京都DARC

1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
NPO (特定非営利活動) 法人
DARC
京都
ニュース
2006
11~12月
No16
ダルクは、 薬物依存症のリハビリテーション ・ センターです
編集:特定非営利活動法人 京都DARC
発行日:2006年12月28日
特集:アミティ報告
米国で犯罪者や薬物依存者の回復や社会復帰をサポートする民間団体への視察研修ツアー
お問合せ:
特定非営利活動法人
京都DARC
〒 612-0088
京都市伏見区深草出羽屋敷町 10-13
TEL&FAX:075-645-7105
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1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
本年の御礼
本年の御礼
京都DARCネクサス 阪本
高司
皆さん、お元気でお過ごしですか? 風邪などひいておられませんか?
この号が、ニュースレターを読んでくださっている皆さんの手元に届く頃は、年の瀬も押し迫り慌しい時期だと思
います。
いつも京都 DARC の活動を支援して頂きまして心より感謝申し上げます。京都 DARC ・ネクサスも本年を振り返り
ますと NPO 法人化、自立支援法のスタート、新たなグループホームの設置、新法の施行での請求方法の変更等、書
き上げればきりがなく、次々と心休まる事がないほど色々な事がありましたが、多くの手助けがあり、そのつど乗
り切る事が出来ました。
また、3周年フォーラムも無事に終わり、皆様に感謝しております。ありがとうございました。
しかし、新法のスタート等で行政への提出書類の作成、刑務所の離脱教育の参加、新たなグループホーム設置に
伴い仲間の金銭管理、グループホームの会計管理で仕事量が倍に増え、手もスタッフも運営費も足りませんし、スタッ
フとしての本来の仕事である仲間との時間が削られて行く事が残念で仕方ありません。
グループホームの定員は4名ずつで計8名です。この原稿を書いているときは6名ですが、今年?来年早々には
定員に達すると思われます。クリーン(薬を使用しない)の生活が年単位の仲間も増え、みんなバイトに行ったりで、
確実にステップアップですね。
この一年、多くの仲間に出会い、多くの気づき、力を与えられた事に感謝しています。姫路少年刑務所、大阪刑
務所に参加させていただけることに感謝すると共に、まだ薬を手放せず苦しんでいる仲間と出会えることで少しで
も埋め合わせできる事を願っています。
これからも、回復のメッセージを運び続けることで、自分の回復もさることながら多くの仲間と共に回復は可能
と信じ歩んでいきたいです。
皆様の暖かい理解が何よりの励みとなります。今後共、かわらぬ御支援宜しくお願いします。
これから増々、朝晩が冷え込みますが御体にご自愛ください。
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
目次
CONTENTS
本年の御礼 京都ダルクネクサス 阪本 高司
のザコ寝からはじまりました。その次、カモ当番等いろ
2
いろな当番をしてきましたが、クリーン9ヶ月を迎え、
僕は京都に帰って自立することを決めていたのですが、
仲間からのメッセージ
3
茨城ダルクと僕の意見が合わず、茨城ダルクを飛び出す
「再出発」
しゅう
かたちで京都に帰ってきました。でも、行く所がなく、
新しいグループホーム紹介 仲間の話… のり、ゆず
僕にダルクを紹介してくれた知人を頼って行ったのです
4
が、またまた次は京都ダルクを紹介され今に至っていま
す。本当のところは、京都でアパートを借り、NAだけ
でやっていこうと思っていたのですが、京都ダルクでの
アミティ報告 5 ~ 7
プログラムがスタートしました。
京都ダルク施設長 加藤 武士
京都ダルクに入る際、施設長から、茨城での出来事を
きちんとして下さいと言われたので、今年の9月にあっ
寄稿:21世紀委員会 8
久保田 真由美さん
たNAコンベンションで茨城ダルクのスタッフさんに許
しをもらい、京都ダルクの一員となりました。NAコン
