新丸山発電所/新丸山ダム

Jp.44_新丸山
IEA 水力実施協定 ANNEX 11
水力発電設備の更新と増強
第二次事例収集(詳細情報)
事例のカテゴリーとキーポイント
Main:1-c) 水系一貫水資源管理(総合開発計画、水利権等)
Sub :2-c) 土木建築分野の技術革新、適用拡大、新材料
プロジェクト名
:新丸山ダム建設プロジェクト
国、地域
:日本、岐阜県
プロジェクトの実施機関
:関西電力株式会社
プロジェクトの実施期間
:2013~
更新と増強の誘因
:(E) 第三者要因に対する必要性
キーワード
:ダム嵩上げ Dam raising project、補償 Compensation
要旨
木曽川はその源を長野県鉢盛山の南麓に発し、最大の支流王滝川を合流して木曽の渓谷を
縫いながら幾多の支流を集め、河口から 70km の地点で飛騨川を合流して濃尾平野を経て伊勢
湾に注ぐ大河川であり、木曽川水系の幹線流路延長は 227km、流域面積 9,100km2 に及び、流
域内年平均雨量は 2411mm(昭和 61 年度)である。木曽川は我が国屈指の包蔵水力があり、
数多くの発電所・ダムが建設されているが、そのうち丸山ダムは当社管内の中で下流部に位置
する。丸山ダムは洪水調節能力のある多目的ダムであるが、昨今この洪水調節能力の大幅な向
上を目的の1つとして、ダムの嵩上げを伴う新丸山ダム建設プロジェクトが進められるところ
となっている。これに伴い、当社保有の水力発電設備を改良する必要があり、今後検討が進め
られるところである。
1. プロジェクト地点の概要(改修前)
木曽川はその源を長野県鉢盛山の南麓に発し、最大の支流王滝川を合流して木曽の渓谷を縫
いながら幾多の支流を集め、河口から 70km の地点で飛騨川を合流して濃尾平野を経て伊勢湾
に注ぐ大河川であり、木曽川水系の幹線流路延長は 227km、流域面積 9,100km2 に及び、流域
内年平均雨量は 2411mm(昭和 61 年度)である。木曽川は我が国屈指の包蔵水力があり、数
多くの発電所・ダムが建設されているが、そのうち丸山ダムは当社管内の中で下流部に位置す
る。丸山ダムは洪水調節能力のある多目的ダムであるが、昨今この洪水調節能力の大幅な向上
を目的の1つとして、ダムの嵩上げを伴う新丸山ダム建設プロジェクトが進められるところと
なっている。
岐阜県
川辺町
八百津町
恵那市
丸山発電所
兼山発電所
笠置発電所
木曽川
兼山ダム
兼山町
丸山ダム
笠置ダム
新丸山発電所
名鉄広
見線
新丸山ダム
(国交省)
計画位置
瑞浪市
岐阜県
御嵩町
愛知県
可児市
土岐市
は関連する発電所等
三重県
伊勢湾
図-1 新丸山ダム位置図
2. プロジェクト(更新/増強)の内容
2.1 誘因及び具体的なドライバー
① 状態、性能、リスクの影響度等
(E)―(a) 第三者要因に対する必要性―持続的な運用(出力減を伴うこともある)
近年の多雨に起因する洪水対策に対する社会の目がある中、国交省による治水対策と
してのダム嵩上げ事業に伴い、当社保有の水力発電設備を改良する必要がある。
新丸山ダム建設事業
①サーチャージ水位
上昇 +21.1m
②常時満水位
上昇 +6.5m
ダム水位の上昇
・丸山・新丸山発電所水路部対策工事
・笠置発電所移設等
機能回復補償
(減電含む)
丸山・新丸山発電所
kW・kWh増
機能回復補償
(ダム洪水吐改造)
新丸山ダム
FWL212.5
工事中減電補償
丸山ダム
SWL188.3
機能回復補償
水路の嵩上・
補強・取替え
NWL179.8
発電参加
(ダム使用権)
専 用 費
電気機器
取替
LWL204.3
笠置
