補助事業に係る消費税返還の取り扱い 1.基本的考え方 補助事業に伴う補助金収入は、消費税法上不課税取引に該当する。一方、補助事業に伴う 事業経費は、控除対象仕入税額として仕入税額控除することも可能である。 したがって、当補助事業に限ってみれば、課税売上はゼロとなり当事業にかかった経費を 控除対象仕入税額に算入した場合、課税事業者はその消費税に相当する金額の還付を受ける ことができる。 国からすると、補助金を交付したうえに消費税を還付することになり、その分、重複して しまう結果となる。これを調整すべく、控除対象仕入税額のうち補助金に係る部分(消費税 の確定申告において控除対象仕入税額に算入した金額に限る)については、返還を求めてい る。 2.手続 (1) 課税事業者(簡易課税事業者を除く)で、控除対象仕入税額に算入している場合 消費税の確定申告納付した後、「中小企業活路開拓調査・実現化事業補助金交付規程」 によって全国中央会会長に報告をしなければならない。 (2) 課税事業者(簡易課税事業者を除く)で、控除対象仕入税額に算入していない場合、又 は免税事業者又は簡易課税事業者に該当している場合 確定申告後に「書式」及び「別紙」を提出してください。 ※ 「書式」及び「(別紙)」の記載方法については、別添の記入例を参照してください。 消 費 税 は 原 則 、前 々 事 業 年 度 の 課 税 期 間 に 係 る 課 税 売 上 高 に よ っ て 納 税 義 務 が生じますので、報告書は消費税の確定申告納付後に必ずご提出ください 3.計算方法(課税事業者で、控除対象仕入税額に算入している場合に該当する方のみ) 補助事業実績報告書と消費税の確定申告書から計算する。課税売上割合が95%以上の場 合には、補助金に係る課税仕入税額を全額控除対象仕入税額に算入した補助金に係る消費税 額に入れることができる。 課税売上割合が95%未満の場合には、控除対象仕入税額は按分計算が必要となる。この 場合に区分経理しているときは個別対応方式と一括比例配分方式のいずれか有利な方法を選 択可能であるが、区分経理していない場合には一括比例配分方式によらなければならない。 しかし、補助金については、補助金に係る課税仕入税額は課税資産の譲渡等とその他の資 産の譲渡等に共通して要するものに該当するので個別対応方式か一括比例配分方式により計 算することになる。 したがって、個別対応方式は課税売上にかかった消費税額と課税売上と非課税売上に共通 して要するものにかかった消費税額に課税売上割合を乗じた金額、一括比例配分方式は課税 仕入高に含まれている消費税額の合計額に課税売上割合を乗じた金額しか控除対象仕入税額 に入れることはできない。 ≪課税売上割合が95%以上の場合の返還額の計算≫ 補助金に係る部分に含まれている消費税額と地方消費税額の合計額を消費税の確定申告の ときに控除対象仕入税額に算入することができる。 ≪課税売上割合が95%未満の場合の返還額の計算≫ 補助金に係る部分に含まれている消費税額×課税売上割合と地方消費税額の合計額を消費 税の確定申告のときに控除対象仕入税額に算入することができる。 4.仕入税額控除の特例 消費税法第60条第4項、第5項の規定により公益法人、商工組合(非出資)、商工組合 連合会(非出資)、人格のない社団等については、国庫補助金に係る収入(特定収入という) にかかる課税仕入税額は、上記3の算方法によらず、特定収入割合が5%以上の場合には一 定の調整計算が必要になるため全額控除対象仕入税額に入れることはできない。ただし、課 税売上割合が95%以上の場合には控除対象仕入税額に入れることができる。 (補足説明) 事 業 者( 課 税 事 業 者 に 限 る )が 納 付 す る 消 費 税 額 は 、 仮 受 消 費 税 額( 販 売 時 に 受 取 っ た 商 品 に 係 る 消 費 税 額 )と 仮 払 消 費 税 額( 仕 入 時 に 支 払 っ た 商 品 に 係 る消費税額)の差額(仕入税額控除)が生ずることで確定する。 2,100 円( 仕 入 時 、商 品 に 含 ま れ る 仮 払 消 費 税 額 100 円 を 相 手 に 支 払 済 )の 商 品 を 、 3,150 円 ( 販 売 時 、 消 費 者 か ら 仮 受 消 費 税 額 150 円 を 受 領 済 ) で 販 売 し た 場 合 、 事 業 者 は 多 く 受 け 取 っ て い る 50 円 ( 150 円 -100 円 ) を 納 付 し な く て は な ら な い 。 【 事 業 者 】 < ---( 100 円 ) ---【 組 合 】 < ---( 150 円 ) ---【 消 費 者 】 支払消費税額(相手に支払った分)<受取消費税額(消費者からの預かり分) 還 付 と は 、事 業 者 が 受 取 っ た 消 費 税 額 よ り 多 く 相 手 に 支 払 っ た 場 合 、そ の 払 い 過 ぎ た 分 の 返 還 を 受 け る こ と で あ る 。