科目番号 25-6761 授 業 名 金融取引課税法 担当教員 太田 洋 種別 必修・選必・選択 科目群 基本・実務基礎・基礎法学・展開先端・演習 単位数 2.0 年次 1・2・3 学期 S 授業の目的・ねらい・進め方 企業が様々な取引を行うに際して、課税関係の検討を欠かすことはできない。しかし、他方で、課税関係は企業 が取引の形態を選択する際に考慮する一要素に過ぎないことも事実である。その中で、ビジネス・ローヤーが求め られるものは、単なる租税法令や通達の解釈にとどまらず、取引の経済的意義とその課税上の効果を十分に理解し た上での建設的アドバイスである。 本講義においては、かかる問題意識の下、ビジネス・ローヤーにとって必須のファイナンス理論についての最低 限の知識を習得した上で、それを踏まえて、企業が行う資金調達及びM&A取引に関連する様々な取引についての 課税関係を総合的に検討する。 なお、本講義では数式を極力使用せず、また、内容についても、ファイナンス理論の習得よりも、取引類型ごと の課税関係の総合的検討に重点を置く。これによって、将来、ビジネス・ローヤーとして、資金調達及びM&A取 引に関する単なる法律的・技術的なアドバイスだけでなく、その課税上の効果や経済的な意義をも見通した総合的 な助言を行う能力を身に着けることを究極的な目的とする。具体的な進行については、下記を予定しているが、受 講者の理解度などを確認しながら進める関係で、場合によっては一部項目については、ごく簡単な解説に止める可 能性があると考えている。 また、毎回の授業においては、教科書の該当箇所を読み終えていることを前提とし、質疑応答を含めながら授業 を進める予定である。なお、必要に応じてゲスト・スピーカーを呼ぶこともあり得る。 授業の構成 第1回 貨幣の時間的価値と課税 貨幣の時間的価値の考え方を理解し、それが課税関係にどのように影響するかにつき概括的に論じる。 第2回 企業会計と企業の資本政策・M&A 企業会計が企業の資本政策とM&A政策に及ぼす影響について概括的に論じる。 第3回 株式の評価とCAPM(資本資産価格モデル) 株式の価値算定に関する各種の手法、とりわけ、キャッシュフローの額を基礎として株式価値の算定を行う代表 的なモデルであるCAPMについて基礎から概説する。 第4回 資本政策と課税(1) モディリアーニ=ミラの定理を始めとする資本政策に関する基本原理を解説すると共に、Debtによる資金調達と Equityによる資金調達それぞれの課税上の効果の違いについて概説する。 第5回 資本等取引とみなし配当課税 資本等取引とみなし配当課税について概説する。 第6回 M&Aと課税(1) M&A全般についての課税上の取扱いについて概説する。 第7回 M&Aと課税(2) 合併・会社分割の課税問題について検討する。 第8回 M&Aと課税(3) 株式交換・株式移転及び三角合併等に関する課税問題について検討する。 第9回 M&Aと課税(4) ゴーイング・プライベート(株式非公開化)取引に関する課税問題について検討する。 第10回 M&Aと課税(5) スピン・オフ、スプリット・オフ、スプリット・アップの課税問題について検討する。 第11回 M&Aと課税(6) 自社株対価TOB(Exchange Tender Offer)の課税問題について検討する。 第12回 様々な事業体の課税 組合、匿名組合、信託など課税上導管性(パス・スルー性)を有する事業体の課税について論じる。 第13回 オプション理論と課税 オプション理論の基礎を踏まえて新株予約権及びCB等の課税問題を検討する。 授業の方法 ②その他(講義及び質疑応答を行う方式による。) 教材等 太田洋編著『M&A・企業組織再編のスキームと税務〔第2版〕』(大蔵財務協会、2013) を教科書として使用し、追加の資料等はTKCを通じて配布する。なお、法人税法を履修していな い者は事前に岡村忠生ほか『ベーシック税法〔第7版〕』(有斐閣、2013)の法人税法の部 分を一読することを薦める。 成績評価 筆記試験を 行う の方法 1.A方式(2時間) 平 常 点を 考慮する レポートを 課さない 成 績 を A+・A・B・C・F で評価する 開講年度 (予定) 1.毎年開講
© Copyright 2024 Paperzz