Endohm 取扱説明書

EndOhm
Tissue resistance measurement chambers
for tissue culture cups
取扱説明書
Endohm
Contents 目次
About This Manual この取扱説明書について…………………………………………………. 2.
Introduction はじめに………………………………………………………………………. 3
Instrument Description 装置の構成………………………………………………………………..
4
Setup セットアップ……………………………………………………………………………………..
4
Operating Instruction 操作方法……………………………………………………………………… 6
Voltage Measurement 電圧測定……………………………………………………………….
6
Resistance Measurement 抵抗測定………………………………………………………… 6
Maintenance 保守……………………………………………………………………………. 7
Cleaning 洗浄…………………………………………………………………………………………… 7
Storage 保管……………………………………………………………………………………………… 7
Sterilization 滅菌………………………………………………………………………………………… 7
Re-Chloriding Electrode 再塩化処理………………………………………………………… 7
Accessories アクセサリー...………………………………………………………….……... 9
Troubleshooting トラブルシューティング………………………………………………………… 10
Appendix A: Resistance Calculations 附則 A:抵抗の計算…………………………… 11
Resistance 抵抗………………………………………………………………………………………. 11
Resistance value of the “blank” insert 空の状態の抵抗値……………………… 11
Unit Area Resistance 単位面積抵抗………………………………………………………… 11
1
Endohm
About This Manual
この取扱説明書について
この取扱説明書には以下のマークが使用されています。
!
注意:このマークは装置に致命的な損傷を与える可能性のある操作について記してい
!
警告:このマークは実験者に対し身体への損傷や脅威を与える虞のある操作について
ます。
記述しています。
NOTES と TIPS では有益な情報を記述しています。
Fig.1 – Endohm-6, Endohm-12 及び Endohm-24
2
Endohm
INTRODUCTION
はじめに
ENDOHM-6
6mm 培養カップ用チャンバー、内径 15.8mm(24 ウェル/プレート)
ENDOHM-12
12mm 培養カップ用チャンバー、内径 23.2mm(12 ウェル/プレート)
ENDOHM-24SNAP
24mm 培養カップ、COSTAR SnapwellTM 培養カップ用チャンバー、内
径 37.3mm(6 ウェル/プレート)
Endohm チャンバーシリーズは、WPI EVOM2 と共に使用する事で培養カップ内の上皮組織抵抗を
正確かつ高い再現性をもって測定できるように設計されました。Endohm を使用して得られた抵抗
値は、良好な Ussing チャンバー装置で測定した値と一致します。
Endohm チャンバーとカップには、それぞれ 2 個の電極が同軸上に設置されています:対称的に相
対するこれらの円形のディスク電極間に電流が流れます。この形状がいくつかの利点を提供します。

Endohm の円形のディスク電極は STX2 電極に比べ、膜を横切る電流密度がより均一です。

重要な点として、同一サンプルでの連続的な抵抗測定を行う間での Endohm の固定電極の形状、
変動によって、10-30Ω(ユーザーの経験に依存して変化)から 1-2Ωに減少されます。
Notes and Warning
注意と警告
!
注意:長い間紫外線に曝された状態で保管された場合、透明のプラスチックチャンバーに
ひび割れを起こす原因となります。
!
注意:オートクレーブを使用しないで下さい。オートクレーブによりチャンバーの透明な
部分にひび割れが発生する可能性は有ります。また、繰り返しオートクレーブを使
用された場合、電極の密閉が損なわれることがあります。
Parts List
パーツリスト
開封後に全品は揃っている事と外見上損傷がない事を確認にして下さい。
(1)Endohm チャンバー
(1)取扱説明書
3
Endohm
INSTRUMENT DESCRIPTION
装置の構成
Fig.2 – Endohm 構成図
Endohm の構成を Fig.2 に示します。同軸上に設置された電極の各ペアは、中心部に電圧用の銀塩
化銀電極と環状の電流電極を内蔵しています。電流電極は銀製で灰色の塩化銀でコーティングされ
ています。上部のキャップ部は、キャップ、ロックナット及び電極の3つの部品で構成されていま
す。
キャップは 2 つの重要な機能を持っています:ロックナットを一緒に使う事で、電極を培養カップ
の中央に誘導します。またチャンバー内での電極の高さを固定します。EVOM とチャンバーを接続
するケーブルは、上部キャップと下部のチャンバー両方から簡単に取り外すことが出来ます。
Setup
セットアップ
Adjusting the height of the top electrode
電極の高さ調整
Endohm 全ての上部電極の高さは、どのメーカーの細胞培養カップに対しても調整する事が出来ま
す。
NOTE:Endohm-6 の上部電極の高さは、Costert トランスウェル培養カップに適合するよう出荷時
に調整されています。このカップを使用する場合は改めて調整する必要は有りません。
4
Endohm
1.
