120425演習 酸塩基

2013.4.25 演習
酸塩基反応 3:緩衝作用
SEN
名前
0.1M 酢酸ナトリウム溶液 20mL に、0.1M 酢酸溶液 10mL を加えた。この溶液の pH を求めよ。か
い離定数は別紙を参照のこと。
ヒント
① 濃度から、混合前の溶液の酢酸ナトリウムと酢酸の「量(単位は mol)」を求めると計算しや
すい。
混合前
CH3COONa(すなわち CH3COO-)の量(mol)は
CH3COOH の量(mol)は
。
。
混合後
酢酸ナトリウム(濃度は 0.2mol/L)と酢酸(濃度は 0.2mol/L)の混合溶液が 10mL ある。
①この溶液の pH を求めよ。かい離定数は別紙を参照のこと。
この溶液に 0.1mol/L の塩酸 1mL を入れた。
②塩酸添加後の溶液の pH を求めよ。
ただし、塩酸は全てかい離するものと考える。
①の解答
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
質問「酢酸+酢酸塩溶液の pH が 4.76 となる(こんなに低下する)のはなぜか?」に対する回
答
前回の演習「弱酸と弱塩基」の問題「0.1M の酢酸(CH3COOH)溶液の pH を求めよ。」の解答
は pH=2.9。弱酸でも、高濃度になると pH は低下する。
この問題では「0.2M の酢酸(CH3COOH)溶液に酢酸ナトリウム塩」が添加されている。
酢酸溶液では
の反応が生じ、これに酢酸ナトリウム塩(すなわち
)を加えると反応が右から左に
進む。その結果 pH が 4.76 になる。
pH=4.76 は H+濃度としては 10-4.76M。
酢酸の濃度 0.2M よりも 3 ケタ低い。
よって、酢酸は、単独で水中に存在している時よりも(演習「弱酸と弱塩基」の問題)、酢酸塩
を添加した時にはほとんどかい離しないことが分かる。
よって、計算を簡単にするために、「平衡時の
濃度」は酢酸濃度と等しい、と近
似してよい。
「このように近似したら、酢酸から H+が出てこないので、pH は 7 ではないか?」という質問が
あったが、上述のように、酢酸から 10-4.76M という極微量の H+が放出されているため、pH は
4.76 になる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②の解答
ヒント
① 表を完成させる。
濃度から、塩酸添加前の溶液の酢酸ナトリウムと酢酸の「量(単位は mol)」を求め、こ
の後に塩酸添加後の各物質の「量」を求めると計算しやすい。
CH3COO0.2M
CH3COOH
0.2M
H+
0.2M 0.01L
=0.002mol
0.002mol-0.0001mol
=0.0019mol
0.2M 0.01L
=0.002mol
0.002mol+0.0001mol
=0.0021mol
0.1 0.001mol
=0.0001mol
求める数値
時間
塩酸添加前
塩酸添加直後
(量(mol))
塩酸添加後(平
衡状態)
(量(mol))
塩酸を添加すると、水中のCH3COO-が消費される。
この問題に限っては、H+に対して CH3COO-が過剰にあるので、塩酸由来の H+は完
全に CH3COO-と反応すると仮定してよい。
(CH3COO-が過剰に存在しない場合は、塩酸由来の H+が残存し、大きく pH が変わる。
すなわち、緩衝能力の限界を超えた酸が添加されたことになる。)
水 10mL に 0.1mol/L の塩酸 1mL を入れた。塩酸添加後の溶液の pH を求めよ。
。
以上から、酢酸が確かに緩衝能をもっていることが分かる。
この問題のねらい
上記の問題を比べ、酢酸の緩衝作用を理解する。
pH=10の緩衝溶液を100mL作りたい。弱塩基として濃アンモニア水(濃度は14.8M)と塩化アンモ
ニウム塩(NH4Cl)を使う。NH4Cl の濃度は 0.2M とする。アンモニア水の体積は無視する。
①何 g の NH4Cl が必要か計算せよ。原子量は N:14、H:1、Cl:35.5 とする。
②何 mL の濃アンモニア水が必要か計算せよ。
①の解答
②の解答
必要な濃アンモニア水のモル濃度を求める。
なので
、
、
。
なので