活動報告:2006年 9~ 10 月
京都DARCからのお知らせ
ベンションでは茨城で一緒に頑張った仲間とも再会で
9
き、新しく知り合えた仲間も増え、2年後のコンベンショ
ンも参加したいと思いました。
寄付をいただいた方々
会員募集
編集後記 他
仲間からのメッセージ
「再出発」
京都ダルクでの生活は、茨城ほど時間が早くないので
しゅう
すが、僕があまり得意ではないミーティングが1回多い、
こんにちは。依存症のシュウです。49歳です。49
所を覚えることで1日が終わりますが、生活に慣れ次第、
歳の僕が薬をやめる気になったのは、知人の紹介でダル
自分の話をもっとしていきたいと思います。
クを知り、茨城県にある茨城ダルクで生活が始まりまし
京都の他の仲間はアルバイトなどしていますが、施設
た。覚せい剤とは長い付き合いで、覚せい剤を本当に止
長が僕の身体を見て、アルバイト無しでの回復のプログ
めることができるか不安でもありました。
ラムを考えていることを聞き、嬉しく思います。本音と
なぜ僕が覚せい剤をやめる決意ができたかと言うと、
しては、仕事をする気がないので、自分自身ゆっくりと
僕は以前、ヤクザという世界で生きてきましたが、最後
自分の回復をしていきたいと思います。
の刑務所を出所する際、この世界では生きていけないと
うまくいけば、今年の12月に1年のクリーンが与え
気付き、カタギになると決め、そのためには覚せい剤を
てもらえるので、先のことは、その時考えたいと思いま
止めることを決意しましたが、出所後も覚せい剤を止め
す。覚せい剤をこのまま止め続けていけば、きっと明る
ることができませんでした。
い未来があると信じ、京都でのプログラムをやり続けて
ダルクでのスタートは解毒入院の1ヶ月間が始まりで
いきたいと思っています。
3ミーティングのプログラムです。今はミーティング場
した。退院後、茨城での生活は犬当番、そして多人数で
仲間からのメッセージ
ありがとう: 10
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
新しいグループホーム紹介
新しいグループホーム紹介
いつも京都ダルクを支援して頂き有難うございます。9月より新たな入所施設を、従来のネクサスと同じ伏見区内
に設置できましたことをご報告いたします。4LDKの一軒家で、入所定員は4名です。
この施設には、一定のクリーンタイムがあり、アルバイトなどに就き、自立に向けての次なるプログラムをしてい
る仲間に優先的に入所してもらってます。まだ施設の名称は決まっていませんが、「 ネクサス2」(仮)と呼んでいま
す。この施設から多くの仲間が自立していくことを願っています。
のりの話
10 月から新しいナイトケアに移る事になって、最初その話を聞いた時は「どんな所なんやろう」とか色々不安が
ありましたが、一度、場所が正式に決まってから下見に行かせてもらった時に、その不安はいっきに吹き飛びました。
その家を見てみるとそこは、すごいきれいな家で、今の現状では仲間と二人で住む事になったので、二人で住むのに
は十分すぎるぐらいの広さがあって、すぐにこの新しい場所に移りたいという気持ちになりました。
でも、実際移る事が決まってからは、前に住んでいたダルクの自分の部屋の荷物を整理したり、新しい場所に最低
限必要なものを運びこんだりと色々大変でした。僕は片付けとかすごい苦手で、なかなか自分の荷物をまとめたりと
か整理したりとかできなかったので、すごい憂鬱になっていた時もありましたが、でもそこで仲間が助けてくれまし
た。引越しの時も全部仲間が手伝ってくれて、自分個人の荷物も仲間がまとめて運んでくれたりと色々助けてもらっ
たおかげで無事に引越しすることができました。仲間にはすごい感謝しています。
そして、新しい場所での生活がスタートしました。部屋は一人に一部屋与えてもらい、しかも一人で寝るには十分
なスペースがあって、こんなことはダルクに来て初めてで、「これでリラックスできて十分に睡眠もとれる」と思っ
仲間の話
ていたのですが、新しい場所に移って一週間ぐらいぜんぜん落ち着かなくて、睡眠もうまくとれない日々が続きまし
た。やっぱり今までずっと仲間と同じ部屋で寝泊りしてたので、その環境ががらっと変わったので落ち着かなかった