使用する前に、チャンバー内に空のカップを設置します。
2.
キャップのノックナットを緩めます。
3.
キャップをチャンバー上部に設置する時に電極上部のキャップを廻し、電極と培養細胞膜との
隙間を 1~2mm にします。Fig.3 参照
Fig.3 – 電極とメンブランの間に適切な隙間がある事を確認します。
Electrode Preparation
電極の準備
抵抗測定:Endohm は事前に安定化の必要が無く直接使用する事が出来ます。
電圧測定:銀塩化銀電圧電極は、乾燥した保管状態から新たの電解液に浸漬した時に小さな電圧ド
リフトを示す事があります。このドリフトは電圧測定精度に影響しますが抵抗測定には影響しませ
ん。
電極を安定させるために:
1.
チャンバーを生理食塩水で満たします。
(例、0.1-0.15M KCl)
2.
キャップを取り付けます。
3.
電源を OFF にした EVOM2 にケーブルを接続します。二つの電圧電極は、電源が OFF の状態
の EVOM2 に接続すると内部的に短絡されます。電圧電極コネクターピンをこの様に数時間短
絡する事により低電圧電極間の非対称な電位差を小さくすることが出来ます。電極間の直流電
位が数ミリボルト以下と非常に小さくなります。平衡化に要する時間は、電極表面に付着して
いる異物の性質や程度によって大きく異なり、およそ 2~12 時間です。オフセットが 10mV 以
上の場合は、この状態でさらに一昼夜置いてください。
5
Endohm
Operating Instructions
1.
操作方法
Endohm を用いた測定では、チャンバー内に移動できる細胞培養カップが必要です。空の培養
カップを Endohm のチャンバーに入れます。
2.
培養カップとチャンバーに適切な電解液を追加します。この時、培養カップをチャンバー内に
入れた際に電解液があふれ出ないように、チャンバー内の電解液の高さを 3-4mm 以下にしま
す。キャップを取り付けた状態で、膜の上にかかる静水圧を避けるため、チャンバー内の電解
液の高さはカップ内側と同じレベルにする必要があります。
3.
再現性のある正確な測定値を得るために、キャップをチャンバーにしっかりと装着する事が重
要です。これにより上部電極をチャンバーの中央に固定する事が出来ます。
4.
チャンバーの側面の透明な部分から、上部電極と電解液表面に気泡が閉じ込められているかど
うかを確認いてください。気泡は測定値が非常に不安定となる原因になります。電極を軽く揺
すったり再挿入することで気泡を取り除くことが出来ます。
Voltage Measurements
電圧測定
1.
EVOM2 の Function スイッチを Millivolts にセットします。
2.
EVOM2 の電源を ON(I)にします。
3.
EVOM2 に Endohm を接続します。
NOTE:下部電極が測定器のグランドに接続されている事に注意してください。つまり、上部電極
がプラスの直流電圧値を読み、下部電極がマイナスの電圧値を生成します。これは STX2 電極とは
反対となります。STX2 を用いて測定した電圧が 2mV と表示された場合、Endohm を使用した時は
-2mV となります。
Resistance Measurements
抵抗測定
1.
EVOM2 の Function スイッチを Ohms にセットします。
2.
EVOM2 の電源を ON(I)にします。
3.
空のカップに電解液を加えます。
(例えば、細胞の入っていない細胞培養インサート)
4.
空のカップに電極を挿入します。空の培養カップ(細胞が入っていない)の抵抗を測定します。
溶液抵抗の安定したオーム値が表示されるはずです。空の状態での値は、組織培養メンブラン
を介して測定された全抵抗値に加算されます。空の状態の抵抗および真の組織抵抗と単位お領
域抵抗(通常報告されている値 )の計算する上での情報源の詳細については、 12 ペー
ジ ”APPENDIX A:抵抗の計算” を参照して下さい。
NOTE:真の組織抵抗を得るためには、空の状態での抵抗を必ず測定する必要があり、組織を
介して測定した抵抗値から差し引きます。
NOTE : Endohm-6 で の 空 の 状 態 で の 抵 抗 値 は 、 そ の 構 造 の 違 い か ら Endohm-12 や
Endohm-24SNAP より若干高めになります。
6
Endohm
Maintenance
Cleaning
保守
洗浄
使用後は、チャンバーを蒸留水で徹底的にフラッシュして下さい。アルコールを吹きかけ蒸留水で
洗い流します。Endohm の洗浄時には、綿棒より粗いものを使用しないで下さい。
実験と実験の間では、チャンバーから古い培養液を蒸留水で洗い流し、アルコールを吹きかけます。
新しい培養液を入れる前に蒸留水で洗います。
NOTE:電極に使用されている銀は多孔質であり、アルコールはその中に浸み込みます。蒸留水に
よる最終濯ぎを行うことでアルコールは取り除かれます。最終濯ぎが行われないと、浸み込んだア
ルコールが細胞層を殺します。
Storage
保管
長期間(75 日以上)保管する場合は、Endohm を乾燥した状態に保って下さい。
!
