社会保険料を節約する方法はあるのですか?

社会保険料を節約する方法はあるのですか?
A. 工 夫 次 第 で節 約 できることがあります。そのためには・・・
<まず複 雑 な社 会 保 険 の制 度 を理 解 することが大 切 です>
工 夫 をするためには、社 会 保 険 の内 容 をつかまないことには始 まりません。複 雑 では
ありますが、だからこそ工 夫 する余 地 を残 すものです。
大 まかなところを以 下 ご説 明 します。
―社 会 保 険 料 等 の計 算 はどうなっているのですか?
厚生年金
保険料
政府管掌
健康保険料
介護保険料
毎月の給与分
賞与分
負担者
※ 1 標 準 報 酬 月 額 × ※ 2 標 準 賞 与 額 ×
139.34/1000
9.34/1000
事業主と従
業員が折半
標 準 報 酬 月 額 ×82/1000
標 準 賞 与 額 ×82/1000
負担
標 準 報 酬 月 額 ×8.9/1000
標 準 賞 与 額 ×8.9/1000
(40 歳 ∼ 65 歳 )
児童手当
拠出金
標 準 報 酬 月 額 ×0.9/1000
標 準 賞 与 額 ×0.9/1000
事業主負担
※1標 準 報 酬 月 額 とは
厚 生 年 金 保 険 、 健 康 保 険 では、被 保 険 者 が毎 月 受 け取 る給 与 の額 をいくつかの等 級 に区
分 した報 酬 にあてはめ、これをもとに保 険 料 の計 算 を行 います。この区 分 された報 酬 を ※3「標
準 報 酬 」といいます。給 与 は従 業 員 個 々にバラバラですし、残 業 などが入 ると同 じ従 業 員 でも毎
月 異 なってきますので、保 険 料 計 算 を簡 単 にするために取 られている制 度 です。
現 在 は、厚 生 年 金 は 30 等 級 、健 康 保 険 は 39 等 級 にランク分 けされています。この保 険 料 の
基 礎 になった標 準 報 酬 月 額 は厚 生 年 金 として支 給 される「報 酬 比 例 の年 金 」と呼 ばれる年 金 の
計 算 の基 礎 にもなります。
↓
標 準 報 酬 月 額 の決 定 時 期 ・方 法
資格取得時決定
新 たに就 職 した場 合 、その人 の給 与 の支 払 実 績 はありませんので、その人 が今 後 受 けるであろ
う給 与 の額 で標 準 報 酬 を決 定 します。
定時決定
毎 年 4 月 、5 月 、6 月 の給 与 の平 均 額 に基 づいて新 しい標 準 報 酬 月 額 を決 め、その年 の 9 月 か
ら 1 年 間 、それに基 づいて保 険 料 が計 算 されます。
随 時 改 定 (月 額 変 更 )
3 ヶ月 間 の平 均 で等 級 が 2 段 階 、上 下 した時 に、標 準 報 酬 月 額 を変 更 します。ただし、これ
-1-
には固 定 賃 金 の上 下 がなければ成 立 しません。
・標 準 報 酬 が2等 級 以 上 変 動
・固 定 賃 金 が変 動 ・・・・・4ヶ月 目 から標 準 報 酬 が改 定
・3ヶ月 間 とも報 酬 支 払 い基 礎 日 数 が20日 以 上
※2 標 準 賞 与 額 とは
標 準 賞 与 額 ・・・ 実 際 に支 払 われた賞 与 額 から 1000 円 未 満 を切 り捨 てた額 です。
上 限 額 ・・・厚 生 年 金 は 150 万 円 、健 康 保 険 は 200 万 円 。
そして・・・
総 報 酬 制 をとっているので、毎 月 保 険 料 が変 わるわけではありません。
総報酬制
毎 月 の 報 酬 月 額 と 賞 与 額 に 同 じ 保 険 料 率 を 用 いて社 会 保 険 料 を 計 算 する制 度 です。 同 じ
年 収 でも賞 与 の占 める割 合 で負 担 する保 険 料 額 が違 う不 公 平 をなくすために導 入 されました。
介 護 保 険 料 や児 童 手 当 拠 出 金 も総 報 酬 制 になりますので毎 月 の給 与 にも、賞 与 にも保 険 料
などの負 担 が発 生 します。
-2-
※3 標 準 報 酬 月 額 表 ・・・標 準 報 酬 はこの表 から割 り出 します。
等級
1 等級
2 等級
