第42回 視覚・放送教育研究大会更埴・長野市南部大会 音 楽 科 学 習 指 導 案 研究テーマ 自己の学びの姿をつかみながら、高めあっていける音楽科学習のあり方 ― 日 時 表現を見返すための効果的な教育メディアの活用 ― 平成22年10月29日(金) 助 言 者 東信教育事務所指導主事 授業学級 5年1組 題 材 名 グループでアンサンブル「こげよマイケル」「アンデスの青い空」 授 業 者 井口 早苗 1 研究テーマ II. テーマ設定の理由 1 III. 研究の概要 1. 1 具体的な課題で追究し、 表現を見返す 2. 個人やグループの伸びを実感できる 学習にするために 3. 2 友達の評価を受け止め、次の学習へ のエネルギーを高める子どもたち IV. 研究の仮説 武 先生 教諭 目 I. 石川 9:45~10:30 3 4 次 Ⅴ. 学習指導案 1. 題材名 5 2. 題材設定の理由 5 3. 題材の目標 5 4. 評価規準 5 5. 教材研究 6 6. 題材の指導計画 7 7. 本時案 9 8. 本時にかかわる視聴覚教材と その活用 千 曲 市 立 更 級 小 学 校 11 Ⅰ 研究テーマ 自己の学びの姿をつかみながら、高めあっていける音楽科学習のあり方 ――― Ⅱ 表現を見返すための効果的な教育メディアの活用 ――― テーマ設定の理由 本校では、重点目標である「学びの自立」と「つながりで学ぶ子」の育成のために、子ども が教材の価値を感じ取り、友達とともに学びを深め、自分の学びの成果を実感できる授業をつ くり上げることをめざして、実践・研究を積み重ねている。この授業づくりの方向は、視放研 大会主題である「広い視野をもち、新しい文化を築く心豊かな人間の育成」をめざす歩みの具 現化でもあると考えている。 音楽科では、研究テーマを「自己の学びの姿をつかみながら、高めあっていける音楽科学習 のあり方 ~表現を見返すための効果的な教育メディアの活用~」とした。そして、 ・ 楽曲の特徴に気づいたり、よさや美しさを感じ取ったりして、自分なりに表現したい思 いを持つ ・ 音楽を形づくっている要素を手がかりに、授業で何を追究するかのねらいを明確にする ・ どの子も自分の表現のあり様を見つめ、自分の課題や伸びをつかんでいくことを積み重ね る ・ その学びを友達と一緒に進め、ともに高まった喜びを共有しながら表現に向かう といった音楽の授業づくりをめざしている。 そのためには、表現の追究過程で個人やグループの表現を自分たちで見返す活動や、追究の 結果としての表現の伸びを実感できる活動を学習に位置付けていくことが大切であると考えた。 こうした活動を効果的に進めるために、次のように教育メディアを活用する方向で授業づくり を進めている。 ① レコーダーやVTRを使って表現の見返しをすることで、ねらいに即して表現の様子を 客観的にとらえ、次の表現の工夫に生かす ② デジタルポートフォリオとして、音声や映像での自分の表現の様子を記録し、自己評価 や相互評価をコメントとして記入していくことで、自分の伸びを実感する Ⅲ 研究の概要 1. 具体的な課題で追究し、表現を見返す 6月、音楽会での発表に向けて、5年生では合唱「音楽物語『ごんぎつね』」の学習で、V TRを活用した授業を行った。曲の登場人物の気持ちの変化に合った歌い方を、グループで 工夫する学習である。 曲の最後に、登場人物「兵十」の気持ちを「ごん おまいだったのか」と2回歌う場面で、 子どもたちはフォルテやクレッシェンド、テヌートなどの音楽要素に着目して、自分たちが 思い描いた気持ちを表現できるように追究を重ねた。 2回目はより強く歌いたいと、聴き合いながら何度も 練習を重ねたが、VTRを見て、「2回目、大きくな っていない」と気づき、変化をつけるとよいことを具 体的に課題としてとらえることができた。教師の助言 により1回目のブレスを抑えるようにして、聴き合い ながら練習を重ね、「1回目より変化が出て、テヌー トもできた」と課題解決に至り、自己評価をすること -1- ができた。 VTRでは映像と音声を同時に見られるが、課題が明確に持てた子どもたちは、音に集中 して追究していたと言えるだろう。