んだと思います。でも、一週間過ぎたあたりから睡眠もうまくとれるようになって、すごいリラックスして過ごせる
ようになりました。今では一人の時間も過ごせるようになって、この家に帰ってくれば安心感とほっとした感じを味
わえるようになってきました。
でも、新しい家に移ってひとつ問題点が出てきました。それはこのナイトケアからデイケアへ通うという事をしな
くてはならないようになって、しかも僕は朝起きるのがすごい苦手で朝デイケアへ通う事がしんどく感じるときもあ
りました。ですが、それも朝から行動をするという練習にもなると思い、がんばって通いました。そのうちそれも慣
れてきて、通う事もそれほどしんどく感じる事もなくなってきました。
現状報告なのですが、バイトに行くようになって新しい場所に移ることになったのですが、今までのバイト先は昼
からのバイトだったのですが、今度新しいバイト先に移る事になってそこのバイト先は朝からの仕事なので、ぜひ、
その朝から行動をするという練習の成果を出して遅刻せずにバイトに行きたいと思ってます。僕にとってこの新しい
家は、僕が回復していくのにすごい良い環境で生活させてもらっているので、今の自分には必要な場所だと思ってい
ます。
ゆずの話
8 月に仕事が決まって 9 月から新しい家での生活が始まりました。仕事の方は、自分が思っていたよりかは順調で
すが、やっぱり大変です。3 ヶ月たった今も職場の人達とはまともに話もできず困っています。仕事が終わったら職
場から逃げるように帰る毎日が続いたある日のこと、パチンコ屋の看板が目に入った。ちょっと見に行こうと思い店
に入った。見るだけのつもりだったのに、いつの間にかやっていた。気がつくと 2 回も家にお金を取りに帰っていま
した。結局何万円も負けてしまいました。その日はだいぶん落ち込みました。もうやめようと思いその日は寝ました。
次の日、気持ちを新たに仕事に行きました。仕事が終わり逃げるように帰りました。また例の看板が目に入ってきま
した。また入ってしまいました。結局それから毎日のようにパチンコ屋に通う生活が何ヶ月も続きました。仕事にも
行きクリーンも順調に続き安心していたけど病気は治ってなかった。今度はパチンコで生活が困難になりました。何
度もやめようと思うがやめれません。ついに生活費全部を使ってしまいました。その日から今日まで 10 日間お金が
無いこともあってパチンコに行ってません。このままパチンコもとまってくれればと願っています。
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
京都DARC施設長 加藤
武士
先日、アミティへ行くチャンスが与えられました。アミティとは、米国・
アリゾナ州を拠点とする犯罪者やあらゆる依存症者の社会復帰を支援す
る非営利団体で、心理療法的なアプローチで、今までの生き方を見直し、
新しい価値観を育み、そして人生に向かいあうために、様々なプログラ
ムやワークショップを行っている治療共同体(Therapeutic Community)
です。私がアミティを知ったのは、2001 年 10 月です。アミティのナヤ
さんベティさんが京都にこられる予定でしたが、9.11 のテロ事件の影響
を受け来日できず、急遽、アミティを紹介されてこられた映像ジャーナ
リストの坂上さんや龍谷大の石塚先生、立命館大の野田先生とダルクの
近藤氏で行なわれたシンポジウムのお手伝いをしたのがきっかけでした。その以前にも映像でアミティを見て知って
いましたが、何か遠いアメリカの話といった感じで身近には感じられませんでした。しかし、このシンポジウムをきっ
かけに、少しずつアミティに関心を持ち実際のアミティに参加してみたいと思うようになっていきました。翌年、ナ
ヤさんベティさんが来日をされ京都で行なわれたワークショップに参加させていただきました。そこでは、今現在の
問題行動は子供のころの体験に支配されているから起こるのであり、混乱した感情や行動をもう一度紡ぎなおすこと
で、自分自身が自分自身から自由になるということを、より強く体験させていただきました。前置きが長くなりまし
たが、今回その希望がかなったわけです。