P/S
NWL186.3
機能回復補償
(発電所移設)
永久減電補償
工事中減電補償
国へ帰属
新丸山
P/S
丸山
P/S
NWL211.3
①サーチャージ水位
21.1m上昇
②常時満水位
6.5m上昇
LWL170.8
笠置ダム
FWL218.1
SWL210.8
SWL209.4
発電参加
15.6km
図-2 ダム嵩上げに伴う当社発電設備への影響
影響を受ける当社発電設備については、機能回復補償の観点として、下流発電所において
取水口・庁圧水槽の嵩上げ、導水路の補強、水圧管路の取替えが挙げられ、上流発電所にお
いては発電所の移設、ダム洪水吐ゲートの改造などが挙げられる。対策工事案と考えられる
ものを下表に示す。
(表―1)
表―1 プロジェクトに影響を受ける当社設備の対策工事案
対策工事の概要
発電所名
丸 山
P/S
新丸山
P/S
項
目
事
内
容
取 水 口
・嵩上げ
導 水 路
・周辺岩盤補強及び内張管の施工
調圧水槽
・嵩上げ
水圧管路
・取り替え
水車・発電機
・取り替え
取 水 口
・嵩上げ
導 水 路
・周辺岩盤補強及び内張管の施工
調圧水槽
・嵩上げ
水圧管路
・地山補強
水車・発電機
・取り替え
発 電 所
・移設発電所の建設
ダ
・制水ゲート嵩上げ
(ラジアルゲート→ローラーゲート)
笠 置
P/S
工
ム
・現取水口を洪水吐に改造
区
分
増 減 電
機能回復補償 工 事 中 減 電補 償
( 専 用 工 事 )( 発 電 効 用 増 )
発
電
機能回復補償 工 事 中 減 電補 償 参
加
( 専 用 工 事 )( 発 電 効 用 増 )
機能回復補償
永久減電補償
工事中減電補償
② 価値(機能)の向上
(該当なし)
③ 市場における必要性
(該当なし)
2.2 経
緯
1954.04
丸山発電所運転開始
1971.05
新丸山発電所運転開始
2.3 内
容(詳細)
1-c) 水系一貫水資源管理(総合開発計画、水利権等)
本プロジェクトは洪水調節能力の大幅な向上を目的の1つとして、ダムの嵩上げを実施
するものである。
堤高
洪水調節量
98.2m
122.5m
20,170,000m3
72,000,000m3
0m3
15,000,000m3
188,000kw
210,500kw
既得取水の安定化
及び河川環境の
保全等のための容量
発電
図-3 ダム嵩上げプロジェクト概要
2-c) 土木建築分野の技術革新、適用拡大、新材料
新丸山ダムは、大規模な多目的ダムとしては国内最大級の嵩上げ工事を実施することに
なる。既設の丸山ダムは、木曽川本川の洪水調節において重要な役割を担っているととも
に、当社の発電事業においても同様その役割を果たしているところであり、工事期間中も
その機能を維持しなければならない。そのためには設計・施工方法などにおいて技術的に
先駆的なダムとなることが期待される。
図―4 ダム嵩上げ工法
3. プロジェクトの特徴
3.1 好事例としての要素(注目点)
・大規模な多目的ダムとしては国内最大級の嵩上げ工事
・発電所の増改築の考え方
3.2 成功の理由
治水対策の必要性に関して、両者の認識が一致することが大切である。ダム嵩上げプロジ
ェクトによる当社保有の水力発電設備への影響・必要な補償を適切に検討し、プロジェクト
推進に協力する。
4. 他地点への適用にあたっての留意点
・適切な治水容量の把握
・上流域を含めた影響・必要な補償の把握
5. その他(モニタリング、事後評価等)
(なし)
6. 参考情報
6.1 参考文献
(なし)
6.2 問合せ先
会社名: 関西電力株式会社
URL : http://www.kepco.co.jp/