プレゼン資料

シンポジウム2007
住友商事のERM経営
2007年3月9日
住友商事㈱
コーポレートリスク管理部
岩澤英輝
1
住友商事グループの概要
• 単体決算と連結決算の比較 (06/3期)
(単体)
総
資
(連結)
産
4.2兆円
6.7兆円
売上総利益
1,713億円
7,066億円
当 期 利 益
421億円
1,602億円
従 業 員 数
4,637人
51,700人
2
バランスのとれた事業ポートフォリオ
収益構造
消却又は全社 1.8%
金属 13.4%
海外現地法人・海外支店 21.1%
輸送機・建機 15.2%
2005年度
基礎収益
1,583億円
(実績)
国内ブロック・支社 4.5%
金融・物流 4.7 %
機電 4.9%
生活資材・建設不動産 6.3 %
生活産業 2.1 %
資源・エネルギー 14.0 %
情報産業 7.6%
化学品 4.4%
基礎収益=(売上総利益−販売費及び一般管理費−利息収支+受取配当金)×(1−税率(41%))+持分法損益
3
総合商社ビジネスの変遷 ①
• 主要財務推移
(単位: 億円)
86/3期
06/3期
B/S
B/S
(単体)
(連結)
(単体)
(連結)
流動資産
17,415 (81.8%)
21,631 (73.3%)
流動資産
23,237 (55.5%)
36,443 (54.3%)
固定資産
3,877 (18.2%)
7,884 (26.7%)
固定資産
18,624 (44.5%)
30,676 (45.7%)
21,291 (100.0%)
29,515 (100.0%)
総資産
41,861 (100.0%)
67,119 (100.0%)
総資産
P/L
売上総利益
当期利益
1.4倍
1.6倍
1.3倍
4.1倍
1,766
2,380
221
329
1.5倍
P/L
売上総利益
当期利益
1,713
7,066
421
1,602
3.8倍
4
総合商社ビジネスの変遷 ②
• 総合商社を取り巻く環境
– ∼80年代前半 モノのトレード仲介が主体
⇒信用・金融リスクの負担
– 80年代後半∼ ビジネス多様化・トランスプラントへの対応
⇒投融資の急増
「ミクロのリスクマネジメント」の
限界
5
総合商社ビジネスの変遷 ③
• リスクマネジメントの方向性転換
– 90年代に相次いだ大事件
90年代前半
バブル経済の崩壊
97年
アジア通貨危機
97年∼98年
銀行や証券会社の倒産
– Moody’sによる格付低下
• 84年 Aa2 ⇒ 87年 Aa3 ⇒ 98年 Baa1 (⇒ 05年 A3 ⇒ 06年 A2)
6
リスクマネジメントの変革 ①
98年 全社のリスクを一律の基準で定量化
連結バランスシートの各資産
× ボラティリティを基にしたリスクウェイト
=リスクアセット
(最大損失可能性額)
7
リスクマネジメントの変革 ②
• リスクアセット計測による普遍的効果
B/S
– 経営安定化
• 最大損失可能性額(リスクアセット)
を、含み益を加えた実質株主資本
(リスクバッファー)との対比により
コントロール
リスクバッファー
リスクアセット
– 企業価値の最大化を図る
• 株主資本コストを上回るリスク・リターンの達成が目標
• 各セグメントのリスク・リターンに応じて株主資本を配分
8
リスクマネジメントの変革 ③
• リスクアセットとリスクバッファーの均衡
99/3期
06/3期
5,672億円
2,156億円
RB
18,022億円
RA
12,000億円
リスクリターン
RB
9,844億円
-1.1%
RA
11,750億円
リスクリターン
15.1%
9
住友商事のリスクマネジメント フレームワーク ①
•
リスクマネジメントのインフラ整備
(ルール・システム・組織体制)
基本理念の組入れ
•
リスクとは、
事業活動から得られる将来の予想キャッシュ・フローが
ブレる可能性
•
リスクマネジメントの目的
– 業績安定:
– 体質強化:
– 信用維持:
利益の計画と実績のブレをミニマイズ
総リスクを体力の範囲内でマネージ
法令順守等の社会的責任を果たす
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住友商事のリスクマネジメント フレームワーク ②
取締役会
監査役
監査・報告
監 査
選任・解任・監督
<重要な会議体>
経営会議
投融資委員会
コンプライアンス委員会
インターナルコントロール委員会
社 長
執行役員
スピークアップ制度
営業
コーポレート部門
部門
インターナルコントロール
プロジェクト
リスクマネジメント
自主
管理・
自己
責任
全社一律の
フレームワーク
構築/運用
11
インターナルコントロール ①
•
定量化困難なリスク
(オペレーショナルリスク、自然災害等)
=収益の上ブレ・下ブレ要因
‒
‒
‒
回避・移転
予防(内部管理の徹底)
早期に発見・対処する仕組み作り
⇒ 損失の未然防止、損失拡大の抑制
統合リスク管理TFの立ち上げ(2002年)
12
インターナルコントロール ②
趣旨・目的
趣旨・目的
グローバル連結ベースでの「業務品質」の向上
¾ 実施対象組織を国内外含め連結ベース 500拠点以上で選定
位置付け
位置付け
従来制度を統合し、リスク管理機能を強化
¾ 従来個別に導入されていた自己監査、統合リスク管理TF等を統合
ポイント
ポイント
現場の自己管理と、すみやかな報告
¾ 評価結果よりも、プロセスを重視
¾ 定期的かつ網羅的なフォローアップ
¾ 全ての部署で、全ての子会社で、全世界で、現場自らが振り返る
¾ マイナス情報は即報告
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インターナルコントロール ③
・ 業務分析(ディスカッション)を通じた課題の洗い出し・共有
→ 業務改善・効率化・標準化(業務改革プロジェクトと連動)
・ 内部統制マインドのビルトイン
→ SCグループ構成員一人一人のインターナルコントロールセンスの向上
・ 事業戦略に沿ったインターナルコントロール体制の構築
→ 管理ではなくビジネスそのもの(総合商社のコア機能)
毎 年 継 続
実力の向上
実力の向上
顧客の信頼
顧客の信頼
競争力の強化
競争力の強化
