特集 今こそ注目!「体つくり運動(遊び) 」の実践∼『わたしたちの体育』を使って∼ イメージの世界にひたり,友だちとかかわりながら踊る楽しさを広げる子どもを目指して 「いろいろなスポーツ」〈6年〉表現運動『わたしたちの体育』P. 32∼37『表現運動 CD』"−9,!―8, 9, 10 岡山県岡山市立操南小学校 教諭 金田 典子 1.はじめに 学習指導要領の改訂により,中学1・2年での「ダンス必修化」が示され,その実施に向け てダンス指導への関心は高まってきている。小学校の最終段階である6年生では,表現運動の 楽しさを十分に体験させ中学校へとつないでいく必要がある。そのようなニーズが高まってい る一方で,岡山県では表現運動の授業は敬遠されがちな現状にある。本学年の子どもも,単元 を通しての表現の授業を受けた経験が浅いことから,授業前アンケートでは表現に苦手意識を もっている子どもが多かった。 そこで, 『わたしたちの体育』にのっている「やってみよう」を中心にほぐしの運動を行った り, 『表現運動 CD』収録曲を合わせて使用したりすることで,表現の世界に入りやすくしたり, 『わたしたちの体育』の動きの例などから学習の見通しをもたせたりするようにする。そうす ることで,子どもは表現に抵抗なく取り組み,運動のおもしろさに触れながら踊る楽しさを感 じていけるのではないかと考えた。 2.実践内容 (1) 単元名「いろいろなスポーツ ∼ドラマチック・スポーツ∼」 『わたしたちの体育 6年』P. 3 2∼3 7 『表現運動 CD』$−9, #―8, 9, 1 0 (2) 単元目標 ○ よい動きの特徴をとらえ,スポーツの場面や様子を強調するような動きでひと流れにし て踊ったり,変化をつけたひとまとまりの動きにして踊ることができるようにする。 ○ 友だちと協力して練習や見せ合いをしたり,場の安全に気を配ったりすることができる ようにする。 ○ 表したいスポーツのイメージにふさわしい動きを見つけたり,表したい場面や様子がよ く表れているようなひとまとまりの動きや構成を見つけたりすることができるようにする。 (3) 単元計画(全6時間) 1 活用場面! 2・3 活用場面" オリエンテーション やってみよう 4∼6 学 習 活用場面③ 活動! 活 動 活用場面④ 振り返り −20− 活動" (4) 『わたしたちの体育』 『表現運動 CD』の活用場面 ! オリエンテーションでの活用 〈わたしたちの体育〉 子どもたちと「スポーツ」のイメージを集めたイ メージバスケットを作った後で,自分たちの作った ものと,P. 3 2∼3 3を見比べさせた。ラグビーの「タッ クル」やカーリングの「ショット」 「スウィープ」な どの言葉やイラストから,より具体的なスポーツの 場面を思い浮かべることができた。 また,活動!や活動"で学習していくことを P. 3 4 ∼3 6を見てつかませ,学習のねらいや道筋について 見通しをもてるようにした。 " 「やってみよう」での活用 〈わたしたちの体育・表現運動 CD〉 子どもたちの学習状況から,リズムに乗って心を解放して踊ることに 抵抗があったため, 「わりばしを使って」 (P. 6 0)の活動を取り上げるこ とにした。この「わりばしを使って」は,目を閉じたままの状態で,人 差し指の腹で支えた割り箸から相手のデリケートな動きを感じ取って, 体を様々な形に動かすという活動である。表現運動 CD:V−9の曲は, ゆっくりとした曲調であるため,相手の小さな力を感じて繊細な感覚で 動き続ける音楽として効果的であった。 # 活動!・活動"での活用 〈表現運動 CD〉 活動!では,表現運動 CD:#―9, 1 0の2曲を繰り返し流すこ とで,なりきって表現することができるようにした。 活動"の作品づくりや発表会では,自分たちのグループが表 したいスポーツのイメージにぴったり合う曲を2曲から選ばせ るようにした。 また,発表会の演出として,#―8を流してから見せ合いを 始めた。 『表現運動 CD』は,複数の曲が収められているので, 子どもの作品の傾向によって選曲できたのもよかった点である。 $ 振り返りでの活用 〈わたしたちの体育〉 毎時間の授業の終わりには,自分の取り組みや感想を「学習 のあしあと」 (P. 3 7)に書き込ませることで,学習を振り返るこ とができるようにした。 3.終わりに 表現の学習では, 『わたしたちの体育』は,題材からのイメージをふくらませる,学習の見通 しをもつ,動き方のヒントを得るなどの点で子どもの学習の助けとなった。また, 『表現運動 CD』 の曲は『わたしたちの体育』とリンクしているので,子どもの踊る気分を高め,表現の世界に 浸りきらせることに有効であった。 『わたしたちの体育』と『表現運動 CD』を使えば手軽に表 現の授業を実践することができるので,多くの先生方に活用していただきたい。 −21− 目次へ
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