PDFで読む - 開発教育協会(DEAR)

12 月 8 日開催 DEAR30 周年記念フォーラム報告書
わたしが、世界を変えるチカラになる。
12 月 8 日(土)に、上智大学にて、DEAR 設立 30 周年記念フォーラムとパーティを開催しました。約 200
名の参加があり、参加者同士が、開発教育の今までを振り返るとともに、これからの方向性や課題を語り合
う貴重な時間となりました。多くの方のご協力、ご参加で、笑顔があふれる楽しい一日になりました。
ご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様、ご寄付を下さった皆様、ありがとうございました。
プ ロ グ ラ ム
* 開会・オープニング・ミュージカル
* リレートーク「これまでの 30 年・これからの 30 年」
* 記念講演/池澤夏樹氏
「本当に持続は可能なのか?∼文明の根源的な条件を考える」
オープニン グ ・ ミ ュ ー ジ カ ル
フォーラムは、この日のために集まり、練習を重ねたミュージカルメンバー
による歌と踊りで始まりました。1 曲目は、沢知恵さんの「The Line」。歌
詞とともに、様々なメッセージを参加者に届けました。続く DEAR30 周年オ
リジナル・ソングは、明るく力強い内容で、参加者のみなさんの手拍子もあり、
すてきな幕開けとなりました。
「The Line」 作詞・作曲:沢知恵
W here's
W here's
W here's
W here's
the
the
the
the
line
line
line
line
between
between
between
between
love and hate
north and south
man and woman
you and me
Where's
Where's
Where's
Where's
the
the
the
the
line
line
line
line
bet w e e n
bet w e e n
bet w e e n
bet w e e n
here and there
adult and child
black and white
yes and no
T h ere's a line, invisible line
E v erywhere in this world, everyday of our liv e s
A nd it's you, to go over the line
I t ' s easy if you try, 'cause the line is you
30 周年オリジナル・ソング原曲:涙をこえて(かぜ耕士作詞・中村八大作曲)
こころのなかで 明日があかるくひかる 世界のあらたな出会い 見つけていこう
この世でたった一度 めぐり会える 明日それを 信じて
DEAR の 30 年 みんなの学びと共にある 世界をつなげてゆこう 輝く明日みつめて
明日に続く明日も 明るくしよう 世界の困難・課題 みつめてみよう
何かがきっと変わる 希望の未来 共につくりあげよう
DEAR の 30 年 みんなの学びと共にある 世界をつなげてゆこう 輝く明日みつめて
ミュージカルに参加して(大野のどかさん)
開発教育のメッセージを歌と踊りで伝えることを体感したくて、ど
ちらも不得手でしたが参加しました。共に歌詞や動きを考え作り上
げていく過程はまさに参加型で、不安も次第に楽しさに変わりまし
た。歌詞や台詞を大きな声で繰り返すうちに、内容が身体に染み渡
り、聞いている人へ届けたいという想いがどんどん高まっていった
のはミュージカルならではの感覚でした。参加できてよかったです。
リレートー ク 「 こ れ ま で の 3 0 年 ・ こ れ か ら の 3 0 年 」
まずは、DEAR の設立当初から最近までの主な出来事をスライドで
振り返りました。そして 4 人のゲストに、開発教育に関わったきっ
かけや、印象的な出来事をお話しいただき、今後取り組みたいこ
とや DEAR への期待などについても共有していただきました。
開発教育が、出会いを通して各地で広がり、地域の特長を活かし