収益の拡大
収益の拡大
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事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ①
• 一般的な考え方
– 資産volatilityアプローチ
ある期間経過後に一定確率の下で、保有資産価値の減少
額を計測するという考え方
Value at Risk : 98年RA導入当時に採用
⇒ 統一的でシンプルな手法
– 収益volatilityアプローチ
将来収益の現在価値=企業価値という原則に基づき、将来
収益のブレを予測し、ある一定確率の下で企業価値の減少
額を計測するという考え方
Earnings at Risk
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事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ②
事業リスクを構成するもの=事業価値の変動要因
計測可能
計測可能
ビジネス・リスク
ビジネス・リスク
市場の成長性・
市場の成長性・
需要等、
需要等、
数量面での変動
数量面での変動
市場リスク
市場リスク
仕入・販売商品の
仕入・販売商品の
価格面での変動
価格面での変動
財務リスク
財務リスク
為替・金利の変動
為替・金利の変動
計測不能
Value
Driver
Value
Driver
Value
Driver
オペレーショナル
リスク 等
事業リスク
事業リスク
=
=
事業価値
事業価値
のブレ
のブレ
信用リスク
信用リスク
販売相手先
販売相手先
等の
等の
信用リスク
信用リスク
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事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ③
∼ 詳細 ∼
事業リスク
PV
期待値(=平均値)とXパーセンタイル値との差
を事業リスクと定義。
また、当該差を期待値で除したものをリスク・
アセット計測におけるリスク・ウェイトとして使用。
60
50
期待値
Xパーセン
タイル値
20
投下資本
期待値
Xパーセン
タイル値
C/Fの現在価値
確率
17
事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ④
• リスク評価改善の方向性
– Earnings at Risk手法の採用理由
• リスク計測のタイムスパンの観点
Value at Risk手法
保有期間が比較的短いもの ⇒ ○
投資や長期プロジェクト
⇒ ??
Earnings at Risk手法により長期的なリスク評価が可能
• 分析的なリスク評価が可能になる
Value Driver=Risk Factorが事業全体のキャッシュフロー変
動に与える影響度がわかる ⇒ 事前に事業価値最大化の
ための対応策、事後の改善策を講ずることが可能
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事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ⑤
• 実務面でのハードル
– Value Driverの将来変動の予測・相関推定
⇒ 定量化手法に対するよりも、事業そのものについての深い
理解が重要になる。
– 経営の効率化には逆行
⇒ 効率化やスピードアップには相反する場合が多く、どちら
を優先するか、或いはそのバランスをとるか、見直しの都度、
慎重に判断する必要あり。
– 外部ステークホルダーからのディスクロージャー要請
全営業部署にソフトウェアを配布、大型の投資案件
評価、リスクアセット計測にEaR手法を用いている。
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事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ⑥
個別事業管理
ビジネス・ラインのポートフォリオ管理
ビジネス・ ライン
Simulation
ビジネス・ ライン
VD(a) VD(b) VD(c)
VD(a) VD(b) VD(c)
同一
Simulation
VD(a) VD(b') VD(d)
Simulation
VD(a) VD(b') VD(d)
相関
Simulation
VD(a') VD(b') VD(e)
相関
同一
VD(a') VD(b') VD(e)
: 子会社 a
: 子会社 b
: 単体ビジネス
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事業リスク定量化手法と事業ポートフォリオの最適化 ⑦
全社のポートフォリオ管理
ビジネス・ ライン A
ビジネス ・ ライン B
ビジネス・ ライン C
ビジネス ・ ライン D
子会社 a
子会社 c
子会社 e
子会社 g
子会社 b
子会社 d
子会社 f
子会社 h
単体ビジネス (1)
単体ビジネス (2)
単体ビジネス (3)
単体ビジネス (4)
為替レート
金利
鉱物価格
原油価格
不動産賃料
Simulation
Simulation
Simulation
Simulation
Simulation
マ クロファクター
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過去に実施した打ち手
ダイナミック且つ柔軟な戦略
合併
キリウ
Hartz Mountain
モンリーブ
TBC Corp.
<M&A>
IPO
J:COM
完全子会社化
基盤・機能補完
住商情報システム
住商エレクトロニクス
住商リース
住商オートリース
住商メタレックス
<既存コアビジネス>
投資
回収
経営資源の最適配分
1,000億円公募増資
<バリュー実現・入替>
・コーチ・ジャパン
・不動産売却/流動化
600Thirdビル
晴海本社ビル
22
THE END
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