第 50 回日本理学療法学術大会 (東京) 6 月 7 日(日)ABC 区分 ポスター会場(展示ホール)【調査研究 地域包括ケア】 P3-B-0835 通所リハビリテーション利用者における尿失禁のアンケート調査報告 畠山 千春,澤谷 晴香 社会医療法人仁生会 西堀病院 通所リハビリテーション key words 尿失禁・通所リハビリ・アンケート調査 【目的】我が国では 60 歳以上の高齢者の 50% 以上に尿失禁があると報告され,今後高齢化が進むにつれ尿失禁患者数が増加す る事が予想される。しかし,医療機関への受診率は 18% と低いとの報告が多くある。 一方,骨盤底筋運動は副作用がなく安全性が高い事から尿失禁において治療の第一選択枝として推奨されているが,理学療法に おける在宅高齢者に対する尿失禁への介入報告は殆どなく十分な支援,サービス提供には結びついていない。 そこで,当通所リハ利用者における尿失禁を有する在宅高齢者の実態を明らかにし,骨盤底筋運動等,有効な尿失禁の治療法や 予防法の示唆を得る事を目的とした。 【方法】 対象は,60 歳以上の当通所リハ利用者 83 名とした。調査方法は自己記入式質問紙法とした。研究に際し当院倫理委員会 にて承諾の後,プライバシーに十分留意し,調査目的を説明し書面にて同意の下行なった。 尿失禁経験と性別,尿失禁経験と骨盤底筋運動の参加意志ついては χ2 乗検定を行った。その他の各調査項目については,単純 集計を行った。統計処理には SPSS11.0J を用い,有意水準は 5% 未満とした。 【結果と考察】 尿失禁がある者は 61.4% で,女性は男性よりも有意に多かった。 (p<0.05) また,治療経験がある利用者は 31.4%, ない利用者は 68.6% だった。治療法の認知度は尿失禁がある者でも「知らない」が 43.9%,ない者では 84.4% にもなった。骨盤 底筋運動に参加する意思に関しては尿失禁がある者で 92.2%,ない者は 65.6% が,参加意思があると答えた。 60 歳以上の高齢者の 50% 以上に尿失禁が見られるとの報告どおり,今回の調査結果も同様の結果となった。さらに,尿失禁に 対する治療法の認知度は極めて低かったが,簡便な運動であれば参加したいという予防的な意識は高い事が明らかとなった。今 後は尿失禁の予防・改善方法についての情報提供や,相談機関の設置,専門的な医療機関への連携など対策の必要性が示唆され た。
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