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本人確認と本人認証との違い ・ 本人確認:国家など基本的な

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本人確認について
2012.6.11
1.本人確認と本人認証との違い
・ 本人確認:国家など基本的な社会制度のなかで、構成員の特定の一人として実在するこ
とを確認する行為。自分自身が構成員の特定の一人として実在していることを証明する
ため、生体情報(顔写真)の付いた運転免許証などが利用され、構成員として登録され
た実名のみが利用される。
※外国人などは通称名を利用する場合があるが、通称名も実名とともに登録されてい
る。
・ 本人認証:登録されている人物と同一であると主張する人が、登録されている人物と同
一であることを確認する行為。ネット取引において、登録されている人物(ID)と利用者
が同一であることを確認する行為であり、登録されている人物が実在する人物であるか
を問わない。かつての銀行取引においても、口座を登録した人物と利用者が同一である
ことを利用者名と印鑑で確認するのみであり、利用者が実在する人物であるかを問わな
かった。
※現在では犯罪収益移転防止法(それ以前は別法律で 2001 年から施行)により、銀行
口座の開設において本人確認書類の提出が義務付けられているが、旧法施行以前に開
設された口座については野放しの状態であり、犯罪等で利用されやすい。
※実名・仮名・匿名:登録されている人物の名前は実名であるとは限らない。実名と
は、国家など基本的な社会制度のなかで構成員として正式に登録された名前。仮名
(pseudonym)とは、実名とは異なるものの、実体としての本人(公的に身分が証明され
た本人)に法的に紐付けられている名前[欧州の電子署名指令に基づいて発行されるク
オリファイド証明書では、仮名(pseudonym)の利用を推奨]。匿名(anonymous)は実体
としての本人とは何らかの紐付けもなされていない名前。
2.本人確認の方法とその実際
・ 日本社会の場合、自分自身(日本国民)が構成員の特定の一人として実在することを確
認する基礎となる台帳は戸籍である。戸籍への記載を契機として、住民基本台帳が調製
され、一般的な住民サービスの台帳として利用される。住民基本台帳法では、記載事項
に関する調査権限を与えて適正な記録の管理を求めているため、実態として戸籍よりも
住民基本台帳の記載内容のほうが正確である。
※ 正確には、天皇・皇族については戸籍ではなく皇統譜で管理されている。もともと
戸籍は天皇家に支配される者の台帳。
※ 離婚後 300 日問題の無戸籍者については、ここでは例外として扱う。
・
戸籍に登録された人物と自分自身が同一であることを厳格に証明するためには、出生
1
時に戸籍へ氏名を登録する際に、DNA・指紋等の生体情報を合わせて登録しなければ
ならない。しかし、生体情報の登録に対する社会的合意形成がなされていないため、い
まだに実現できていない。指紋情報は犯罪捜査に使われるというイメージが強く、DNA
情報は遺伝子情報等の極めて機微な情報を含んでいるため、社会的な合意形成がなかな
か進まないという状況がある。
※ 東日本大震災における身元不明者数は 1 年後でも 3000 人以上にのぼるといわれ、
身元不明の遺体として荼毘に付されたものも多い。DNA や指紋情報が登録されて
いれば、このような状況を避けることもできたはずであり、台帳への生体情報の登
録は現実離れした絵空事ではない。
※ 生体情報が登録されていなければ、年恰好の似通った二人が共謀して(一方が死者
の場合もあり)身分の入れ替えを行うことは十分に可能。現実的な問題として、ホ
ームレスなど社会制度からはみ出した者の戸籍を買い取り、その人物になりすます
ことが行われている。
・ そのため慣習的に、戸籍登録情報と生体情報(顔写真)が記載された媒体が「本人確認
のための証明書」とされ、一般的には運転免許証が多く使われている。しかし、運転免
