日本政策投資銀行の都市再生関連融資について

制度の紹介等
日本政策投資銀行の都市再生関連融資について
日本政策投資銀行 都市開発部
近年においては、良質な社会資本の形成と経済
が可能です。
社会の新たなニーズへの対応が求められており、
2.融資条件
民間の活力を生かした街づくりや都市機能整備は
1
ますますその重要性が高まっております。特に昨
利率:政策金利Ⅰ(平成18年度までに限り政
今においては、「都市再生」が叫ばれるなか、こ
策金利Ⅱ)
2
れらが都市の魅力と国際競争力の向上に資するこ
融資比率:50%(但し、三大都市圏の既成市
街地内及び入居保証金に係るものは40%)
とが期待されています。
日本政策投資銀行は、これまでに蓄積してきた
〔2〕防災街区整備事業
良質な社会資本の整備に関するノウハウをもと
1.融資対象事業
に、このような時代の要請に応え、都市環境の改
○「密集市街地における防災街区の整備の促進に
善や都市機能の高度化を図るべく、市街地再開発
関する法律」に基づき行われる防災街区整備事
事業をはじめとする都市開発事業に対し、金融面
業(但し、延床面積が三大都市圏で5,000㎡以
からバックアップして参ります。
上、その他の地域では2,500㎡以上の事業)
ここでは、都市再生に関するものを中心に、日
本政策投資銀行の融資制度についてご紹介しま
2.融資条件
1
す。
利率:政策金利Ⅰ(平成18年度までに限り政
策金利Ⅱ)
2
Ⅰ.事業実施手法を要件とする融資制度
〔1〕市街地再開発事業
1.融資対象事業
融資比率:50%
〔3〕認定都市再生事業
1.融資対象事業
○都市再生特別措置法(平成14年)に基づき、民
○都市再開発法に基づく市街地再開発事業
間都市再生事業計画の国土交通大臣認定を受け
市街地再開発事業には第一種(権利変換方式)
た都市開発事業
及び第二種(用地買収方式)の2つがありますが
2.融資条件
どちらの事業も対象となります(但し、延床面積
1
が三大都市圏で10,000㎡以上、その他の地域では
利率:政策金利Ⅱ(平成18年度末までに申請
5,000㎡以上の事業)。
したものに限る。
)
2
融資比率:40%
主な融資の態様は以下の通りです。
1 市街地再開発事業に係る建設資金(注1)
2
保留床取得資金(権利者増床負担金、参加組
合員負担金を含む)(注2)
3 市街地再開発事業に係る入居保証金
〔4〕総合設計建築物整備事業
1.融資対象事業
○建築基準法(昭和21年)第59条の2に基づく総
合設計許可建築物、またはこれに準ずる建築物
(注1)都市再開発法(第99条の2以下)の特定
の整備事業のうち、延べ面積が三大都市圏で
施設建築物制度を利用し、特定建築者と
10,000㎡以上、その他の地域で5,000㎡以上のも
なる方の建設資金も含みます。
のを対象とします。
(注2)第二種事業の管理処分計画において、床
を取得する場合の資金も対象とすること
市街地再開発 2006年9月 第437号
対象となる建築物の概要は以下の通りです。
1
総合設計許可建築物
― 37 ―
一定規模以上の敷地面積において、一定割合以
建築物を建築すること
上の空地(公開空地)を確保した建築物であって、
2.融資条件
建築基準法第59条の2に基づき、容積率の割増、
1 利率:政策金利Ⅰ
斜線制限の緩和、高さ制限の緩和の全部又はいず
2 融資比率:40%
れかの許可を受けた建築物のことをいいます。
2
総合設計許可建築物に準ずる建築物
当行の融資は総合設計許可を受けるのに充分な
条件を備えていればよく、実際に許可を受けるか
否かは要件としていません。
〔2〕特定街区内建築物整備事業
1.融資対象事業
○都市計画法(昭和43年)の地域地区である特定
街区の都市計画決定を受けた地区内での建築物
従って、実際に総合設計許可を受けていなくて
の整備事業のうち、延べ面積が三大都市圏で
も、「総合設計許可準則に関する技術基準」に定
10,000㎡以上、その他の地域で5,000㎡以上のも
められている、敷地面積や公開空地面積等の基準
のを対象とします。
を満たしていれば融資の対象となります。
特定街区内の建築物については建築基準法第60
2.融資条件
条の規定により、一般的な形態制限がすべて解除
1
利率:政策金利Ⅰ
され、新たに土地利用上最も適切な容積率、高さ
2
融資比率:40%
等の制限を定めることができます。
なお、特定街区建築物には何らかの公共施設工
Ⅱ.事業実施エリアを要件とする融資制度
〔1〕密集市街地整備事業
事が伴うことも多く、これらの公共施設工事負担
金も対象となります。
2.融資条件
1.融資対象事業
1 利率:政策金利Ⅰ
○「密集市街地等における防災街区の整備の促進
2
融資比率:40%
に関する法律」に基づく防災再開発促進地区
(*1)等における、以下のいずれかの要件を満
〔3〕地区計画等区域内建築物整備事業
たす事業のうち、延べ面積が三大都市圏で
A.地区計画区域内建築物
5,000㎡以上、その他の地域で2,500㎡以上であ
1.融資対象事業
る事業が対象となります。
○都市計画法(昭和43年)第12条の4により都市
①一定の空地(*2)を確保した耐火建築物を建築
する共同・協調(*3)建替え事業
3
②常時貯水量が60m 以上の防火水槽の整備を伴
う耐火建築物の整備事業
