2.就職支援 近時の取組 法科大学院制度の創設から 10 年以上が経過し、法科大学院修了生の進路も多様化しつつ あります。最近特に目立つのは、民間企業や官公庁(地方自治体を含みます。以下同じ)が 法科大学院修了生を人材として高く評価し、積極的に採用活動を行っている点です。実際、 企業内で弁護士資格を持って働く人(インハウスロイヤー)は近年飛躍的に増加しています。 このような状況が周知されるにともない、本法科大学院でも民間企業の法務部や官公庁を 将来の進路の選択肢として考える学生が増えてきました。また、法律事務所でもサマークラ ーク(夏休みを中心に実務の仕事を実地に体験してもらう機会の提供のことを指します)を 実施するところが増え、それらの情報を適時に、かつ一覧できるような形で提供してほしい との声が聞かれるようになりました。そこで、本法科大学院では、平成 26 年 9 月に「法科 大学院就職支援室」を設置して、進路関係の情報を統合して発信するとともに、各種の進路 説明会を開催するなど、学生の就職活動を強力にバックアップしていくこととしました。具 体的には次のような取組をしています。 ① 法科大学院生向けの学内サイトの中に進路関係のコーナーを設け、進路関係の情報(法 律事務所や民間企業から送られてきたもの、教員が接し提供することが望ましいと判 断したものなど)を統合して提供することとしています。そこにアクセスすれば、有用 な情報を一覧することができるようになっています。修了生も同様の情報にアクセス できます。 ② 本法科大学院同窓会の協力も得て、司法試験終了後の時期(5 月下旬~6 月)に各種の 進路説明会を開催して、在学生と修了生が様々な進路に関する情報に直接接する機会 を提供しています。平成 27 年には、5 月下旬に、全般ガイダンス、官公庁関係説明会、 法律事務所関係説明会、民間企業関係説明会を順次開催し、いずれも好評でした(官公 庁関係説明会は他大学の法科大学院生にも開放して実施しました)。このうち、民間企 業関係説明会では、企業の法務部員・人事担当者と少人数グループで接する機会を設け、 いわゆる「就活」の経験がほとんどない法科大学院生に就活のトレーニングとしても活 用してもらえるよう配慮しています。また、今回の官公庁関係説明会・民間企業関係説 明会には、本法科大学院を修了して組織内弁護士として活躍している先輩たちが官公 庁・企業側のスピーカーとして、後輩である参加学生に直接語りかけてくれました。法 科大学院就職支援室では、各界に進んだ先輩修了生が後輩の進路選択に協力し、その後 輩が次の機会には先輩修了生として後輩に協力する…という本法科大学院の縦の関係 を生かした就職支援活動をこれからも充実させていきます。 最後にひとこと 大学(大学院)の先輩たちが社会の各分野で活躍していることは、その大学や後輩にとって かけがえのない財産となります。かつて旧司法試験時代に京都大学法学部から多くの人材 を実務法曹(裁判官・検察官・弁護士)として社会に送り出していたことが、法科大学院創 設後のわれわれにとって、優れた実務家教員の登用や法曹界での修了生の就職活動に関し て大きなアドバンテージとなってきましたが、法科大学院創設後の 12 年間という短い期間 だけをとってみても同様のことがあてはまります。本法科大学院の修了生が実務法曹とし てだけでなく、官公庁・民間企業など様々な分野に進んで活躍していることは、本法科大学 院の大きな強みです。
© Copyright 2024 Paperzz