今回のアミティの訪問では、刑務所内のアミティ、LAのアミティ、ツー
ソンのアミティと 1 週間ほどの滞在でした。
刑務所内のアミティは、映画「ライファーズ」の舞台ともなったランカ
スター刑務所でした。プログラムを行なっている場所は 4 度のパスポー
トチェックと鍵のかかった金網や扉を幾度となく抜けた先にありました。
これでも今回のチェックは簡単だったと聞きました。全収容者は 6000 人
あまりで、所内の薬物依存症回復プログラムの参加者は、12 ステップの
プログラムを取り入れたグループが70名ほどと、アミティのプログラ
ムに参加するグループが同じく 70 名でした。アミティでは 10 ~ 20 名ほ
どが入れる教室がいくつかあり、
それぞれのレベルでワークブックを使い学ぶといったカリキュラムでした。スチュー
デント(アミティでは参加者をこう呼んでいます。クライアントとは呼びません。)と話す機会をいただいた中で印
象に残ったことは、
「最初はみんなキャンディを盗むことなどから始まっているんだ」「刑務所に入るたびに感情がか
さぶたのように固まっていく」
「子供のころから生きなおす」と・・・スタッフの研修をしているシニアスチューデント
のシャンティさんが「14 年勤めたがあと 20 年の刑期が残っている」とあっさり話しているのを聞いてどう声をかけ
ていいのか・・・すると彼はさらに「私たちは新しく刑務所に入ってきた人達に乗り越えなくてはならないことがたく
さんある事を示している」と話してくれました。刑務所内においても、その表情の柔らかさ、豊かさに驚かされました。
部屋の壁には回復や希望をイメージするようなポスターや絵がかけられていました。
LA のアミティでは、映画「ライファーズ」に出演していたケルビン・ゴーシュン(仮釈放が認められたライファー
ズ)にも会えました。声をかけると気軽にハグをしてくれました。やはりそこでも、スチューデントたちの表情の柔
らかさやフレンドリーさに、安心と心地よさを感じさせていただきました。グループワークでは、自分たちの家族は
プライベート(閉ざされた感じ)だったか、パブリック(開かれた感じ)だったかといった話題のグループワークに
参加させていただきました。みな同じような寂しさや、痛みを持っているのだなと感じ、途中、通訳していただき自
分の話しも聞いてもらう事もできました。より共感と親しみを覚えたあたりでワークが終了。同行者の方がおみやげ
に持ってこられた折り紙で鶴を作り、ひともりあがりのあと、施設を見学させていただきました。ここでは男女とも
アミティ報告
アミティ報告
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
アミティ報告
に入所していますが、5、6 階のビルでフロアーによって男女が分けられていました。入所者は 70 名ほどで男女比は
6 対 1 ぐらいかなといった印象でした。外部との通信は OK で、施設内に公衆電話も設置されていました。25セント
硬貨を積み上げ、電話をしているスチューデントもいました。都会にある施設のためか比較的コンパクトに作られて
いました。
(ダルクに比べるとはるかに大きいですが・・・)
ツーソンのアミティでは、広大な敷地に居住ユニット(ふたり部屋が
4室、最大二段ベッドを使うと16名が暮らせる)が改装中も含め8つ、
母親とその子供のユニットが2つ(このユニットはフェンスで仕切られ
一般の入所者は入っていけない、また子供用に砂場や遊具もいくつか設
置されていた)
、ファミリープログラム用の建物が少し離れたところに5
棟ほど(公民館程度の大きさ)
、あと事務所に食堂、大ホール、プールに
バスケットコート、ウエイトトレーニングルーム、ランドリールームな
ど施設は充実していました。運動会が出来そうな広場もありました。
最初に、私たちの滞在中お世話をしてくれたスティーブさんと、スチューデントたちと自己紹介を含めたセレモニー
を行いました。自己紹介を聞き終えメッセージを伝えたい人を舞台に呼び、その人の良いところやメッセージを伝え、
ろうそくに火をつけ渡して行きます。受け取ったろうそくは気に入ったところにおき、また新たな人にメッセージと
