平成28年度シラバス(大学院)

日本経済史特論
科目名
職 名
准教授
担当者名
川戸 貴史
開講学期
前期
「東寺百合文書」所収の未翻刻文書を選択して、その翻刻と分析を行う。
本史料群はかつて東寺に集積された、中世日本の社会経済や政治などについて詳細な内容が記
された極めて貴重な文書群であり、中世史研究における基本文献の一つである。また、本文書
群は写真帳が刊行されているほか、インターネット上においてすべての写真が公開されてい
る。しかしその量は膨大なため、いまだ活字化されていない史料も多く存在している。
当講義ではこれら未翻刻史料のなかから一部を適宜選択してその解読および分析を受講生が行
い、その内容について討論を行う。
授業の目的・テーマ
到達目標
古文書を的確に解読し、かつ、その分析を行えること。また、中世日本における社会経済の構
造を専門的な見地から解明すること。
第1回 ガイダンス
第2回~第15回 「東寺百合文書」の解読・分析と討論
各回の解読・分析および報告は受講生が輪番で行い、さらにすべての受講生を交えて討論を行
う。
授業の内容・計画
中世文書の読解および古文書(崩し字)解読の訓練を受けた経験を有すること。(初学者不
可)
履修にあたっての準 読解力の習得・深化には綿密な予習・復習が欠かせないので、怠らないこと。
備(予習・復習等)
履修者への要望
(関連科目等)
中世文書研究の実践的講義であり、初学者に対する手ほどきを行わない。
主体的かつ真剣に取り組む意欲のある者にのみ単位が与えられる。
無断欠席不可。
児玉幸多編『くずし字用例辞典・普及版』(東京堂出版)【必携】
教科書
適宜紹介する。
参考書
評価基準
平常点70%、期末レポート30%で評価する(出席点は設定しないが、3分の2以上の出席が必
須)。
経済学説史特論
科目名
授業の目的・テーマ
職 名
教授
担当者名
鈴木 信雄
開講学期
前期
昨今、街の書店を覗いてみても、経済学関係のコーナーは極端に縮小され、ミクロ経済学や
マクロ経済学といった教科書と、エコノミストと称せられている実務家たちの書物が辛うじて
そのコーナーの存在を知らしめているに過ぎない。このことは、経済学のノーマル・サイエン
ス化のひとつの結果であろう。なぜなら、経済学のノーマル・サイエンス化は、ツールとして
の数学への偏愛もさることながら、教科書偏重主義と古典的著作に対する軽視、そしてさらに
重要なことは経済理論や経済政策の土台をなす「思想」に対する無視の風潮を生んだからであ
る。こうした風潮の中で、学生たちは、「社会科学としての経済学の学問的使命とは何なの
か」を自問する機会を与えられず、その意味で、「何のために経済学を学ぶのか」に無頓着の
まま、教科書を覚えることになる。かくして、「社会の一般的厚生」の実現こそが経済学の課
題であるとしたアダム・スミス、あるいは、経済学は「人間生活の改良の道具」であり、「一
部富裕家族の有害な贅沢、多数の貧困家族を蔽う恐るべき不安ーーーこれらは無視するにはあ
まりにも明白な害毒である。われわれの学問が求める知識によってこれを制御することは可能
である」と述べ、「経済学という陰鬱な科学」の学問的使命に言及したアーサー・ピグーなど
の遺訓は忘却されてしまうことになる。本講義は、経済理論・ 経済思想の歴史を形づくってき
た人物の思想と理論を講義することを通じて、院生諸君が自前の「経済社会を見る眼」 という
ものを手に入れるための手助けをすることを課題としている。
経済学の歴史を理解することを通じて、経済学説の多様性を理解する。
到達目標
授業の内容・計画
(講義計画)
1) 序論・・・「経済学」と経済思想史・・・
2) 黎明期の経済学・・・デヴィッド・ヒューム・・・
3) 経済学の古典的世界(1)・・・ジェイムズ・ステュアート・・・
4) 経済学の古典的世界(2)・・・アダム・スミス・・・
5) 経済学の古典的世界(3)・・・D・リカード・・・
6) 経済学の古典的世界(4)・・・T・R・マルサス・・・
7) 経済学の古典的世界(5)・・・ジョン・S・ミル・・・
8) 社会主義と経済学
9) 経済思想のドイツ的伝統
10) 20世紀の経済学の諸潮流(1)・・・アルフレッド・マーシャル・・・
11) 20世紀の経済学の諸潮流(2)・・・ソースティン・B・ヴェブレン・・・
12) 20世紀の経済学の諸潮流(3)・・・ジョン・M・ケインズ・・・
13) 20世紀の経済学の諸潮流(4)・・・フリードリッヒ・A・ハイエク・・・
14)20世紀の経済学の諸潮流(5)・・・ポール・サムエルソン・・・
15)20世紀の経済学の諸潮流(6)・・・J・K・ガルブレイス・・・
講義を受ける前に、教科書の当該箇所を前もって読んでおくこと。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
