第11回 日本体力医学会東海地方学術集会 ホリスティック医学の要素を取り入れた フィットネススタジオでの生活習慣病 改善効果(第一報) 野田 康彦 西田 元彦 大西 範和 1) メディプラスガーデンフィットネススタジオ 2) 医療法人メディプラス 西田メディカルクリニック 3) 愛知みずほ大学 人間科学部 生活習慣病改善に係わる 従来の健康運動施設の問題点 ● ① ② ③ ● 医療機関と健康運動施設の連携が不十分 生活習慣病の運動による改善効果を 実感しにくい 疾病をもつ人が運動をする上での 不安に十分な対応ができていない 一人一の健康状態にあった運動プログラムの 作成が不十分 継続した運動習慣の確立が困難 ⇒(高い退会率) ホリステック医学とは ■ ● ● 健康とは、身体だけでなく、 精神、環境などがよく調和がとれた 状態である。(全人的医療) ↓ 西洋医学以外にも東洋医学や代替医療の良い所は 積極的に取り入れる。 調和のとれた場(よい人間関係、よい環境) を提供する。 健康に良い空間の提供 • 人間関係の重視・・・ • 施設環境・・・ この空間に居るだけで「安心」「安らぐ」 ※ 中高年者でも落ち着ける、和風モダンなデザインで統一 ※ 色・光・香り(アロマ)等を取り入れ工夫した空間 • 運動施設・・・ 施設 200㎡ スタジオスペース 91.8㎡ ジムスペース 61.2㎡ 運営システム • 会員システム • 医療機関との連携 安全のため処方箋にもとずいた運動指導 • 毎月の効果測定 体組成計での測定とカウンセリング • プログラム・・・ ※ 運動を習慣化させるために、スタジオプログラムを 固定した講師・スクール制とした。 ex.ピラティス・ヨガ・養生気功・肩こり、腰痛改善教室など 15種類・17本/週間 ※ 1度に14名参加が可能で、30分を1サイクルとした 有酸素運動とレジスタンストレーニングを融合した サーキットエクササイズを導入。 運動指導の流れ 問診 (生活習慣・食習慣・既往歴など) メディカルチェック (血液検査・運動負荷心電図・肺機能検査など) ドクターカウンセリング (運動指導箋発行・必要に応じ栄養指導) トレーナーチェック (運動プログラムの決定) 運動プログラム開始 効果判定 (マルチ周波数体組成計・血液検査・動脈硬化度など) 目的・対象・方法 ■ 目的 • 当プログラムの生活習慣病改善効果について検討すること ■ 対象 • 糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病で 提携医療施設にて通院中の方 対象人数:98名(男性8名 女性90名) 平均年齢:58.3歳 BMI平均:27.8 中性脂肪平均166.2mg/dl など ■ 方法 • 実施期間 H18.06∼H19.01 8ヶ月間観察 • 週に1回のスタジオプログラムにサーキットトレーニングを週1回以上実施 • 毎月タニタマルチ周波数体組成計(MC-190)による体脂肪率の測定をし、 3・6ヶ月目に血液検査(総コレステロール・中性脂肪・HDL・ヘモグロビンA1C・空腹時血糖 ※対象者のみ)を実施し、各数値の変化を観察した。 • 有意差検定には、t-検定を用いた。 体重変動観察:3・6ヶ月間 • (体重測定者全てを対象とする) 3ヵ月後 6ヵ月後 ■ 体重変化 測定可能者全て 差異(kg) 0.00 全体 3.9回/月 -0.50 -1.00 -1.50 8.0 回/月 -0.52 -0.66 -0.83 4.0 7.9回/月 -0.91 -0.91 -1.23 -2.00 -2.15 -2.50 -3.00 -3.50 -2.97 体重変動観察:3・6ヶ月間 • (BMI25以上の肥満者を対象とする) 3ヵ月後 6ヵ月後 体重変化 BMI25以上対象者の体重変化 差異(kg) 0.00 全体 