事業プロセス別 事 業戦 略 研究開 発 開発品の進 状況 2014 年度には、当社が創製した SGLT2 阻害剤「 TA-7284 」 中枢神経系では、後期ステージの開発品である MT-4666 (一般名:カナグリフロジン)について国内で承認を取得し、 ( 適 応 症:ア ルツ ハ イ マ ー 型 認 知 症 )の 国 際 共 同 治 験 と 2 型 糖 尿 病 治 療 剤「カナグル」として販 売を開 始しました。 MP-214(適応症:統合失調症)のアジア共同治験を実施中 さらに、当社が創製した 2 型糖尿病治療剤「テネリア」 (一般 です。また、2015 年 3 月にニューロクラインバイオサイエン 名:テネリグリプチン:DPP-4 阻害剤)と、同剤との合剤につ ス(米国)から VMAT2 阻害剤「 NBI-98854( MT-5199 )」を いて、国内でフェーズ 3 試験を開始しました。また、導出先で 導入しました。ハンチントン病、遅発性ジスキネジアを適応 あるヤンセンファーマシューティカルズ(米国)が実施する 症として開発を進めていきます。 TA-7284 の 糖 尿 病 性 腎 症を適 応 症とした国 際 共 同 治 験に なお、2014 年度における研究開発費は 696 億円となり、 参画しました。 研究開発費率は 16.8% となりました。 2015 年 5 月 8 日時点の主な開発品の進 状況は以下の通りです。 開発段階 フェーズ 治験コード/製品名 一般名 予定適応症など 地域 多発性硬化症 欧州 1 2 3 申請 自己免疫疾患 MT-1303 レミケード インフリキシマブ [ 遺伝子組換え ] 乾癬 欧州 炎症・自己免疫疾患 日本、欧州、米国 特殊型ベーチェット病 日本 難治性川崎病 2014 年 10 月 ( 2015 年 8 月に承認取得) ( 2015 年 5 月) 小児・クローン病 小児・潰瘍性大腸炎 乾癬:用法・用量の変更(増量) イムセラ ( 2015 年 7 月) フィンゴリモド 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 国際共同治験 テネリグリプチン、 カナグリフロジン 2 型糖尿病 日本 糖尿病・腎疾患 MT-2412 糖尿病性腎症 MT-3995 欧州 日本 米国 カナグル カナグリフロジン 糖尿病性腎症 国際共同治験 アルツハイマー型認知症 国際共同治験 * 統合失調症 日本、アジア 中枢神経系疾患 MT-4666 MP-214 カリプラジン ワクチン 小児の Hib 感染の予防 日本 インフルエンザワクチン (植物由来 VLP ワクチン) インフルエンザ( H5N1 )の予防 カナダ インフルエンザワクチン (植物由来 VLP ワクチン) 季節性インフルエンザの予防 米国、カナダ インフルエンザワクチン (植物由来 VLP ワクチン) インフルエンザ( H7N9 )の予防 カナダ MT-2301 * フォーラムファーマシューティカルズ(米国)と共同開発 42 田辺三菱製薬コーポレートレポート 2015 フェーズ 2b/3 自己免疫疾患 く後シナプスにも作用し、症状の進行によりアセチルコリン量が MT-1303 低下した場合でも効果の減弱が起きにくいことが想定されます。 多発性硬化症治療剤「イムセラ/ジレニア」と同じ S1P 受容体機 導入元であるフォーラムファーマシューティカルズが海外で実施 能的アンタゴニストです。リンパ球のリンパ節からの移出を抑制 したフェーズ 2b 試験では、アルツハイマー病の認知機能および することにより、自己免疫反応を抑制します。イムセラと同等の 臨床症状において良好な成績が得られています。現在、アルツ 有効性を有しながら、循環器系の副作用の軽減が期待できます。 ハイマー型認知症を適応症としてフォーラムファーマシューティ イムセラの後継品として開発を進めており、多発性硬化症を適 カルズと国際共同治験フェーズ 3 試験を実施しています。 応症としたフェーズ 2 試験を欧州で実施しています。さらに、レミ ケードやイムセラの開発で培った開発ノウハウを活用し、他の自 MP-214 己免疫疾患での開発も進めており、乾癬を適応症としたフェーズ ゲデオンリヒター(ハンガリー)から導入したドパミン D3/D2 受容 2 試験を欧州で、炎症・自己免疫疾患を適応症としたフェーズ 1 体パーシャルアゴニストです。