履修者への要望
図書館の本などを活用することによって、経済学史・経済思想史に関する本を読んでおくこ
と。
(関連科目等)
教科書
教科書は 『経済思想史』 (鈴木信雄 〔他〕 編著 名古屋大学出版会) を使用します。
参考書
参考文献はその都度指示いたします。
評価の方法
平常点50% レポート50%とします。
労働経済学特論
科目名
職 名
准教授
担当者名
東 三鈴
開講学期
前期
近年、日本の労働市場をとりまく環境は大きく変化しています。例えば、働く人のおよそ4割
が、パートやアルバイトなどの非正規社員という形態で働いています。この講義では、労働経
済学の基本的な理論を習得することを通じて、日本の労働市場の現状や労働市場が直面してい
る変化を理解できるようになることを目的とします。
授業の目的・テーマ
到達目標
家計の労働供給や企業の労働需要に関する意思決定や、労働市場均衡について理解することを
目標とします。
ゼミナール形式で、受講生の報告後、討論を行います。
第1回
イントロダクション
授業の内容・計画
第2回
労働供給(制約条件、選好)
第3回
労働供給(制約条件下の効用最大化問題)
第4回
労働供給(比較静学分析)
第5回
労働供給(静学的労働供給モデルの応用)
第6回
家計内生産モデル
第7回
家計内生産モデルの応用
第8回
労働需要(生産技術)
第9回
労働需要(利潤最大化問題)
第10回
労働需要(短期の労働需要)
第11回
労働需要(長期の労働需要)
第12回
労働需要(静学的労働需要モデルの応用)
第13回
労働市場均衡モデル
第14回
労働市場均衡モデルの応用(給与税の効果)
第15回
労働市場均衡モデルの応用(移民受け入れの効果)
毎回配布する資料を事前に読み、報告資料を作成したうえで講義に参加してください。
履修にあったての準備
(予習・復習等)
中級レベルのミクロ経済学と計量経済学を習得済みであることを望みます。
履修者への要望
(関連科目等)
講義中に指示します。
教科書
(1) 大森 義明 (2008) 『労働経済学』 日本評論社
(2) George J. Borjas, Labor Eocnomics , 7th edition, McGraw-Hill.
参考書
報告内容(60%)、議論への参加度(40%)で評価を行います。
評価基準
日本経済論特論
科目名
職 名
教授 担当者名
片岡光彦 開講学期
前期
現在の日本経済は深刻な財政赤字を抱えながら、人口減少と少子高齢化、地域間経済格差、
財政赤字、経済のグローバル化等様々な課題に直面しています。
本講義は、公共・地域政策のエキスパートの養成という大学院修士課程・政策研究コースの
趣旨を踏まえて、日本経済の主要課題を、経済学のフレームワークを用いて、学習していきま
す。
授業の目的・テーマ
本講義では、日本経済が抱える政策課題を理解し、問題解決に向けた分析能力を養います。
到達目標
授業の内容・計画
授業は、基本的には以下の項目を取り上げます。履修者は以下の項目から分担を決めて15分程
度の報告を持ち回りで行ってもらいます。
第1回 ガイダンス(授業の進め方、テキストの紹介、評価基準、報告の分担)
第2回 日本経済の豊かさ
第3回 日本の人口動態
第4回 少子高齢化とその影響
第5回 戦後日本経済のあゆみ
第6回 日本の経済発展Ⅰ:戦後日本経済の初期条件
第7回 日本の経済発展Ⅱ:高度経済成長期
第8回 政府の役割と日本の財政
第9回 景気循環と財政政策のメカニズム
第10回 日本の財政課題:財政赤字
第11回 これまでの復習と中間試験
第12回 地域経済分析の枠組み
第13回 経済発展と地域構造:地域間所得格差
第14回 貿易の自由化の進展
第15回 日本農業問題と貿易
履修者には、予習を兼ねて、事前に講義テーマに関する課題を与えます。報告担当者は、授
業内で15分程度の報告を持ち回りで行うことで、講義内容の理解を深めてもらいます。
履修にあたっての準備 なお、報告者の手順・分担については、授業初回のガイダンス時で説明しますので、履修者は
(予習・復習等) 必ず出席してください。
履修者への要望
(関連科目等)
本講義は、学部卒レベルの経済学の知識を有する受講者を対象としますので、マクロ・ミクロ
経済学の未学習者は学部で提供される初級・中級マクロ・マクロ経済学の履修もしくは自習に
より対処してください。
講義開始後に指定する。
教科書
参考書
評価基準
浅子和美・篠原総一編 2011 『入門日本経済(第4版)』 有斐閣
山田浩之・徳岡一幸編著 2007 『地域経済学入門 新版』 有斐閣コンパクト
Flath David 2000 The Japanese Economy Oxford University Press
その他に関しては、講義中に必要に応じて、紹介する。
本講義の成績は、授業での報告(35%)、中間試験(35%)、授業での参加態度(30%)で評