ただし、機材に限りがあり、子どもが手軽に操作できな かったこともあって、歌いながら直接耳で聴いてフィードバックして追究する傾向も見られ た。 授業の終末でグループの練習の成果を聴き合ったときには、課題を共通化できていたこと から、友達の工夫を的確に聴き取ってよさを発表したり、感想に対して「ありがとうござい ます」とうれしそうに返事をしたりしていた。 これらのことから、授業で見返す場面をつくっていくために、次のような点を大事にして いきたい。 ・ 追究する音楽要素を明確にすることを大切にし、さらに具体的な表現方法のつかま せ方を工夫していく ・ 既習内容を想起して工夫につなげやすいように、音楽要素を視覚化しておく(「音楽 の調味料」) ・ グループ学習で、表現を聴き合ってフィードバックし友達の感じ方を表現に生かし たり、みんなでできたよさを感じ合ったりできるようにする ・ 2. できるだけよい音質で、音声のみの録音による見返しを手軽にできる環境を整える 個人やグループの伸びを実感できる学習にするために 子どもたちは、表現を工夫したり、聴き 録音 合ったり、学習カードで歩みを記録したり してきたことで、その楽しさを味わい、表 自 次 分 の た 課 ち 題 の 演奏の録画 現意欲を高めてきたが、さらに、長い期間 での学習記録を残し、個人やグループの伸 自分たち ★★☆☆☆ 友達から ★★★☆☆ びを実感できるように、デジタルポートフ ォリオの活用を考えた。 友達からのコメント 〈1サイクル分のポートフォリオのイメージ〉 パソコンのグループウェアを利用したデ ジタルポートフォリオで表現の振り返りをするメリットは、同時に閲覧や書き込みができ、 個人のペースで表現を見聞きしたり、感想を書いたりすることができることである。したが って、どの子も、継続的に見返しをし、互いの意見を交換できる学習にすることができるの ではないか。パソコンというツールを使うことで、こうした活動が効率的、効果的にでき、 みんながかかわれる協働学習にできるのではないかと考えている。 日常の授業でVTRによる表現の見返しをしていると、子どもたちは「おこったような顔 で歌っている」などと、がんばって歌っているだけでは伝わらないことにも気づいている。 VTRで映像と音声を同時に見ることは、次のような利点があると考えた。 ・ 音声の表現に着目して聴くことができる ・ 姿勢、口型、楽器の奏法などの技能を見られる ・ 表情や身体の動きなどの表現を見ることができる ・ だれが表現しているのか、表現の主体を身近に感じられる そこで、デジタルポートフォリオには、音声とともに、VTRの記録を載せるようにした。 -2- 単元の中でのデジタルポートフォリオの位置付けは、次のように考えている。 ① 鑑賞で「こんな演奏にしたい」という共通の意識を持つ。 ② 毎時間、学習課題=評価の観点を具体的にもって学習する。 ③ 単元の初めの段階、一応できるようになった中間の段階、曲想を工夫する終わりの段 階の3場面をめやすに、録画と録音の記録を残す。 ④ 録画や録音の記録を視聴しながら、グループの自己評価や他のグループへの感想を加 える。自分たちの次の課題を明確にするとともに、変化してきたよさを感じられるよ うにする。 3. 友達の評価を受け止め、次の学習へのエネルギーを高める子どもたち 5年生「グループでアンサンブル」の学習で、実際にデジタルポートフォリオ上で、最初の 自分たちの演奏に対するコメントを読んだ子どもたちの反応は、次のようなものであった。 ○ 良かったところを指摘されて ・よかったねえ。 ・ワーオ、うれしいねえ。 ・すげえ!こんなことできてたんだ。 ・おーっ、星がたくさん。 ・○君、ありがとう! ・やったー、おれだよ。 ・おれは何も評価されてないよ。 ○ 直すとよいところをアドバイスされて ・なるほどねえ。 ・高い音を入れた方がいいのかなあ。 ・ねえ、バスマスターの音、あれでいいよね。聞こえたよね。 ・一度聞いて、確かめてみようか。 一通りコメントを読みあった後には、評価された自分たちの演奏を何度も聞き返し、 「少し音 程やリズムがずれている」と指摘されたところを見出したり、全体のバランスをよくするため の工夫を話し合ったりしていた。 