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第 111 回日本皮膚科学会総会
イブニングセミナー 17
皮膚疾患治療の最前線
日時
平成 24 年 6 月 2 日(土)18:10 ∼ 19:10
会場
国立京都国際会館 1 階 第 9 会場(Room E)
座長
中川 秀己 先生(東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 主任教授)
演者
江藤 隆史 先生 ( 東京逓信病院 皮膚科 部長 )
演題
一施設に一台はあると便利なターゲット型紫外線治療器の活用法
ナローバンドUVB(以下NB)全身照射装置が普及し、乾癬、アトピー性皮膚炎(特に痒疹型)、
尋常性白斑、菌状息肉症などの治療に活用されてきている。かつてのPUVAは、手間もかかり、
内服薬の供給が厳しくなってきた昨今、
NB療法がもっと工夫され活用されることが、今後の
課題となってきている。「VTRAC」などのターゲット型紫外線照射装置は、全身型照射装置
では、治療が困難だった頭部の乾癬皮疹や結節性痒疹あるいは尋常性白斑、菌状息肉症の難治性
局面に対し極めて有用な治療効果を示し、皮膚科診療の現場では是非1台常備すべき治療装置と
思われる。上述した疾患以外にも円形脱毛症や乾癬の爪病変、掌せき膿疱症などその活用範囲は
広い。ここでは、当科で経験されたいくつかの治療例を提示するとともに、NBの全身照射も
含めた今後の紫外線治療の課題を検討してみたい。
演者
渡辺 晋一 先生(帝京大学医学部 皮膚科 主任教授)
演題
レーザーを使った爪真菌症治療の可能性
爪真菌症は我が国では 10 人に 1 人存在すると推定されているありふれた疾患である。その中
で最も頻度が高いのが、爪甲下角質増殖を伴う subungal onychomycosis で、これが爪真菌症
の 90%以上を占める。この病型の治療法は抗真菌薬の内服で、治療は長期にわたることが多い。
しかも経口抗真菌薬の副作用と薬剤相互作用のため、必ずしも容易ではない。そこで登場したのが
レーザー治療で、これはレーザーの有する高い熱エネルギーで真菌を熱変性させるものである。
Subungal onychomycosis では原因真菌は爪床に存在するので、レーザー光線は爪床に到達
する近赤外線が使用される。またレーザーによる爪床の熱の蓄積が上限を超えると、痛みを感じた
り、熱傷をきたす可能性があるため、爪の表面温度が上がると、冷却スプレーによって冷やすよう
になっている。爪真菌症に対するレーザー治療の原理と実際を解説する。
共催
第 111 回日本皮膚科学会総会
株式会社ジェイメック