価します。全授業回数の3分2の出席回数に満たない受講者には単位を与えることができませ
ん。
経営組織論特論
科目名
職 名
講師
担当者名
藤波 美帆
開講学期
後期
現代企業が激しい環境変化の下で競争優位を維持するためには、絶えず組織能力を高めていか
なければならない。そこで、企業経営における組織の意味に始まり、組織論と戦略論の関係、
組織論の基本理論、組織行動論の基本等を中心とした文献及び論文の輪読を行う。
授業の目的・テーマ
到達目標
まず経営組織の特徴と基本概念を理解し、組織運営の諸理論に関する知識を習得する。そのう
えで、組織論の習得を通じて今後の各自の研究分野に進むためのインフラ構築の土台作り及び
自らの研究の深化に必要な能力を養うこととする。
授業は基本的に輪読及び議論の形式で行われる。
授業の内容・計画
第1回 ガイダンス:組織研究の視点
第2回 経営組織の特徴と基礎概念
第3回 経営組織の構造
第4回 モチベーション
第5回 コミュニケーション
第6回 リーダーシップ
第7回 組織文化
第8回 組織の成長
第9回 改めて組織とは何かを考える―ケース研究―
第10回 組織デザイン
第11回 組織の複雑性①公式化
第12回 組織の複雑性②分権化・集権化
第13回 組織における個人と集団
第14回 組織変革
第15回 組織学習
発表担当者だけでなく履修者全員が、毎回の該当文献等を熟読し、その内容について理解を深
めてから授業に参加すること。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
日頃、国内外の企業の動向に関心を持ち、理論の現実への適用を試みてほしい。
履修者への要望
(関連科目等)
指定なし。毎回の講義時に指示する。
教科書
指定なし。毎回の講義時に指示する。
参考書
担当箇所の発表(50%)及び毎回の議論への関与度・貢献度(50%)で評価する。
評価基準
経営戦略論特論
科目名
職 名
准教授
担当者名
仁平 晶文
開講学期
後期
本科目では,組織全体の未来の方向性に関連する概念であり、組織の存続と発展を左右するとい
う意味でマネジメントの実践におけるキーコンセプトとして位置づけられている「経営戦略」
の主要な理論とその背後にある視点や思考様式について受講者とともに議論していきます。
授業の目的・テーマ
到達目標
経営戦略の主要な理論の背後にある一見相反するような視点や思考様式を理解した上で、複眼
的かつ実践的な経営戦略の理解を獲得することが到達目標となります。
各回の授業では,教科書の輪読を基本とし,担当箇所のレジュメ作成及びプレゼンテーショ
ン,受講者の興味関心についてディスカッションを行っていきます。
授業の内容・計画
1. 経営戦略を学ぶ意義:本講義の目的,進め方,評価基準
2. 構造は戦略に従う
3. 成長マトリックス
4. 事業の定義
5. PPM
6. ポジショニングビュー
7. 5つの競争要因
8. 3つの基本戦略
9. リソースベーストビュー
10. VRIO分析
11. コア・コンピタンス
12. ダイナミック・ケイパビリティ
13. 競争と協調の戦略
14. 戦略は構造に従う
15. 経営戦略の未来
輪読担当箇所のレジュメ作成及びプレゼンテーションの準備が予習に該当します。
プレゼンテーション後に行われるディスカッションについての振り返りが復習に該当します。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
履修者への要望
(関連科目等)
上記の授業内容及び計画は経営戦略論が展開されてきた歴史を一部ふまえているため、欠席す
るとその流れが理解しにくくなります。休まず出席し、ディスカッションを積み重ねていくこ
とが重要です。
初回講義時に履修者と討議の上、決定します。
教科書
講義内で適宜紹介します。
参考書
授業への貢献度(各回のプレゼンテーション及びディスカッションでの発言等)70%、期末レ
ポート30%
評価基準
科目名
社会的責任論特論
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
職 名
教授
担当者名
山岡昭吉
開講学期
前期
企業の不祥事が相次ぐ中、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility 、以下 CSR
とする)が注目されている。企業は利益追求だけではなく、社会に対して一定の社会的責任な
らびに社会的貢献を果たすべきである、という考え方に基づいている。この講義では、社会と
企業の持続的発展に関する理論と、CSRにかかわる内外の議論と企業の現状について検討する。
社会から信頼される企業経営に関する知識と、種々のCSR活動について、リスクマネジメントの
