慢性病予防における植物性自然食品 慢性病予防における植物性自然食品

Foods Food Ingredients J. Jpn., Vol. 208, No.6, 2003
慢性病予防における植物性自然食品(
慢性病予防における植物性自然食品(全体食品)
全体食品)の役割
Rui Hal Liu and Kelly L. Wolfe
Department of Food Science, and Institute of Comparative and Environmental Toxicology, Cornell
University
Stocking hall, Cornell University, Ithaca, NY 14853, USA
要約
先進国において癌と心疾患は、経済的に大きな影響を及ぼす。多くの疫学研究が、果物と野菜の定
期的摂取が癌や心疾患および他の慢性病のリスクを減らす効果があることを報告している。
Five-a-Day プログラムは、果物と野菜の摂取が健康に与える効果について一般の知識を高め、既知の
ビタミン類の適正な摂取を促進するためのツールとして開発された。二次的医療にのみ頼るより、食
生活を改善することの方が慢性病と闘うための一時的予防戦略として経済的な観点からより有効な方
法である可能性がある。抗酸化栄養素の働きのみでは、観察された果物と野菜の豊富な食事の健康へ
の効果を説明できない。このことは、臨床実験で行われた個別の抗酸化物の作用に関するテストが一
貫性のある予防効果を示さなかったことからも明らかである。適正栄養補給量以上に植物化学物質と
抗酸化物質を大量に含む栄養補給食品を摂取することは、有害である可能性がある。果物と野菜から
の植物化学物質抽出物は、強力な抗酸化作用および抗増殖作用があるが、これはおそらく果物と野菜
中の植物化学物質の累積的および相乗効果によるものである。果物と野菜を多く含む食事の健康への
効果は、一つだけの化合物のみの効果ではなく、これらの自然食品(全体食品)中に存在する植物化学物
質の複雑な混合の効果であるとされている。これにより、いずれの単一の抗酸化物質も健康への効果
という点で果物や野菜中の自然化学物質の組み合わせを代替できないという真実が説明できる。従っ
て、抗酸化物の摂取は、高価な栄養補助食品からではなく自然食品(全体食品)を摂取するときにもっと
も効果的である。