長倉洋海さん講演会特集/笑がおとーくりれー/理事のショートエッセイ

 地球上の子ども達の笑がおを願うあなたと手を携えて
笑 が お の 森
如月号
発行日 2005年2月10日
発行元 特定非営利法人アジアの子ども達を支援する基金
事務局 千葉市中央区中央2-7-2 ℡043−225−5041
ホームページ http://www.3sf.co.jp/asia-support
「 紛 争 地 の 子 ど も た ち 」 ──微笑みの生まれる場所──
長倉洋海さん
写真家。 アフリカ・中
東・中米・東南アジアな
ど世界の紛争地を生き
る人々を追い続ける。
第12回土門拳賞受
賞。「ともだち」「きみが
微笑む時」など写真集・
著書多数。
2.28 スマトラ沖地震被災者支援 講演会開く
「 劇的な1枚の写真よりも、もっと静かに何かを訴
える1枚。 人間というのは何者でどう生きていくの
か、人としての美しさやたくましさを撮りたい。 見る
人が自分の人生を問い返すようなそんな写真を撮
りたい」と語る長倉洋海さん。
世界のさまざまな紛争地を訪れ、その地でたくま
しく生きる人々を撮りつづけてきた写真家・長倉洋
海さんを迎えての今回の講演会。 たくさんのスライ
ドを交えて、「戦争・破壊・虐殺・・・つらい現実に打
ちのめされた暗い表情ではなく 、 逆境をはねのけ
る紛争地の子どもたちのたくさんの笑がお」のお話
しをして頂きます。
ピュリッツアー賞よりも
人生を問いかけるてくる写真を
長倉洋海さんは、1952年北海道釧路市生まれ。
同志社大学法学部卒業後、時事通信社カメラマン
を経て1980年フリーランスに。「とにかく早く自分が
認められたかった。世界がワーと注目してくれる劇
的な写真が撮りたくて、 ハイエナのようにギラギラ
していた 」そんな長倉さんを変えたのは、 ソマリヤ
難民キャンプで出会った少女。 あばら骨が浮き出
るほど痩せ細り路上に座り込む彼女を見て 「難民
らしい写真が撮れる」とシャッターを押そうとする長
倉さんに彼女は穏やかな微笑みを返したそうです。
「はっと虚をつかれる思いで自分が恥ずかしくな
った」 長倉さんの忘れられない人生の出会いがそ
こにありました。
「出会った人と自分の心を重ね合わせることの大
切さを思うようになった」 そして「同じ人間が生きて
いるんだと痛切に感じられるような写真を撮りたい」
と語る長倉さんの作品は、 見るものの心を穏やか
な不思議な気持ちにさせてくれます。
是非、一人でも多くの方にご来場頂き、人生の出
会いの場をまた一つ増やして頂きたいと思います。
写
真
家
長
倉
洋
海
さ
ん
を
迎
え
て
日時 平成17年2月28日(月)
受付13:00∼ 講演14:00∼16:00
場所 千葉市民会館(小ホール)
収益金の全てを
スマトラ沖地震被災者支援へ
会費 1,500円(学生1,000円)
主催
今回の講演会の収益金の全てを、 スマトラ沖地震ア
チェ被災者への義援金とさせていただきます。
震源地に近いアチェ州は死者の数12万人、 行方不
明者は13万人以上にのぼっています。70万人以上の
被災者が食糧も水も確保できないキャンプ生活を強い
られ、その上、子どもたちの人身売買・コレラや赤痢の
感染症の危険性も指摘されています。
また、 政府予算の30%が汚職で消えるインドネシア
では、 援助の多くが不正に流用されているとの警告も
だされています。
そこで、 義援金が必ず現地救済に繋がる為には支
援先が重要だとの討議の末、 90年代からアチェのNG
Oと協力し紛争の犠牲者の支援活動を続けてきた「イ
ドネシア民主化支援ネットワーク」 へ寄付することにし
ました。 当日は、 義援金がどのように使われているか
の報告が、同ネットワークのメンバーの方よりされます。
NPOアジアの子ども達を支援する基金
NPO千葉開業支援センター
申込は事務局 小川まで TEL 043−225−5041
カンパはどうなるの?