視点を含めて考察する。講義の前半は、諸種の理論に重点をおきながら非財務情報の重要性に
ついて検討し、後半では、格付調査やCSR報告書にみられる実際のCSR活動についての事例研究
を扱う予定である。
CSRの歴史と背景、領域とその内容の概略を十分に理解し、CSRの具体的な取り組み内容の知
識を習得する。各業界を代表する企業のCSR報告書等を分析し、その内容・領域と課題の理解を
目標とする。
1. 歴史と背景
2. CSRマネジメント
3. 領域(トリプルボトムライン、バウンダリ)、ステークホルダー
4. CSRと地球環境問題
5. コンプライアンス
6. コーポレート・ガバナンス
7. CSRとサプライチェーンマネジメント
8. CSRと人権・労働
9. フィランソロピーと地域活動
10.企業評価、CSR格付、ISO26001
11.社会的責任投資(SRI)
12.経営戦略としてのCSRとCSV
13.社会的企業、NPO/NGO
14.CSR報告書
15.CSRの現段階と課題
予習よりも復習を重視する。講義内容に関するインターネットからの最新情報を収集し、提
出する場合がある。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
多角的視点からの発言と、多様な立場からの議論が望まれる。
履修者への要望
(関連科目等)
指定なし。毎時、資料を配布する。
教科書
必要に応じて講義の中で紹介する。
参考書
授業参加態度(80%)、提出課題の内容(20%)
評価基準
財政学特論
科目名
職 名
専任講師
担当者名
河原 礼修
開講学期
後期
本講義は、財政学の基礎である歳入と歳出のうち租税や公債などの歳入について詳細に検討
していく。そのため、租税理論の1つとして、最適課税理論を取り上げることを予定している。
政府の活動を経済学で分析するためには、市場との関わり合いを明確にする必要がある。通
常の経済学では自発的な意思決定が重要となる。これに対して、政府の活動は強制力が重要と
なる。この関係を理解することが財政学を学ぶ上では重要となる。そのため、消費者行動や課
税の効果に対する理論を学ぶ。
※受講生の人数によっては、文献を指定して、受講生に輪読してもらう場合がある。
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
租税に関する理論を理解し、現実の租税について論理的に意見を展開できる学力を身に着ける
こと。
第1回 ガイダンス(講義の内容や評価について)
第2回 消費者行動の理論(効用最大化問題)
第3回 消費者行動の理論(支出最小化問題)
第4回 消費者行動の理論(双対性とスルツキー方程式)
第5回 確認テストと解説
第6回 間接税の経済効果(政府の最適化問題)
第7回 間接税の経済効果(効率性の議論)
第8回 間接税の経済効果(公平性の議論)
第9回 予備日
第10回 確認テストと解説
第11回 所得税の経済効果(線形の所得税)
第12回 所得税の経済効果(非線形の所得税)
第13回 所得税の経済効果(誘因制約の緩和)
第14回 予備日
第15回 確認テストと解説
※予備日は講義が予定通り進まない場合の調整回として使用します。予定通り進んだ場合に
は、内容を追加します。
・授業後に講義内容や、講義で扱った問題を解くなどの復習を行うこと。
・輪読の場合に、報告担当者はプレゼン資料やレジュメの作成を行うこと。
履修にあたっての準備 ・指定された文献の該当ページを事前に読んでおくこと。
(予習・復習等) ※第1回の講義に必ず出席すること。(やむを得ない事情で第1回の講義を欠席した場合には、
正当な理由を報告の上、担当教員に事前に連絡を取ること)
履修者への要望
(関連科目等)
・成績評価の詳細や教科書については、初回ガイダンスにて説明を行う。
・ミクロ経済学・マクロ経済学の基礎知識があることが望ましい。
・学部の公共経済学Ⅰ・Ⅱ、財政学Ⅰ・Ⅱ、地方財政論Ⅰ・Ⅱのいずれかを受講していること
が望ましい。または、これらの科目の講義内容と同等の知識があることが望ましい。
初回講義時に指示する。
教科書
講義中に適宜指示する。
参考書
授業参加態度、報告内容、課題、試験を総合して判断し決定する。
詳細は第1回講義時に説明するため、履修希望者は必ず出席してください。
評価基準
民事法特論
科目名
職 名
特任教授
担当者名
長瀬 弘毅
開講学期
前期
日常の社会生活をはじめ企業や各種組織・団体の業務の遂行上、必要な民事法の基礎である民
法の基礎知識の習得と、会社企業を規制する会社法につき概説することを目的とする。
あわせて、企業やその他の組織体の業務遂行にあたって、コンプライアンス(法令遵守)の果
たす意義・役割と課題等につき理解し、企業や組織体の役員並びに企業・組織体自体の責任体
制の概要を概説することが本講義のテーマである.