ろうそくを手渡してゆきます。すべての参加者にメッセージが届き終わると、あたりはろうそくの灯りでなんとも暖
かなそしてスピリチュアルなセレモニーとなりました。そうして出会った仲間(スチューデントと書くより仲間の
ほうがしっくりきます)と食事をした後、アルコール・薬物依存症者たちの回復の歴史を1920年代の AA の前身
となる活動から TC の歴史など現在に至るまでレクチャーしていただき、改めてアディクトたちのチャレンジと失敗、
更なるチャレンジの中で現在のような多種多様な TC や12ステップグループが成長してきたことを学びました。そ
してまた自分もそのメッセージを受け取り、また新たな仲間に伝えていくのだとハイヤパワーの力(大きな力)を感
じていました。
アミティのプログラムについては、まず入所 60 日までのグループはアミティや回復について学び、動機を高める。
その後、大きく 4 つのテーマを持ったグループを順番に進んでゆきます。
1:セルフヘルプ、リストラティブパラダイム
2:ファミリーダイナミックス、ベーシックサイコロジー
3:モラルデヴェロップメント
4:エモーショナルリテラシー
それぞれのセクションで 1 冊のワークブックに、3 ヶ月ほどかけて取
り組んでいくそうです。又、ネイティブアメリカン(中でもホピ族はス
ピリチュアリティを大切にしていてもっとも神秘的な部族とよばれてい
るようです)が使うカラーや季節、動物がシンボルとして使われていま
した。アミティでは、心理的な取り組みと、ネイティブアメリカンが行
うセレモニーやスピリチュアリティなどを多く取り入れていました。1
年半ぐらいでプログラムを終えるようです。中には3か月ほどで退所予
定の入所者もおりました。費用は月50~60万円かかるそうです。し
かしこの金額は決して高いものではなく TC の中では比較的安いほうだと
話していました。ダルクと同じように、入所中はスチューデントたちにも
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
事の手伝いなど、それぞれが入れ替わりで働いていました。起床は6時ごろで厳密ではありませんでした。7時半ま
でに朝食を済ませ8時のギャザリング(ほぼ全員参加のミーティング)に参加することになっています。そこで今日
のワークグループ分けや役割、作業予定が伝えられます。昼食までにグループワークに参加する人や、役割を与えら
れた人は作業にかかります。入所期間やワークブックの進み具合によって決められているようです。英語ができない
私は、なにをすればいいのか分かりやすいキッチンの手伝いをしているうちに、毎日の担当となっていました。キッ
チンでは仲間と楽しんで、サラダ作りなど調理もさせていただきました。70人ほどの食事を手際よく一人のシェフ
とスチューデント達で作っていました。昼食後も1時間半から2時間ほどのワークブックを使ったグループワークを
行い、5時には夕食となります。夜6時から朝と同じように1時間ほどのギャザリングがあり、今日1日の中での出
来事について話したり、仲間への感謝のメッセージを伝えたりしていました。ギャザリングの締めは、手をつないで
のお祈りでした。消灯は10時となっており、それまで居住ユニットでトランプを楽しむ仲間や、ギターを弾く仲間、
ホールで映画を楽しむ仲間、食堂でコーヒーを飲みながら仲間との会話を楽しむ、先輩に相談している仲間とそれぞ
れでした。私たちもドミノや映画を楽しみました。
ダルクとアミティのプログラムの違いで感じたことは、ダルクは自由
度が高く本人の自主性に任されていること、アミティではワークブック
を多く使い積極的に内面にも介入していくことです。逆にダルクでは NA
の参加を義務付けていますが、アミティでは NA や AA があるといった説
明程度で、積極的に行かす様なことはありませんでした。ホールに NA の
ミーティング案内がおいてある程度です。実際 NA に行く人もいませんで
した。自分はリクエストをして、一回 NA に連れて行っていただきました。
しかし、違い以上に共通点の多いことに安心を覚えました。退所するときに実家に戻るのはあまりお勧めできない
とか、入所中の恋愛は危険だとか、スローガンや回復のキーワードも共通するものが多くありました。所々取り組む