これらの反応から、次のようなことがいえるであろう。 ① それぞれのグループで、短い時間に多くの情報を得て、感じたことを出し合っている。飾 らない率直な言葉でグループ学習を進め、学習のスピードが速い。情報を生かして、積極 的に話し合う態度も評価していきたい。 ② 自分たちの課題にしたこと(演奏のバランス、音程やリズムがそろう じ(アンデスにいるみたい、ゴスペルに近づける 等)や表したい感 等)について、認められたことに対す る喜びが大きい。また、直すとよいとアドバイスされたことに対しては、しっかり受け止 め、納得してから次の課題につなげようとしている。①とともにデジタルポートフォリオ の効果であると考えられる。 ③ どうすればバランスがよくなるか、ずれなくなるか等、具体的な方法はこれだけでは見出 しにくいので、教師の具体的な助言が必要である。 ④ 録音での聞こえ方や友達のコメントとは別に、自分たちが演奏したときの生の感じも大事 にしている。これは、演奏を見返すときにも生かされている。 ⑤ グループの課題に対しての関心が高いが、その中での自分の演奏への評価をも求めている。 アンサンブルの中で、個人の評価を位置付けられるような工夫が必要である。 -3- Ⅳ 研究の仮説 このような子どもたちに ・ 歌を楽しんで歌える児童が多い。 ・ 合奏では、友達と合わせることの難しさが分かり、合わせられたときには楽しさを感 じて演奏できる。 ・ 少人数で演奏することで一人ひとりが表現するよさを感じ、力がついてきたと実感し ている児童が多い。 ・ 自分たちで評価し次の課題を見出す経験が少なかったが、工夫した演奏を聴き合って 感想を言い合うことを通して、自分たちで高めあう楽しさを感じてきている。 ・ 楽譜から曲想を工夫する経験が少ないが、強弱や速度などを工夫して味付けすると曲 を楽しく演奏できると感じてきている。 こんな手だてをすれば ・ 自分たちが表したい思いが表現できる音楽要素に着目して練習する。 ・ 演奏を録音して聴き返し、次の練習につなげる。 ・ 自分たちや他のグループが課題を持って練習した演奏を見返し、自分なりに気づいた ことをノートに書いてネットワークで伝えあう。 こうなるだろう ・ 楽曲のよさが表れるように音楽要素を工夫して表現する力が身につき、自分の声や音 程などに自信をもって表現できるようになるだろう。 ・ 自分の願う表現ができた喜びを深めることができるだろう。 ・ 自分や友達の見返しをもとにして演奏を高める楽しさを感じ、自分たちで工夫して表 現を高める学習態度が身につくだろう。 -4- Ⅴ 学 習 指 導 案 日時 平成 22 年 10 月 29 日(金)第 2 校時 場所 音楽室(家庭科室・会議室) 学級 5 年 1 組(男子12 名 女子5 名 計17 名) 1 題材名 グループでアンサンブル 教材名 「こげよマイケル」 「アンデスの青い空」 2 題材設定の理由 5 年 1 組の子どもたちは、合唱・合奏活動に大変意欲的に取り組むことができる。また、6 月の音楽会で曲想を考え て場面にあった歌い方を工夫したり、強弱をつけて合奏を楽しんだりすることができた。前題材「すてきなハーモニ ー」では、オーケストラ演奏や様々な種類の合唱を鑑賞することで、音の重なりの響きの美しさを素直に感じること ができる子どもたちである。 そこで、ゴスペルの美しいハーモニー・ノリのあるシンコペーションのリズム、アンデスの民族楽器の音色や同じ リズムの反復など特徴的な「こげよマイケル」 「アンデスの青い空」をグループでアンサンブルする場面を構想する。 2曲ともに、同じリズムの反復であり、旋律も単純な繰り返しで子どもたちも取り組みやすく、鑑賞CDでゴスペル や民族楽器の演奏から感じた「かっこよくて・楽しい」を目指して、グループごとに工夫し演奏できると考えた。 楽曲の特徴を感じた子どもたちが、各パートのバランスや全体の速度、強弱などをICレコーダーで録音し、聴き 返しながら少人数のグループで音の重なりを工夫し、グループごとに自分たちの願う演奏を試しながら追究していく 姿を願って本題材を設定した。 3 題材の目標 (1) 形態の違うアンサンブルに興味をもち、進んでグループ活動ができる。 