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
各種試験の合格に向けて必要な民事法(民法・会社法)の基礎知識の習得を目標とする。あわ
せて、コンプライアンス(法令遵守)等,企業経営ないし組織運営の現代的課題につき理解を深
め、将来、実務に関与する場合の心構えにつき考え、実際力を身に付けることを目標とする。
1 ガイダンス 民法(1) 総則①(民法の意義・民法上の権利・人・法人・法律行為)
2 民法(2) 総則②(法律行為)
3 民法(3) 債権(総則・契約総則・各種契約①)
4 民法(4) 各種契約②
5 民法(5)不法行為 民法709条 Ⅰ使用者責任:(1)民法715条 (2)国家賠償法1条
6 民法(6)Ⅱ土地工作物責任:(1)民法717条 (2)国家賠償法2条
7 民法(7) 相続一般(*受講者の希望等を考慮して変更する場合もある)
8 会社法(1)会社法総論 株式会社総論 設立①
9 会社法(2)設立② 株式 株主
10 会社法(3)株式会社の機関 株主総会
11 会社法(4)取締役・取締役会
12 会社法(5)代表取締役・内部統制システム
13 会社法(6)監査役・監査役会
14 会社法(7)会計参与等 役員等の損害賠償責任(1)
15 会社法(8)役員等の損害賠償責任(2)・株主代表訴訟
(受講者の事情・希望等を考慮して上記内容・順序等を一部変更する場合がある)
履修の効果を高めるために、次回講義の内容に関する教科書の該当箇所を通読し、小課題を課
された場合には教科書に書かれている範囲内で簡単なレポートとして提出すること(各自、提
履修にあったての準備 出した小課題のコピーをとって手元に保管しておくこと)。 初めて民法(会社法)を学ぶ場
(予習・復習等) 合には、予習にあたり、六法全書を開いて教科書に引用されている条文に必ず目をとおし、で
きれば小さく声を出して該当条文を読むことをすすめます。
履修者への要望
(関連科目等)
教科書
参考書
評価基準
毎回の授業には必ず出席すること(小六法必携)。予習・復習を心がけていただきたい。下記
のとおり、適宜課される小課題は、平常点として評価する。事前知識や関連科目の履修の有無
は必ずしも問わないが、過去に法学部等での法律科目の受講経験のない場合には、授業履修の
心得として、授業開講前に、簡単な民法の案内書等(下記の「参考書」欄参照)を入手して通
読しておくことをすすめます。
川井 健「民法入門(第7版)」(有斐閣)
北村・柴田・山田「現代会社法入門」(最新版)(第4版)(有斐閣)
小六法(ポケット六法)(有斐閣)
(我妻)「民法案内2 民法総則」(勁草書房)
江頭憲治郎「株式会社法」 前田庸「会社法入門(第11版補訂版)」
会社判例百選(別冊ジュリスト第2版)
民法判例百選Ⅰ(別冊ジュリスト第6版)
民法判例百選Ⅱ(別冊ジュリスト第6版)(*いずれも有斐閣発行)
授業参加態度30%、授業の内容に関連して提出してもらう簡単な小課題(レポート)およそ
30%、期末に行う簡単な試験およそ40%として、総合的に評価する。ちなみに、授業の内容に
関連した小課題は、教科書に記載された内容の範囲で要点をまとめて提出すればよく、ことさ
ら教科書以外の資料等を調査して完成させるような特別の負担は必要としない。
福祉経済論特論
科目名
職 名
教授
担当者名
粟澤尚志
開講学期
後期
小さな政府・小さな福祉国家を志向した小泉構造改革は、生活保障への少なからぬ不安感を国
民にもたらした。それが格差問題として政治的にもクローズアップされ、民主党への政権交代
をもたらした。しかしながら、大きな福祉国家を求めて弱者保護や所得再分配をすると競争を
歪め経済成長を阻害するとの批判から、小泉構造改革(=規制緩和)と同じ市場機能重視のア
ベノミクスへと政策は戻った。本講義では、なぜ福祉経済がそのように変化するのかを、経済
学の専門的知識を用いて学ぶ。
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
日本の福祉経済において自助・共助・公助の三者をどのように組み合わせれば望ましいかを、
経済学的に考察する専門的知識を習得する。また、それを小論文としてまとめて論理的思考能
力を習得する(以上「ディプロマポリシー」1に対応)。それらにより、政策立案能力や地域
住民の福祉に貢献する専門的能力を身につけている(「ディプロマポリシー」3に対応)。
第1週 経済学の基礎知識(マンキュー「経済学の十大原理」)
第2週 「日経新聞」記事から考える少子高齢化と日本経済の将来
第3週 大きな福祉国家と小さな福祉国家:国際比較
第4週 所得再分配のメリットとデメリット
第5週 少子化と日本の経済成長
第6週 人口減への対策:外国人労働力の受け入れか? 消費増税か?