1000円で購入できるもの
★ガソリンなら28リットル
★お米なら23キログラム
★砂糖なら14キログラム
★にんじんなら17キログラム
★塩干魚なら1.2キログラム
★トマトなら5.3キログラム
(04年12月バンダ・アチェ市場価格)
私とアジアの子ども達を支援する基金
理事のショートエッセイ
子どもたちが人間らしく豊かに
生活できる環境が少なくなってき 笑がおとーくりれー 第2回
た。その原因を探ると、子どもが育つ為に
大きな影響を与える家庭生活をみつめて
みる必要がある。
学校法人広和学園 理事長
家庭の姿は、 敗戦後急速に変化をもた
片岡 弘之 さん
らした。 核家族化が進み、 祖父母から子
育ての文化が伝えられなくなって、日本を
基本的に支えてきた子育ての知恵や生活
規範が途絶えてしまった。
人と人とのつながり方を三世代同居して
いることで、 子どもの内から覚えることがで
きる環境があった。今は親の生き方を見て
その真似をして身につけることができない。
人と人がつながって
幼児期に親子の関係がしっかりとできなければ、 友人や知
人のつながりを持ちたくとも持つ方法や学ぶチャンスがないこ
とになる。 舅姑との付き合いが面倒だから、核家族を選んだ
子育てに自信のない親が、友人も持てないとしたら、どんな家
庭になるのだろうか。 面倒なことを排除したそのツケは自分た
ちではらわなければならない。
教育ができる部分は限られている。 家庭生活が土台になっ
て子育てができる。教育現場だけでは無力である。
今我々が何が出来るか、本当の意味の教育を創造しなけれ
ばならない時期が来ていると痛感する。
家庭の中に人のつながりがなければ、 教育現場で、地域で
人とのつながりを創造しなければ、子どもたちの明日に希望を
抱くことは出来ない。 一人でも多くの人と手をつなぎあって、
未来に夢を抱き続けたいと思う。
親の存在
武藤 順子さん
元旦の夜、母は2か月の闘病の末、83年間の人生の幕を閉じました。葬儀も
終わり、 何事もなかったかのような生活に戻っています。 ところがほっとしてい
る時に、なにか温かい空気の膜みたいなものが、自分の体からはがされ、無防
備な状態に放たれたような気分になってしまうのです。
これは、感覚として捉えた母の存在だと気がついたのです。たぶん温かい羊
水で守られた時の感覚がこのようなもので、 私は生誕したばかりの子どもが未
知の世界で産声をあげている状態ではないかとさえ思ってしまいました。
母の道程はそれなりに大変な時代を経たものでした。私の兄を背負いながら
東京大空襲で家を焼かれ、 終戦後の食糧難の中で私が生まれ、子どもを育て
ることに必死で生きていたのです。 この姿こそが、見えない温かさだったことが
わかったのです。
現在、 かつての親の役割がお金で代替されがちになり、親子の心のつなが
りは非常にむずかしくなっています。私の子育てもその移行過程にありました。
反省も含めてですが、 心の支えを亡くした孤独な子どもたちの悲鳴を何とか
したいと切実に思います。 子どもの声に耳を澄まして、大切なものを守る作業
をしていきたと思います。 (編集者)
NPOに参加して
大野 隆司さん
理事長の前原東二さんは、かつて著名人をお招きして講演会を開催し、そ
の収益金と同氏が社長を務めるスリーエスフォーラム㈱の利益の一部を寄付し
て、地域の福祉施設等に寄付を続けておられました。 2年ほど前に、前原さん
よりアジアの子ども達に何らかの支援をするためにNPOを立ち上げることを伺
いました。私は喜んで参加させて頂きました。 このNPOには地雷除去に関わ られる方、 ネパールに学校を作られた方、地域の活性化に関わっていられる
方など各方面で活躍されている方々が沢山参加されています。 いままで大学
の狭い範囲の中で「井の中の蛙」でしたが、これからは微力ですが、皆様と協
力してアジアの子ども達を支援したいと思っております。(千葉大学名誉教授)