそうだ。1 -9月の住宅販売額は前年同期をやや下回ったが、10-12月に販売開始の物 件が集中するので、通年では前年実績を超える可能性が高い。住宅市場が不 振のなか、同社のような大手が市場シェアを伸ばしている。 0.3 国内有数の発電会社で、1-9月期は大幅増益を達成した。燃料炭価格の高止 68.2 安徽海螺水泥 営業利益 (00914) コメント 57.4 住宅販売の国内最大手。1-9月期は引き渡しに至った物件の面積・金額が前 営業利益 華能国際電力 営業利益 (00902) 鞍鋼 (00347) 今週発表された1-9月期決算の一部 12.1-9期業績 伸び率 (億元) (%) 低迷で需要が減少するなか、依然として過当競争は続いており、鋼材価格が下 落。大手の同社といえでも業績悪化を避けることができなかった。鋼材の大口 需要は建設向けであり、現在のように景気動向が厳しい状況下では、先行きは 楽観できない。ただ、景気対策の効果で、鋼材価格に下げ止まりの兆しもみら れる。 -7.8 建材は鉄鋼と同じく景気動向に敏感なセクター。セメント大手の同社も1-9月期 43.4 -62.7 39.4 -56.5 は大幅減益に見舞われた。景気後退、固定資産投資の減速を受け、国内のセ メント価格は一昨年半ばをピークに一貫して下落し、減収に繋がった。一方で販 売費などのコストは膨らみ、利益率が大幅に悪化。同社はかろうじて黒字を確 保したものの、通年での赤字転落の可能性も否定できない。ただ、足元ではイ ンフラ投資の回復からセメント価格に底入れの兆しも。 出所:各社決算公告より内藤証券作成 2012/10/26 広告審査済 2/5 各指数の動き 出所:ブルームバーグのデータより内藤証券作成 参考銘柄の動き コード 10 月 19 日終値 10 月 26 日終値 騰落率(%) 上海総合指数 2,128.30 2,066.20 -2.91 ハンセン指数 21,551.76 21,545.57 -0.02 H 株指数 10,683.61 10,449.53 -2.19 周生生 116 16.58 16.70 0.72 青島ビール 168 44.05 43.35 -1.58 江西銅業 358 20.90 20.20 -3.34 華潤電力控股 836 16.18 16.64 2.84 龍源電力 916 5.26 5.01 -4.75 神華能源 1088 33.40 32.20 -3.59 国薬控股 1099 24.70 25.15 1.82 中聯重科 1157 10.62 10.24 -3.57 中国農業銀行 1288 3.29 3.24 -1.51 中国工商銀行 1398 5.10 5.09 -0.19 中国交通建設 1800 7.56 7.07 -6.48 中国民生銀行 1988 7.12 7.17 0.70 平安保険 2318 62.60 61.05 -2.47 長城汽車 2333 20.85 20.90 0.23 中海油田服務 2883 14.12 14.64 3.68 紫金砿業 2899 3.19 3.02 -5.32 出所:ブルームバーグのデータより内藤証券作成;株価はすべて調整済み。 2012/10/26 広告審査済 3/5 香港市場の業種別騰落率(10/22-10/26) (%) 2% 1.62% 1% 1.37% 0.73% 0.63% 0% -1% -0.20% -0.26% -2% -0.53% -1.89% -2.50% -3% -4% -3.95% -5% 出所:ブルームバーグのデータより内藤証券作成 2012/10/26 広告審査済 4/5 -4.19% 本 店 大阪市中央区高麗橋1-5-9 寝屋川支店 寝屋川市早子町10-21 富田林支店 富田林市若松町西1-1887-1 有 田 支 店 有田郡有田川町明王寺234 高 松 支 店 高松市丸の内10-27井筒ビル1F Succe-s Dial コールセンター Succe-s trade [email protected] TEL 06-6229-6511 TEL 072-822-6333 TEL 0721-25-1151 TEL 0737-52-7110 TEL 087-822-0105 TEL 0800-500-7110 TEL 0077-78-7110 東京営業部 神田支店 橿原支店 和歌山支店 加古川支店 上海代表処 2012/10/26 広告審査済 5/5 東京都中央区日本橋人形町1-14-8 東京都千代田区神田小川町2-2CCビル8F 橿原市久米町663 和歌山市七番丁17 加古川市加古川町寺家町45JAビル7F 上海市茂名南路205号瑞金大厦1101 TEL 03-3668-2090 TEL 03-6361-9191 TEL 0744-28-4711 TEL 073-423-6211 TEL 079-456-7710
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