上 記 の 商 品 を 1,050 円 で 販 売 し た 場 合 【 事 業 者 】 < ---( 100 円 ) ---【 組 合 】 < ---( 50 円 ※ ) ---【 消 費 者 】 事 業 者 は 過 払 い 分 で あ る 50 円( 100 円 -50 円 )の 還 付 を 受 け る こ と が で き る 。 ※ 補助助金の場合は不課税取引なので、受取消費税額は「0円」となるので、支払 消費税が上回ることになる。 支払消費税額(相手に支払った分)>受取消費税額(消費者からの預かり分) 補助金は消費税法不課税取引に該当するので、仮受消費税額は0円となり、事業者は仮払 消費税額(100 円)の差額 100 円の還付を受けることができる(この補助事業に限定してみ ると)。国からすると補助金を助成しつつ、補助金に係る部分の還付も行っていることにな り、結果、重複が発生してしまうことになる。 これを解消するために、補助金に係る部分(控除対象仕入税額に算入している部分に限定) の返還を求めることにしている。 (参考) * 不課税取引のために要する課税仕入れの取り扱い(消費税法基本通達11−2−16) ≪法第30条第2項第1号(個別対応方式による仕入税額控除)に規定する課税資産 の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(以下「課税資産の譲渡等 とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」という。)とは、原則として課税 資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等をいうのである が、例えば、株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費、証券会社へ支払う引 受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は、課税 資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとして取り扱う。≫ (記入例) 平成22年○月○○日 全国中小企業団体中央会 会 長 鶴 田 欣 也 殿 組合等の名称及び住所 組合等を代表する者の氏名、役名 , 平成21年度消費税額及び地方消費税額の額の確定に伴う報告書 中小企業活路開拓調査・実現化事業補助金交付規程の規定に基づき、下記のとおり報告しま す。 記 1.補助金額(全国中央会会長が確定通知書により通知した額) ○○○○○○円 (最終的に確定した補助金額です) 2.補助金の確定時における消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額 0円 (ここの数字は原則「0円」です) 3.消費税額の確定に伴う補助金に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額 □□□□円 別添の記入例で、課税売上割合が 95%以上の場合は、151,647 円 課税売上割合が 95%未満の場合は、134,658 円 4.補助金返還相当額(3.−2.) □□□□円 (3.と4.の数字は原則同じ数値が入ります) (課税事業者・簡易課税事業者・免税事業者)に該当します。 ※ 消費税の取り扱いについて該当する箇所に○を付けてください。 (注)免税業者又は簡易課税業者は 2.3.4.のそれぞれに「0円」と記入してくだ さい。) 免税事業者と簡易課税事業者の方は、この1枚の報告書だけで結構です。 (記入例) ≪課税売上割合が95%以上の場合の計算≫ ※ 課税売上割合については税理士の方にご相談ください。 実績報告書の積算内訳 補助事業に要した経費 事業内容 決算額 補助金額 イ 調査研究事業 委員旅費 補助金に係る 課税仕入税額 2,286,600 自己負担額 1,524,400 合 計 控除対象仕入税額に 算入した補助金に係 る消費税額 この 2 列は同じ数値 になります。 3,811,000 180,000 120,000 300,000 8,571 8,571 会議費 3,600 2,400 6,000 171 171 資料費 3,000 2,000 5,000 142 142 委託費 2,100,000 1,400,000 3,500,000 100,000 100,000 ロ 試作・改造事業 676,200 450,800 1,127,000 委員旅費 72,000 48,000 120,000 3,427 3,427 原材料費 600,000 400,000 1,000,000 28,571 28,571 消耗品費 1,800 1,200 3,000 85 85 通信運搬費 2,400 1,600 4,000 113 113 ハ 成果普及講習会 222,000 開催事業 148,000 370,000 講師謝金については、「給与」なら不課税ですが「役務の提供」の対価に該当する と課税対象となります。