車載マイコンの現状について ~2008年度サーベイ

車載マイコンの現状について
~2008年度サーベイ~
2008年11月28日
(財)九州先端科学技術研究所
車のエレクトロニクス化
トヨタ自動車(1996 - *1936)
燃費: 7 km/l
センサー: 無
ECUs: 無
トヨタ自動車(Prius HEV 2006)
燃費:35.5 km/l
センサー: 約100
ECUs: 約70
ECU: Electronic Control Unit
快適、かつ、高性能(燃費)で 環境に優しい、安全な
自動車が常に求められている
2
車のエレクトロニクス化
• 高性能(低燃費)化、環境に優しい
• 安全性の向上
• 快適性、利便性の向上
高性能(低燃
費)化、環境
に優しい
ハイブリッド制御
エンジン制御
安全性の向
上
快適性、利
便性の向上
1970年
エアバッグ、ABS、電子制御サスペンション
ETC
カーナビゲーション、AV
電動ミラー、電動シート、オートドアロック
1980年
1990年
2000年
車のエレクトロニクス化
それぞれのECUは独立した組込みシステム!
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車載マイコン
 車載マイコンとは:
ECUに用いられる、CPU、および、CPUと周辺機能
やメモリを集積するデバイス
• MCU(Micro Control Unit)
– CPUの他、プログラムの実行に必要なメモリ、周辺回路を集積
• MPU(Micro Processing Unit)
– メモリや周辺回路などは外付け
 車載用として用いられる、マイコン(MCU、MPU)製
品の現状をサーベイ
車載マイコンの搭載数
(個)
国産ミドルクラス1台あたりにおける
マイコンの平均搭載数
40
30
20
10
0
1980
1985
1990
1995
2000
2005
出典:矢野経済研究所, ”車載用MCUと半導体メーカの自動車戦略2005”
車載マイコンの用途
パワートレイン制御
安全制御
• ガソリンエンジン
• ディーゼルエンジン
• ハイブリッド
• トランスミッション
など
• アンチロックブレーキ
• ブレーキアシスト
など
ボデー制御
• ライト
• ドア開閉
• パワーウインドウ
• ワイパー
• エアコン
• オーディオ
• ダッシュボード
• エアバッグ
など
マルチメディア
• カーナビ
• 車線維持支援
• 駐車支援
• プリクラッシュ・セーフティ
• 車間距離警報装置
など
半導体各社の車載マイコン
 車載マイコン向きに用いられているCPUの例
性
能
フリースケー
ル・セミコン
ダクター社
ボディ
高 MPC55xx(32)
↑ S12(16)
低 S08(8)
高 V850ES(32)
NECエレクト
↑
ロニクス社
低 78K0(8)
SH2A-FPU(32)
M32C/80(32)
ルネサステ
クノロジ社
パワー
トレイン
安全
マルチメディア・
情報通信
MPC55xx(32)
MPC55xx(32)
MPC5xxx(32)
S12(16)
S12(16)
i.MX(32)
V850ES(32),
V850E(32)
V850系(32)
ARM11(32)
SH7050(32)
M32R(32),
SH-4A(32)
SH-4(32)
78K0S(8)
SH-4A(32)
M32R-FPU(32)
高
↑ M16C/60(32/16),H H8S, H8SX(16)
低 8S,H8SX(16)
M32R-FPU(32)
R8C(16)
Infineonテ
クノロジーズ
社
高
↑ XC22xx(16)
低 XC866(8)
()内は基本命令のデータ幅
TriCore(32)
XC23xx(16)
出典:
XC164(16)
フリースケール・セミコンダクタ社ホームページ:http://www.freescale.co.jp
NECエレクトロニクス社ホームページ: http://www.necel.com
ルネサステクノロジ社ホームページ: http://japan.renesas.com
Infineonテクノロジーズ社ホームページ: http://www.infineon.com
車載マイコンに用いられる
主な周辺機能、メモリ
