ハワイ火山の特別授業

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ハワイ火山の特別授業
講
日
場
師 TA 松本 智子氏 東京大学大学院火山岩石学卒
時 2012年 6月 9日(土) 9時~16時
2012年 7月21日(土) 9時~16時 所 本校 物理実験室 および 物理講義室
参 加 者 SSH海外サイエンス 16名(一年生15名、二年生1名)
今年度のハワイ実習は火山を中心に行うため、4月よりHVO(ハワイ火山観測所)の英文の記事を交代で訳し
ては、その関連した内容を説明してきました。ある程度ハワイ火山についての基礎知識がついたところで、火山
の専門家の方に加わっていただいて2日間の集中授業を行いました。
生徒に知っている火山名を挙げさせ、世界地図上では非常に偏った地域に火山が限定している理由がプレー
ト運動であるという説明から入り、海溝付近・海嶺の3つの火山ができる場所があり、外核で熱せられたホットプ
リュームが上昇することによりマントル対流で起こりプレートが動いていること、ハワイの火山はホットスポットに
より形成され、プレートが動くことにより島々が連なっている説明を受けました。「ミーバ君」という玩具が粘弾性
モデルとして紹介され、ゆっくり引っ張ると伸びるが、早く引っ張るとちぎれることで固体の流動を実感できまし
た。減圧融解で溶岩が溶け、密度のつり合ったマグマだまりでの結晶分化作用により玄武岩質マグマが他の性
質のマグマに変わっていくことや周囲の地殻物質を溶かし込むことを学びました。
質問をしながらの昼食後、噴火の原因が発泡であることを炭酸水に砂糖を入れる実験で確認し、マグマの粘
性によりいろいろな噴火様式があることを学びました。火山岩の観察で違いの原因を考察して、ハワイ島での噴
火様式の説明を受けました。また、野外調査の基本のスケッチの方法の説明で一日目が終了しました。
二回目は、生徒が火山のプレゼンを英語で披露してアドバイスをしあったあと、TAの松本先生の卒業論文を
披露していただいた。桜島の噴出物の噴火様式の違いによる成分分析からの考察の話しで、気泡の密度や石
基中に見られる斜長石の割合など、データの積み重ねと検証方法は参考となったが、内容が難しく把握しにく
かったようだ。午後は、各自が持ち寄った石から読み取れる縞や色、鉱物結晶、泡などの情報からわかることを
発表しあったが、堆積岩や変成岩もあり石について語るにはまだまだ勉強不足であることがわかりました。次に
松本先生が持ち込んだ火山岩について学んだ知識の中からわかることを考察する練習をしましたが、黒曜石が
流紋岩なのに黒い理由や、玄武岩質溶岩に付着している茶色の岩石などについては意見が分かれて議論をす
ることができました。そういうときはすぐに答えや説明をもらいたがるが、自分で石からの情報をいかに取り出し
考察できるか考える良い機会になりました。
火山の講義
質問のために集まる
炭酸水の発泡実験
石の特徴からの考察
生徒の火山についてのプレゼン
火山岩の観察と発表の様子
1日目の記念撮影
石について議論しあう
二日目の記念撮影
2回のアンケート結果の比較より
新たに試みた2回目の特別授業は課題が多かった。卒業論文をプレゼンしていただいたことで研究レベルで
内容が高度であると感じた生徒が多くいたが研究のアプローチやプロセスを感じることができて参考になったと
思われる。各自が持参した石を見て考察させたことで、すぐに単純に答えが出ないことに難解であると感じた生
徒がほとんどであったことがうかがえる。資料集などを見ながら自分の持っている知識で石から読み取れる情
報をもとにディスカッションをしてみたが答えが明確でなく不完全燃焼のような印象が残ってしまった。そのため
火山の興味も授業を行うことで4.7→4.5と落ちていることは残念であった。
しかし、今回の2回の特別授業は観察の必要性を強く感じ、満足度も高くハワイ実習の事前学習に適している
と考えられる。
第二回特別授業 生徒の感想より
・石の調査は結果が分からなかったことがもやもやした。岩や鉱物に対する知識不足だった。
・人によって考察が異なることを岩石の観察を通して学べた
・卒論がとても難しく 理解しきれないが、研究の進め方が分かり結果から考察への導き方が刺激になった。
・意見交換が楽しかった。ディスカッション風の授業は楽しい。
・研究するにあたり大切なことについて学ぶことが出来る良い機会だった。
・もっと質問できたらよかった。話し合いにも積極的になれれば良かった。
・自分のテーマとは違う火山でしたが一つの石でものすごく考えさせられた。
・楽しかった。誰もやったことのない見方で研究することはすごい。
・石は難しい。様々な条件を考えなくてはいけない。卒論を理解するのに苦労した。