CONSULTING for INTERNATIONAL FINANCIAL INFORMATION ☆SPECIAL REPORT(機関投資家サーベイ) 欧州勢がヘッジ外しの円買い [email protected] <No.9453> 2003. 8. 22 (金) ―― 対円でのユーロ急落リード=数十億ドル規模? ! 急ピッチのユーロ安・円高が進んでいる。これについて市場では、欧州勢のユーロ売り・ 円買いが目立つとされる。これは欧州投資家の日本株投資の影響とともに、為替ヘッジ外 しの円買い戻しの影響もありそうだ。欧州からの日本株投資は 7 月までに 1.5∼2 兆円も の買い越しとなった模様だが、ユーロ高・円安で円の下落回避で円売りに動いていた。こ の買い戻しで数十億ドル規模の円買いになっている模様。 フルヘッジ日本株投資=欧州勢、円反発で修正 ユーロ円については、ここ数日ユーロの下げ足が早まり、1 ユーロ=130 円を割 り込むと一気にユーロ急落の動きとなっている。ところで、これについて市場では 欧州勢のユーロ売り・円買いが目立つとの見方が強い。 この欧州勢のユーロ売りだが、一つには日本株投資に伴う円買い・ユーロ売りが あるだろう。しかしこれだけでは、対ユーロでの円高が顕著な理由としては不十分 な感じがする。つまり米国勢の日本株投資も拡大していると見られ、ドル安・円高 に比べてユーロ安・円高が目立っている理由としては今一つだ。 そこで注目されているのが、「ヘッジ外し」の円買いだ。欧州勢は 4∼7 月にか けて 1.5∼2 兆円もの日本株買い越しとなっていた。しかし 6 月までユーロ円相場 は円安・ユーロ高が展開し、1 ユーロ=130 円から 140 円への動きとなっていた。 つまり欧州の投資家は日本株投資で円安に伴う為替差損の懸念があったため、こち らを回避すべく為替ヘッジの円売りに動いていた可能性がある。 ところが、ここに来て円が対ユーロで急反発していることから、このヘッジの円 売りを急いで買い戻しに動いている可能性があるわけだ。 日本勢は売り遅れ?!=くすぶるユーロ下落懸念 このような欧州勢のヘッジ外しに伴う円買い戻し、ユーロ売り戻しは、4∼7 月の 日本株買い越しが 1.5∼2 兆円だったとすれば、100 億ドル規模で発生している可能 性も考えられる。これが、ユーロ円相場でユーロの上値を抑制し、ユーロ一段安の リード役といった役回りにもなっているようだ。 前述のように、ユーロ円相場は一時の 140 円といったユーロ高から一転して 130 円割れのユーロ安と状況が急変していることから、為替リスク管理が混乱している 可能性がある。これは日本の投資家にとっても指摘できそうだ。 日本の投資家は 4∼6 月期に 4 兆円以上のユーロ債買い越しとなった。その中で ユーロ円相場は 130 円から 140 円へユーロ高・円安が進んだため、ユーロの下落リ スク回避でユーロ売りに動いていなかった可能性はあるだろう。 もしそうなら、この間のユーロ急落で、一転してユー <参考.対内株式投資の推移> (億円) ロ下落に伴う為替差損回避のためのユーロ売りが必要に 米国 EU 合計 なっていると思われる。ユーロのヘッジ売りだ。 1月 2,594 1,382 3,988 ところが、市場筋によると、今のところ日本勢のユー ロ売りは目立っていないとされる。これはヘッジ売りの 2月 1,972 △1,780 658 必要性が小さい可能性もあるが、単純に「ユーロを売り 3月 173 △212 1,164 遅れている懸念も」(市場筋)ある。その意味では、日 4月 △113 3,120 2,257 本からのユーロ売りが本格化するまで、ユーロの底入れ 5月 1,922 3,315 6,580 は微妙と言った見方も囁かれている。(了) 6月 合計 6,147 5,434 12,612 12,695 11,259 27,259 46.60% 41.30% ※本レポートは情報提供のみを目的に作成されたもので、投資・運用に当たっての最終的な判断は、お客様の責任に委ねられま す。全ての著作権は株式会社マネーアンドマネードットコムに帰属します。記事・図表の無断転載を禁止します。 Money and money dot com Ltd. Tel: 03-3523-0321 Fax: 03-3523-0320
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