第7週 小泉構造改革とアベノミクスの共通点と違い
第8週 小論文の中間発表
第9週 おカネ中心の福祉経済 vs ヒト中心の福祉経済
第10週 福祉経済におけるコミュニティの役割
第11週 地域コミュニティと地域福祉
第12週 地域通貨の基礎概念
第13週 地域通貨と経済思想
第14週 地域通貨とコースの定理
第15週 小論文の最終発表と討論
授業内で予習・復習に用いる文献を指定するので、それを使って予習・復習すること。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
特になし
履修者への要望
(関連科目等)
指定なし
教科書
講義内で配布するレジュメに詳細に記載する。
参考書
授業参加態度20%、小論文の発表40%、定期試験40%から総合的に評価する。
評価基準
所得税法Ⅱ特論
科目名
職 名
教授
担当者名
黒田宣夫
開講学期
前期
所得税は税の中でも納税義務者が一番多く、基本的な税である。所得税法は所得を10種類に
分類しているが、その所得の計算方法や税額計算は、それぞれ異なっている。事業所得の計算
方法は法人税の計算と類似したところがあるし、譲渡所得は譲渡する資産の種類により計算は
多岐にわたっている。また、損益通算制度があって非常に複雑である。
このような所得税法について、判例に基づき、議論をしながら研究する。
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
最初に所得税法の概要を講義し、次いで判例を中心に授業を進めるので、何が税法上問題とな
るのかを理解し、議論できるようにする。また、学説を研究し、修士論文を作成する際の基礎
的知識を習得する。
1. 所得税法の概要Ⅰ
2. 所得税法の概要Ⅱ
3. 所得概念・非課税所得
4. 課税単位
5 所得の分類
6 事業所得
7 譲渡所得
8. 給与所得・ストックオプション
9. 必要経費の意義
10.譲渡所得における取得費
11.家事費・家事関連費
12.資産損失
13.損益通算
14.所得控除
15.源泉徴収の法律関係
所得税法について、議論をしながら研究するので、予習しておいて争点を理解し、大いに意見
を述べること。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
法令集を絶えず手元に置いて条文を正確に把握して租税法律主義を実感すること、隣接学問で
ある民法、会社法、会計学等についても勉強することが望まれる。
履修者への要望
(関連科目等)
中村芳昭・三木義一編「租税法」法学書院
教科書
金子宏「租税法」弘文堂
税法六法等の法令集
参考書
発表、質問及び討議の内容(70%)、レポート等(30%)により評価する
評価基準
法人税法Ⅱ特論
科目名
職 名
教授
担当者名
黒田宣夫
開講学期
前期
法人税の知識は、職業会計人にとって必要不可欠である。税理士業務依頼の大半は、法人から
であり、法人税をマスターすることが求められる。法人税法の解釈をめぐって論争できるくら
いの知識を身につけることが必要であり、法人税法の各条文の立法趣旨や判例をもとに議論し
ながら学習する。判例を学習することによって、税法を具体的事例に即して理解することが出
来る。
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
最初に法人税法の概要を講義し、次いで判例を中心に授業を進めるので、何が税法上問題とな
るのかを理解し、議論できるようにする。また、学説を研究し、修士論文を作成する際の基礎
的知識を習得する。
1 法人税法の概要Ⅰ
2 法人税法の概要Ⅱ
3 納税義務者
4 益金の意義
5 損金の意義
6 役員給与
7 役員退職給与
8 交際費・使途不明金
9 寄附金
10 評価損
11 貸倒損失
12 繰越欠損金
13 組織再編税制
14 連結納税・グループ法人税制
15 国際課税
法人税法について、議論をしながら研究するので、予習しておいて争点を理解し、大いに意見
を述べること。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
法令集を絶えず手元に置いて条文を正確に把握しておくこと、隣接学問である民法、会社法、
会計学等についても勉強することが望まれる。
履修者への要望
(関連科目等)
中村芳昭・三木義一編「租税法」法学書院
教科書
金子宏「租税法」弘文堂