許証は、住民票(本籍が記載されたもの)とそれ以外の本人確認書類(健康保険被保険
者証、旅券、住民基本台帳カード、官公庁が法令の規定により交付した免許証や許可証、
資格証明書等の書類、官公庁がその職員に発行した身分証明書、学生証、民間会社の社
員証等)を提示した者が「本人らしい」という推定で交付されているに過ぎない。
・ 結論として、現在の本人確認のシステムとは、戸籍登録に裏付けられた「最も確からし
い」住民基本台帳を基礎として、健康保険被保険者証などの複数の書類を提示した者を
「本人らしい」と推定し、戸籍登録情報と生体情報(顔写真)を記載した媒体(運転免
許証や住基カードなど)を交付し、この媒体を社会のなかで通用させることにより構築
しているといえる。
3.本人確認の厳格性をどこまで求めるのか
次のように主体や類型によって異なってくる。
相手方
類型
事例
厳格
の本人
な本
確認を
人確
行う主
認
理由
体
公共
義務
(行政)
権利
納税、裁判員、就学、 必要
差押え・滞納処分、親権剥奪等、
(兵役)
強力な権限を行使するため。
○
社会保障の給付、国外
における国民保護
必要
○
2
生存権の保障と社会的公平さの
維持。
資格付与
医師、弁護士、自動車
運転、被選挙人など
その他サ
図書館・施設利用
相互扶助
診療
×
医療(現状の保険証は
必要
顔写真が無く、厳格性
○
が無い)
社会制度の維持。
○
不要
ービス
準公共
必要
不正があっても社会制度を崩壊
させるものとはならない
不正利用(保険証の共用)によっ
て相互扶助制度を崩壊させる
必要
EHR/PHR が進展した場合、不
○
正利用が診療ミス・判断ミスを
誘発する
民間
通常の取
通常のビジネス。
引
不要
取引(商品の提供と金の支払い)
×
が成立すればよしとするため、
本人確認は不要。
○法規制による例外
毒物劇物・古物取り扱
必要
○
犯罪防止、税把握のために法律
によって義務化。
い申告、税関連申告、
※酒類・タバコは本人確認不要
口座開設・送金、携帯
だが、資格要件の確認は必要。
電話購入
リスクの
契約(印鑑証明および
ある取引
実印を使った取引)
融資
必要
○
必要
長期に渡る契約など、取引にタ
イムラグがある場合
与信・債務者追跡のため。
○
※保証人の印などは、通常実印を使っていない。契約書の受取人がリスクを負っているこ
とになるのか。
4.理想的なあり方
・ エストニアやスウェーデンを参考に、国民情報登録(レジストレーション)と身分証明
書(身元証明書)を分けて管理していく。
・ 住民登録台帳(Population Register Act)
個人を基本に、両親、配偶者、子供、後見人等の関係性が、データベースによって管
理されている。コンピュータシステムによる管理を前提とした制度。
・ 本人確認台帳(Identity Documents Act)
マスターデータベースを元に、身分証明書等、本人確認のための証明書を生成してい
る。そして、
「参照」「転送」の履歴が管理されている。
・ 日本でもマイナンバーを基盤として、家族関係を記述することが可能となる。
・ 個人番号カードの身分証明書としての位置づけを明確に。
3
・ ニュージーランドの EOI 標準
本人確認のあり方を合理的にまとめ、基準化・標準化したもの
・ 韓国では生体情報として指紋の登録が義務化されており、住民登録番号と対で DB 化さ
れている。そのため KIOSK などで証明書を発行する際、住民登録番号と指紋で本人確
認することが可能となっている。
・ 欧州のパスポートは、これまでの顔写真だけから指紋も登録する方向に向かっている。
また、エストニアの ID カードも、顔写真と筆跡だけから、指紋も登録される方向にあ
る。
・ 米国では、2004 年より原則すべての外国人渡航者に対して、入国時点での指紋情報の
読み取りおよび顔画像の撮影が実施されている。
・ 韓国の家族関係法における証明書。下記の 5 つの証明書に限定することで、すべての家
族関係情報が一度に明らかになることを防ぐのが家族関係制度導入の目的?