3.9回/月 4.0 7.9回/月 8.0 回/月 -1.00 -1.16 -1.10 -1.26 -2.00 -1.04 -1.59 -1.90 -1.83 -3.00 -4.00 -4.04 -5.00 体脂肪率変動観察:3・6ヶ月間 • (BMI25以上の肥満者を対象とする) 3ヵ月後 6ヵ月後 ■ BMI25以上の対象者 体脂肪率の変化 差異(%) 0.00 0.00 全体 3.9回/月 -0.29 -0.50 -0.59 -0.31 4.0 7.9回/月 8.0 回/月 -0.42 -0.72 -1.00 -1.50 -1.48 -2.00 -2.50 -3.00 -2.80 体幹部脂肪量変動観察:3・6ヶ月間 • (BMI25以上の肥満者を対象とする) 3ヵ月後 6ヵ月後 ■ BMI25以上対象者 体幹部脂肪量の変化 差異(kg) 1.00 0.41 0.50 0.13 0.00 全体 -0.50 -1.00 -0.19 -0.23 3.9回/月 -0.05 -0.04 4.0 7.9回/月 8.0 回/月 -0.96 -1.50 -1.58 -2.00 総コレステロール変動観察:3・6ヶ月間 • (220以上を対象とする) 3ヵ月後 6ヵ月後 総コレステロール220以上対象者 変動 差異(mg/dl) 10.00 6.43 5.00 2.43 0.00 全体 3.9回/月 -0.67 -5.00 -5.09 -6.10 -10.00 -15.00 -20.00 4.0 7.9回/月 -12.85 8.0 回/月 -3.50 -2.25 中性脂肪変動観察:3・6ヶ月間 • (150以上を対象とする) 3ヵ月後 6ヵ月後 ■ 中性脂肪150以上対象者 変動 差異(mg/dl) 0.0 全体 -20.0 -10.20 -19.78 3.9回/月 -19.50 4.0 7.9回/月 8.0 回/月 -17.67 -40.0 -60.0 -50.00 -49.00 -80.0 -81.25 -100.0 -120.0 -140.0 -160.0 -136.50 HDLコレステロール変動観察:3・6ヶ月間 • (測定者全員を対象とする) 差異(mg/dl) 3ヵ月後 6ヵ月後 ■ HDLコレステロール変動 6.00 4.82 5.00 4.33 4.00 3.00 2.00 1.63 1.93 1.89 1.25 1.23 1.00 0.00 全体 -1.00 -0.213.9回/月 4.0 7.9回/月 8.0 回/月 入会・退会状況 • 総会員数累計 (クリニック会員:860名 2,323名 クリニック外会員:1,643名) • 総退会数累計 56名 (クリニック会員:7名 クリニック外会員:49名) • 総退会率 2.41% (クリニック会員:0.3% ※ ※ クリニック外会員:2.1%) 当月の退会者数 ÷ 前月末総会員数 FIAより、一般フィットネスクラブでは退会率平均5.0% • クリニック退会理由 多忙の為:4名 怪我・病気の為:3名 詳細)転居・お孫さんの世話・階段での転倒等 まとめ • 週に2回以上の運動習慣によって肥満者の 体重、体脂肪減少などの一定の効果は認められた。 • 血液検査上では、中性脂肪・HDLコレステロール等での 改善傾向は認められるが症例が少なく、更なる検討 が必要と考える。 • 元々運動習慣の無い生活習慣病の方が、ホリスティックの 概念を取入れた健康運動施設により、運動が習慣化され 生活習慣の改善された。 • 一般のフィットネスクラブとは違い、医療機関との連携をした 結果、効果が実感でき、会員の継続が高く推移した。 よって、低い退会率に寄与していると考えられる。 ∼今後も、更に症例数、検討期間を増やして継続した 観察を実施していきたいと考える。∼
© Copyright 2024 Paperzz