既存薬とは異なる新しいタイプの 試験を日本、欧州、米国で実施しています。2015 年 5 月には、 統合失調症治療薬で、ドパミン D2 受容体に加え、D3 受容体にも クローン病を適応症としたフェーズ 2 試験を欧州、日本で開始し 作用することから、幻覚や妄想といった陽性症状だけではなく、 ました。 気分の落ち込みなどの陰性症状や認知機能障害にも効果が期待 されます。さらに、パーキンソン病症状等の副作用が少ないた 糖尿病・腎疾患 め、長期使用が可能となることが考えられます。欧州および米国 MT-2412 では、導入元のゲデオンリヒターやアラガン(米国)が開発を進め DPP-4 阻 害 剤「テネリア」と SGLT2 阻 害 剤「カナグル」の 合 剤 ており、米国では 2012 年 11 月にアラガン(旧:フォレスト)が統 です。テネリア・カナグル両剤とも経口 2 型糖尿病治療薬です。 合失調症およびそう病を対象に、申請を行いました。現在、日本 合剤により、製剤の種類や服薬錠数が減らすことで患者さんの でフェーズ 2b/3 試験を実施中です。 利便性が向上し、良好な血糖コントロールが可能になることや、 インスリン分 泌 不 全 の 改 善( DPP-4 阻 害 剤 )と糖 毒 性 の 解 除 ( SGLT2 阻害剤)の両面から血糖コントロールが期待されること も治療上のメリットになると考えられます。現在、日本でフェーズ 3 試験を実施中です。 ワクチン MT-2301 ニューロンバイオテック(米国)から導入したヘモフィルスインフ ルエンザ菌 b 型( Hib )ワクチンです。Hib が引き起こす侵襲性疾 患には、菌血症、髄膜炎、急性喉頭蓋炎、化膿性関節炎などがあ MT-3995 ります。特に乳幼児での Hib による髄膜炎は、時には死亡する症 選択的ミネラロコルチコイド受容体拮抗剤です。アルドステロン 例や長期的な後遺症を併発する症例もあるため、ワクチン接種 がミネラロコルチコイド受容体に結合するのを阻害します。本剤 による感染予防が重要視されています。MT-2301 は、Hib 成分 は、尿中タンパクの増加を抑制し、これにより、腎組織障害を軽 に抗体の産生を高めるための無毒性変異ジフテリア毒素を結合 減し、糖尿病性腎症を治療することが期待されています。非臨床 させた液状ワクチンであり、1980 年代後半から海外 50 以上の 試験では、強力な抗タンパク尿効果が確認されています。また、 国と地域で使用された実績があります。現在、小児の Hib 感染の 非ステロイド骨格を有することから、性ホルモン関連の副作用を 予防を対象に日本でフェーズ 2 試験を実施しています。 回避できます。現在、糖尿病性腎症を対象として、日本および欧 州でフェーズ 2 試験を、米国でフェーズ 1 試験を実施しています。 植物由来 VLP ワクチン 当社のグループ会社であるメディカゴ(カナダ)の植物由来 VLP 中枢神経系疾患 製造技術を用いたワクチンです。VLP はウイルスと同様の外部 MT-4666 構造を持つため、ワクチンとしての高い免疫獲得効果が期待で フォーラムファーマシューティカルズ(旧:エンヴィヴォ) (米国) きます。一 方で、ウイルス遺 伝 子を含まないことから、体 内で から導入したα7 ニコチン性アセチルコリン受容体作動剤です。 ウイルスが増殖することがなく、安全性に優れる有望なワクチン 認知機能に関与の深い大脳皮質や海馬に主に存在するα7 ニコ 技術として注目されています。現在、季節性インフルエンザの チン性アセチルコリン受容体に選択的に作用し、アセチルコリン 予防を対象に米国、カナダでフェーズ 2 試験を、インフルエンザ およびグルタミン酸シグナル伝達を賦活化させることにより、認 ( H5N1 )の 予 防を対 象にカナダでフェーズ 2 試 験を、インフル 知機能を改善します。既存のアセチルコリンエステラーゼ阻害 エンザ( H7N9 )の予防を対象にカナダでフェーズ1 試験を実施し 剤で見られる悪心・嘔吐の副作用の軽減が考えられ、それらの薬 ています。 剤との併用効果も期待できます。本剤は前シナプスだけではな 田辺三菱製薬コーポレートレポート 2015 43
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