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分 で凍 るか 、 とい う実験 か ら得 られ た もので ある。 したが って、 風速 lmに つ
いて 約 1℃ 体 感温 度が下が る とい うのは、裸 体 の 状態で の 話 と考 え るべ きで あ る。
下 方 、実 際 の 山で は、 風雨 の 際 には、 衣 類 を着 た 上 に雨 具 を着 る。 した が っ
て 、気温 が 5度 で 風速 20mの 時 に体 感温 度 が マ イ ナス 15度 にな るか とい えば、
そ うで はな く、実 際 の体 感温 度 は も う少 し高 い はず で あ る。
今 回 の事 故 にお い て も、 気 温 と風 速 か らだ けで はな く、衣 類 によ る 防風 ・ 防
寒 の 効 果 を加 味 した上で 考 え る必 要 が あ る。 生 還 者 の コ メ ン トを見 る と、 自主
的 に フ リー ス や ダ ウ ンの ジ ャケ ッ トを着 た り、 レス キ ュ ー シ ー トを身 に着 けた
人が 何 人か い るが 、そ れ を しなか った人 との 間 で 体 温 の 低 下 に差 が 生 じ、 ひ い
て は生死 を分 け る一 要 因 とな った ことも考 え られ る。
な お 、風 につ いて は、体温 を低 下 させ るだ けで はな く、風 に逆 らって歩 く場
合 には莫大 な エ ネル ギ ー や筋 力 を使 い 、疲 労 を 早 め る とい う問題 もあ る。 これ
につ い て は後述 す る。
3.濡 れ
水 は空 気 の 24倍 ほ ど熱 伝導 率が高 い。つ ま り身体 が濡 れ て い る時 には、そ う
で な い 時 よ りもは るか に体温 が失 わ れや す い。 水難 事故 の 場 合 には、 前 述 の よ
うに、水温 が 20℃ 以下で あれ ば低体 温症 が起 こ り得 る。 個 人差 も大 き いが 、平
均 的 に l■‐
図 1に 示す よ うに、水温 が 15℃ の 場合 は 4∼ 5時 間、10℃ の 場合 には 2
∼ 3時 間、 5℃ で あれ ば 1∼ 2時 間程度で死 亡 す る とされ る。
今 回 の事 故 当 日には、雨 は あま り降 って い な か った との報 告 が あ る。 また 、
'衣
生還 者 の 証 言 で も 服 は濡 れ て は い なか った とい う人 も い る。 た だ し、 前 日は
終 日雨 で 、衣類 もかな り濡 れ た とい う証 言 が ほ とん どで あ る。 したが つて 、事
故 当 日に衣 類 が どの程 度乾 いて いた のか は検 証 す る必 要 が あ る。 また、 た とえ
衣 類 は乾 い て い た と して も、 足 (靴 )や 手 に関 して は、 ほ とん どの人 が濡 れ て
`
い た と考 え られ る。
今 回 の事 例 で は、渡 渉後 に急速 に衰弱 した 参 加者 が い る。 また 、若 くて体 力
が あ るはず のガ イ ドが低 体温 症 に陥 り、意 識不 明 の 状態 で 救 出 され て い るが 、
彼 は渡渉 中 に転倒 してずぶ 濡 れ にな って い る。
な お 、 濡 れ につ いて も、風 によ る冷却 と 同様 、遭 難 者 は裸 体 で はな く衣 類 や
雨 具 を着 て い た、とい うことを考 慮す る必 要 が ある。つ ま り、気温 が 5℃ で 雨 に
濡 れ たか らとい って 、5℃ の水 に浸 か り続 けたわ けで はな い ことにな る。水 難事
故 で 水 に浸 か って い る状 態 で も、衣 類 はで き るだ け着 て お く方 が体 温 を維 持 で
き る とされ る。 したが って 、今 回 の遭 難 の 場合 (衣 類 が濡 れ て い た とす れ ば)、
や は り重ね 着 を して い た人 ほ ど有利 で あ った ことにな る。
Ⅱ.身 体 的な要 因
寒 さ、 風 、 濡 れ とい う気象 的 (環 境 的 )な 要 因 は、低 体温 症 の 直 接 的な要 因
とな るが 、 これ と並 んで 人間 の側 の 要 因 も重要 で あ るρ 寒 さ、 風 、 濡 れ によ り
体 温 が 奪 わ れ るが 、そ れ に対 抗 して 、人 間 の 身体 は熱 を発生 し、 低 体 温 症 を 防
ご うとす る。 この熱 発 生 が十 分 で あれ ば低 体 温 症 にはな らな い が 、 さま ざ まな
理 由で体熱 の 発 生が 不 十分 で あれ ば、 低 体 温症 が起 こる。 した が って 、熱 発 生
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