平成25年度 「伊方発電所・放射性固体廃棄物輸送安全対策書」 (要約) 平 成 25年 10月 愛 媛 県 目 次 1 概要 … ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 1 2 輸送物件 …… … ……… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… … 2 3 輸送 物の 安全対 策 3 4 事故 発生 の未然 防止 対策 5 法令 に基 づく輸 送時 の安全 確認 6 安全 評価 7 ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 5 …… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 10 … ……… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 11 結論 … ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 13 8 経過 … ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 14 9 資料 … ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… ……… …… 15 〇資料 1 放 射性 固体廃 棄物 輸送関 係法 令 〇資料 2 放 射性 固体廃 棄物 用ドラ ム缶 概略図 〇資料 3 輸 送容 器概略 図( LLW -2 型) 〇資料 4 L SA -Ⅱの 基準 〇資料 5 廃 棄体 検査装 置概 略図 〇資料 6 「 IP -2型 輸送 物」の 技術 上の基 準 〇資料 7 輸 送物 積載図 〇資料 8 輸 送専 用船の 専用 船載ク レー ン外観 及び 実負荷 図 〇資料 9 輸 送専 用船概 観図 〇資料 10 輸 送専 用船全 体図 〇資料 11 伊 方発 電所放 射性 固体廃 棄物 輸送実 績 〇資料 12 放 射性 固体廃 棄物 輸送実 績( 全国) 1 概要 (1) 四 国 電 力 ㈱ は 、 伊 方 1 、 2 、 3 号 機 で 発 生 し た 放 射 性 固 体 廃 棄 物 760本 を 日 本 原 燃 ㈱ 濃 縮 ・ 埋 設 事 業 所 ( 低 レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 埋 設 セ ン タ ー ( 青 森 県 上 北 郡 六 ヶ 所 村 )) で 埋 設 処 分 す る た め、平 成25年度 には1回 の放射 性固 体廃棄 物輸 送を行 う計 画であ る。 放 射 性 固 体 廃 棄 物 は 、 専 用 の 輸 送 容 器 ( 95個 ) に 入 れ 、 伊 方 発 電 所 専 用 岸 壁 か ら 、 低 レ ベ ル 放 射性廃 棄物 輸送専 用船 により 海上 輸送す る計 画であ る。 (2) 伊方発電所の放射性固体廃棄物の輸送については、平成25年3月末までに9回[資料11参照]実施 されているが、放射線事故発生の例はない。 (3) 放射性固体廃棄物の輸送については、関係法令に基づく規制を受けるとともに、これまでに実施 している核燃料輸送と同様に、事故発生の未然防止対策が講じられている。 ―1― 2 輸送物件 (1) 物 品・ 数量 輸送する放射性固体廃棄物は、原子炉格納容器および原子炉補助建屋内で発生した金属、プ ラスチック、保温材等の固体状の放射性廃棄物を必要に応じて圧縮減容した後、あらかじめ均 等 に練り 混ぜ た固型 化材 料(モ ルタ ル)を 充填 してド ラム 缶内に 固型 化した もの である 。 