産経新聞 27.3.31 渋谷の同性パートナー条例に賛否 「結婚の意義脅かす」「受け入れ大事」 「結婚に相当する関係」を認め、同性カップルにパートナーシップ証明書を発行する東京都渋谷区の 条例が 31 日、成立した。全国初となる条例に、性的少数者の当事者たちからは喜びの声が上がる一方、 「婚 姻制度を脅かす」と懸念の声も出ており、条例をめぐる議論は続きそうだ。 「渋谷区をきっかけに、LGBT(同性愛者、両性愛者、性別に違和感のある人)を支援する動きが全 国的に広がり、区の条例は意義のあるものだと考えている」 。同性愛者であることを公表して当選した元東 京都豊島区議の石川大我(たいが)氏(40)は声を弾ませた。 渋谷区にとどまらず、同様の動きはほかの自治体にも広がっている。東京都世田谷区の保坂展人区長 は、同性カップルをパートナーとして公的に認める制度に「区長判断でできることに絞り、具体化したい」 との見解を示し、横浜市の林文子市長も「社会の一員として受け入れていくのは大事」と支援について検 討する考えを表明している。 この日の区議会を、パートナーの会社経営、増原裕子さん(37)と一緒に傍聴した元宝塚女優の東小 雪さん(30)は「本当にうれしい。裕子さんとは証明書が発行されたらすぐに取りにいこうと話していま す」と喜んだ。 一方、麗澤大の八木秀次教授(憲法学)は「条例により、渋谷区内の学校では男女の婚姻関係と、同 性の関係を同列に教えなければならなくなる。教師や親たちに混乱が生じるのは目に見えている」と懸念 する。 八木教授は、同性カップルがアパートの入居や病院での面会を家族ではないとして断られる問題につ いて、「個別具体の対応で解決できる。そこから、『結婚に相当する関係』につながるのは、あまりにも飛 躍している」と指摘。 その上で、八木教授は「次世代を生み出す男女の婚姻関係は法で保護されており、渋谷区の条例は結 婚の意義を脅かす存在だ。法で認められていない同性婚を認めるような内容は、一自治体で扱うテーマで はなく、国レベルでの議論を尽くすべきだ」と強調している。
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