3 等級
4 等級
5 等級
6 等級
7 等級
支払われた月給
101,000 円 未 満
101,000 円 107,000 円 未 満
107,000 円 114,000 円 未 満
114,000 円 122,000 円 未 満
122,000 円 130,000 円 未 満
130,000 円 138,000 円 未 満
138,000 円 146,000 円 未 満
8 等級
9 等級
10 等 級
11 等 級
12 等 級
13 等 級
14 等 級
15 等 級
16 等 級
17 等 級
18 等 級
19 等 級
20 等 級
21 等 級
22 等 級
146,000 円
155,000 円
165,000 円
175,000 円
185,000 円
195,000 円
210,000 円
230,000 円
250,000 円
270,000 円
290,000 円
310,000 円
330,000 円
350,000 円
370,000 円
23 等 級
24 等 級
395,000 円 425,000 円 未 満
425,000 円 455,000 円 未 満
410,000 円
440,000 円
25 等 級
26 等 級
27 等 級
455,000 円 485,000 円 未 満
485,000 円 515,000 円 未 満
515,000 円 545,000 円 未 満
470,000 円
500,000 円
530,000 円
28 等 級
545,000 円 575,000 円 未 満
560,000 円
29 等 級
575,000 円 605,000 円 未 満
590,000 円
30 等 級
605,000 円 635,000 円 未 満
620,000 円
30 等 級 が 厚 生 年 金 の 上 限 等 級
31
32
33
34
35
36
37
38
39
635,000 円
665,000 円
695,000 円
730,000 円
770,000 円
810,000 円
855,000 円
905,000 円
955,000 円
650,000
680,000
710,000
750,000
790,000
830,000
880,000
930,000
980,000
ここから上の等級は健康保険のみ
等級
等級
等級
等級
等級
等級
等級
等級
等級
155,000 円 未 満
165,000 円 未 満
175,000 円 未 満
185,000 円 未 満
195,000 円 未 満
210,000 円 未 満
230,000 円 未 満
250,000 円 未 満
270,000 円 未 満
290,000 円 未 満
310,000 円 未 満
330,000 円 未 満
350,000 円 未 満
370,000 円 未 満
395,000 円 未 満
665,000 円 未 満
695,000 円 未 満
730,000 円 未 満
770,000 円 未 満
810,000 円 未 満
855,000 円 未 満
905,000 円 未 満
955,000 円 未 満
標準報酬月額
98,000 円
104,000 円
110,000 円
118,000 円
126,000 円
134,000 円
142,000 円
150,000
160,000
170,000
180,000
190,000
200,000
220,000
240,000
260,000
280,000
300,000
320,000
340,000
360,000
380,000
-3-
備
考
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
健康保険の上限等級
・・・以 上 のような知 識 はどうすれば社 会 保 険 料 を安 くするのに使 えるか
<それでは具体策>
以 上 の理 解 に立 っていろいろな方 策 が考 えられますが、
以 下 いくつか例 をあげてみましょう。
たとえば・・・
1 . 4∼6 月 で残 業 がかさむ会 社 は随 時 改 定 でコマメに標 準 報 酬 をダウン。
2.退 職 金 で支 払 う
