福祉コミュニティと地域福祉(活動)計画 1.福祉コミュニティ ◆「コミュニティ」と「福祉コミュニティ」の違い コミュニティ ・居住地域を同じくする共同体のこと ・つながりは一応あったけど、それぞれの個性的なレベルで地区として、 「福祉の視点」をもっているとまではいえないコミュニティ 福祉コミュニティ ・支援の必要な人を地区の中心に据えたまちづくりをしているコミュニティ ・福祉の支援が必要な方へ向けた支えあいの活動を地区の活動として、 住民みんなで考え取り組んでいるコミュニティ ・住民自らも気づき、考え、実行し、新たに創りだしていける、住民主体の 福祉文化を次世代(子どもたち)へ受け継いでいこうとするコミュニティ 自分たちの地域は、今、どんなコミュニティ(まち)なのでしょうか? 自分たちの地域は、今、どんなコミュニティ(まち)なのでしょうか? 常に住民一人ひとりが自問自答し活動していくことが、豊かな地域づくり、 ひいては自分たちの生活に跳ね返ってくることになります。 そこでは、要支援者を含むすべての人々が、ノーマライゼーションの理念に 基づいて、自立した生活を送っていかなければなりません。そのためには、 まず、地域住民の福祉意識・態度の醸成が必要とされます。 ①あくまでも福祉の援助を必要としている人をコミュニティの中心に据える。 ②コミュニティ(地区)として、福祉の取り組みを積極的に行い、一部の人だけではなく、 みんなで福祉(ノーマライゼーションやQOLの理念)について理解を深めていくことが 必要です。 福祉コミュニティの形成のための3要素 1 福祉意識の浸透 福祉活動への住民の参画や 「共に生きる」といった意識 2 多様な在宅福祉サービス インフォーマルを含めた社会資源 (地域密着型福祉サービス等住民福祉活動) 福祉教育・福祉座談会 ふれあい・いきいきサ ロンの開催 ボランティアの育成 NPO立ち上げ支援 TCM 3 「地域生活支援ネットワーク」づくり 福祉サービスと住民福祉活動を融合できる システム (トータル・コミュニティケ ア・マネジメント)の構築 ・・・・・・・・・日常生活圏域での取り組み・・・・・・・・・ ◆福祉コミュニティづくりの第一歩 「住民主体の地域づくり」へ向けて始めの一歩は「地域におけるふれあい活動」 地域でのつながりが薄れつつあるなかで地域における孤立・閉じこもり防止の 必要がある。 まずは、「地域のふれあい活動=交流」で、人と人とのつながりの輪を広めて いくことが必要。 2.地域福祉(活動)計画 ◆「地域福祉計画」と「地域福祉活動計画」 「地域福祉計画」 地域福祉計画は、住民にもっとも身近な行政主体である市町村が地域福祉推進の 主体となる地域住民の参加により、地域において支援を必要とする者の生活上の 解決すべき課題を明らかにするとともに、その課題解決のためのサービス内容や 量を示す行政計画です。 ・平成15年4月1日より、「地域福祉計画」が社会福祉法において明記されています。 <社会福祉法第107条> 市町村は、(中略)地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体 的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という)を策定し、または変更し ようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者 その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置 を講ずるとともに、その内容を公表するものとする。 1.地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項 2.地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発展に関する事項 3.地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項 ◆「地域福祉計画」と「地域福祉活動計画」 「地域福祉活動計画」 地域福祉活動計画は、住民や住民組織などが、自ら生活する地域の 「福祉のまちづくり」を展望し、それぞれの想いや知恵を出し合う中で、 共通の目標をつくり、実践できる具体的な内容(活動)を定める民間の 計画です。 ◆地域福祉(活動)計画をつくることによって 気づきから築きへ! 1 計画作りを通して、地域住民や地域福祉にかかわる関係者が地域の課題を共に認 計画作りを通して、地域住民や地域福祉にかかわる関係者が地域の課題を共に認 識し、活動の目標について合意形成を図ることによって、お互いの役割分担や協働 識し、活動の目標について合意形成を図ることによって、お互いの役割分担や協働 して行う活動が明らかになります。 