宇都宮大学 工学部 8 号館 ( 建設学科棟 ) 改修

宇都宮大学
工学部 8 号館 ( 建設学科棟 ) 改修
設計:宇都宮大学安森亮雄研究室
+教育施設研究所+総合設備コンサルタント
総括・監理:宇都宮大学施設課
施工:浜屋組(建築)、
和田工業(空調・衛生)、光陽電気工事(電気)
宇都宮大学安森亮雄研究室
〒 321-8585
栃木県宇都宮市陽東 7-1-2 宇都宮大学工学部 8 号館 2 階
tel/fax 028-689-6185
e-mail [email protected]
多様な仕上げを用いた地域産の大谷石壁とエントランスラウンジ
エントランスラウンジと連続するテラス
協働・講評コーナーを中心に2∼4年の製図机が配置されたデザインスタジオ
南面ファサード
旧階段教室に増床した大講義室と耐震ブレース
校舎改修における空間の流動化
築 34 年の建設学科校舎の改修。建築系の学科創立時に建設された西棟(1980 年築)に、土木系の学科が入る東棟(1983 年築)が増築さ
れたため、内部の室機能が分散し、閉鎖的な中廊下が連続していた。校舎は老朽化していたが耐震性が極端に低くはなかったため、「部分的な
耐震補強」と「全体的な空間再編」が課題となった。画一的で分節された既存校舎の空間を流動化させ、校舎に新たな息吹を与えることを試みた。
オープンな協働空間:建築・土木系の実践的な教育研究を行うために、学年毎の製図室を統合したデザインスタジオ、旧実験室の吹抜けを活
用したプロジェクトスペース、廊下を拡張したたまりスペース等の「オープンな協働空間」を設けた。能動的な学習と人々の交流を促している。
校舎の教材化:校舎自体を教育研究の素材とする「校舎の教材化」を推進した。複数種類の耐震ブレース、天井裏・配管スペースの可視化、地
域産の大谷石壁面等を実施し、建物の品質管理や耐震補強に関する実証研究も取り入れた。解説プレートを設け、日常的な気付きを誘発している。
建築プログラミング:基本設計に先立ち、利用実態の把握と課題の抽出を行い、企画・設計・利用の各段階を通して建築のプロセスをデザイ
ンする「建築プログラミング」を実施した。文部科学省「教育研究上の効果を見据えた施設整備の推進に関する試行的取組」の対象事業である。
建築設計製図における学習形態と教育空間
改修前 製図室【活動が複数の室に分散】
教育空間
8号館(建設学科棟)
講義室 大講義室
学習形態
建築
製図室
セミナー室
その他 アカデミア
共用部 ホール
課題説明 , レクチャー
0.5
座学
改修後 デザインスタジオ【ワンルームで多様な活動】
教育空間
10号館
学習形態
レクチャー
0.5
8号館(建設学科棟)
10号館
RFL
講義室 大講義室プロジェクト デザイン その他 アカデミア
スペース スタジオ 共用部 ホール
建築学コース研究室
座学
1
5FL
課題説明 , レクチャー
建設工学コース研究室
全
体
演習
発表
中間
講評会
1
最終
講評会
0.5
グ
ル ディスカッション
実験
プ
最終
講評会
0.5
エスキス
4
ー
個 作図
人 模型製作
廊下の
図面掲示
学内教員による授業
8 回 作図 , 模型製作
演習
発表
オープンな協働空間
学外者が関わる授業
2
4
個 作図
人 模型製作
8回
エスキス
3FL
講義室
広場
テラス
作図 , 模型製作
凡例 )表中の数字:全15回の授業に換算した時間 , ○:学内教員による授業 , ●:学外者が関わる授業 , □:授業時間外の活動
4FL
建築デザインスタジオ
中間講評会 ,
最終講評会
図面掲示
グ
ル ディスカッション
実験
プ
ー
全
体
短手断面図
アーカイブ
コミュニケーション
スペース 2FL
プロジェクト サービス
スペース
ヤード
1FL
所在地:栃木県宇都宮市陽東 7-1-2
用途:大学施設
設計:宇都宮大学安森亮雄研究室/安森亮雄、松浦達也、中村周
教育施設研究所/遠藤雅敏、渡辺武義、岡本卓実、引野怜史
総合設備コンサルタント/尼子哲、冨谷典由
既存校舎:1980 年築(西棟)、1983 年築(東棟)
敷地面積:178,370㎡(宇都宮大学陽東キャンパス)
建築面積:884㎡
延床面積:4,265㎡
設計期間:2012 年 4 月∼ 2013 年 1 月(基本設計)
2013 年 4 月∼ 2013 年 8 月(実施設計)
施工期間:2013 年 10 月∼ 2014 年 3 月
EXP.J
研究室
研究室
改修前
会議室
EXP.J
研究室
研究室
コミュニケーション
スペース
改修後
研究室
研究室
会議室
4・5階平面図(研究室)
EXP.J
講義室
耐震ブレースをパンチングメタルで被覆した展示 壁
講義室
製図室
(建築4年)
製図室
(建設工学)
製図室
(建築2年)
改修前
研究室
研究室
EXP.J
(4年生)
研究室
建設工学
デザイン
スタジオ
建築デザインスタジオ
(2年生)
改修後
協働・講評
コーナー
(3年生)
3階平面図(デザインスタジオ)
EXP.J
廊下を拡張したカウンターからプロジェクトスペースを見る
研究室
製図室
(建築3年)
研究室
改修前
講義室
講義室
研究室
EXP.J
研究室
講義室
吹抜
コミュニケーションスペース
(増床)
講義室
改修後
講義室
コミュニケーション
講義室
スペース
大講義室
(増床)
2階平面図(講義室)
EXP.J
第2実験室
事務室 資料室
ゼミ室
大講義室
(階段教室)
第1実験室
改修前
EXP.J
プロジェクト
スペース
第2実験室
ピロティ
エントランス
ラウンジ 事務室
アーカイブ
第1実験室
テラス
N
渡り廊下
1階平面図
旧実験室の吹抜を活用したプロジェクトスペース
広場
改修後 (キャンパス通過動線)
凡例
協働空間
廊下、溜まりの協働空間
耐震ブレース
RC壁増打または新設
関連研究 「大学校舎改修における学習形態に対応した教育空間の設計
手法」,日本建築学会大会学術講演梗概集E-1,pp.461-462,2013
掲載 「近代建築」2014年7月号,pp.78-79,近代建築社