東三河環境認証材を使った家 その後の感想を伺いました

April 2009
NPO Honokuni Forestry Association
Forest Vol.072
東三河環境認証材を使った家 その後の感想を伺いました
愛知県東三河地域で、
間伐などの適切な管理がされ、
水土保全など環境の面でも十分な機能を発揮できる
森林を証明する「東三河環境認証森林認証制度」。こ
の制度については、
「フォレスト」でもVol45、
Vol54で
ご紹介いたしました。この制度により認証された森林か
ら伐りだされた木材(認証材)を使用した住宅の建築
現場を取材した記事(Vol64参照)を、
皆さん覚えてい
らっしゃいますでしょうか。
完成から1年と少しが経ったそうですが、
その後の住
み心地などを家主の会員Aさんにご寄稿いただきまし
たので、
ご紹介いたします。
この制度により認証された森林から一昨年の年末に
今の家に住み初めて一年と少しが経ちました。今でも外
から帰ってくると、
木の香りがやさしく迎えてくれます。
「せっかく家を建てるのであれば、
地元の東三河の材
木で」と家創りをはじめ、
限られた(少ない)予算の中で
工夫を重ねてできあがった(2007年12月発行のフォレ
ストVol64で取り上げて戴いた)住まいのこの一年の感
想を報告いたします。 拙宅で使用している木材は一部
の合板を除いてすべて東三河の材をつかっています。も
ちろん内装も含まれていて、
床や天井、
壁(腰壁)
・建具・
多くの家具に至るまで東三河産の杉やヒノキです。そ
の他の壁は吸湿性の高い塗り壁やタイルですので、
家
全体で湿度の調整をしてくれます。ですから、
梅雨時で
もジメッとした感じは全くなく、
冬場の乾燥時にも50∼
60%の湿度をキープしてくれています。
昨年(2008年)の夏はまったく記録的な暑さでした
が、
それでもエアコンなしで乗り切れました。室外の温
度計が体温を軽く超え40度に迫ろうというような真夏
の昼間でも、
室内は31∼32度程度。けして涼しいとい
うレベルの温度ではありませんでしたが扇風機を回し
ていれば充分に凌げる程度。朝夕の少し涼しい時間帯
に窓を開けて風を入れれば、
夜もぐっすり眠れました。
一般的な住宅よりも少し多めに断熱材を使っているこ
ともありますが、
壁や床が自然の調湿効果を発揮してく
れたおかげもあって湿気をあまり感じないのも大きな要
因だと思います。
前に住んでいたマンション(鉄骨造り)との比較では
夏冬を問わず湿気がたまりやすくてカビに悩まされ、
そ
のせいか冬になるといつも子ども達が夜寝ているとき
に咳き込んでいたり、
風邪を引きやすかったりしていま
した。
それを思うと今はまったく快適で、
子ども達も日々元
気に暮らせています。
こんな住まいも良いことばかりではなく杉板の床は
我が家のシンボルツリー(カヤの木)とロフト、
それに昇るための収納階段です。
三河杉材のベランダとその軒。子ども達は夏ここで寝ます。
思いの外柔らかく、
あっという間に傷だらけ。季節によっ
て床に貼った板の間隔が変わるので、
木が縮む冬場は
床の隙間にゴミがたまります。梁は大きく亀裂が入って
いますし、
建具は季節によって反ってしまってピッタリと
閉まらないところも。そして今でも「ビシッ」
「パシッ」と
いう木が伸縮音が時折響いて驚くときもあります。
しかし、
そういうことも「味のうち」と思えれば充分満
足できる住まいです。
国産の材木は高いというイメージがありますが、
材木
の種類や使う場所、
使い方を工夫してあげることで、
思
いの外リーズナブルになりますし、
積極的に協力してく
れる業者さんはたくさんあると思います。
もし、
家創りをお考えの方がいらっしゃるようでした
ら、
住宅メーカーさんや設計士さん・工務店さんにぜひ
相談されることをおすすめします。