順番が違ったりするだけで、薬物依存症者の回復にそんな大きな違いはない。アミティは1920年代からアメリカ
での回復の歴史の延長にあるわけで、日本といえば断酒会が1955年ごろ AA においては1975年、そしてダル
クはまだ20年そこそこ(アミティもできて20年ほどだそうですが・・・)、アメリカに30~40年は遅れているわ
けです。日本は、アメリカの施策や取り組みに30年は遅れているとよく言われていますが、歴史がそのままを物語っ
ている気がしました。たくさん学んだことをできればすぐにでもすべて実践してみたいところですが、あせらずでき
るところから、着実に実践してゆきたいと思っております。
今回のアミティ滞在では、京都文教大学坂上香先生とその生徒さんと合流させていただき、楽しくも充実した時間
を与えられました。
このツアーを可能にさせてくださったのは坂上香さんの協力と多くの
方の支援のおかげです。この場を借りて、皆様に心よりお礼を言わせて
いただきます。ありがとうございました。
アミティ報告
いろいろと役割が与えられており、キッチンの手伝いや、スチューデントが居るか確認する係、施設の補修や改装工
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寄稿…二十一世紀委員会から
寄稿:21世紀委員会
久保田 真由美さん
はじめまして。人づくり21世紀委員会の久保田です。加藤武士さんとの出会いから、今回寄稿させて頂くことに
なりました。私達の取り組みも併せ少し書かせて頂きます。
人づくり21世紀委員会は「子どもたちのために、今大人として何ができるのか、共に考え行動していこう」と、
市内96団体が参画している市民ネットワークです。私が、この組織の幹事長に就任したのは H16 年でした。当時は
前年も含め、子どもたちによる事件、子どもたちを巻き込んだ犯罪が全国各地で多発し、連日のように TV・マスコミ
を賑わすようになりました。
報道される度に、今までにはあり得なかったことやショッキングな内容ばかり。この現状に今、大人が本気になっ
て向き合い、歯止めをかけないと、本当に取り返しのつかない事になると危機感を持たずにはいられませんでした。
中でも、急速に低年齢化が進み、深刻さを増している一方で、一般市民の現状認識と理解が乏しく、その間に大きな
開きが生じている薬物・虐待・エイズ・インターネット&携帯電話の諸問題は、早急にその隙間を埋め、解決に向け
た行動が求められていると感じました。そこで、
この年から、これらの4つのテーマを組織の緊急課題として取り上げ、
取組みを進めてきました。
一年目は「特別」な子どもの「特別な問題」と理解されがちだったこれらの課題を如何に身近に引き寄せるか。そ
のことに終始した一年でもありました。正直、これまで子どもに関る既存団体の活動の多くは、100% 完璧な大人が「健
全育成」の立場から、
子どもに「させる」
「教える」という視点のものでした。しかし、
「お金」という価値が最優先され、
それを得るために法さえ侵さなければ何でもやるという大人や社会のあり方。また、そうした社会のストレスやしわ
寄せが、子どもにも容赦なく襲いかかっている現実と、その結果が子ども達に反映していると考える時、今や、従来
の「りっぱな」大人が子どもに「させる」
「教える」という視点が、現実とかけ離れた上滑りを招き、問い直す矢印
の方向がどこなのか自覚せねばらないと思いました。当初は、日々子どもに熱心に取り組んでいる団体や個人ですら、
緊急課題に対して、うちの子、地域、団体では、
「関係ない」という認識が多くを占めていました。その大きな要因は、
圧倒的に少ない情報量と正確な情報の欠如。今を創っている大人が次代を手渡す子ども達について考えようとするな
ら、関係ないことなど何一つあるはずがなく、命すら軽く扱われる社会を是認している以上、どの子にも等しくその
矛先が向けられている事を大人は早く気づかねばならないと思いました。取組みを重ね、繰り返し、現状把握と共通
認識を得るために費やした一年でした。
翌年からは一年目を土台に、より深くその原因を探り、そこから解決に向けた具体的行動を見つけ出す取組みを行