注意:紫外線フード内での長期間の保存は、透明なチャンバーのひび割れを起こす原因と
なります。
Sterilization 滅菌
Endohm は、エチレンオキサイド(ETO)又は、70/30 の割合で希釈したアルコールを用いて滅菌
する事が出来ます。Cidex(WPI #7364)等の殺菌剤も必要に応じて使用できます。その他の溶剤
は使用できません。滅菌後は、膜の測定を行う前に無菌の還流液(培養液)で電極をしっかり洗う
必要があります。
!
注意:オートクレーブを使用しないで下さい。オートクレーブによりチャンバーの透明な
部分にひび割れが発生する可能性は有ります。また、繰り返しオートクレーブを使
用された場合、電極の密閉が損なわれることがあります。
Re-Chloriding the Electrode
電極の再塩化処理
電流電極部は銀で構成されており、表面は安定性を高めより速い応答速度を得るために灰色の塩化
銀で塩化処理されています。これは時間経過とともに剥がれ銀が露出してきますが、Endohm のパ
フォーマンスを著しく変化させる事は有りません。
一週間に一度ないしは必要に応じて、電極を再塩化処理する事が出来ます。電極の先端を一般的な
5%次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)に 10 分間または黒紫の被膜が出来るまで浸漬します。3-6%
次亜塩素酸ナトリウムより強い溶液は使用しないで下さい。使用する前には蒸留水で良く洗い培養
液をフラッシュして下さい。CaliCell-12 で電極をテストします。
7
Endohm
Fig.4 と Fig.5 に再塩化処理した Endohm を示します。
Fig.4 – 塩化処理が不十分
!
Fig.5 – 適正に塩化処理された状態
注意:電極の先端部のみが次亜塩素酸ナトリウムに曝されるよう気を付けてください。上
部電極とキャップのネジ部は、黒色の酸化アルミニウムで出来ています。次亜塩素
酸ナトリウムはこの部分を傷付けます。電極の塩化処理の際に、溶液が絶対に触れ
ないようにしなければなりません。
必要に応じて 1 ヶ月から 2 ヶ月に一度、電極の先端の生物学的残渣および塩化物の被膜を除去しま
す。電極を外し先端部を一般的なアンモニア水溶液(石鹸では無い)に 2~5 分間浸漬します。次
いで蒸留水で良く濯ぎます。Fig.6 および Fig.7 を参照
Fig.6 – 綺麗な表面の Endohm
Fig.7 – 清掃するには綿棒を使用します
電極表面の再処理は殆んど必要ありません。電極を良く乾かし、先端部を細かい粒子のサンドペー
パー(600 番以上)で軽く研磨するか、砂消しを用いて先端部を磨きます。表面の極薄い層だけを
8
Endohm
取り除きます。研磨後、前述の手順に従って再塩化処理します。
!
注意:研磨を繰り返し行うことで、最終的には銀塩化銀の粒が除去されてしまします。研
磨を行っても改善されない場合は、電極を交換する必要があります。
ACCESSORIES
アクセサリー
Table 1:Accessories
9
Endohm
Troubleshooting
問題点
抵抗値の読み
が不安定又は
ドリフトする
トラブルシューティング
考えられる原因
解決策
EVOM2 に充電器が接続
されている
充電器が AC 電源に接続された状態では、電気的遮蔽
が損なわれる事で測定値が不安定になります。測定値
の安定性を確保する為に、測定中は常に EVOM2 から
充電器を外しておきます。
EVOM2 の調整が必要
電極が古い
電圧値の読み
が不安定
EVOM2 内バッテリーの
電圧低下
充電器が EVOM2 および電源コンセントに接続されて
いる事の確認し、1 分待った後に再度テストします。
バッテリーがフルに充電されており、電圧出力がゼロ
出ない場合は、装置の異常が考えられますが、再度 24
時間充電を行ってください。
電極の近くに強磁場を発
生する装置がある
強磁場を発生する装置から離れた場所に装置を移動
させます。磁場を発生する装置には、MRI、コンピュ
ーター、マグネットスターラー等があります。
電源ラインまたは出力ジ
ャックがノイズを発生す
る記録装置に接続されて
いる
記録装置から外します。
カルチャーカップが正し
く設置されていない
値が異常に高
い/低い
テスト抵抗を使用し、EVOM2 前面の R 調整ネジで抵
抗値を 1000Ω に調整します。
テスト抵抗を使用し EVOM2 が正常であることを確認
します。値は 1000Ω を示すはずです。
電極の高さを変える
カルチャーカップと下部電極の間に 2 ㎜程度の隙間が
ある事を確認します。
電極間の導電性の汚染
上部電極と下部電極が電気的に分離されずに同じ溶
液の中にある状況を引き起こす、導電性ブリッジを形