【関心・意欲・態度】 (2) 楽曲の特徴を聴き取り、音の重なりやリズムの反復を感じとりながら、 「こげよマイケル」 「アンデスの青い 空」にあった表現を工夫することができる。 【音楽の表現の創意工夫】 (3) 曲の特徴(シンコペーション・リズムの反復)を生かし互いの音を聴きながら演奏できる。 【音楽表現の技能】 (4) 曲想や演奏形態の特徴を感じ取りながら聴くことができる。 【鑑賞の能力】 【学習指導要領の指導内容との関連】 A表現 (1)歌唱 イ 歌詞の内容、曲想を生かした表現を工夫し、思いや意図をもって歌うこと。 エ 各声部の歌声や全体の響き、伴奏を聴いて声を合わせて歌うこと。 (2)器楽 イ 曲想を生かした表現を工夫し、思いや意図をもって演奏すこと。 エ 各声部の楽器の音や全体の響き、伴奏を聴いて音を合わせて演奏すること。 B 鑑賞 ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして、楽曲の特徴や演奏のよさを理 解すること。 4 評価規準 ア 音楽への関心・意欲・態度 イ 音楽表現の創意工夫 ウ 音楽表現の技能 エ 鑑賞の能力 a グループのアンサンブ a 美しい響きや楽しい演 a 自分のパートの音やリ a いろいろな表現形態の ルづくりに積極的に取り 奏を目指して、音色の組 ズムを正確に歌ったり、 アンサンブルを聴き、そ 組んでいる。 み合わせやバランスなど 演奏したりしている。 れぞれの特徴つかんでい を工夫している。 b お互いの音の重なりや る。 b 楽曲の特徴に合ったリ リズムを感じながら、合 b 他のグループのアンサ ズム・強弱・速さを工夫 わせて演奏している。 ンブルの特徴や良さを感 している じながら聴いている。 -5- 5 教材研究 a)児童の実態 5年1組の子どもたちは、音楽会で合奏・合唱に取り組み、リズムや曲調の変化を感じながら、音の重なりを感 じ始めている。また、 「ごんぎつね」では、場面に合った歌い方を考える活動で、音楽の要素を《音楽の味付けの調 味料》と呼んで、登場人物の心情に合う調味料を使って歌い方を 工夫した。 「瀬戸内少年野球団のテーマ」の合奏でも、同じ旋律の 繰り返しを、同じように演奏しても、聴いている人は楽しくワク ワクしないので、強弱という調味料を使って演奏に変化をつけて みた。子どもたちは、聴く人を意識して、その曲に合った調味料 を使い工夫することの楽しさも感じ始めている。 「こげよマイケル」 「アンデスの青い空」は、音の重なりという 縦のつながりと、同じリズムの反復という横のつながりを意識で き、子どもたちが「かっこよくて・楽しい」と感じられる曲であ る。そこで、少人数のグループでアンサンブルする活動で、お互 いの音を聴きながら、音の重なりやリズムを意識し、強弱・速度 を工夫して演奏する力を育てたい。 b)素材研究と教材化 「こげよマイケル」 原曲は「Michael Row Your Boat Ashore」で有名な黒人霊歌の一つ。黒人霊歌は、アメリカ合衆国で黒人が奴 隷として困難の時代に作られた音楽で、歌詞は旧約聖書からとられたものが多い。ヨーロッパ系の音楽とアフリ カ系の音楽が融合したその独特な魅力がある。 体で音楽を感じ、後打ちのリズムで手拍子などでリズムを感じながら、自分たちなりの表現を楽しむことができ る楽曲である。 「アンデスの青い空」 南アメリカのアンデス地方のアマライ族の祭で演奏される舞曲で、高地の空気や土の香りが感じられるような 素朴なもので、そのリズムは体の自然な動きを誘う。 体で音楽を感じ、速度・強弱を工夫し、自分たちなりの表現を楽しむことができる楽曲である。 こ げ よ マ イ ケ ル 青 ア い ン 空 デ ス の 教材の価値 ・ 一部形式 A(aa’)でユニゾン とアンサンブル部分が交互に出て くるので、音の重なりを感じやす い。 ・ 弱起の曲でシンコペーションの リズムの曲なのでノリやすく身体 表現も工夫することができる。 共通事項 縦と横の関係 リズム 和声の響き 速度 音色 リズム ・ 旋律とその他の副旋律は、それ 反復 ぞれ同じ形の繰り返しなので、縦 の重なりを意識してリズムを揃え 縦と横の関係 やすい。