材料物性 工 学科 模擬実験 材料の性質は温度でこんなに変わる!! -電気抵抗の温度変化の測定実験- □ 会場 N211 時間 11:10~12:30, 14:00~15:30 ① 材料の電気抵抗を測定してみよう 銅などの金属は電気を通しやすく,木や紙などは電気を通しにくいことは良く知られて います。電気を良く通す材料は「導体」,電気を通さない材料は「絶縁体」,そして導体と 絶縁体の中間くらいの電気の通りにくさを示す材料が「半導体」とよばれています。でも これはあくまで,私たちが日常暮らす温度での話です。また,これらの分類は,その材料 の電気の通りにくさの目安である「電気抵抗」が,温度によってどのように変化するかを 表しています。電気抵抗は,その材料がどんな温度に置かれているかで大きく変化します。 電気抵抗を「測る」法則は,オームの法則です。これは『物質に流れる電流 I は,物質の 両端にかけた電圧 V に比例する』という法則で,式で表すと V=RI となります。このときの R が電気抵抗です。この法則に従うと,電気抵抗を測定するには, 電気を流す装置(電流電源)と電圧を測定する装置(電圧計)が必要であることになりま す。簡単に測定するなら,家庭にある回路計(テスタ)などの装置でも可能です。 これらの装置を使って,材料の電気抵抗が温度によってどのように変化するのか測定し ましょう。 ② 超伝導現象の不思議を体験しよう 電気抵抗がゼロになる状態,それが超伝導です。 超伝導状態が特異なところは,単に電気抵抗がゼ ロというだけでなく,「完全反磁性(マイスナー効 果)」という性質を持つ点にあります。これは右の 写真のような『超伝導体の上で磁石が浮く』など の現象で知っている人も多いと思います。単に磁 石が浮くだけなら,磁石の反発力を利用しても磁 石は浮きます。『超伝導物質の上の浮き磁石』がど れくらい不思議な現象なのかを『磁石の上に浮く 磁石』と比べる実験で体験してください。 超伝導体の上に浮く磁石。超伝導体 を包むビニールに磁石の影が映っ ています。 ③ おまけ実験-いろいろなものを冷やしてみよう- (温度で変わるのは電気抵抗だけではない) 材料の性質には,温度により劇的に変わるものがほかにもたくさんあります。硬さもそ の一つです。「バナナで釘が打てる」ことは良く聞きますが,本当にそうなのかを試してみ ましょう。また,材料の性質や状態がどのように変化するか,実際にいろいろなものを冷 やして観察してみましょう。 Department of Materials Science and Engineering 体験学習 タイタニック号沈没の謎を追え! □ 会場 K105 時間 11:10~12:30, 14:00~15:30 豪華客船タイタニック号(46,358 トン) は、 1911 年に建造され、翌 1912 年 4 月 10 日、イギリスのサザンプトンを出 港し、 アメリカのニューヨークに向け て処女航海に出た。しかし、その途中、 4 月 14 日 23 時 40 分、北大西洋のニュ ーファウンドランド沖で氷山に衝突し、 2 時間 40 分で沈没した。このとき、乗 船者 2208 名の中、1517 人が死亡し、 世界最大の海難事故となった。 沈没するタイタニック号 Willy Stöwer 画 沈没の直接の原因は、氷山と接触した際の こ う てつせい 衝撃によって鋼 鉄製 の船体に生じたわずか 1 れつ 平方メートル程度のき裂 (穴)であった。こ のき裂から、毎秒 7 トンもの海水が船内に流れ 込んだのである。 こうてつ 船体(Hull)と氷山(Iceberg)の衝突状況 もろ しょうげきりょく 鋼鉄は、低温では脆くなり、衝撃力 を受ける とガラスのように簡単に割れてしまうという ていおんぜいせい 性質を持っている(低温脆 性 )。鋼鉄中に不純 物が多く存在すると、さらに割れやすくなる。1900 年頃の鋼鉄Tには、当時の技術的限界 により、リン(P)や硫黄(S)といった不純物元素がたくさん含まれていた。このような 鋼鉄が、沈没当夜のような低温(海水温度:マイナス 2℃)の中、速度 20.5 ノット(時速 38 キロメートル)で氷山に激突したのだから、ひとたまりもなかったであろう。 本体験学習では、このような“意外 な鉄の超弱点”とも言える“低温脆性” を理解するために、常温と極低温(液体 窒素温度マイナス 196℃)にて鋼鉄の破 こわ 壊試験を行い、鋼鉄の壊 れ方がどのよう に変わるのかを体験してもらいます。 低温で衝撃破壊させた鋼鉄の電子顕微鏡写真
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