税法六法等の法令集
参考書
発表、質問及び討議の内容(70%)、レポート等(30%)により評価する
評価基準
消費税法特論
科目名
職 名
教授
担当者名
黒田宣夫
開講学期
後期
消費税法は、個人、法人に共通の税目であるが、どちらかといえば、消費税の知識は、法人の
会計業務と密接不可分である。法人の業務を多く抱える職業会計人にとって、消費税法の解釈
をめぐって論争できるくらいの知識を身につけることが必要であり、それには立法趣旨や判例
を日頃から研究しておくことが肝要である。
授業の目的・テーマ
到達目標
最初に消費税法の概要を講義し、次いで判例を中心に授業を進めるので、何が税法上問題とな
るのかを理解し、議論できるようにする。また、学説を研究し、修士論文を作成する際の基礎
的知識を習得する。
1.課税対象
2.納税義務者
3.非課税
4.輸出免税
5.資産の譲渡等の時期
6.資産の譲渡等の帰属
7.課税標準
8.仕入税額控除
授業の内容・計画
9.課税売上割合
10.対価の返還を受けた場合
11.簡易課税
12.課税期間
13.申告及び納付
14.国等に対する特例
15.消費税の経理処理
消費税法について、議論をしながら研究するので、予習しておいて争点を理解し、大いに意見
を述べること。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
法令集を絶えず手元に置いて条文を正確に把握しておくこと、隣接学問である所得税法、法人
税法、民法、会社法、会計学等についても勉強することが望まれる。
履修者への要望
(関連科目等)
講義中に指示する。
教科書
金子宏『租税法』弘文堂
税法六法等の法令集
参考書
発表,質問及び討議の内容(70%)、レポート等(30%)により評価する。
評価基準
簿記論特論
科目名
職 名
教授
担当者名
高屋和彦
開講学期
後期
会計学は、企業の経済活動および経済情報を、貨幣額を用いてとらえた会計上の取引がその
研究対象である。企業会計は、財務諸表を通じて会計情報を開示するが、この会計情報の利用
者は利害関係者と呼ばれ、報告の相手が外部者か内部者かという利用者の違いにより、一般的
に財務会計(外部報告会計)と管理会計とに分けられる。
この講座では、会計的な技術である複式簿記と、その原理に基づいて作成される財務諸表に
ついて「有価証券報告書」をもとに、簿記処理におけるいくつかの問題点を検討する。
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
簿記の問題や理論ではなかなか見られない実際の財務諸表上の疑問を考える契機となることを
目標とします。
1 簿記の基本原理
2 会計法規と簿記
3 金銭債権取引の処理
4 有価証券取引の処理
5 棚卸資産取引の処理
6 固定資産取引の処理
7 引当金取引の処理
8 リース取引の処理
9 外貨建て取引の処理
10 減損会計の処理
11 合併・分割会計の処理
12 包括利益
13 株式会社会計
14 財務諸表の作成
15 キャッシュ・フロー計算書の作成
毎回、実際の財務諸表を読み、多くの疑問を見つけ出してほしい。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
有価証券報告書もまたそのなかの財務諸表もあまり熱心に読むことはありません。ぜひ、一緒
に財務諸表を読み、考えてください。
履修者への要望
(関連科目等)
「有価証券報告書」をプリントして使用する。
教科書
指定なし
参考書
講義における質疑応答、意見、発言(30%程度)ならびに出席状況(70%程度)で評価す
る。
評価基準
財務諸表論特論
科目名
職 名
准教授
担当者名
小野正芳
開講学期
後期
企業会計は誰のために、そして何のために行われるのでしょうか。企業会計は企業と関連を
有する人々すべてのために行われます。企業と関連を有する人々を利害関係者といい、株主、
債権者、従業員等が挙げられます。
企業会計は利害関係者が利用する会計情報を生産するための道具です。生産すべき情報を定
義しなければ、その生産方法を決定することはできません。すなわち、誰がどのような情報を
求めているのか(誰にどんな情報を提供すべきなのか)を決定しなければ、具体的な計算方法
を規定できないのです。
本講義では、現在における会計計算がどのような考え方から導き出されたものなのかを研究
授業の目的・テーマ します。
到達目標