して行う活動が明らかになります。 2 民間(住民)の地域福祉活動が充実することによって、福祉サービスの総合化がよ 民間(住民)の地域福祉活動が充実することによって、福祉サービスの総合化がよ り推進されます。 り推進されます。 公的福祉サービスで対応できなかった生活課題への支援につながります。 公的福祉サービスで対応できなかった生活課題への支援につながります。 3 計画を策定することにより、地域福祉活動が体系的に進められ、住民の参加や関 計画を策定することにより、地域福祉活動が体系的に進められ、住民の参加や関 係機関・団体等の連携が深まります。 係機関・団体等の連携が深まります。 お互いの助け合いや支え合いなど人と人のつながりを大切にした関係づくりが お互いの助け合いや支え合いなど人と人のつながりを大切にした関係づくりが 広がります。 広がります。 4 民間(住民)の地域福祉活動の展開が明らかになることにより、市町村行政計画と 民間(住民)の地域福祉活動の展開が明らかになることにより、市町村行政計画と スムースに連携が図られます。 スムースに連携が図られます。 5 住民や地域福祉にかかわる関係者が、計画作りを通して、社協活動への理解を深 住民や地域福祉にかかわる関係者が、計画作りを通して、社協活動への理解を深 めることにより、「地域福祉の推進役」としての社会福祉協議会を育てることにつな めることにより、「地域福祉の推進役」としての社会福祉協議会を育てることにつな がります。 がります。 計画はつくることが目的ではなく、計画をつくりだす過程を通して、 ①人をおこし、②まちをおこし、③豊かなコミュニティを築くことが目的です。 ◆地域福祉計画と地域福祉活動計画の関係 地域における福祉課題・社会資源の状況、地域福祉推進 共有 民間相互の協働や 役割分担による実施 公民のパートナーシップ による実施 公的財源 民間財源 公的財源による 民間活動 地域福祉活動計画 (委託・補助事業) 地域福祉計画 (民間の活動計画) (行政の施策・計画) 民間活動の 基盤整備事業 3.鳥取県地域福祉活動計画策定指針における5つの重点課 題と活動項目 鳥取県地域福祉活動計画策定指針では、鳥取県における地域福祉推進上の 取り組み課題を地域福祉活動計画における「基本目標」とし、それを実現するた めに取り組む活動項目を「基本計画項目」として例示しています。 総合目標 重点課題 11 「住民意識の高揚と啓発」 重点課題 「住民意識の高揚と啓発」 一人ひとりが安心して暮らせる福祉のまちづくり 【基本的視点】 【基本的視点】 誰が、どのような問題を抱えているかに気づいていくことが、地域福祉の出発点とな 誰が、どのような問題を抱えているかに気づいていくことが、地域福祉の出発点とな ります。まずは一人ひとりが、地域に関心を持ち、日常生活における福祉(暮らし)の ります。まずは一人ひとりが、地域に関心を持ち、日常生活における福祉(暮らし)の 問題や課題に気づくこと。そこからはじめることが、この計画の前提となります。そして、 問題や課題に気づくこと。そこからはじめることが、この計画の前提となります。そして、 その課題に対しての学習や啓発活動等を通して課題の共有化を図り、住民の手によ その課題に対しての学習や啓発活動等を通して課題の共有化を図り、住民の手によ る福祉活動の主体的な取り組みが必要となります。 る福祉活動の主体的な取り組みが必要となります。 【基本計画項目】 【基本計画項目】 ①調査活動の推進 ①調査活動の推進 ②情報提供・啓発(広報)活動の推進 ②情報提供・啓発(広報)活動の推進 ③福祉学習(教育)の推進 ③福祉学習(教育)の推進 ④ニーズキャッチシステムの推進 ④ニーズキャッチシステムの推進 総合目標 一人ひとりが安心して暮らせる福祉のまちづくり 重点課題 重点課題22 「住民参加・参画による地域福祉活動」 「住民参加・参画による地域福祉活動」 【基本的視点】 【基本的視点】 地域福祉の推進は、地域住民の主体的な参加を大前提としたものであり、地域にお 地域福祉の推進は、地域住民の主体的な参加を大前提としたものであり、地域にお ける生活課題の解決に向けて、住民等の積極的な参加は地域福祉を進める大きな原 ける生活課題の解決に向けて、住民等の積極的な参加は地域福祉を進める大きな原 動力となります。 動力となります。 地域の生活課題に密着した小地域での福祉活動、当事者支援活動の実施など、広 地域の生活課題に密着した小地域での福祉活動、当事者支援活動の実施など、広 範に広がるボランティア・市民活動とも連携・協働し、住民生活の多様性にあわせた柔 範に広がるボランティア・市民活動とも連携・協働し、住民生活の多様性にあわせた柔 軟な活動スタイルの創造と具合的な活動の取り組みが必要となります。 