成する物質が存在しないか電極表面を点検します。物
質を取り除けない場合は、電極を交換する必要があり
ます。
バッファーのモル濃度の
変化
モル濃度 100mM に対し 1%の変化は、大きく測定値
に誤差が生じる事があります。
ケーブルの不具合
連続した低抵抗測定や乾燥時でさえ、ケーブルの不具
合が原因で有り事があります。交換用のケーブルを試
します。
電極の汚れ
電極を洗浄します。(7 ページを参照)
細胞培養や媒体の問題
細胞培養に必要な十分な時間があり、測定値は安定し
ているにも係わらず、予想よりも低い値を示す場合、
問題はおそらく細胞培養に関連しています。一般的
に、電極の不具合によって、予想より低く且つ安定し
た測定値を示す事は有りません。EVOM2 が正常に機
能しているか、テスト抵抗を使用し確認して下さい。
10
Endohm
APPENDIX A:Resistance Calculation
附則 A:抵抗の計算
Resistance
抵抗
空の状態での値は、組織培養メンブランを介して測定された全抵抗値に加算されます。
(下記を参
照)真の組織抵抗を得るためには、空の状態での抵抗を必ず測定する必要があり、組織を介して
測定した抵抗値から差し引かなければなりません。
例えば、0.15M KCl 溶液及び 12 ウエル セルカルチャーインサートのメンブラン(組織は入って
いない)を介して測定された抵抗値が 130Ω で有ると仮定します。これは、セルカルチャーイン
サートが空の状態での値です。
(抵抗値はカルチャーカップの製造メーカーによって異なる場合が
あります)この例では、サンプル測定として 800Ω を使用し計算した組織自体の抵抗(RTissue)は:
Rtotal = 800Ω
Rblank = 130Ω
Rblank + Rtrue tissue
Rtrue tissue
Rtrue tissue
= Rtotal
= Rtotal -Rblank
= 800Ω -130Ω = 670Ω
Resistance value of the “blank” insert
空の状態の抵抗値
空のインサートの抵抗測定値は、空のフィルターの抵抗に起因するバックグラウンド抵抗ではあ
りません。バックグラウンド抵抗値は、インサートの底部とセルカルチャープレートの底部にあ
る小さな隙間が主な要因である為、インサートからメンブランを取り除いた場合でもインサート
の抵抗値は同じになります。
この隙間は、およそ 1mm ですが、メーカーによっては多少大きめなものがあります。この隙間
の差が、メーカー間での空の状態での抵抗値の差となります。フィルターメンブラン自体の抵抗
は、極わずかなため無視する事が出来ます。
Endohm-24SNAP または Endohm-12 がす要されている場合は、外部電極はフィルターの真下に
あり隙間が存在しない為、空の状態の抵抗はゼロ近くになります。
Unit Area Resistance
単位領域抵抗
抵抗は組織の面積に反比例する為、抵抗値に替り、一般的に抵抗と面積の積で報告されます。単
位面積抵抗は、使用されるメンブランの領域は独立しており、異なるサイズのインサートから得
られたデータを比較する為に利用する事が出来ます。
単位面積抵抗は、測定値とフィルターメンブランの有効面積を掛けて求める事が出来ます。単位
は、Ωcm 2 で表します。抵抗は面積に反比例する為、大きな面性のメンブランの抵抗は低くなりま
す。
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Endohm
単位面積抵抗 = 抵抗値(Ω) X メンブランの有効面積(cm2)
*個々のインサートの仕様を確認して下さい。
単位面積 = 1cm 2
使用されるメンブランの領域は独立しており、異なるサイズのインサートから得られたデータを
比較する為に利用する事が出来ます。
先に示した例を元に、Rtrue tissue = 670Ω、メンブランの径(d)が 1.05cm の場合の単位面積抵抗
は以下の通りです。
2
抵抗値 X メンブランの有効面積 = 670Ω Xπd /4
= 670Ω X (3.14) x (1.05cm)2/4
= 580Ωcm2
580Ωcm2 は、1cm2 当たりの抵抗値です。
大きな面性のメンブランの抵抗は低くなります。単位は、Ωcm2 で表します。Ω/cm2 では有りま
せん。単位面積と聞くと面積で割ると考えがちですが、混乱しやすいので注意して下さい。
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EVOM²
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