 ネットワークインターフェース
• LIN (Local Interconnect Network)
• CAN(Car Area Network)
• FlexRay
等
 センサー入力
• A/D変換器
 制御出力
 割り込み制御
 タイマカウンタ
 フラッシュメモリ
 ROM
 RAM
(<20Kbps)
(<1Mbps)
(<10Mbps)
車載マイコンの製品構成の例
(ルネサステクノロジ社)
1000
● マルチメディア
+ マルチメディア
動作周波数(MHz)
• カーナビ
(メモリは外付け)
• 車線維持支援
• 駐車支援
• プリクラッシュ・セーフティ
• 車間距離警報装置
など
ボディ
(ダッシュボード
の表示)
100
■ 安全
◆ パワートレイン
*ボデー
10
0
500
1000
ROMサイズ(KByte)
1500
出典:
2000
“ルネサス オートモティブ,” 2008年10月
“ルネサス 自動車マイコン,” 2008年4月
車載マイコンの製品構成の例
(ルネサステクノロジ社)
動作周波数(MHz)
1000
ボデー
(ダッシュボード
の表示)
100
• 16ビット、32ビットCPU
• 性能要求小
– 動作周波数32MHz以下(ダッシュボードの
表示を除く)
• プログラムサイズ小
■ 安全
*ボデー
10
0
500
1000
ROMサイズ(KByte)
1500
出典:
2000
“ルネサス オートモティブ,” 2008年10月
“ルネサス 自動車マイコン,” 2008年4月
車載マイコンの製品構成の例
(ルネサステクノロジ社)
動作周波数(MHz)
1000
• 32ビットCPU
• 動作周波数(40MHz~80Mhz)
• プログラムサイズ大
100
◆ パワートレイン
10
0
500
1000
ROMサイズ(KByte)
1500
出典:
2000
“ルネサス オートモティブ,” 2008年10月
“ルネサス 自動車マイコン,” 2008年4月
車載マイコンの製品構成の例
(ルネサステクノロジ社)
1000
● マルチメディア
動作周波数(MHz)
• カーナビ
(メモリは外付け)
+ マルチメディア
• 車線維持支援
• 駐車支援
• プリクラッシュ・セーフティ
• 車間距離警報装置
など
100
• 性能要求大
•
– 32ビットCPU
– 動作周波数(240MHz~600Mhz)
– マルチコア化、専用HWを用いた
高速化
10
• メモリは外付け
0
500
1000
高速な制御が求められる
– 32ビットCPU
– 動作周波数(80MHz~
160Mhz)
ROMサイズ(KByte)
1500
出典:
2000
“ルネサス オートモティブ,” 2008年10月
“ルネサス 自動車マイコン,” 2008年4月
車載マイコンの高性能化
• 性能要求の高い用途
– マルチメディア
– マイコンの統合化
• 性能向上手法
– アクセラレータの使用
– マルチコア化
– 並列化
車載マイコンの性能向上手法
 アクセラレータの使用
デバイス
ベンダ
アクセラレータ
主な用途
NaviEngine
NECエレクトロニクス 描画エンジン
カーナビ
SH77650
ルネサステクノロジ
カーナビ
画像認識専用H/W
SH77650
(ルネサステクノロジ)
 カーナビ向けマイコン
 白線検知などの走行支援のための画像認識を行う
• 高い性能が必要な、画像認識のため、画像認識専用ハードウェア(画像
認識エンジン)を、アクセラレータとして搭載。
• 上記、画像認識の実行をホストCPUから、画像認識エンジンへオフロード。
ホストCPU
(32ビット)
画像認識
エンジン
周辺
機能
周辺
機能
出典:ルネサステクノロジ SH77650,
http://japan.renesas.com/fmwk.jsp?cnt=sh77650_child.htm&fp=/applications/automotive/automotive_segment/infotainment/child_folder/child_folder/&title=SH77650
車載マイコンの性能向上手法
 マルチコア化
デバイス
ベンダ
コア
主な用途
NaviEngine
NECエレクトロニクス ARM11 x4個
カーナビ
SH7786