て す す め ら れ る 多 様 な 活 動 に 希 望 を 感 じ ま し た。ゲ ス ト の 皆 様、
ご協力ありがとうございました。
【 田中 治彦さん/上智大学教授 開発教育歴 30 年 】
日本国際交流センターに勤めていた時代、開発教育協議会の設立準備会から参加して、
あっという間に 30 年過ぎた。開発教育は貧困や開発と同時に文化の多様性や人間の
尊厳なども扱う。1989 年、日本の ODA 額が世界一位になったとき、教育において
も国際化に目が向くようになった。開発教育に長く携わっているが、問題が解決しな
いからやめられない。全国で行なわれた地域セミナーの開催で開発教育の広まりを実
感し、30 年前のイメージはある程度達成できたと感じる。今後 10、20 年先も世界
の問題に真正面から向き合う開発教育がますます広がることを期待している。
【 宮 順子さん/岩手県国際交流協会 開発教育歴 20 年 】
青年海外協力隊で日本語教師として活動後、岩手国際交流協会に勤め、4 人の教
員といわて国際理解教育研究会を立ち上げた。震災をきっかけに、全国から支援
をもらったことや岩手の農村部に多くの外国の方が住んでいることを知ったこと
で、教育の題材になるものが地域に多くあると実感した。20 年間開発教育を続け
てきたのはただ面白かったからで、全研などを通して知るさまざまな活動を岩手
でも実践したい。自分とは違う新しい発想を持つ若いスタッフに引き継ぎながら、
これからも一緒に勉強していきたい。
が ね こ
【我如古 香奈子さん/沖縄県立高校教員 開発教育歴 10 年 】
JICA 主催の研修でラオスを訪問し、現地で感じたことを生徒にどのように伝える
か悩んでいた時、沖縄で開催された地域セミナーで「貿易ゲーム」を体験した。
参加型学習の感動は今でも忘れられない。その後沖縄 NGO センターにも出入りす
るようになった。開発教育の講座やイベントを通して、沖縄に開発教育の題材が
多くあることと、沖縄で開発教育をする意義が確認できた。琉球史が大好きなので、
沖縄の歴史が深められるような参加型の教材を作り、今後継続できる素地を作っ
ていきたい。沖縄で開発教育を実践する若者が増えると良い。
【 伊藤 令華さん/大学生 開発教育歴 1.5 年 】
震災を目の当たりにし、社会に対して何か行動しなければという思いが生まれた
ことが DEAR に関わるきっかけとなった。震災でさまざまな社会問題が浮き彫り
になったが、教育におけるひずみも現れた。世界や地域の問題を自分のこととし
て考える開発教育が、社会を変えていく力を生み出す。今後避けて通れないエネ
ルギー問題を考える上でも大きな役割をもつと感じた。DEAR のセミナーでは誰
もが参加できるよう一人一人の意見や多様性を尊重している。この開発教育の理
念が教育分野に限らず社会全体に広まるようになると良い。
記念講演/池澤夏樹氏「本当に持続は可能なのか?∼文明の根源的な条件を考える」
池 澤 夏 樹 さ ん(作 家)を お 招 き
しての記念講演の報告は「DEAR
ニュース」160 号特集に掲載し
ていますので、お読みください。
池 澤 さ ん は、講 演 後 の グ ル ー プ
討 議 に も 参 加 し、会 場 か ら の 質
問 の ひと つひ と つに 丁 寧に対応
してくださいました。
池澤夏樹さん
グループディスカッション
30 周年記念パーティ
司会の西平さんと向井さん
パーティは、各地域の会員からのビデオメッセージ上映、
大道芸、クイズ大会もありと盛りだくさんの内容でした。
特にクイズ大会は、プレゼントが初版『貿易ゲーム』や
アフリカのカンガなど、開発教育をやっている人にとっ
て魅力的なものがそろっていて、とても盛り上がりまし
た。プレゼントを提供してくださったみなさん、ありが
とうございます!
久しぶりに再会した方々も多かったようで、いたるとこ
ろで話に花が咲き、にぎやかで楽しい時間となりました。
30年間の活動おめでとうございます。
開発教育を広めるうえで大きな役割を果
たしてきたと思います。 これからは、 今
までのノウハウをいかして社会変革のきっ
かけづくりに向け、一緒にがんばりましょう!