いました。その一つが、4つの課題をテーマにした市民公開の連続講座でした。講座の軸は「なぜ子ども達の中でこ
れらの問題が進行しているのか」
、そしてその解決に向け「私たちはどうしていくのか」という事でした。その一回
目が「薬物」で、講師として、加藤さんに来て頂きました。加藤さんは私たちの意図を充分に理解して下さり、自分
のこれまでの歩みとダルクの活動を重ね合わせながら、心に響く多くのヒントを与えて下さいました。私自身お話を
聞き、薬物に陥らないためにどうするか、陥った時どうするのか、陥った後どう回復支援し、社会復帰の道を創るのか、
各段階における問題点を整理し考える必要があると思いました。そして教育・医療保健・福祉・法律等各分野の関係
機関から不備な点、今後必要な点を挙げてもらい、「薬物問題」として集約一本化し、それに基づいて、市民・行政・
企業・マスコミ等が個別の役割を担い、又、連動しあいながらきめ細かな対策を講じる必要があるとも思いました。
連続講座では、先に挙げた講座の軸を基に、参加者に意見を書いてもらい、それをまとめ、「人づくり 21 世紀委員
会からの提言」として京都市に提出しました。現在、この提言書は、子どもを育むための大人の指針として、市民憲
章に生まれ変わろうとしています。
これまでの取組みで私たちが得たもの、それは責任と義務を忘れてしまった大人への警鐘でした。子ども達の今後
を考える時、急激に変化する社会環境に対応できる法や社会的システムの整備は急がねばならないし、絶対に必要で
す。しかし、何より大切なのは、私たち大人が、どんな社会を求め幸福と感じ、どんな社会を子ども達に託そうとす
るのか、そのことだと思います。子どもは未来そのもの。その子ども達が生きれない社会は滅びの方向です。ダルク
の皆さんはじめ、取組みで得た様々な繋がりを大切にし、今後とも、私達にできることを積み重ねていきたいと思っ
ています。どうぞよろしくお願いします。
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
2006年 11月 1日現在
9月
10 月
2日 NPO法人京都DARC3周年フォーラム
3日 京都刑務所薬物離脱教育
5日 京都刑務所薬物離脱教育
4日 姫路少年刑務所薬物離脱教育
6日 姫路少年刑務所薬物離脱教育
5日 岡崎中学校講演
9日 大阪DARCフォーラム
6日 三重県紀宝町教育委員会京都DARC訪問
12日 京都刑務所仮釈放前薬物教育
12日 久世中学校講演
13日 西京高校定時制講演
13日 NHK京都ニュース京都DARC放送
15日 第 4 回NA日本コンベンション参加(3 泊 4 日)
14日 八条中学校講演
19日 姫路少年刑務所薬物離脱教育
17日 姫路少年刑務所薬物離脱教育
20日 広島商業高等学校講演
21日 京都DARC定例会
21日 広島県精神保健福祉センター
22日 京都DARC家族プログラム
薬物依存症家族教室講演
24日 京都刑務所仮釈放前薬物教育
薬物関連問題スタッフ研修会講演
25日 大阪市人権協会研修会スピーカー
活動報告
京都DARC活動報告
26日 名古屋ダルクフォーラム
22日 神戸刑務所薬物離脱教育
27日 神戸刑務所薬物離脱教育
加古川刑務所薬物離脱教育
加古川刑務所薬物離脱教育
厚労省薬物関連研究班京都DARC訪問
29日 枚方教会バザー
26日 京都刑務所仮釈放前薬物教育
京都市思春期・青年期精神保健ケースマネージメント事業
27日 西乙訓高等学校講演
28日 伏見区健康の集い参加
29日 城陽高等学校講演
30日 子育て BUZZ 実行委員会
アディクトのための子育てBUZZ
京都DARC定例会
その他活動/レクリエーション
2006年 11月 1日現在
・舞鶴医療センター定期メッセージ(毎月1回)
入所者 5名
・バザール・カフェ作業手伝い ・映画鑑賞
通所登録 5名
・ソフトバレーボール ・銭湯
家族相談件数9~ 10 月 6件
本人相談/面会等9~ 10 月 10件
京都DARCからのお知らせ
10月より、NPO法人 京都DARC主催の家族プログラムが再開いたしました。
日程:毎月第4日曜日 午後2時~4時
主なテーマ