この項目については税理士の方にご相談ください。 講師謝金 120,000 80,000 200,000 5,713 5,713 講師旅費 30,000 20,000 50,000 1,427 1,427 会場借料 72,000 48,000 120,000 3,427 3,427 この数字が様式11の「3.」の金額になります。 合 計 3,184,800 2,123,200 5,308,000 151,647 <計算方法> 72,000×4/105=2,742.857・・・(1円未満切捨) (消費税4%分) 2,742× 1.25=3,427 (合計) 消費税は4%の国税と、その 25 %である地方消費税( 4×0.25 =1)1%の合計5%です 。 (注意)直接5%分を算出しようとすると、72,000×5/105=3,428(1円未満切捨)となり、 数字に誤差が生じてしまう場合もあります。 151,647 (記入例) 課税売上割合が95%未満 の場合はこの一文を追加 してください。 ≪課税売上割合が95%未満の場合の計算≫ 平成○○年度(事業実施年度)決算の消費税申告書における課税売上割合は、○○%です。 (以下の計算は、88.8%で計算してあります) 補助事業に要した経費 事業内容 補助金額 イ 調査研究事業 委員旅費 補助金に係る 課税仕入税額 決算額 2,286,600 自己負担額 1,524,400 合 計 控除対象仕入税額 に算入した補助金 に係る消費税額 この 2 列は同じ数値 になります。 3,811,000 180,000 120,000 300,000 7,611 7,611 会議費 3,600 2,400 6,000 151 151 資料費 3,000 2,000 5,000 126 126 委託費 2,100,000 1,400,000 3,500,000 88,800 88,800 ロ 試作・改造事業 676,200 450,800 1,127,000 委員旅費 72,000 48,000 120,000 3,042 3,042 原材料費 600,000 400,000 1,000,000 25,371 25,371 消耗品費 1,800 1,200 3,000 75 75 通信運搬費 2,400 1,600 4,000 100 100 ハ 成果普及講習会 222,000 開催事業 148,000 370,000 講師謝金については、「給与」なら不課税ですが「役務の提供」の対価に該当すると 課税対象となります。この項目については税理士の方にご相談ください。 講師謝金 120,000 80,000 200,000 5,073 5,073 講師旅費 30,000 20,000 50,000 1,267 1,267 会場借料 72,000 48,000 120,000 3,042 3,042 この数字が様式11の 「3.」の金額になります。 合 計 3,184,800 2,123,200 5,308,000 134,658 134,658 <計算方法> 72,000×4/105=2,742.8・・・(1円未満切捨) 消費税4%分 2,742×0.888 =2,434.8・・・(1円未満切捨) 2,434× 1.25=3,042 (合計) 記入例 (別紙) 全国中小企業団体中央会 会 長 鶴 田 欣 也 殿 消費税及び地方消費税の処理方法について 平成21年度の消費税及び地方消費税の確定申告にあたって「中小企業活路開拓調 査・実現化事業」の補助金に係る消費税額及び地方消費税額については控除対象仕入税 額に算入していません。 (但し、講師謝金について) 一部の費目のみ、仕入控除対象に算入していな い場合は、その費目を入れてください。 平成22年 月 日 (例)講師謝金と資料費だけ仕入控除対象にし ていない場合。 (但し、講師謝金と資料費について) 税理士 印 ○ (注)この用紙は、以下の条件に該当する方のみご提出願います。 ・課税業者であり、かつ補助金に係る経費について仕入控除の対象としていない方 イ.全ての費目を仕入控除の対象としていない場合 ロ.一部の費目のみ仕入控除の対象としてない場合 (ロ.の場合はその費目を記入してください)
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