輸 送 先 種 低レベル放射性 廃棄物埋設センター 類 充填固化体 発 生 期 間 内容物 1本の重量 輸送本数 昭和55年度 ~平成21年度 不燃性の雑 固体廃棄物 約350~800kg 760本 [資料 2参 照] (2) 輸 送容 器 輸 送容 器は、 その 設計、 製作 につい て、 国の基 準を 満たす もの を使用 する 。 輸 項 送 容 器 の 概 要 内 目 容 形 式 LLW-2型 種 類 IP-2型(産業用輸送物2型)放射性輸送物 法 3,200mm L 厚 さ 1.6mm 重 量 自重:約1.2トン 質 炭素鋼 外 主 形 寸 要 材 ドラム缶収納本数 製 造 者 所 有 者 × 1,600mm W × 総重量:約9.2トン以下 8本 青森宝永工業㈱ 東急車輛製造㈱ 1,070mm H (現:㈱総合車両製作所) 原燃輸送㈱ [ 資料 3、6 参照 ] ―2― 3 輸送物の安全対策 (1) 放 射性 固体廃 棄物 輸送する放射性固体廃棄物は、「IP-2型輸送物」の収納物としての要件であるLSA-Ⅱ (低比放射性物質)の基準を満足するものである。[資料4参照] 放射性固体廃棄物は、固型化材料(モルタル)充填により安定にドラム缶内に固型化されている ので、容易に飛散したり漏出したりすることはなく、さ ら に 、 ド ラ ム 缶 は 、 1.6m m 厚 の 鋼 製 の も ので、 それ 自身十 分な 強度と 密封 性を有 して いる。 ま た 、 輸 送 す る 放 射 性 固 体 廃 棄 物 は 、「 核 燃 料 物 質 又 は 核 燃 料 物 質 に よ っ て 汚 染 さ れ た 物 の 第二種廃棄物埋設の事業に関する規則」等に定める廃棄体の技術上の基準に適合するものであ る こ と に つ い て 、 廃 棄 体 検 査 装 置 [資 料 5 参 照 ]等 に よ り 全 数 確 認 し 、 原 子 力 安 全 基 盤 機 構 の 立 会確認を受けるものであり、いずれも法令等に定める上限値を下回る放射能濃度の低いもので あ る。 埋設放射性固体廃棄物の放射能濃度上限値 充填固化体 核 放射能濃度上限値 (Bq/トン) 種 搬出廃棄物 [予想値] (Bq/トン) 法令の 上限値 最大放射能 濃度 トリチウム ― 1.22×10 12 6×10 7 炭素-14 1×10 11 3.37×10 10 5×10 8 コバルト-60 1×10 15 1.11×10 13 2×10 9 ニッケル-59 ― 8.88×10 9 2×10 7 ニッケル-63 1×10 13 1.11×10 12 2×10 9 ストロンチウム-90 1×10 13 6.66×10 10 2×10 8 ニオブ-94 ― 3.33×10 8 2×10 6 テクネチウム-99 1×10 9 7.40×10 7 3×10 3 ヨウ素―129 ― 1.11×10 6 7×10 2 セシウム-137 1×10 14 4.07×10 11 2×10 8 アルファ線を放出 する放射性物質 1×10 10 5.55×10 8 9×10 7 (注)1 法 令 の 上 限 値 :核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の第二種廃棄物埋設 の事 業に 関する 規則 別表第 1に 定める 放射 能濃度 2 最大放射能濃度 : 廃棄物 埋設 事業許 可申 請書記 載値 3 搬 出 廃 棄 物 :今回搬出する放射性固体廃棄物の最大放射能濃度の予測値で、事前に 検 査、確 認さ れる。 ―3― (2) 輸 送容 器 今 回 使 用 す る 輸 送 容 器 は 、 関 係 法 令 に 定 め る [I P - 2 型 輸 送 物 ]の 技 術 上 の 基 準 [資 料 6 参 照 ]に 適合する よう設 計、 製作さ れて いる。 ア 構造 本 輸 送 容 器 は 、 本 体 と 蓋 に よ っ て 構 成 さ れ る 長 さ 約 3 m 、 幅 約 1.5m 、 高 さ 約 1 m 、 重 さ 約 1.2トンの 頑丈な 角型 容器で 、4 本のボ ルト で締め 付け た密封 構造 となっ てい る。 