また、速度や強弱を工夫 音の重なり リズム しやすい。 ・ 4パートに分かれていて音の重 強弱 速度 なりを感じやすい。 -6- 教材の価値と〔共通事項〕を関連付けた学習活動 〇 スコアメーカーで音をとりながらパート練習をし てパート内の音程やリズムをそろえていく。 ○ グループで、音の重なりを IC レコーダーで録音し 聞き返し、音程が正確にとえて音の重なりがよい かを確認し、バランスを工夫する。 ○ 自分たちが感じた「かっこよさ」を表現するため に、どのくらいの速度で後打ちの手拍子を入れた らよいか工夫し練習することでシンコペーション のリズムにのる楽しさを感じる。 ○ パート練習をしてパートごとに音色やリズムをそ ろえていく。 〇 リズム打ちをし、同じリズムがある部分を確認し 合わせていく。 ○ グループで、音の重なりを IC レコーダーで 録音し聴き返し、バランスを工夫する。 ○ 自分たちが感じた「楽しさ」を表現するために、強 弱や速度を工夫し練習することにより同じリズム の反復の面白さを感じる。 6 題材の指導計画 時 主な学習活動 主な教師のかかわり【評価規準】 第一次 ねらい いろいろなアンサンブルを楽しもう 1 (1) 「こげよマイケル」 「アンデスの青い空」の範 ○ 曲を聴いて、曲想や演奏形態の違い 2 唱CDを聴き感想を出し合う。 に着目した友達の意見から、曲の特徴 (2) もとになっている曲を知るために「こげよマ に気づくようにする。 イケル」 「アンデスの青い空」2曲を鑑賞する。 〇 鑑賞 CD を聴き、子どもたちが楽曲の どこに興味をもち魅力を感じているか (3)2曲の中から自分の取り組みたい曲を選びグル を子どもたちの言葉からまとめていく ープを作る。 ことで、自分たちの目指す演奏を明確 にする。 ○ 自分で取り組みたいアンサンブルに 取り組めるように、子どもたちの意思 を尊重してグループ作りをする。 【エーa】 第二次 ねらい 声・楽器で音の重なりやリズムを感じてアンサンブルをしよう 声のアンサンブル 楽器のアンサンブル ○ 今まで学習したことを想起させ、ど んな手順で練習をすすめたらいいか (1) 主旋律を歌詞唱す (1) 主旋律・副旋律 考えさせ助言していく。 る を練習する 3 ○ 歌のグループは、パートの音取りの (2) スコアメーカーを (2) リズム打ちをし 段階ではスコアメーカーを使用し視 使ってパートごと ながらそろえて 4 覚でも音程やリズムを確認してい に音をとり練習す いく き、自信をもって歌えるようにする。 る。 (3) 音の組み合わせ 5 (3) スコアメーカーを を考えて演奏す ○ ICレコーダーでの録音を聴き返す 活動をすることで、自分の音がとれ 使って音をとりな る楽器の組み合 ているか、バランスはどうかを確認 がら二部合唱する わせを考える。 することができるようにする。 録画① 自分のパートの練習をし、初期の時点で、デジカメ 【アーa ウーa b】 で録画し、グループの記録をスタディーノートに(学 習ノートとして)貼り付けていく ○ スタディーノートに 2 回グルー プの記録(画像と音声)を貼り付け、 自分たちの演奏の伸びを感じられるよ (4) ・ 伴奏に合わせて二 (4) バランスを工夫 6 うにする。 部合唱する。 し演奏する。 ・ 他のグループへの感想を全員が ・ 伴奏は音量をだん ・ 楽器の音の高さ 7 貼り付ける。 だん小さくして歌え を工夫する。 ・ 友達からの感想を見合うこと るように練習する。 ・ 全体のバランス で、次への課題を明確にする。 を工夫する。 ○ 友達からの意見を参考に自分たちの 録画② 歌グループは音がとれるようになり、合奏グープはバ 演奏の課題をIC レコーダーで録音し ランスが整った時点で、デジカメで録画し、グループ 聴き返し練習する。 の記録をスタディーノートに(学習ノートとして)貼 【アーa イーa ウーa b】 り付けていく。 8 (本時) (5) 仕上げの味付け (5) に使う調味料 (楽しくノリノ リにする手拍子 や指パッチンな ど)を工夫する 仕上げの味付け に 使 う 調 味 料 ○ 仕上げの味付けをするために、どの 調味料をつかうかグループで話し合 (強弱・速度な い練習する。 