・「薬物依存とは」~依存の過程/回復の過程 ・薬物依存と家族 会場:ひと・まち交流館 京都
・薬物依存者の家族の回復 ・境界 ・コミュニケーション 等
(下京区西木屋町通上ノ口上ル)
※予約の必要はありません。直接会場へお越しください。秘密は厳守します。
お問合せは、京都DARC(075-645-7105)まで
京都府精神保健福祉総合センター主催 依存症セミナーのご案内
1月 薬物依存を考える
◆1月30日(火)
13:30 講義「依存症からの回復を支援することとは」 講師 光愛病院医師:稲垣 亮祐氏
15:00 体験談 DARC・薬家連の方々
時間:13:30 ~ 16:30
会場:京都府精神保健福祉総合センター(伏見区竹田流池町 120)
地下鉄くいな橋 出口① すぐ左側
京都DARCからのお知らせ
第 1 回運営検討会議
1992 年 6 月 5 日第三種郵便物承認(毎月 1 回 25 日発行)2006 年 12 月 28 日発行KTK増刊通巻 2660 号
京都DARCへのご支援、ありがとうございました
平成18年10月25日現在
出口 治男 様
古川 美和 様
江頭 節子 様
徳川 建二 様
訪問看護ステーション南風 様
大阪女性ハウス 様
鳥取ダルク 様
細川 治 様
奥野 哲也 様
友杉 明日香 様
前田医院 様
京都中ロータリークラブ 今井重昭 様
長尾 治助 様
宮本 恵伸 様
佐藤 美智也 様
中島 俊則 様
山田 豊昭 様
真田 忠一 様
野本 千春 様
吉田 雄大 様
塚本 誠一 様
平野 千尋 様
9・10 月には、644,434 円の会費・ご寄付をいただきました。ありがとうございました。
大切に使わせていただきます。
皆様のご支援、心から感謝いたします。
献品・献金のお願い
車両購入費のお願い
現在、京都DARC所有の車両がございません。この間、スタッフ個人所有の車両を使い活動しておりましたが、そ
の車両も走行距離が大幅に伸び車両の維持が難しくなってきております。買い換えるのにもその費用がございません。
維持管理についても個人に頼ってきましたが、これ以上の負担をかけることは彼らの家庭への多大な経済的負担を強
いる事となります。このままではスタッフ自身のやる気も損ないますし、本来必要な活動ができなくなってしまいま
す。このような現状をご理解の上、車両購入費、もしくは車両本体寄贈をお願いするしだいです。何かとお願いばか
りなのですが、なにとぞ宜しくお願いいたします。
★ NPO 法人 京都DARCの会員になって、私たちの活動を支えてください。
会費・寄付は、下記口座宛にお振込みください。よろしくお願いいたします。
銀行振込
郵便振替
京都中央信用金庫 竹田南支店
口座番号 00960-7-317977
口座番号 0070155
特定非営利活動法人 京都DARC
特定非営利活動法人 京都DARC
代表理事 塚本 誠一
京都 DARC NEWS NO.15
編集 : 特定非営利活動法人 京都DARC
お問合せ : 京都市伏見区深草出羽屋敷町 10-13
TEL&FAX : 075-645-7105
URL : http://www.yo.rim.or.jp/~kyo-darc/
E-MAIL : [email protected]
価格 : 100円 (購読料は会費に含まれます。)
発行所 : 京都障害者団体定期刊行物協会 (KTK)
TEL : 075-801-3383
発行人 : 高谷 修
〒 602-0000
京都市上京区堀川通丸太町下る
京都社会福祉会館 4F 京腎協内
■編集後記■
・前回のニューズレターでも報告いたしましたが、去る
11月8日、京都DARC(ネクサス)は「第5回近畿
ブロック精神障害者スポーツ大会(ソフトバレーボール)
」
に京都市の代表チームとして参加しました。結果は…運
悪く、対戦相手が前回の全国大会で3位の強豪チームと
いうこともあり、仲間の健闘むなしく1回戦敗退でした。
現実に直面しショックも大きかったですが、こういう経
験もまた、私たちの回復、成長のためには必要なことで
はないでしょうか…。
印刷:京都刑務所
一九九二年六月五日第三種郵便物承認(毎月一回二十五日発行)二〇〇六年十二月二十八日発行
KTK増刊通巻第二六六〇号
井関 佳法 様