ルネサステクノロジ
SH-4A x2個
カーナビ
MPC551x
フリースケール
Power x2個
ボディ制御等
NaviEngine (NECエレクトロニクス)
 カーナビ向けシステムLSI
カーナビ用アプリ開発の課題
• ソフト開発の大規模化
• 高い性能要求
→
1. 既存のシングルCPU用ソフトを、そのまま実行可能、高性能化
2. 固定的な機能(2D/3D描画)に関し、専用HWエンジンを用いCPUから実
行をオフロード
ARM11
ARM11
ARM11
ARM11
MPCore
周辺機
能
高性能
描画エンジン
ビデオ
キャプチャ
LCD
コントローラ
メモリインターフェース
出典:NECエレクトロニクス ホームページ(http://www.necel.com/applications/ja/automotive/naviengine/spec.html)
MPC551xファミリ
(フリースケール・セミコンダクター)
 ボディ制御
高性能化により、ボディ制御に用いる機能を集約しマイコンの数を削減
 メインCPU
• 主なアプリの実行
 I/Oプロセッサ
• 基本的な命令のみを実装に絞り、面積コストを削減
• 割り込み処理など、メインCPUの補助的な役割
メインCPU
(32bitマイコン)
I/Oプロセッサ
(32bitマイコン)
クロスバスイッチ
周辺機能
メモリ
(フラッシュ, SRAM)
参考文献: “MPC5510: Power Architecture 32-bit MCU for Automotive,” Freescale Semiconductor
車載マイコンの性能向上手法
 XGATEとeTPU (フリースケール・セミコンダクタ)
• 割り込みによるタスク等を、ホストCPUからオフロード
– XGATE:S12(16bitマイコン)のコプロセッサ(XGATE)
– eTPU :汎用の周辺機能(eTPU)として搭載
XGATE
ホスト
CPU
(16bitマイコン)
eTPU
ホスト
CPU
(16bitマイコン)
RISC
プロセッサ
タイマー・
カウンター
RISC
プロセッサ
割り込み
• ホストCPUのタスクのオフロード
• 割り込み処理のオフロード
参考文献:
• ある時間間隔により実行
されるタスクのオフロード
“Using the XGATE for Manchester Decoding”他, Freescale Semiconductor
“eTPU: Enhanced Time Processor Unit,” Freescale Semiconductor
オフロードによる性能最適化
発熱大
リアルタイム性を満た
すために必要な性能
動作周波数が2倍のCPU
CPU
2X
性能不足
X
CPU
時間
コプロセッサにオフロード
(CPUは同じ)
CPU
コプロ
セッサ
21
IMAPCAR(NECエレクトロニクス)
 画像認識向けシステムLSI
• 画像認識のための高い性能要求
• 自動車の走行する環境、検出対象に合わせデバイスをプログラム可能
• 画像認識に適したハードウェア構成
外部メモリ(SSRAM)
メモリ転送制
御部
DPLL
キャッシュ
シーケンス
制御部
制御プロセッサ
演算部
ビデオ
入出力制御部
PE
128並列プロセッサ
8-bit 4ay VLIW
PE
PE
PE
制御プロセッサ
画像メモリ
128並列プロセッサ部ブロック図
I/Oレジスタ
CPUバスインターフェース
IMAPCARブロック図
PE
レジスタファイル(8bits x 28本)
画像I/O
出典:”「車載組込み用画像認識プロセッサIMAPCAR,”NEC技法 Vol.60 No.2/2007
ALU
ALU
ALU
LSU
Acc.Reg.
RAM
Acc.
PE部ブロック図
まとめ
 アプリの所望の性能を実現しコストを最小化
• 8bit~32bitマイコンが使用される
• アプリサイズに応じ異なるROMサイズ、アプリに必要な周辺機能
による、多品種構成
 車載マイコンでもマルチコア化
•
•
•
•
動作周波数による高性能化から並列化による高性能化
統合化によるマイコンの数の削減
性能クリティカルなタスクのオフロードによる性能最適化
アクセラレータを用いた性能クリティカル箇所のオフロードによる
性能最適化