歯科衛生士の介入による 口腔ケアの取り組みについて ~それでいいの?口腔ケア~ 口腔ケア 口腔機能向上 チームケア 鹿児島県 こうとくかい かのや 社会福祉法人紘徳会 鹿屋市 歯科衛生士 はまださおり 浜田沙織 介護老人福祉施設 その みどりの園 井料知栄・孫治永・隈元美枝子 津曲香奈・永濱芳郎・吉元清美歯科医師 E-mail:koutokukai@midori-net.or.jp 今回の発表の施設 またはサービスの 概要 Fax 番号 099-485-1903 社会福祉法人紘徳会みどりの園 昭和 63 年 9 月設立。 施設入所者 70 名同施設内には併設事業所 として、ショートステイ・デイサービス・居宅介護支援事業所・通所リハビリ・訪問介護・クリニック・グルー プホーム・小規模多機能型居宅介護・住宅型有料老人ホーム・事業所内託児所がある。ISO9001 平成 15 年 6 月 ISO10002 平成 22 年 6 月 ISO29990 平成 24 年 8 月 ISO14001 平成 26 年 7 月認証取得。 <はじめに> 施設の利用者様にとって食事をすることは、日 常生活を送る上で一番の楽しみである。美味しく 食事を食べる為には、口腔ケアの実施が不可欠で ある。口腔ケアを行うことは、口腔内の清潔を保 ち口腔疾患を予防すること、さらには全身疾患の 予防にも繋がる。また、摂食・嚥下訓練も口腔機 能の維持・向上に繋がる重要なケアである。 当施設では、口腔委員会により、月に一度外部 より来園される歯科医師と連携を図り、利用者様 の口腔ケアの向上に努めてきた。しかし、口腔ケ アは食事・排泄・入浴の三大介護に比べておろそ かになりがちであり、利用者様にとって十分なケ アとなっていない現状があった。 このような現状や職員の意識改革を行うこと、 また利用者様の口腔衛生、口腔機能の維持・向上 を目的に、歯科衛生士を採用し口腔機能維持管理 加算を導入した。 歯科衛生士や口腔委員会を中心に、介護職員へ 口腔機能・口腔ケアに関する知識・技術の指導を 行うとともに、利用者様へ専門的なケアを提供で きるようになったことで、少しずつではあるが職 員の意識向上、利用者様の口腔状態の変化が見ら れた。取り組みと成果について症例を通してここ に報告する。 <具体的な取り組み> ・専門的口腔ケアの実施 ・外部研修への参加 ・歯科医師、多職種との連携 ・利用者様の口腔内アセスメントと評価 ・職員への手技指導 ・利用者様個別に適した物品の使用 ・ソリューションウォーター(次亜塩素酸水)活用 ・OST(オーラルサポートチーム)での評価・指導 [実例1] M・T様 女 85 歳 要介護度 4 左麻痺あり ・口腔内状況:残歯あり 義歯なし ・口腔ケア:一部介助 ・口腔疾患:有り ・食事形態:常食 ・むせ込み:なし 成果:継続しケアを行ったことで、口腔疾患の緩 和につながり、疼痛の訴えがなくなった。また、 本人様の口腔ケアへの意欲も高まり自発的な口 腔ケアへとつながった。 ソリューションウォーター(次亜塩素酸水)を 併用するとにより口臭の軽減につながった。 [実例 2] M.I 様 男 67 歳 要介護度5 脳梗塞後遺症・パーキンソン病 ・口腔内状況:残歯あり 義歯なし ・口腔ケア:全介助 ・口腔疾患:有り ・むせ込み:有り ・たん絡み:有り ・食べこぼし:有り ・口腔機能低下:有り ・食事形態:なめらか食 成果:口腔ケア、摂食嚥下訓練に意欲的に取り組 まれた結果、表情が豊かになり、感情表現が広 がった。食べこぼしが減少し食事への意欲がみ られ口腔機能の向上に繋がった。口腔ケアに対 して自発的になった。QOL の向上につながっ た。 <取り組みの成果> 歯科衛生士の介入により、専門的な口腔ケアの取 り組みが行われ介護職員の口腔ケアに対する意識 改革ができ、利用者様へ質の良いケアのサービス の提供ができた、その結果QOLの向上にもつな がってきた。また、歯科医師、歯科衛生士間の連 携により歯科疾患の発見で医療への早期受診が図 れた。 歯科衛生士と口腔委員会を中心に構成されたOST (オーラルサポートチーム)での取り組みを多職種 と情報共有することでより質の高いケアを提供する ことができた。 <今後の課題> ・歯科衛生士の指導により介護職員の口腔ケアに対 する知識や技術を統一する。 ・継続した口腔ケアを行うことで利用者様の口腔衛生 の維持と、口腔機能の維持・向上に努める。
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