●中 小 企 業 退 職 金 共 済 制 度 、特 定 退 職 金 共 済 制 度 を利 用 する。
●確 定 拠 出 年 金 制 度 、確 定 給 付 年 金 制 度 を利 用 する。
3.標 準 賞 与 額 の上 限 をうまく活 用 する
4.個 人 企 業 が法 人 企 業 を設 立 or法 人 企 業 が個 人 企 業 を設 立
●法 人 企 業 の社 長 給 料 のみで標 準 報 酬 を考 える。個 人 企 業 としての所 得 は社 会
保 険 料 の標 準 報 酬 には加 算 されない。(国 民 健 康 保 険 に入 る必 要 もない。)
・事 例 個 人 所 得 500千 円 を半 分 社 長 給 料 とすると・・・・・。
5.保 険 料 率 を小 さくする
●健 康 保 険 組 合 に加 入 する
・保 険 料 が安 くて給 付 条 件 の良 い健 康 保 険 組 合 があるので、探 すこと。
6.月 末 前 日 を退 職 日 。出 張 手 当 など月 次 給 与 と分 ける。
●入 社 日 を月 初 に退 職 日 は月 末 の1日 前
●出 張 手 当 などは清 算 都 度 の支 払 いにする。
(他 に、事 業 主 の恩 恵 で支 給 される見 舞 金 、結 婚 祝 金 、健 康 保 険 の傷 病 手 当 金 ・
出 産 手 当 金 、労 災 保 険 の休 業 補 償 手 当 金 など)
7.パートアルバイトの上 手 な雇 用 も効 果 的 でしょう。
ただパートさんを社 会 保 険 の節 約 に雇 うというのではなく、仕 事 の内 容 を正 社 員 に
劣 らずこなす戦 力 とするためには
・
パートの定 着 化 と戦 力 化
●新 人 パートには教 育 担 当 を必 ずつける
●作 業 マニュアル、業 務 標 準 書 を整 備 する
こういった一 手 間 が会 社 の質 の向 上 につながります。
8.60∼64 歳 高 齢 者 の雇 用 高 年 齢 雇 用 継 続 給 付 と在 職 老 齢 年 金 を活 用 する。
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→詳 細 はご依 頼 により個 別 に計 算 できるのもですが、制 度 の概 要 は以 下 のとおりです。
●在 職 老 齢 年 金 制 度
60歳 から働 きながら年 金 がもらえる制 度
(総 報 酬 月 額 相 当 額 と年 金 月 額 の合 計 が28万 円 を超 える分 の1/2を年 金 からカット。
標 準 報 酬 が48万 円 超 は全 額 カット。)
●高 年 齢 雇 用 継 続 給 付
60歳 を過 ぎて25%を超 えて賃 金 が下 がったら、下 がった割 合 に応 じて下 がった賃 金
の15%を上 限 に給 付 金 が支 給 される。
・高 年 齢 雇 用 継 続 基 本 給 付 金
被 保 険 者 期 間 5年 以 上 →65歳 まで給 付
・高 年 齢 再 就 職 給 付 金
被 保 険 者 期 間 5年 以 上
基本手当支給残日数
100日 ∼200日 未 満 → 1年 間 支 給
200日 以 上
→ 2年 間 支 給
社 会 保 険 料 を節 約 するためには、従 業 員 の勤 務 体 制 や
年 齢 によってさまざまな方 法 が考 えられます。
従 業 員 は会 社 の資 本 です。給 与 を下 げるという単 純 な方 法 で社 会 保 険 料 を安 く
あげるのでは、長 期 的 には会 社 のプラスになるとはいえません。
従 業 員 のやる気 をなくし、よい人 材 の流 出 にもつながるでしょう。従 業 員 を大 切 にし、
今 ある制 度 内 容 をうまく利 用 したかしこい社 会 保 険 料 の納 め方 を提 案 します。
※なお、具 体 例 などの記 載 内 容 は、企 業 の内 容 によって個 別 に配 慮 しなければならない
点 が出 てくる可 能 性 があります。例 そのままのご使 用 が可 能 なのか、またそれが一 番 効
果 的 なのか等 は個 別 ケースによりますので、上 記 記 載 は参 考 までにご覧 ください。
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