最 優 秀 賞 新聞スクラップを通して見つけ たこと

最優秀賞
心豊かに生きること
富良野市立富良野西中学校2年
まつした
ひ
か
り
松下 日花里
「私たちは発展するためにこの世に生まれてき
たわけではありません。この惑星に、幸せになろ
うと思って生まれてきたのです。」
これは、ウルグアイの前大統領であり、
「世界で
一番貧しい大統領」としても知られているホセ・
ムヒカの言葉です。
私は以前、母にホセ・ムヒカに関する絵本を読
み聞かせてもらった事があります。その時に私は
この素晴らしい意見にとても感動したのを覚えて
います。しかし、ただ働いてばかりで自分の幸せ
を考えないのは、私の両親にも当てはまっている
事に気づきました。
私の父や母は毎日仕事で、休みの日は一日もな
いに等しいくらいのものです。父の場合だと、会
社から夜中の三時にやっと帰ってきたと思ったら、
また朝早くから仕事へと向かいます。そんな父の
姿を見て私は思いました。
「人はなぜこんなにも働かなければならないのだ
ろう。
」
今、世界中の先進国では「過労死」が大きな問
題になっています。私は、働きすぎで亡くなると
いう事を不思議に思います。なぜなら、人は「生
きる」ために仕事をするのに、なぜ仕事をして「亡
くなって」しまうのだろうと思うからです。
その理由の一つとして、今この世の中は「使い
捨て」を繰り返しているからだと考えます。使い
捨てるということは、同じ商品をたくさん作らな
ければなりません。となると、人々の労働時間は、
より多く必要となり、
人はだんだんと疲労し、
早々
に命が尽きてしまうのだと思います。
しかし、そうは言っても今や技術的には「ずっ
と使えるもの」は作れるにも関わらず、作っては
いけない、と考える人が多いのも事実なのです。
そのような物を作ってしまえば経済の動きが止ま
ってしまい、一気に「不況」となってしまうから
だそうです。生きる上で経済発展も大切なことだ
と思いますし、世の中の発展も大事なことだと思
います。ですが、そんなに沢山作って、沢山
ゴミにして、沢山働いて家族との大切な時間
を割いてまで経済活動を優先する必要が本当
にあるのでしょうか。
ムヒカ前大統領は言いました。
「世界を襲っているのは、不況というもので
はなく、じつは人間一人一人の欲深さなので
す。」
この言葉を聞いて、私は気づかされました。
「本当の問題は人類が持つべき気持ちの中に
ある」ということにです。
私にも同じように欲があり、きれいなもの
や、新しいものに目を奪われ、まだ使えるも
のでもすぐに処分してしまうことがあります。
しかし、よくよく考えてみれば、家族がいて、
あったかいごはんを食べることができて、毎
日学校へ通い、勉強ができる事。そんな日常
が私にとっての「幸せ」だと悲しいニュース
を見て感じるのです。そんな事を実現させて
くれる両親や社会に感謝しつつ、ほんの少し
生活を変えさえすれば、今地球上で起きてい
る様々な問題がちょっとずつでも良い方向に
変わっていくのではないかと考えます。例え
ば、環境問題、世界の紛争、原発問題など、
これらの大きな問題は一人一人の意識改革に
よって必ず解決できるはずです。
これから、私を含める若者は、この世界を
担う者となり、地球の問題について考える時
にはお互いを支え合わなければなりません。
その時に、私たちが常に心に留めておくべき
こと、それは「いま目の前にある当たり前の
幸せ」だと思います。そして、これから誕生
してくるのであろう私たちの子孫たちにもず
っと笑顔のあふれる、素晴らしい世界を私た
ちは作り上げていくべきなのです。そんな世
界は今私たちが「心豊かに生きる」ことで見
えてくるのではないでしょうか。