東日本大震災の被災地に思いを馳せて

~東日本大震災の被災地に思いを馳せて~
「震災のヴァイオリン~千の音色でつなぐ絆プロジェクト」
より多くの皆様にご参加頂きたく、会員各位のご支援とご協力をお願い申し上げます。
2013年2月21日(木)
チャリティ・サロン・コンサート
≪神秘のヴァイオリン - ストラディヴァリウスの魅力≫
特別ゲスト: 株式会社日本ヴァイオリン 中澤宗幸氏
尚美学園大学・同大学院客員教授 中澤きみ子氏
世界屈指のヴァイオリンドクター(修理・鑑定)として、イスラエル・フィル、ベルリン・フィル
をはじめ一流演奏家の楽器の調整を手がけ、世界を飛び回っておられる中澤宗幸氏
と、ヴァイオリニストとして演奏活動を展開しながら多くのCDをリリース、また、国内外の
Stradivarius 1717 Hamma
国際ヴァイオリンコンクールの審査員や国際音楽祭の講師として招聘され、後進の指
導にも力を注いでおられる中澤きみ子氏のご夫妻をお招きし、多くの人々を魅了し続ける至高のヴァイオリン「ストラ
ディヴァリウス」の魅力に触れる貴重なコンサートを開催致します。
中澤氏は、幼少より父親からヴァイオリン作りの手ほどきを受け、ヨーロッパにて弦楽器製作や、修復技術を学んだ
後、1980年に東京に工房を構え、楽器の製作や修復、調整に従事され、ディーリングも含めて、今までに手にされた
オールドヴァイオリンは2万挺以上、ストラディヴァリウスは50挺以上。信州上田に加え、ストラディヴァリウスの生誕の
地、クレモナにも工房を持ち、今も世界中のヴィルドゥオーゾ達が中澤氏に、名器の調整を委ねられています。また、
2011年に出版された中澤氏の著書「ストラディヴァリウスの嘘と真実」(世界文化社)は重版を続け、好評を博してい
ます。修復・鑑定の世界的第一人者である中澤氏からストラディヴァリウスの魅力についてお話を伺い、その後、その
音色を中澤きみ子氏による演奏でお届け致します。音楽の素晴らしさを体感できる貴重な一夜をお楽しみ頂きた
く、より多くの皆様のご予約をお待ちしております。
時間:
18:30 ~ 19:30 中澤宗幸氏のお話と
中澤きみ子氏によるヴァイオリン演奏
19:30 ~ 21:00 お食事
参加費: 会員・ゲスト共/¥15,000*(お料理、飲み物、税・サ込み。
*内¥5,000は東日本大震災の被災地支援のための活動「震災のヴァイオリン~
千の音色でつなぐ絆プロジェクト」*へのご寄附とさせて頂きます。)
*ヴァイオリンプロジェクト「千の音色でつなぐ絆」―津波に耐え、被災地の人たち
の支えとなってきた「奇跡の一本松」を見て、中澤宗幸氏が陸前高田市で、が
れきの中から流木を拾い集め「震災の記憶を伝え、復興を目指す人たちの希
望になれば」と願い、ヴァイオリンを製作されました。
この震災ヴァイオリンを千人、或いはそれ以上の演奏家たちに演奏してもら
い、その音色を、被災した人達に届けるプロジェクトです。当日は、一本松の絵
が描かれた震災ヴァイオリンの音色もお届け下さいます。
また、中澤氏が震災ヴァイオリンに託した思いを、子供たちのために書き下ろ
した著書「いのちのヴァイオリン 森からの贈り物」(ポプラ社)のエピローグか
ら抜粋された文を記載致しました。是非ご一読頂きたく、次ページをご参照下
さいますようお願い申し上げます。
Photo by Miyuki Hoshi
お申し込みは: アークヒルズクラブへお電話下さい。℡ 03-5562-8201 又はE-メール [email protected]
★イベントのキャンセルは実施日より3日前までにお願い致します。以降のキャンセルは参加費全額を
キャンセルチャージとして頂戴いたしますので、何卒ご了承の程お願い申し上げます。
「いのちのヴァイオリン 森からの贈り物」
ヴァイオリンドクター 中澤宗幸
ポプラ社より2012年12月7日配本
Photo by Miyuki Hoshi
「ヴァイオリンのお医者さん」が、木のいのちに教えてもらったこと。
東日本大震災で津波被害を受けた陸前高田の流木から、
筆者がつくった「震災ヴァイオリン」。
大切な記憶が弾きつがれ、語りつがれていくことをねがって。
≪本書のエピローグ - 千の音色がつくる明日へ - (p108~115)から抜粋≫
『2011年3月11日あの東日本大震災が起きました。地震のあった日、わたしは東京におりましたので、大きな
被害を受けることはありませんでした。しかし、新聞やテレビをとおして伝わってくる被災地の映像をみて、うちのめ
されるようなショックを受けました。なにか自分にできることはないかと思いながら、なにもできない自分がいました。
こんなに苦しんでいる人がいるのに、なんと無力なのかと思いました。
そんなある日、陸前高田という海辺の町の映像がテレビでながれました。もともと海岸線に美しい松林があった
景勝の地です。津波で松林も町の家いえも流されてしまいました。一本の松だけが残り、「奇跡の一本松」とし
てしきりに映像が流れていましたから、知っている人も多いでしょう。しかし、流木が積みあげられている映像は、
「瓦礫の山」として処理にこまっていると伝えられていました。私は胸が苦しくなりました。そのとき、妻がいったので
す。
「あれは瓦礫なんかじゃないわよね。人が生きてきた歴史であり、思い出そのものなのよ。ねえ、お父さん、あの
木からヴァイオリンをつくれないかしら」と。
≪中略≫
海岸に積みあげられた流木の山を最初にみた日からしばらくは、東京にもどっても、失われたたくさんの人の命
の悲しみに押しつぶされそうな気持ちでした。けれど、木とむきあい、語りかけ、対話をつづけていくうちに、わたし
はあのギリシャの言葉* を思い出していました。「わたしは森にいたころ木陰で人間を癒し、ヴァイオリンになってか
らは音で人間を癒す」というあの言葉です。(*中澤氏がヨーロッパで見つけたヴァイオリンの横板に刻まれた
ギリシャ語の文字)わたしは木目をさすりながら、木にいろんなことをたずね、いろんなことを話しました。「わかっ
た。きみのなかにある新しいいのちの形をとりだそう。立派なヴァイオリンの形がみえるよ。余分なものをぜんぶとり
のけてあげるよ。さあ、こちらに出ておいで」-そう語りかけながら、仕事をしました。
わたしがつくったヴァイオリンは、「震災ヴァイオリン」と名づけられ、震災から一年後の3月11日に、陸前高田の
慰霊祭でイヴリー・ギトリスさんによって演奏されました。
≪中略≫
この「震災ヴァイオリン」は、ギトリスさんをかわきりに、「千の音色でつなぐ絆」というプロジェクトとして、これから
十年をかけて人から人に手わたされていき、プロ、アマチュアを問わず千人の演奏家によって弾きつがれていくこと
になりました。
人は、忘れなければ前にすすめないこともあります。けれども、忘れてはならないこともあります。音楽を愛すると
は、人間を愛し、自然を愛することではないでしょうか。わたしは大きな傷を残したこの震災が、人間と自然が新
しい関係をむすびなおしていく新しい出発点となることを願ってやみません。次の世代をになう若い人たちが、人
びとの希望の大樹と育ちゆくことを信じて――。』
(本書に記載されてある漢字のフリガナは省略させていただきました)