軟な活動スタイルの創造と具合的な活動の取り組みが必要となります。 【基本計画項目】 【基本計画項目】 ①小地域福祉活動の推進 ①小地域福祉活動の推進 ②ボランティア・市民活動センター機能強化 ②ボランティア・市民活動センター機能強化 ③地域生活支援ネットワークづくりの推進 ③地域生活支援ネットワークづくりの推進 ④当事者の組織化・支援活動の推進 ④当事者の組織化・支援活動の推進 総合目標 一人ひとりが安心して暮らせる福祉のまちづくり 重点課題 重点課題33 「在宅福祉サービスの推進・開発」 「在宅福祉サービスの推進・開発」 【基本的視点】 【基本的視点】 在宅福祉サービスの推進においては、地域住民のあらゆる生活・福祉問題を受け止 在宅福祉サービスの推進においては、地域住民のあらゆる生活・福祉問題を受け止 め、すばやく確実に問題解決につなげることが重要になります。そのためには、各種 め、すばやく確実に問題解決につなげることが重要になります。そのためには、各種 公的福祉サービスを総合的に整備するとともに、公的には対応できない多様なニーズ 公的福祉サービスを総合的に整備するとともに、公的には対応できない多様なニーズ に即応できる住民参加による支援などを開発し、問題解決を図っていくことが必要とな に即応できる住民参加による支援などを開発し、問題解決を図っていくことが必要とな ります。 ります。 【基本計画項目】 【基本計画項目】 ①高齢者支援の推進 ①高齢者支援の推進 ②障害者支援の推進 ②障害者支援の推進 ③児童健全育成・子育て支援の推進 ③児童健全育成・子育て支援の推進 ④その他の分野における支援の推進 ④その他の分野における支援の推進 総合目標 一人ひとりが安心して暮らせる福祉のまちづくり 重点課題 重点課題44 「利用者支援活動の推進」 「利用者支援活動の推進」 【基本的視点】 【基本的視点】 利用者支援においては、利用者本位の考えに立って、利用者を一人の生活者として 利用者支援においては、利用者本位の考えに立って、利用者を一人の生活者として 捉えることが大切です。その人の生活課題を総合的にかつ継続的の把握し、利用者 捉えることが大切です。その人の生活課題を総合的にかつ継続的の把握し、利用者 の希望に添ったサービスが適切に提供されることが重要です。また、その利用へのア の希望に添ったサービスが適切に提供されることが重要です。また、その利用へのア クセスが阻害されない体制を身近な地域において構築する必要があります。 クセスが阻害されない体制を身近な地域において構築する必要があります。 【基本計画項目】 【基本計画項目】 ①総合相談体制の整備と機能強化 ①総合相談体制の整備と機能強化 ②マネジメント機能の強化 ②マネジメント機能の強化 ③権利擁護事業の推進 ③権利擁護事業の推進 ④苦情解決・リスクマネジメント体制の整備と機能の強化 ④苦情解決・リスクマネジメント体制の整備と機能の強化 ⑤福祉サービス第三者評価事業の推進 ⑤福祉サービス第三者評価事業の推進 ⑥地域ケアネットワーク体制の整備 ⑥地域ケアネットワーク体制の整備 総合目標 一人ひとりが安心して暮らせる福祉のまちづくり 重点課題 重点課題55 「社会福祉協議会の機能強化」 「社会福祉協議会の機能強化」 【基本的視点】 【基本的視点】 住民主体の地域福祉の推進を図る社協は、今までの実績と信頼を活かし、地域住 住民主体の地域福祉の推進を図る社協は、今までの実績と信頼を活かし、地域住 民をはじめあらゆる方面からの参加・参画を『協働』して福祉のまちづくりに取り組むこ 民をはじめあらゆる方面からの参加・参画を『協働』して福祉のまちづくりに取り組むこ とが求められます。そのためには、社協の役割の理解や情報開示をより一層すすめる とが求められます。そのためには、社協の役割の理解や情報開示をより一層すすめる とともに社協の組織体制の整備や社協の機能強化を図ることが重要となります。 とともに社協の組織体制の整備や社協の機能強化を図ることが重要となります。 【基本計画項目】 【基本計画項目】 ①住民組織としての推進体制・運営基盤 ①住民組織としての推進体制・運営基盤 ②財政基盤の強化 ②財政基盤の強化 ③専門性を高めるための人材育成 ③専門性を高めるための人材育成 ④活動の点検・評価と情報開示の推進 ④活動の点検・評価と情報開示の推進 ⑤長・短期計画の策定と推進 ⑤長・短期計画の策定と推進
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