①家族関係証明書:本人、父母、配偶者、子女の情報
②基本証明書:本人の出生、死亡、国籍の得喪等の情報
③婚姻関係証明書:婚姻、離婚に関する情報
④入養関係証明書:入養、罷養に関する情報
⑤親養子入養関係証明書
5.課題および問題点
・ 家族関係をデータベースのリンク構造で記述すると、除籍までさかのぼって調査する必
要があり、移行作業が膨大なものになる。どこまでさかのぼるかを限定する必要がある。
相続に関する法律では、被相続人を特定するため無限にさかのぼる?
・ 戸籍で管理している家族(謄本)と住民基本台帳で管理している家族の概念がそもそも
異なり、どのように統一していくか。戸籍は血縁関係を示し、住民基本台帳は居住関係
を示す。例えば、世帯主が内縁の妻と子の三人暮らしの場合、戸籍では2世帯と捉え、
住民基本台帳では1世帯と捉え、子を認知しているかどうかで子の所属する戸籍世帯は
変わる。
・ 戸籍法と国籍法の整理をすべき。日本国民の法的な定義は?
・ 自治体等で扱う世帯概念の見直し(今後扱うべきものとして⑥を追加)。基本的な家族
関係のみを把握し、それ以外は各業務分野で二重扶養等のチェックをすべきか。
①
住民票世帯(住民基本台帳)
②
戸籍世帯(戸籍謄本)
4
7/1 以降①に統合
③
住民記録世帯(住民基本台帳+外国人登録台帳)→
④
医療保険世帯(マル学、マル遠などの住登外者を含む)
⑤
税世帯(住民ではない扶養親族を含む)
⑥
年金世帯(3 号被保険者問題を解消するために把握が必要)
・ 現行法制度の不備。戸籍の附票および印鑑登録証明。自動車の手続で戸籍の附票(住所
の履歴)が必要になるのは、車検証記載の住所が印鑑登録証明書の住所と異なっている
場合に所有者の同定ができないから。変わりやすい住所に依存する印鑑登録制度自体に
問題がある。また、住基ネット上では4情報の履歴が管理されており、これを活用する
ことで5年以上前の住所をたどることは可能。現在のシステムに照らし合わせた法制度
の見直しが必要。
・ 生体情報を管理することへの合意形成について、「なぜ本人を特定する必要があるの
か?」「特定しないとどのようなことが起きてしまうのか」といった検討が必要。
6.最近の話題から
①
高額所得芸能人の母親が生活保護を受給
自治体では、生活保護支給決定時点での調査は行うものの、それ以降の定期調査は行わ
ず。戸籍に基づく親族調査も、強制権は無し。たまたま有名人だったために話題となった。
家族関係が明らかになっていれば、例え子どもが拒否した場合でも、子どもから一定額を
強制徴収し、親に渡すことは可能?
②
オウム高橋容疑者の「なりすまし」
男は働いていた川崎市内の建設会社に「櫻井信哉」の名前が記載された住民票を提出。
さらに実在する「櫻井信哉」さん名義で銀行口座を開設していたことが判明。
高橋克也容疑者と菊地直子容疑者は1997年頃、役所の記入台で他人の申請書類を盗
み見し、「櫻井(さくらい)」名義の男女の住民票を不正入手していた。「櫻井千鶴子」も
実在する人物の可能性あり。
高橋容疑者は実在する「櫻井信哉」の住民票を使って就職や口座開設をしていた。記載
台で盗み見をすれば、簡単になりすましが可能。住民票取得時の本人確認事務の脆弱性は
大きな課題。給与所得や金利所得など、税側で捕捉する仕組みがありながら、なぜ実在す
る本人が気づかなかったのか。
③
オウム菊地容疑者の「偽名」
オウム事件の菊地容疑者が「櫻井千鶴子」の偽名でホームヘルパー2 級の資格を取得し、
高齢者介護に従事していた。
偽名である「櫻井千鶴子」を使って、なぜ資格の取得が可能だったのか。
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