傘回しをする田中浩平さん
開発教育というものを知ったのは
ごく最近ですが、 30年もの間こ
のように活動されている団体があ
るのを知り驚きました。 これから
も私のような開発教育初心者に
どんどん開発教育を広めていた
だけるように、 期待しています。
DEAR30周年おめでとうござい
ます。
お祝いのスピーチをする幕田順子さん
★ クイズのプレゼント提供者/団体 ★
・オリジナルバッグ/(特活)地球の木
・アーユルヴェーダソープ/(特活)シャプラニール
・『アフリカンドレス第 1 版』&カンガ/アフリカ理解
プロジェクト
・チョコとコットンタオル/(特活)ACE
・
『貿易ゲーム』
(1995)
『
、2033 年地図で読む未来世界』
など/木下理仁
地球の木のプレゼント プレゼントを選ぶ参加者 ビデオ・メッセージ
全国各地に住む、DEAR と縁のある方々から
ビデオメッセージをもらいました。たとえ映
像でも対面できるのは嬉しく、
「 なつかしい!」
「元気そうだ」との声が会場から上がりました。
色々と工夫して 自分撮り してくださった
皆さん、本当にありがとうございます。
a
c
d
a. 宮内泰介さん(さっぽろ自由学校「遊」)
b
e
b. 大森容子さん(滋賀県国際協会)
c. 綿谷亜希さん(「貿易ゲーム」作成チーム)
f
d. 窪田栄一さん(NHK長崎放送局)
e. 藤本恵子さん(バニヤン・ツリー)
f. 坂山英治さん(四万十町立七里小学校)
頂いたお祝いメッセージの一部をご紹介します
青木将幸さん(ファシリテーター)
石の上にも三年と言いますが、地球の上に 30 年間しっかりと積み重
ねてきた開発教育の土台は、必ずや大きな花を日本・世界に咲かせる
と思います。
共に切磋琢磨しあえる仲間として、今後ともよろしくお願いいたします。
大橋 正明(JANIC)
開発教育協議会が発足した 1982 年、私はシャプラニールのバングラデシュ
駐在員から事務局長になりました。東和大学の室先生やNOVIBの当時
の事務局長等が、熱心に発足に取り組み、シャプラも創設メンバーになり
ました。今年シャプラニールは 40 周年、JANICは 25 周年。今後も一
緒に頑張りましょう。
木下理仁さん(かながわ開発教育センター/ K−DEC)
私が大切だと思うことは・・・
弱い立場に追いやられている人のことを知ること
自分のありようを客観的に見ること
話し合いの「文化」をつくっていくこと
社会に参加する楽しさを知り、広げていくこと
そのための場づくり、きっかけづくりをしているDEARの活動は、とても重要です。
これからも、ますますの発展を期待しています。
金城さつきさん((特活)沖縄 NGO センター)
DEAR30 周年記念おめでとうございます!
学生の頃から関わらせていただき、沖縄に帰った今でも開発教育に携わ
れるのも DEAR あってのことです。これからも DEAR を通じてたくさん
の方に出会い、学びを深めたり広げたりしていきたいです。DEAR と関
わる皆さんのますますのご発展を !!
里見 実さん(國學院大學)
30 年代のドイツとよく似た状況がこの国の今を覆っていると感じています。明日、何が起こるかは不透
明ですが、今という時間の中でそれが準備されていることだけは確かです。
凍てつく冬を耐える種子となって生命を次代に伝えたいものです。
小泉 雅弘さん(さっぽろ自由学校「遊」)
DEAR30 周年、おめでとうございます! 私の開発教育や ESD との関わり
は、DEAR の存在なくしては語れません。「市民のオルタナティブな学び
の場」を標榜する自由学校にとっても、開発教育は ひとつの指針であり、
可能性です。これからもよろしくお願いします。
西川 潤さん(早稲田大学)
DEAR が発足した 1980 年代には、南北格差に直面して、南北関係の理解、教育面での実践、平和な世
界への展望が、主要なミッションだったと思います。21 世紀の 10 年代の今日、これらの仕事は基本的
には継続しているけれども、グローバリゼーション時代に入って、開発 / 発展の問題(他律的な開発を
どう自律的な発展に切り替えていくか)が、北の世界でもクローズアップされてきたこと、高齢化の進
行からお互いを労わり合うケアの問題と世代間のコミュニケーションが重視されてきたこと、開発進行
による環境破壊がますます厳しくなってきたこと、等、開発教育も新しいチャレンジに直面しています。
DEAR は一貫して、世界的な社会分裂、環境破壊の事実の直視から、人類共通の真実を見出し、次の世
代へと和解と平和のメッセージを伝えていくユニークな仕事に取り組んできました。21 世紀半ばの世界
像はけっして楽観を許しませんが、開発現場でのトップダウン型ガバナンスを排することから、先ず自
分たちの足元で平和を着実につくり出していく DEAR のアプローチは、私たちに希望を与えます。引き
続いての良いお仕事をお祈りします。