ど)を工夫する ○ 味付けを、IC レコーダーで録音し聴 (歌グループは録画 き返し練習する。 -7- ICT活用 CD ICレコーダー アンプ スコアメーカー デジカメ スタディーノート 録画③ 味付けができた時点で、デジカメで録画し、グルー プの記録をスタディーノートに(学習ノートとし て)貼り付けていく。 9 (6) 友だちの感想を (6) 参考に、最後の 練習をし、リハ ーサルする。 を見直す) ○ 録音(画)②と比べて味付けがつい ているのが分かるか聴きあうように する。 ○ 仕上げの味付けがはっきり聴く人に 伝わるように練習する。 友だちの感想を ○ 友だちの感想を参考に、自分たちの 参考に、最後の 仕上げの味付けが、聴く人に伝わる 練習をし、リハ 演奏にするために、どこを最後に練 ーサルする。 習すべきか明確にして練習する。 【アーa イーa b 】 第三次 ねらい アンサンブル発表会をしよう 10 (1) 発表会の聴き合うポイントを確認する。 (2) 各グループの発表を聴く。 ○ 聴き合う観点(味付け)をわかりや スタディーノート すくまとめた用紙を作って、他のグル 電子黒板 ープの発表を聴き評価し合う。 ビデオ ○ 発表では、スタディーノートのポス ター機能を使い、練習の経過やグルー プの伸びが分かるように録音①と比べ 発表するようにする。 【エーb】 -8- 7 本時案 (1) 題材名 「グループでアンサンブル」 (2) 主眼 グループの演奏で、どんな調味料を使うか決めた子どもたちが、仕上げの味付けをする場面で、ICレコーダーや ビデオを使って、聴き返しながら練習することを通して、自分たちのねがった演奏ができるようになる。 (3) 本時の位置(全 10 時間扱い中の第8時) 前時…歌グループは、無伴奏で合唱できるように練習し、合奏グループは、バランスを工夫した後それぞれ録画し、 ポスター機能で友だちからの意見も聴き、より「かっこよく・楽しい」演奏にするために、最後の味付けで どんな調味料を使えばよいか話し合った。 次時…スタディーノート(ポスター)で味付けの確認をし、発表会に向けてリハーサル練習を行う。 (4) 指導上の留意点 ・ 3つの場所に分けてグループ練習する。(歌…家庭科室 合奏①…音楽室 合奏②…会議室) ・ 「かっこよく・楽しい」演奏をめざし、本時のグループの練習課題を明確に意識できるように、グループごと の練習計画の楽譜を掲示しておく。 ・ 電子黒板・IC レコーダー・ビデオなどの ICT 機器がスムーズに使えるように準備する。 (5) 展開 時間 段階 学 習 内 容 予想される児童の反応 1 前時話し合っ ・ 前時の自分たちの た最後の味付け グループで話し合 に使う調味料や った、今日の課題を 導 道具を確認す 確認するだろう。 る。 仕上げの味付けをしよう!! 入 ≪子どもが考え た味付け》 歌:ノリノリに歌おう。 (リズムにのって) 合奏1:のんびりから素早く(速さ) 合奏2:だんだん盛り上がろう(速さ・強弱) 学習課題 ICレコーダーで聴き返しながら、 自分たちの願った演奏をするために 味付けの道具を使って練習しよう。 3 -9- 指導・□評価 〇 「かっこよく・楽しい」演奏を目 指して、本時の課題(最後の味付け) をグループごとの楽譜を見ながら 確認する。 ○ グループ練習での課題を一人一 人がはっきりつかめるようにする。 《味付けをつける道具》 歌グループ ・ 手拍子、指パッチンをつけて 歌うことで、4 人がリズムに のって歌えるようにする。 合奏1グループ ・ テンポの確認ではメトロノー ムを使う。 ・ 速さの変わるきっかけを誰に そろえるかを意識して演奏 させる。 合奏2グループ ・ 強弱をつけるときのマレッ トの持ち上げ方、キーボード のボリュームに着目させる。 ・ だんだん速くするときは、一 番速く演奏できる所をピー クにし、逆算して最初の速さ を決める。 使用機器等 フラッシュ カード 電子黒板 展 2 グループごと に仕上げの味付 けを、合奏グル ープは、ICレ コーダーを使っ て録音、歌グル ープはビデオで 録画して聴き (観)返しなが ら願った演奏に なっているか繰 り返し練習す る。 ・ 聴く人に分かるように 味付けしよう。 ・ 録音してできたか聴いて みよう。 ICレコーダー スピーカー ○ 手拍子がばらついてしまったら、 ビデオ 伴奏に合わせて手拍子だけ打って 大画面テレビ みるように助言する。 ○ 音程が不安になってしまったら、 スコアメーカーで各パートの旋律 に合わせて歌ってみるように薦め る。 ○ 裏拍の手拍子が難しい子どもが いる場合は、円になってみんなが見 渡せるように並ばせる。 ○ 歌グループのビデオ録画は、教師 が補助する。 【歌グループ】 ・ 手拍子をお互い見あい ながら打つとリズムが そろいそうだ。 開 ・ 手拍子だけでなく、身体 を一緒に動かすと、もっ とノリノリになるんじ ゃないかな。 【合奏①グループ】 ・ のんびりと素早くの速 〇 強弱がはっきりついていない場 さを、どれくらい違いを 合は、教師がハンドサインを使って 出すかやってみよう。 視覚的に意識させる。 ・ もっと速くても演奏で 〇 合唱・合奏とも出だしに揃えてブ きそうだ。 レスすることで揃うことを助言す ・ のんびりをもっと遅く る。 してみれば、速くなった 〇 速さの味付けをしたい場合は、手 のがよくわかるんじゃ 拍子を入れてみるように助言する。 ないかな。 必要によっては、メトロノームを使 【合奏②グループ】 うようにすすめる。 ・ 強弱の味付けは、弱く演 奏する部分を注意しな いと大きくなっていか なかったなあ。 自分たちが願った演奏をし ・ マレットの上げ方でそ ようとしている。 ろえてみようか。 (歌声・演奏・表情や身体 ・ もっと極端につけてみな の動き) いと聴いている人に伝わ らないよ。 22 ま 3 今日のまとめ ・ 録音(画)②と違いが分 ○ スタディーノートのポスター機 電子黒板 と をする かるように演奏しよう 能を使い録音(画)②を聴き(観) デジカメ め とするだろう。 返し味付けがしっかりついている ICレコーダー ・ 各グループの味付けが か聴き合うようにする。 伝わるか真剣に耳を傾 ○ 他のグループが、味付けがよくわ けて聴くだろう。 かる演奏だったか感想を発表させ ・ 味付けがしっかりつい る。 て聴こえたよ。 ○ 発表時に録画・録音しておき 3 回 ・ もうちょっとしっかり 目の記録とする。 味付けしたらもっとよ ○ 学習カードに個々の感想を記入 くなるのにな。 20 させる。 (6)実証の観点 ① 児童が工夫したいと願った演奏が実現できるために、音楽要素として用いた調味料や具体化する道具、教師の 支援は適切であったか。 ② 自分たちが考えた味付けができたかを感じ取るために、録音を聴き返しながら練習させたり、録音(画)②と比 べて聴かせたりしたことは効果的であったか。 - 10 - 8. 本時にかかわる視聴覚教材とその活用方法 ① デジタルポートフォリオ ・ コンピュータのグループウェア(スタディノートを使用)のポスター機能を使う。1枚のポスター画面上に、 各グループの演奏動画、演奏音源を貼り付け、演奏に対するコメントを各自が貼り付ける。 ・ 動画は、データが大きすぎないようにデジタルカメラで撮る。また、音質のよい音声が聴けるようにICレコ ーダーで録音した音源も併用する。 ・ 自分のグループの演奏を振り返ったり、友達のコメントを読んだりして、課題が達成できたかを評価し、次の 課題を決め出す。 ・ 単元の3つの節目(音とりができた・演奏のバランスがとれた・味付けの工夫をした)で、デジタルポートフ ォリオによる振り返り学習をする。 ・ 本時では、まとめの段階で、電子黒板上でデジタルポートフォリオを見て、以前の演奏や本時の課題を振り返 った上で、生の演奏を聴き合う。 ② ICレコーダーでの聴き返し ・ 自分たちの願った演奏に近づくことができたのか、練習過程ではICレコーダーで自分たちの演奏を録音し、 その場で聴き返してきた。 ③ 楽譜編集ソフトウェアを使った音とり ・ 楽譜を取り込んで演奏させることで、主に合唱の音とりに活用。児童が必要に応じて使う。 - 11 -
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