【園番号 634】 奈良市立 園長名 園児数 神功 幼稚園 柿本 政秀 26 名 1.研究主題 「自ら考え、夢中になって遊ぶ子どもをめざして」 -環境構成、援助の在り方を探る- 2.主題の継続年数 2年度 3.設定理由 自分で考えたり、試したり、工夫したりしながら夢中になって遊ぶ中で、自 らの学びをつなげる生きる力の基礎を育み、主体的に活動し生活を豊かにし ていく子どもの育成を目指す。 4.具体的な研究内容 ①研究のねらい ・ 子どもが自ら考え、夢中になって遊ぶことのできる環境構成の工夫と援助の在り方を探る。 ② 研究の重点 ・ 職員相互の共通理解を図り、教育課程や指導計画を見直し実践する。 ・ 遊びの姿を読みとり、どのような環境構成の工夫や援助が、子どもが主体的に夢中に遊び 続ける姿につながるのかを追求する。 ・ 発達段階や季節に応じた遊びを創造していくための環境の構成を考える。 ③活動の方法 『わたしはエルサ!』4 歳児 5 月~2 月 <1 学期> 曲に合わせて歌ったり踊ったりすることを楽しんでいたので衣装を作っておくとすぐに手に とり「エルサになる!」 「一緒だね」と友達と同じ物を身に着けることを喜んでいた。イメージ を膨らませ、なりきることができるように段ボールの囲いを用意するとお城に見立て始めた。 椅子を並べ「先生呼んでくる!」 「アナと雪の女王、見に来てください」と職員室に張り切って 知らせていた。6 月の参観で遊びの中で保護者に見てもらう機会をつくると、たくさん拍手を してもらったことが嬉しく、なりきって遊ぶ楽しさを存分に味わった。 <2 学期> 暑い日も衣装を身に着け、自分でアクセサリー等をつくってい た。映画館に行った子はチラシやチケットを自分なりにつくり、 友達や教師に「映画が始まるので来てね」と渡していた。教師も 歌い体を揺らし手拍子をしていると、見ていた子が「僕も映画に 出たいな」と言うので踊っている子に伝えると「じゃあ妖怪ウォ ッチもトッキュージャーもみんな出てくる映画にしよう!」と他 の子ども達も好きなキャラクターになって楽しんだ。 <3 学期> 普段の遊びや会話でも登場人物の気持ちになって遊んでいた。雪がちらついたり氷を見つけ たりすると「エルサの力だ!」と喜びエルサの仕草を真似ていた。また園庭のトラックをスケ ート場に見立て、曲に合わせてなりきってフィギュアスケートのように踊って遊んだ。 <反省・評価> ・ 十分な数の衣装や囲いを用意しいつでも使えるようにしたことで、なりきって遊ぶことを 継続して楽しめた。自分でも必要なものをつくれるように材料を用意しておいたことで、つ くったものを身に着けてよりイメージを膨らませて踊る姿も見られた。 ・ 教師も一緒に踊ったことや、教師や保護者、友達に見てもらったことが表現する自信とな り、他の子ども達も興味をもち自分の好きなキャラクターになることを楽しむようになった。 ・ 教師自身も映画に感動したことで子どもの思いに共感できたことも 1 年間通して遊びが続 いた理由の一つであると感じた。 『お客さんがきてくれた』5 歳児 6月~1月 <6月> 昨年の経験から泡立てクリームをつくってケーキづくりを楽しんだ。 <9月> ドングリ等の自然物を使いケーキに飾っていた。イメージが広がるように様々な大きさの丸 太や様々の形に切ったスポンジ、草花等の材料を用意した。次第にケーキ屋にしたいという声 が聞かれ、みんなで「カーテンがいる」「レジやお金もいる」「ケーキはお皿にのせよう」と何 が必要か話し合った。店員と客になって遊ぶが客がいない時もあり、さくら組を呼ぶことにな った。 「どんな知らせ方があるかな?」と問うと小学校から頂いた招待状を思い出し「ケーキ屋 さんに来てねと書いて渡そう」 「お店がどこにあるか書いて壁に貼ったらどう?」とつくり、さ くら組や教師に配り来てもらうことを楽しみにしていた。 <10 月> 子ども達は大勢の人に来てほしかったが、保育室では遊びが停滞し た。外に場を移すことを教師が提案すると「それがいい!」 「机と椅子 も出してカフェみたいにしよう」と1学期から段ボールでつくってい た家を使いカフェづくりを始めた。「店の人とお客が分からない」 「店 員さんってわかるようにエプロンつけるのは?」 「メニューは?」と考 えを伝え合いより店らしくしようとしていたのでバニラエッセンスや オーブントースター、ワゴン等を用意しておいた。 「味見ができるよう にしよう」 「これに乗せて運ぼう」とさらに創造が膨らみ家庭からも遊 びに必要な材料やチラシを持ってきていた。 <11 月> 保幼交流会では、友達と店員を交代しながら保育園児とのや りとりを楽しんだり、ケーキのつくり方を教えたりしていた。 <1 月> 園内作品展の共同制作ではクラスで相談し『ケーキ屋さん』 を体験コーナーにして展示することになった。来られた保護者 や地域の方々、小学生に得意げに説明する姿がみられた。 〈反省・評価〉 ・ 本物らしくしたい思いを実現するために、イメージが広がるような材料を用意したことや 話し合いの場を持つことで今までの経験も活かしながら、友達と一緒に遊びを進めていった。 ・ 遊びが停滞した時に教師がアイディアを提案することで、子どもの新しい発想がうまれた。 ・ 十分に遊んだものを園内作品展で飾り体験できるようにしたことで、いろいろな方に見て いただきさらに満足感を得られた。 5.研究の成果 ○ 4 才児はまずは教師が共に楽しむことが大事である。そして子どもの「なりたい」思いを受 け止め、身に着ける〝もの″やイメージが膨らむような〝もの″等を提示することで好奇心を 示し、それを使ったりかかわったりして夢中になって遊んだ。 ○ 5 歳児は友達同士で遊びを進める姿を教師は見守りながら、必要に応じた〝もの″の提示や 行き詰まった時の提案をすることで新しい発想がうまれた。また話し合いは友達の思いを知り、 遊びを共有して発展させていく姿に繋がった。 ○ 教師は子どもが何に心を動かされているのかを読みとり、思いに寄り添い、次の展開を予想 しながら環境構成や援助を心がけた。その結果、子どもは〝もの、人″に様々な方法でかかわ ろうと夢中になり面白さが増し、長期的に遊びが継続した。そしてこれら遊びの充実した思い が園内作品展に繋がっていったと思われる。 6.今後の課題 ○ 新しいこども園カリキュラムを基に、教育課程や指導計画を見直し実践を行う。そして、今 後も子どもの学びや育ちを読みとれるように記録をとり、意欲や主体性を育てるための環境構 成や援助を探っていきたい。
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