個々の会計計算の規定ではなく、会計計算全体を包括する考え方(フレームワーク)を理解
することをゴールとします。その上で、会計計算全体を包括する考え方が、個々の会計計算の
規定にどのように適用されているのかを理解します。具体的には、税理士試験財務諸表論の理
論問題に的確に解答できるレベルを目指します。
以下のスケジュールに沿って、テキストを輪読し、会計の考え方について議論する。
授業の内容・計画
第1回 講義ガイダンス・財務報告の目的(1)-投資意思決定機能-
第2回 財務報告の目的(2)-利害調整機能-
第3回 財務報告の目的(3)-会計の目的とキャッシュフロー情報-
第4回 会計情報の質的特性(1)-意思決定有用性-
第5回 会計情報の質的特性(2)-信頼性-
第6回 会計情報の質的特性(3)-内的整合性と比較可能性-
第7回 財務諸表の構成要素(1)-資産と負債-
第8回 財務諸表の構成要素(2)-純利益と包括利益-
第9回 財務諸表の構成要素(3)-キャッシュフロー-
第10回 財務諸表における認識と測定(1)-取得原価主義会計-
第11回 財務諸表における認識と測定(2)-市場価格に基づく会計-
第12回 財務諸表における認識と測定(3)-将来キャッシュフローに基づく会計-
第13回 財務諸表における認識と測定(4)-利益計算と資本維持-
第14回 財務諸表における認識と測定(5)-会計計算のパラダイム変換-
第15回 財務諸表における認識と測定(6)-今後の会計計算-
各回ごとに担当者を決めて、その内容を報告してもらい、受講者全員で議論します。
事前に各回の内容および担当者を決定します。そのスケジュールに沿って、各自準備して下さ
い。また、関連する書籍を読んで、各回の内容を補足して下さい。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
ゼミ形式で実施するので、相応の準備を必要とします。
履修者への要望
(関連科目等)
受講生の意見も取り入れた上で、初回授業時に決定します。
教科書
授業中に随時紹介します。
参考書
評価基準
出席および担当箇所発表状況(50%)・テスト・レポート等(50%)により評価します。
テストを実施するかレポートを課すか、あるいはその他の課題にするのかについては、授業開
始後に受講生と相談の上、決定します。
原価計算論特論
科目名
授業の目的・テーマ
到達目標
授業の内容・計画
職 名
教授
担当者名
山浦裕幸
開講学期
原価計算の目的は、財務諸表作成目的と経営管理目的に大別できる。特に経営管理のための
原価計算では、経営環境の急速な変化(経済の国際化、情報処理および生産技術の急速な進
歩、価値観の多様化に伴う消費者ニーズの多様化、環境保護への関心の高まり、規制緩和の進
展など)に対応すべく、次々と新しい計算技法が生み出され、実務においても導入されてい
る。
本講義では、こうした状況を踏まえ、経営管理のための原価計算を中心に学習する。前半で
は原価計算の伝統的な計算技法(CVP分析や差額原価収益分析)、後半では最新の計算技法
(ABC/ABM、原価企画、バランスト・スコアカードなど)について、検討する予定である。
・業績評価のための原価計算の理論と計算を理解する。
・意思決定のための原価計算の理論と計算を理解する。
・経営戦略のための原価計算の理論と計算を理解する。
第1回 原価計算の基礎-生成から現在まで-
第2回 利益計画とCVP分析①:CVP分析の基礎
第3回 利益計画とCVP分析②:CVP分析の応用
第4回 企業予算
第5回 意思決定と差額原価収益分析
第6回 業務的意思決定と戦略的意思決定
第7回 戦略管理会計
第8回 ライフサイクル・コスティング
第9回 原価企画
第10回 品質原価計算
第11回 ABC(活動基準原価計算
第12回 ABM(活動基準管理)
第13回 バランスト・スコアカード①:意義、目的
第14回 バランスト・スコアカード②:事例研究
第15回 EVA(経済的付加価値)
・毎回、授業の予習を行うこと。
・報告担当者は、担当回の1週前までにレジュメを作成し、提出すること。
履修にあたっての準備
(予習・復習等)
「原価計算」あるいは「工業簿記」の基礎的な知識を有する者の履修を望む。
履修者への要望
(関連科目等)
指定なし
教科書
指定なし(随時紹介する)
参考書
平常点(課題の報告内容、質疑応答への参加態度など):70%、小テスト:30%
評価基準
後期