イ 線量 当量率 放射性固体廃棄物の放射能濃度は低く、これらを収納した輸送容器についても、その線量 当 量率は 法令 上の限 度よ りも十 分低 くなっ てい る。 輸送容器外における予 想線量当量率 項 容 目 器 表 最 面 容器表面から 1メートル 離れたところ ウ 高 法令上の限度 約0.2ミリシーベルト/時 2ミリシーベルト/時以下 約30マイクロシーベルト/時 100マイクロシーベルト/時以下 閉じ 込め性 能 放射性固体廃棄物を収納した輸送容器は、法令において「IP-2型輸送物」に課せられ た 試 験 で あ る 、 国 際 標 準 化 機 構 文 書 ISO1 4 9 6 / 1 「 シ リ ー ズ 1 貨物コンテナ-規格及 び 試 験 - 第 1部 ; 一 般 貨 物 コ ン テ ナ 」 で 要 求 さ れ る 試 験 ( 積 重 ね 試 験 、 上 部 吊 上 げ 試 験 、 下 部吊上げ試験、緊締試験、端壁試験、側壁試験、フォークポケット試験、屋根試験、漏水試 験)に耐える頑丈なものであり、かかる試験後においても内部からの放射性物質の漏洩はな く 、閉じ 込め 性能は 十分 確保さ れて いる。 4 事故発生の未然防止対策 ―4― 4 事故発生の未然防止対策 (1) 陸 上輸 送 ア 伊 方 発 電 所 構 内 輸 送 時 は 、 放 射 性 固 体 廃 棄 物 輸 送 に 適 し た 車 両 ( 15ト ン ト ラ ッ ク ) 4 台 に 輸 送物1 ~2 個/1 台を 積載し 、安 全運送 に努 める。 [資料 7参照 ] イ 陸上 輸送に 当た っては 、次 の事項 を厳 守し安 全対 策に万 全を 期する 。 (ア) 輸 送車両 等の 始業前 点検 の実施 (イ) 熟 練した 運転 者、作 業員 、監督 者及 び放射 線管 理員の 選任 (ウ) 放 射線教 育も 含めた 事前 教育訓 練の 実施 (エ) 輸 送経路 への 監視員 、交 通整理 員の 配置に よる 関係者 及び 関係車 両の 誘導 (オ) 専 用固縛 装置 による 輸送 物の車 両へ の確実 な固 縛 (カ) 走行速度の制限遵守及び十分な車間距離の確保 (キ) 夜 間運搬 の禁 止 (ク) 岸 壁荷役 作業 時の安 全管 理の徹 底[資 料8参 照] ① 事前点 検の 厳重実 施及 び作業 区域 への関 係者 以外の 立入 禁止 ② 作業開 始前 の荷役 可否 の慎重 な判 断 ③ 輸送物 つり 上げ及 び積 付け時 の安 全確認 ④ セルガ イド 構造物 によ る輸送 物の 輸送専 用船 への確 実な 積付け (ケ) 放 射線管 理の 徹底 ウ ① 作業中 にお ける放 射線 管理の 徹底 ② 輸 送物の 線量 当量率 等の 測定に よる 安全確 認 測 定 時 点 構内運搬前 測 定 場 所 伊方発電所 内 容 線量当量率 船 伊方発電所 線量当量率 積 後 ③ 輸送物 積載 後の車 両及 び輸送 専用 船の線 量当 量率の 測定 による 安全 確認 ④ 作業完 了後 、作業 場及 び使用 資機 材に汚 染が ないこ との 確認 緊急 時の措 置 万一事故が発生した場合には、以下の応急措置を講ずるとともに、状況に応じて輸送本部 を事故対策組織に切り替え、関係機関との緊密な連絡の下に適切な措置を講じ、事故の拡大 防 止に努 める 。 (ア) 縄 張り、 標識 等によ る立 入禁止 区域 の設定 及び 見張人 によ る監視 ―5― (イ) 火 災 の 場 合 は 、 携 行 の 消 火 器 に よ り 直 ち に 初 期 消 火 に 当 た る 等 、 事 故 の 状 況 に 適 し た 応 急 措置 (ウ) 線 量当量 率の 測定 (エ) 負 傷者の 救護 (オ) 汚 染の除 去及 び汚染 拡大 の防止 (2) 海 上輸 送 ア 伊方発電所からの海上輸送に当たっては、放射性固体廃棄物運搬船としての安全対策が施 されている輸送専用船を使用し、十分余裕のある航海計画を立てるとともに、徹底した安全 運 航対策 を実 施する こと により 、事 故の未 然防 止を図 る。 [資 料9、10参照 ] イ 輸送専用船は、衝突又は座礁に備えて、次のような安全性を有する船体構造及び設備を有 し ている 。 (ア) 難 沈性 ① 船体がいくつもの防水区画に仕切られているので、衝突等により船体が損傷しても浸 水区画は限定され、また、隔壁を挟むいずれの2区画に同時に浸水しても、十分な浮揚 力 が確保 でき る2区 画可 浸性を 有し ている 。 ② 衝 突 等 に よ り 損 傷 を 受 け た 場 合 で も 、 25度 を 超 え る 横 傾 斜 が 生 じ な い よ う に 十 分 な 復 原 力 を 持 た せ て お り 、 こ の 状 況 で 更 に 20度 の 横 傾 斜 を 生 じ た 場 合 で も 転 覆 し な い 設 計 と な ってい る。 (イ) 船 倉部の 保護 ① 船倉部 は、 縦通隔 壁と 内底板 によ り二重 船殻 構造と なっ ている 。 ② 船倉前方には、衝突隔壁が設けられており、自船が衝突船となった場合にも、船倉が 保 護でき るよ うにな って いる。 ③ 座礁の際に備え、船倉内底板の高さを十分に取っており、船底部が破損しても輸送物 に は影響 しな い設計 とな ってい る。 (ウ) 火 災対策 設備 ① 他船との衝突等による船外火災又は船内火災等に備えて、機関室、発電機室に固定式 消 火装置 を設 けてい る。 ―6― ② 船倉は防火断熱構造で、他の貨物の積載を禁止しており、放射性固体廃棄物を輸送容 器に収納した輸送物は可燃性ではないので、船倉火災の危険性は、ほとんどないが、万 一 の場合 に備 えて非 常用 放水装 置を 設けて いる 。 (エ) 輸 送物固 縛装 置 船倉には、航行海域での船の動揺の際に輸送物の移動、転倒等を防止できるセルガイド 構 造の固 縛設 備を設 けて いる。 (オ) 非 常用電 源 主 発 電 機 と 同 一 能 力 の 非 常 用 電 源 装 置 を 設 け 、 船 内 主 要 設 備 に 18時 間 以 上 給 電 で き る よ う にして いる 。 (カ) 航 海計器 ・通 信設備 等 ○航 海用レ ーダ ー ○音 響測深 機 ○自 動衝突 予防 援助装 置 ○ジ ャイロ コン パス ○船 速距離 計 ○無 線電信 電話 装置等 (キ) 放 射線測 定器 具等 ○サ ーベイ メー タ ガ ンマ線 測定 用可搬 式測 定器 表 面の放 射性 物質等 の密 度を測 定す ること が可 能な可 搬式 測定器 ○個 人用外 部被 ばく線 量測 定器 〇 汚染防 護服 〇フィ ルタ 付防護 マス ク 〇除 染用具 ウ 要員 の確保 及び 教育・ 訓練 の徹底 (ア) 乗 船 者 に は 、 放 射 性 物 質 輸 送 に 関 す る 教 育 及 び 輸 送 専 用 船 保 安 設 備 の 取 扱 等 に 関 す る 教 育 ・訓練 を受 けた者 を起 用 (イ) 航 行の安 全確 保及び 事故 防止の ため の運航 管理 者の配 置 (ウ) 放 射線の 常時 監視及 び管 理を行 うた めの船 舶放 射線管 理者 の乗船 ―7― エ 海上 輸送中 の安 全管理 の徹 底 海上 輸送中 は、 次のと おり 安全管 理の 徹底を 図る 。 (ア) 入 出港の 際の 気象・ 海象 データ の入 手及び 入出 港に関 する 関係者 間の 協議の 実施 (イ) 出 港に際 して の船長 によ る以下 の事 項の確 認 ① 発航前 検査 ② 放射線 管理 設備等 必要 な設備 の整 備 ③ 爆発物 等異 常物が ない こと。 ④ 航路付 近に 挙動不 審な 船舶が いな いこと 。 (ウ) 入 出港の 際の 水先案 内人 及び有 効な 引き船 の使 用 (エ) 安 全航海 速力 の遵守 (オ) 空間線量当量率の常 時 監視 (カ) 倉 口の閉 鎖、 船倉入 口ド アの施 錠に よる関 係者 以外の 接近 の禁止 (キ) 最 寄りの 海上 保安官 署及 び運航 管理 者への 輸送 専用船 の動 静等の 定期 的な連 絡の 徹底 (ク) 運 送 届 等 に よ る 主 要 岬 通 過 及 び 入 港 等 予 定 日 時 の 1 時 間 を 超 え る 変 更 並 び に そ の 主 要 岬 を 中 心 と す る 半 径 10海 里 以 上 の 位 置 の 変 更 の あ る 場 合 の 所 轄 管 区 海 上 保 安 本 部 の 長 及 び 運 航 管理者 への 連絡の 徹底 (ケ) 霧 等によ る狭 視界航 海中 の以下 の対 策の実 施 ① 霧中信 号の 励行及 び他 船の霧 中信 号の聴 取 ② 安全な 航海 速力 ③ 他船と 著し く接近 状態 にある 場合 の輸送 専用 船の停 船 ④ 船首へ の見 張員の 配置 による 厳重 な見張 の励 行及び レー ダー情 報の 有効な 利用 (コ) 航 海 中 、 船 体 動 揺 等 に よ り 船 内 用 品 が 移 動 転 倒 す る よ う な 荒 天 に 遭 遇 し た 場 合 の 避 泊 の 実施 (サ) 夜 間の入 出港 の禁止 (シ) 放 射線管 理の 徹底 船舶放射線管理者による船内の線量当量率等の定期的な測定及び船内立入制限区域への ―8― 出 入管理 の徹 底並び に個 人用外 部被 ばく線 量測 定器等 によ る乗組 員の 被ばく 管理 の徹底 オ 緊急 時対策 万一事故が発生した場合には、輸送専用船の「災害対策緊急措置手引書」に基づき、次の と おり対 処す る。 (ア) 事 故 が 発 生 し た 場 合 、 船 長 は 速 や か に 状 況 に 応 じ た 対 応 措 置 を 指 示 す る と と も に 、 事 故 の状 況、対 応措 置等を 最寄 りの海 上保 安官署 及び 運航管 理者 に連絡 する 。 (イ) 船 長 は 、 最 寄 り の 海 上 保 安 官 署 の 指 示 に 従 い 、 迅 速 確 実 に 事 故 処 理 を 実 施 す る 。 こ の 場 合、人命の安全を最優先とし、さらに、輸送物、船体の保全を目的とし、すべての業務に 優先 して処 理に 当たる 。 (ウ) 運 航 管 理 者 は 、 速 や か に 事 故 の 状 況 を 関 係 先 に 連 絡 し 、 指 示 を 受 け る 等 関 係 各 所 と 連 絡 調整 に当た る。 (3) 輸 送業 者 放射性固体廃棄物の輸送作業については、輸送作業を安全かつ円滑に実施するため、放射性 輸 送物の 取扱 いに熟 練し 、豊富 な輸 送実績 のあ る業者 によ り実施 する 。 ―9― 5 法令に基づく輸送時の安全確認 放射性固体廃棄物の輸送に対しては、関係法令に基づき、事前に国又は原子力安全基盤機構若し くは国の認定機関の安全確認等を受けることとなっているが、今年度の輸送に当たっては、次のよ う な安全 確認 を受け 、ま た、海 上保 安本部 等へ 運送計 画等 を届け 出る ことと なっ ている 。 法令に基づく主な安全確認事項 No 確 認 事 項 廃 棄 物 1 埋設確認 放射性輸送物 運送計画書 2 安 全 確 認 確 認 内 容 埋設する廃棄物が、廃棄体 の技術上の基準に適合して いるかを確認する。 確 認 者 確 認 時 期 原子力安全 廃棄体検査 基 盤 機 構 終 了 後 海上輸送に関し、船舶、輸 送物、輸送物の積載方法等 の運送計画の安全性を確認 国土交通大臣 事 前 する。 輸送物の積付に当たって 3 危 険 物 輸送物の確認を行うとと もに、積載方法等につい 積付検査 四国運輸局長 又は 日本海事 検定協会 て検査する。 (国の認定機関) ―10― 輸送物積付時 6 安全評価 (1) 陸 上輸 送 ア 衝突 放 射 性 固 体 廃 棄 物 輸 送 容 器 は 、 法 令 に お い て 定 め ら れ て い る 国 際 標 準 化 機 構 文 書 ISO1 4 96/1「シリーズ1 貨 物 コ ン テ ナ - 規 格 及 び 試 験 - 第 1部 ; 一 般 貨 物 コ ン テ ナ 」 で 要 求 される各種試験(積重ね試験、上部吊上げ試験、下部吊上げ試験、緊締試験、端壁試験、側 壁 試験、 フォ ークポ ケッ ト試験 、屋 根試験 、漏 水試験 )に 耐える 堅牢 性を有 する 。 また 、 放 射 性物 質 は 、 モル タ ル 充 填に よ り 固 型化 さ れ て ドラ ム 缶 に 密閉 さ れ て いる の で 、 環 境中へ 散逸 するこ とは ないと 考え られる 。 イ 火災 輸送物自体が可燃性物質ではなく、万一火災が発生したとしても、輸送車両に配備した消 火 器によ り処 置する ので 、輸送 物の 安全性 を損 うこと はな いと考 えら れる。 (2) 海 上輸 送 海 上 輸 送 に 使 用 す る 輸 送 専 用 船 は 、「 低 レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 運 搬 船 の 構 造 設 備 の 特 別 要 件 」 ( 運 輸 省 通 達 海 査 第 450号 ) に 適 合 す る も の で 、 構 造 上 及 び 設 備 上 の 十 分 な 安 全 対 策 が 施 さ れ て おり、 次の とおり 安全 性が確 保さ れると 考え られる 。 ア 衝突 、座礁 放 射 性 固 体 廃 棄 物 輸 送 容 器 は 、 法 令 に お い て 定 め ら れ て い る 、 国 際 標 準 化 機 構 文 書 ISO 1496/1「シリーズ1 貨 物 コ ン テ ナ - 規 格 及 び 試 験 - 第 1部 ; 一 般 貨 物 コ ン テ ナ 」 で 要求される各種試験(積重ね試験、上部吊上げ試験、下部吊上げ試験、緊締試験、端壁試験、 側 壁試験 、フ ォーク ポケ ット試 験、 屋根試 験、 漏水試 験) に耐え る堅 牢性を 有す る。 また、放射性物質は、モルタル充填により固型化されてドラム缶に密閉されているので、 環 境中へ 散逸 するこ とは ないと 考え られる 。 イ 火災 仮に火災が発生したとしても、船倉部には輸送物以外の貨物の積載はなく、また、航海中 ―11― は 倉口 を閉じ てい るので 、船 倉火災 の危 険は、 ほと んどな いと 考えら れる 。 さらに、万一の場合には、固定の消火設備を有しており、迅速な消火活動が行われるため、 輸 送物に 被害 が及ぶ こと はない と考 えられ る。 ウ 海難 事故時 の輸 送船の 安全 性 一般貨物船が放射性固体廃棄物の輸送と同様の日本周回航路を航行する場合の沈没事故の 発生確率を、過去の海難統計資料から算定した結果によると、沈没確率は、極めて低い値と な ってい る。 したがって、二重船殻構造を持ち、2区画可浸性を満足し、十分な安全管理の下で運航す る 輸送専 用船 の沈没 確率 は、上 記一 般船舶 より も更に 十分 低いと 推定 される 。 ―12― 7 結論 以上 の諸 点につ いて は、次 のと おり要 約さ れる。 (1) 今 年 度 の 放 射 性 固 体 廃 棄 物 の 輸 送 は 、 こ れ ま で に 行 わ れ て い る 輸 送 の 方 法 と 基 本 的 に 異 な る と ころは ない 。 (2) 輸 送 す る 廃 棄 物 は 、「 核 燃 料 物 質 又 は 核 燃 料 物 質 に よ っ て 汚 染 さ れ た 物 の 第 二 種 廃 棄 物 埋 設 の事業に関する規則」等に定める廃棄体の技術上の基準に適合するものであることについて、 原 子力安 全基 盤機構 の確 認を受 ける 。 (3) 輸 送容 器は、 関係 法令に 定め る基準 を満 足する よう に設計 、製 作され てい る。 (4) 放 射 性 固 体 廃 棄 物 運 搬 船 は 、「 低 レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 運 搬 船 の 構 造 設 備 の 特 別 要 件 」( 運 輸 省 通 達 海 査 第 450号 ) に 十 分 適 合 す る よ う 安 全 対 策 が 施 さ れ た も の で あ り 、 ま た 、 安 全 運 航 面 か ら もきめ 細か い対策 がと られて いる 。 (5) 輸 送 に 当 た っ て は 、 事 故 の 未 然 防 止 対 策 、 事 故 時 の 対 策 等 、 安 全 対 策 に 十 分 配 慮 が な さ れ て いる 。 (6) 海 上 輸 送 の 安 全 対 策 に つ い て は 、「 危 険 物 船 舶 運 送 及 び 貯 蔵 規 則 」 に 基 づ き 、 事 前 に 国 又 は 国 の認定 機関 による 確認 が行わ れる ことと なっ ている 。 ―13― 8 経過 (1) 平 成25年3 月29日四 国電力 ㈱か ら放射 性固 体廃棄 物輸 送の安 全対 策につ いて 資料提 出 (2) 同 年8 月6日 伊方 原子力 発電 所環境 調査 技術連 絡会 におい て検 討 (3) 同 年9 月9日 伊方 原子力 発電 所環境 安全 管理委 員会 原子力 安全 専門部 会に おいて 検討 (4) 同年 9月 9日原 子力 規制庁 へ意 見照会 ―14― 9 資料 資料1 〇 放射性固体廃棄物輸送関係法令 核原 料物質 、核 燃料物 質及 び原子 炉の 規制に 関す る法律 ・実 用発電 用原 子炉の 設置 、運転 等に 関する 規則 ・核 燃料物 質等 車両運 搬規 則 ・核 燃料物 質等 の工場 又は 事業所 の外 におけ る運 搬に関 する 規則 ・核 燃料物 質等 の事業 所外 運搬に 係る 危険時 にお ける措 置に 関する 規則 ・核 燃料物 質等 の運搬 の届 出等に 関す る内閣 府令 ・核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の第二種廃棄物埋設の事業に関する 規則 〇 道路 法 〇 道路 交通法 〇 道路 運送車 両法 〇 放射 性同位 元素 等によ る放 射線障 害の 防止に 関す る法律 〇 労働 基準法 〇 労働 安全 衛生法 ・ 電離放 射線 障害防 止規 則 〇 船員 法 〇 消防 法 〇 船舶 法 〇 船舶 安全法 ・危 険物船 舶運 送及び 貯蔵 規則 〇 海上 衝突予 防法 〇 海上 交通安 全法 〇 港則 法 〇 原子 力災害 対策 特別措 置法 ―15― 資料2 放射性固体廃棄物用ドラム缶概略図 (モ ル タ ル 充 填 ) ―16― 資料3 輸送容器概略図(LLW-2型) ―17― 主要材質:鋼製 空 重 量 : 約 1 .2 ト ン 総 重 量 : 約 9 .2 ト ン 以 下 (単位:mm) 資料4 項 目 放射性物質の 分布 放 射 能 濃度 基 準 の LSA-Ⅱの基準 内 容 廃棄体の基準への適合性 放射性物質が全体にわたって分布 していること。 * 平 均 放 射 能 濃 度 が 1 0 - 4 A 2 /g を超えないこと。 輸送物に収納される放射性物質を 集 積 し た 場 合 に お いて、 態で、表面から3m 1 0 m S v / h を 超えないこと。 遮へい体を除いた状 離れた位置における 線量当量率 輸送容器には、輸送容器の収納本数で ある廃棄体8本を収納しており、放射 性固体廃棄物の放射性物質が全体にわ たって分布している。 廃棄体の最大放射能濃度は、LSA- Ⅱ基準値の1%程度である。 [廃棄体検査装置で輸送前に確認] 輸送容器の収納本数である廃棄体8本 を集積した場合の廃棄体表面から3m 離れた位置での線量当量率は、 0.008mSv/h以下である。 廃棄体検査装置で廃棄体表面の 線量当量率を輸送前に確認 *)A 2 値 「核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する技術上の基準に係る細目等 を定める告示」の別表に示される、特別形核燃料物質等以外の核燃料物質等の種類及び区 分に応じて用いられる数量(放射能)の限度 ―18― 資料5 廃棄体検査装置概略図 ―19― 資料6「IP-2型輸送物」の技術上の基準 項 目 技 術 上 の 基 準 の 内 容 ・容易に、かつ、安全に取り扱うことができること。 ・運搬中に予想される温度及び内圧の変化、振動等によりき裂、破損等の 生じるおそれがないこと。 一 般 要 件 ・外表面に不要な突起物がなく、かつ、除染が容易であること。 ・容器の材料は、材料相互間及び材料と放射性収納物間で危険な物理的ま たは化学的作用を起こすおそれがないこと。 ・弁は、誤操作されない措置が講じられていること。 ・外接する直方体の各辺が十センチメートル以上であること。 表面の放射性物質の密度が以下を満足すること。 表面汚染密度 α線を放出する放射性物質 α線を放出しない放射性物質 通常輸送時の 表面線量当量率 線量当量率 at1m線量当量率 0.4Bq/cm2 以下 4Bq/cm2 以下 2mSv/h以下 100μSv/h以下 ISO1 4 9 6 / 1 「 シ リ ー ズ 1 貨物コンテナ-規格及び試験― 第 1部 ; 一 般 貨 物 コ ン テ ナ 」 に 定 め ら れ た 要 件 に 、 寸 法 と 最 大 総 重 主務大臣が必要と認 める試験条件下にお ける線量当量率等 量 を 除 き 適 合 し 、 か つ 、 当 該 I S O 規 格 に 定 め ら れ た 試験条件 * ) の下に 置くこととした場合 ・放射性物質の漏洩がなく、かつ、表面における線量当量率が20%を超えて 増加しないこと ・表面における最大線量当量率の著しい増加がなく、かつ、当該最大線量当 量率が2mSv/hを超えないこと *) 積重ね試験、上部吊上げ試験、下部吊上げ試験、緊締試験、端壁試験、側壁試験、フォー ク ポケッ ト試 験、屋 根試 験、漏 水試 験 ―20― 資料7 ―21― 3790 輸送物積載図 資料8 輸送専用船の専用船載クレーン外観及び実負荷図 ―22― 資料9 輸送専用船概観図 ―23― 資 料 10 輸送専用船全体図 ―24― 資 料 11 伊方発電所放射性固体廃棄物輸送実績 搬 輸 回 送 数 搬 出 年月日 出 体 数 充填 セメント アスファルト 固化体 固化体 固化体 輸送容器及び 個 数 輸送船 1 5.8.19 - 400本 104本 IP-2型63個 青栄丸 2 6.8.5 - 336本 304本 IP-2型80個 〃 3 7.7.27 - 336本 304本 IP-2型80個 〃 4 8.7.8 - 576本 64本 IP-2型80個 〃 5 10.10.2 - 240本 304本 IP-2型68個 〃 6 19.11.2 - 480本 400本 IP-2型110個 〃 7 21.11.30 - 280本 304本 IP-2型73個 〃 8 23.11.12 640本 - - IP-2型80個 〃 9 25.3.21 640本 160本 160本 IP-2型120個 〃 1,280本 2,808本 1,944本 合 計 6,032本 資 料 12 期 間 搬 放射性固体廃棄物輸送実績(全国) 出 先 平成4年度から 日本原燃㈱低レ 平成25年3月末 ベル放射性廃棄 までの累計 物埋設センター 輸送回数 175 回 ―25― 輸送容器及び個数 IP-2型 31,915個
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