事業名:音声認証活用によるボランティア参加型緊急子育て支援システム

平成 12 年度補正予算 介護・子育て分野における革新的なサービス提供に資するIT活用事業 公募採択案件 12
事業名:音声認証活用によるボランティア参加型緊急子育て支援システム
団体名:社団法人日本フィランソロピー協会
株式会社アニモ
1.事業の概要
核家族化が進み、普段の近所づきあいが希薄な都市生活では、保護者に代わって安心して子どもを
委ねられる保育ボランティアを見つけ出すことは難しくなっている。本事業は、子どもの急な発病・
ケガが発生したとき、保護者に代わる保育ボランティアが、迅速かつ安全に子どものケアができるよ
うにする。
具体的には、保護者からの要望に応じて、あらかじめ登録してある保育ボランティアからセンター
でマッチングを行い、最適な保育ボランティアが子供を医療機関に連れて行ったり、自宅でケアをで
きるようにする。この際、迅速かつ安全に実施するために、保護者、保育ボランティア等に対して音
声認識技術を活用した認証を行う。また、病後の子供の様子を、遠隔地にいる保護者が確認できるよ
うにする。
2.革新的サービスのポイント
(1) 安心で安全な保育サービスの提供
・保護者の要望に応じた最適な保育ボランティアを迅速に選定することができる。
・音声により認証することで保護者、保育ボランティア等のなりすましを防止する。
・画像により子供の様子を遠隔地から確認することができる。
・多様な保護者のニーズ(医療機関に連れて行く、保護者宅に連れて行く、保育ボランティア宅に
連れて行く等)に対応する。
・保育ボランティアがどこにいても、携帯電話で確実に連絡ができる。
3.IT活用のポイント
(1) 音声認識エンジンの活用
・保育サービスの現地等、どこからでも声紋を利用して本人認証(本人確認)をすることにより、
なりすましを防止し、個人情報や子どもを脅威から守る。
(2) 自動応答システムの活用
・保育サービスの現地からの電話による実施報告が自動的にセンターの管理画面に表示されるため、
事故等の発生を迅速に把握することができる。
(3) 保護者とボランティアのマッチング機能の開発
・保護者のニーズに基づき、あらかじめ登録してある保育ボランティアの情報を検索し、最適なマ
ッチングができるようにリストアップする。
(4) 携帯電話の利用
・保育サービスの実施状況を随時報告することができる。
・対応可能なスケジュールを随時更新することができる。
(5) 動画蓄積・配信技術の活用
・子供の様子を撮影しセンターに蓄積し、保護者が子どもを確認できるようにする。
4.実証実験結果
(1) 実証実験の内容
実証実験の目的:保護者にとって、安心して依頼でき、安全な保育サービスを提供することがで
きたかを検証する。また、ボランティアや保育園にとっても高い効果があるか
を検証する。
実証実験参加者:保護者・子ども
ボランティア
15組
保育園
25名
3箇所
フィールド
:東京都世田谷区
実験方法
:実際に保護者は保育サービスを依頼し、この依頼にしたがってボランティアは
子どもを迎えに行き、保育サービスを提供する。サービス終了後、保護者やボ
ランティア、保育園に対するヒアリングを実施する。
(2) 評価
・音声認識エンジンを活用した認証については、安全性確保の点で評価されたが、どのような局面
で利用するかの整理が必要である。
・保護者にとって、子どもを安心して預けることができた。
・保育園にとって、子どもを預けてからの状況を把握することができ安心感が高まった。
5.今後の展開
社団法人日本フィランソロピー協会が事業主体となり、子育て支援に力点をおく市町村、NPO、
民間企業を対象として頒布する。
そのために、機能の整理、価格の検討、具体的な頒布先の検討等を行う。