http://www.atect.co.jp/ 4241 アテクト 小高 得央 (コタカ ノリオ) 株式会社アテクト社長 半導体資材・衛生検査器材の 2 事業を柱に新事業開発に挑む ◆2011 年 3 月期第 2 四半期決算の概要 売上高は前年同期比 1%減の 16 億 66 百万円、営業利益は同 1.7%増の 31 百万円、経常利益はマイナス 18 百万円、四半期純利益はマイナス 50 百万円という結果になっている。売上高は前年同期とほぼ同じとはいうもの の、1%の減についてはもう一度見直さなければならないと考えている。 セグメント別では、まず半導体資材事業の売上が 8 億 15 百万円(前年同期比 5.3%減)となった。4 月、5 月は受 注が好調で、出荷ベースでは過去最高を更新するという局面もあり計画は達成できるものとみていたが、第 2 四半 期の 8 月中旬以降受注が落ち、9 月には明確に受注減という状況になった。当社は液晶テレビ、プラズマテレビ、 パソコン用の液晶モニターなどで使われるドライバーLSI をはじめ、IC などの基盤を保護する資材を扱っており、顧 客のほうで在庫が積み上がってしまった。そのため、当社は生産を落としていたが、11 月半ば、減産に入っていた 台湾のほうから徐々に注文が入り始め、今のところ第 4 四半期には回復できるきざしが出てきている。半導体資材 事業は大きく変動するビジネスなので、当社としては、日本でほぼ 100%、台湾では 90%以上の現在のシェアを守 りながら、40%弱の韓国でのシェアをしっかり伸ばさなければならないと考えている。 衛生検査器材事業は売上高 6 億 87 百万円(前年同期比 0.2%減)となった。この分野は毎月 60 社から 70 社の 新規顧客の獲得があり、現在顧客数は 1 万 1,000 社を超えている。しかしこの数になると、ナショナルブランドの食 品メーカーは既に開拓済みとなり、新たに獲得する顧客は全国津々浦々の小規模あるいは中規模の会社が多い ため、顧客当たりの単価は低下する傾向がある。したがって、新規の商品を投入するなどして顧客との深いつな がりをつくっていくことに注力していきたいと考えている。 新規 3 事業のプラスチック造形・ポリマー微粒子・PIM(パウダー・インジェクション・モールド)は先行投資がまだ 続いている状態で、衛生検査器材が頑張っているものの、カバーし切れず、営業利益も計画に比べ、下回る結果 となった。 まずプラスチック造形事業は売上高 1 億 45 百万円(前年同期比 34.5%増)となった。これは子会社のダイプラ (プラスチック成形会社)が担っている事業で、第 1 四半期後半に受注が戻り、第 2 四半期にはようやく黒字に転換 したが、まだ累計のマイナスを埋めるには至っていない。この好調がどこまで維持できるかが今期の収益を左右す ることになる。ポリマー微粒子事業は売上高 16 百万円(同 38.8%減)。これはプラスチックの粉をつくる事業で、自 動車の試作に使われる材料、あるいは半導体の封止材の原材料になるものである。自動車の試作で使われる造 形用の材料は国内での営業はほぼ完了したが、自動車会社の試作費抑制などがあり、受注が減尐した。PIM 事 業は売上高 7 百万円で、この分野はスタートしたばかりでまだ開発中であり、投資が先行している状態である。 設備投資については、既存事業では効率化を図るための最低限の投資に絞り、メインは金属およびセラミック 部品をつくる PIM 事業となっている。 本著作物の著作権は、社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。 ◆事業別の今後の展望 今期から 2014 年 3 月期までの中期の経営計画としては、最終的に売上 100 億円のラインを突破したいと考えて いる。一番大きく伸びるとみているのは PIM 事業になる。 PIM 事業の展望としては、まず自動車関連でしっかりと伸ばしていきたい。例えばターボチャージャー。現在ター ボを用いたディーゼルエンジンは、ヨーロッパにおいて環境対策のメインとなっている。世界では年間約 3,000 万台 分のターボチャージャーがつくられていると言われている。このターボチャージャーの世界におけるメインメーカー は 4 社で、1 番目がアメリカのハネウェル、2 番目が同じくボルグワーナー、3 番目が日本の三菱重工業、4 番目が IHI 石川島播磨となっている。この 4 社で 3,000 万台の市場を分け合っている。 この分野では 現在さらに高出力で小さい軽いローターが求められており、チタンをベースにした合金でターボ チャージャーをつくることが模索されている。チタンの比重は鉄の半分以下で、これでターボチャージャーをつくれ ばローターは非常に軽いものになり、加速しやすいエンジンになる。そのために軽いものが欲しいというのが一つ のニーズになっている。 もう一つ、ガソリン自動車にもターボチャージャーを積みたいというニーズがあるが、これにも耐熱性が高いチタ ン合金をベースにしたターボチャージャーが求められている。 現在インコネルという鉄ベースの材料でつくられたターボチャージャーが 1 個約 1,000 円で取引されている。チタ ン合金のターボチャージャーのローターで鋳造されるものは 15 倍の 1 万 5,000 円と言われる。ここに当社としては 商機を見出している。競合相手はいるが、当社はこの合金をつくるプロセスをしっかり築くことでビジネスを成功さ せたいと考えている。 ポリマー微粒子事業のほうは中国への展開も始まっているので、来期は数字を上げるものとみている。 ◆質 疑 応 答◆ 上期の未達部分が通期で修正されていないが、後半で挽回できる見通しなのか。 非常に不透明なので今回は修正をしていない。逆に台湾が回復した場合等のことも考慮すると、半導体の動き が読み切れない。そのため、通期部分は修正していない。 台湾への拠点の設立のほかに大陸には液晶の供給基地として何か考えているのか。 上海では、衛生検査器材事業で既に事業拠点を設けて受注が始まっている。電話のセールスで中国企業にコ ンタクトをとり、およそ 200 社から、中国で本格的に領収書が発行できるようになったら買うという返事をもらってい る。この上海を拠点に、当社は現在約 20 万社の食品会社のリストを持っており、いずれ 1 万社を超える顧客を獲 得できると考えている。台湾と上海の両拠点夫々が上手く軌道に乗れば相乗効果が出てくることになる。 PIM 事業のタイムスケジュールとかマーケットのスケールを紹介してほしい。 PIM 事業全体では、向こう 4~5 年の見通しとして尐なくとも 40 億円の売上を目指したい。そのうちのおよそ半分 をチタン製のローターで、残りをヒートシンクで出すという考えでいる。2011 年後半から 2012 年に向けて荷動きが 始まると期待している。 (平成 22 年 11 月 22 日・東京) 本著作物の著作権は、社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。
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