… ……………………………………………………………………… 不動産融資では、事業の収益性や妥当性を踏まえて案件 を進める必要がある。そこで本稿では、不動産融資を行う ための具体的なチェックポイントを解説する。 ………… ……………………………………………………………………… 不動産関連融資の チェックポイント 性、社会的な公正性等について十 分にチェックして、融資に応じて いく必要がある。 引上げ前の駆け込み需要等で、戸 4年4月実施が決定した消費税率 復・拡大に加えて、201 ベノミクスによる景気の回 われた る。しかしながら、 年代の﹁失 て今も 昔 も 有 力 な 貸 出 市 場 で あ 動産関連融資は、金融機関にとっ ルの建設や分譲地の開発などの不 けて、不動産関連融資のチェック ﹁収益物件﹂を取得する場合に分 合と、アパート・マンション等の の事業用資産﹂として取得する場 そこで、工場や倉庫等の﹁自社 建て住宅・マンション建設、大都 元凶にもなった不動産バブル融資 年﹂と﹁デフレ経済﹂の 自社 事業用資産 たいと い う 気 持 ち は 理 解 で き る ため、少しでも安いうちに取得し 要であり、投資額も多額にのぼる 等の建設には相応の土地面積が必 確かに工場・倉庫あるいは社屋 の委託手数料と比べて、どの程度 るのか、倉庫であれば保管業者へ て、どれだけの利益がもたらされ によってどれだけ売上げが増加し 場の建設であれば当該工場の稼働 ト・効果の検証が挙げられる。工 素として、設備投資によるメリッ さらに、もう一つ検証すべき要 た段階で、金融機関は計画の妥当 ローから返済していくことになる いては、会社全体のキャッシュフ フローを新たに生まない設備につ うに、当該施設からはキャッシュ 的に見直す必要がある。 ているので、計画そのものを根本 果が得られていないことを意味し ような設備投資は、十分な投資効 ーを注ぎ込まないと償還できない あらゆる設備投資案件に共通す 不動産取得 が、それだけに投資するタイミン コスト削減ができるのか等を検証 不動産関連融資の申込みを受け ポイントを考えてみよう。 市圏を中心とした中心市街地の再 の二の舞は許されない。 グが最も重要になる。仮にデフレ する。この場合、投資効果を過大 のこと、マンション・オフィスビ からの脱却に失敗し、消費税率引 ので、設備投資後の返済能力が十 を取得するのは問題がある。 上げ後の景気の腰折れが現実化し に見積もっていないかどうか、業 利益償還年数は借入金額を償却前 数でチェックすることも可能だ。 るチェックポイントとして﹁計画 の妥当性﹂が挙げられる。妥当性 本当に必 経営体力に見 の検証にあたっては、 要な投資なのか、 合った投資なのか、 業績見通し はどうか︱︱の3点からチェック しよう。 本当に必要な投資なのか 現在の製造能力・保管設備でも 当 面 は 間 に 合 う が、﹁地 価 が 上 昇 し 始 め た か ら﹂﹁消 費 税 率 が8% に引上げになるから﹂という理由 のみで工場・倉庫等の事業用用地 範囲内に収まっているかをチェッ なお、利益償還年数を計算する クしよう。 際には、当該設備から得られる新 たな償却前利益で当該設備投資に 係る借入金額を割った年数が法定 耐用年数の範囲内に収まっている のがベストだが、少なくとも﹁設 備投資関連借入金合計÷総償還財 機械および建物の投資であれば が、機械のみの投資は7年以内、 て適切な返済期間は異なってくる 実際には設備投資の内容によっ ている必要がある。 源 法定耐用年数﹂の関係になっ ≦ は、返済期間の長短がキャッシュ また、返済能力を考えるうえで 一方、本社社屋や倉庫などのよ た場合には、過剰設備となって会 分かどうかを検証する。 要がある。 フローに大きく影響する。設備資 生み出 す 設 備 へ の 投 資 に つ い て 利益で割って求めるが、利益償還 年以内が目安 投資であれば は、当該設備からのキャッシュフ 年数が当該設備の法定耐用年数の 業績の見通しはどうか ∼ 償却上の法定耐用年数の範囲内で と考えておきたい。 法定耐用年数 範囲内 年以内、土地購入も併せての 貸出金 を 回 収 す る の が 原 則 で あ ∼ 身の丈をこえた過大な投資は会 る。なぜなら、返済期間が法定耐 金の場合は、当該設備に係る減価 社を破綻させる元凶である。返済 備を更新しようとした時点でも、 まだその投資を回収できていない ローのみで償還できることが望ま さらに、返済能力は利益償還年 ことになるからである。 しい。会社全体のキャッシュフロ るが、工場等キャッシュフローを 利益で償還されることが原則であ 設備投資資金の返済は、償却前 いるかどうか検証しよう。 経営体力に見合った投資なのか の と し て の 用年数を超えている場合、その設 は 能力の範囲内での投資に収まって に 界動向と併せて計画を検証する必 している。住宅ローンはもちろん 開発といった不動産取引が活発化 ア ●事業の収益性等を踏まえた融資案件の進め方 し よ の 90 設備投資資金 返済期間 の の 社経営に深刻な問題をもたらすこ 先行取得したが、未着工の土地 とは間違いない。 や操業が停止している工場は、投 下資金を寝かせていることにほか ならないので、経営者としては最 も避けなければならない事態であ る。 あお したがって、マスコミ報道に煽 ら れ た ム ー ド 先 行 型 決 定 や、建 設・不動産業者からの甘い提案を 鵜呑みにして意思決定することは 避けなければならない。また、バ ブル期に横行した土地の値上がり を期待しているような投機的案件 を排除するために、事業計画の提 出を受けて内容を精査すべきだ。 15 1 借入金が約定どおり返済できる かどうかは設備投資後の業況次第 である。したがって、事業計画の 提出を求めて今後の業績予想を慎 重に検討し、返済が可能だと合理 的に判断されることが大前提であ る。 この場合には、将来の売上高や 受注を楽観的に見積もっていない 20 2013・11月15日号 2013・11月15日号 21 10 20 へ チの ェ ッ 15 こ こ ………… は 10 企業 不動産関連融資 提案 を ク う 特集 ● 需要拡大!いま不動産融資をどう伸ばすか
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