(*1)防災再開発促進地区:「市街化区域の整備、
開発又は保全の方針」(都市計画法第7条)
計画決定される地区計画区域内の建築物の整備
事業を対象とします(平成14年度以前の再開発
地区計画区域内の建築物の整備事業も対象とし
ています)。
対象となる建築物の概要は以下の通りです。
①地区計画区域内の建築物であって、当該地区計
で一体的かつ総合的に市街地の再開発を促
画に係る地区整備計画において、以下の事項が
進すべき相当規模の地区として位置づけら
全て定められているものであること。
れた密集市街地
ア.建築面積の最低限度
(*2)一定の空地:通路、駐車場、児童遊園、広
場及び緑地(密集市街地等における防災街
区の整備の促進に関する法律施行規則第10
条参照)
(*3)共同・協調:2以上の敷地について、所有
権(地上権、賃借権等を含む)を有する2
イ.建築物の高さの最低限度
ウ.容積率の最低限度
②上記事項の一部又は全部が定められていない場
合には、下記ア、イいずれかの要件を満たして
いること。
ア.都市再開発法に基づく市街地再開発事業に
人以上のものが、1の構え(壁面が揃って
おける施設建築物と同等のもの
いるなど外観上一体のものを含む)をなす
・延床面積:三大都市圏で10,000㎡以上、そ
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市街地再開発 2006年9月 第437号
の他の地域で5,000㎡以上
・階数:3階以上
イ.総合設計建築物と同等のもの
・建築基準法施行令第136条第1項に定める
規模の空地を確保したもの
○都市再生特別措置法(平成14年)及び都市再生
緊急整備地域を定める政令に基づく都市再生緊
急整備地域内の建築物の整備事業のうち、当該
地域毎に定められる地域整備方針に合致した事
業であり、延べ面積が三大都市圏で10,000㎡以
2.融資条件
上、その他の地域で5,000㎡以上のものを対象
1 利率:政策金利Ⅰ
とします。
2 融資比率:40%
B.沿道地区計画区域内建築物
2.融資条件
1
利率:政策金利Ⅰ
2
融資比率:40%
1.融資対象事業
○幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和55年)
第9条により、都市計画決定された沿道地区計
画区域内の建築物の整備事業を対象とします。
Ⅲ.不動産の有効活用を要件とする融資制度
〔1〕鉄道建設・運輸施設整備支援機構特例業務
用地処分活用促進事業
対象となる建築物の概要は以下の通りです。
①沿道地区整備計画において以下の事項が全て定
められているものであること。
1.融資対象事業
○独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
・間口率(建築物の沿道整備道路に面する部分の
が実施する建物提案方式により購入者として選
長さ/敷地の沿道整備道路に接する部分の長
定された企業等が、同方式により建設される建
さ)の最低限度
物及び土地を取得するために必要な資金(施設
・建築物の高さの最低限度
整備費に充当され、かつテナントに返還されな
・建築物の構造に関する遮音上必要な制限(注)
い特別負担金を含みます)
。
(注)
「遮音上必要な制限」とは、ガラスの気
密性サッシ、開閉装置付換気扇等の設置、
2.融資条件
1
ピロティを設けない等が考えられます。
利率:政策金利Ⅱ(平成24年度末までに土地
②延床面積が三大都市圏で10,000㎡以上、その他
売買契約を締結したものに限る。
)
2
融資比率:40%
の地域で5,000㎡以上であること。
2.融資条件
〔2〕国公有財産等有効活用事業
1 利率:政策金利Ⅰ
1.融資対象事業
2 融資比率:40%
○都市機能の増進、経済の活性化に資するべく、
国等が予め地方公共団体との協議等により策定
C.高度利用地区内建築物
する地区計画等の整備計画の条件に従い、国公
1.融資対象事業
有財産等を取得して整備を行う事業(平成19年
○都市計画法(昭和43年)の地域地区である高度
度末まで)
。
利用地区の都市計画決定を受けた地区内におけ
2.融資条件
る建築物整備事業のうち、延べ面積が三大都市
1
利率:政策金利Ⅰ
圏で10,000㎡以上、その他の地域で5,000㎡以上
2
融資比率:40%
のものを対象とします。
2.融資条件
〔3〕低未利用地有効利用事業
1 利率:政策金利Ⅰ
1.融資対象事業
2 融資比率:40%
○独立行政法人都市再生機構(旧都市基盤整備公
団)が低未利用地を取得し整形・集約化や基盤
〔4〕都市再生緊急整備地域内建築物整備事業
1.融資対象事業
市街地再開発 2006年9月 第437号
整備を行う土地有効利用事業に係る土地におい
て行われる建築物整備事業を対象とします。
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(但し、延床面積が2,000㎡以上のものに限りま
す。
)
※本制度は(財)民間都市開発推進機構と連携し
た融資制度です。
2.融資条件
〔2〕景観・歴史的建造物活用・整備事業
1
利率:政策金利Ⅰ
〔3〕都市防災不燃化促進事業
2
融資比率:30%
〔4〕都市治水事業
〔5〕不動産流動化事業
Ⅳ.その他関連融資制度
上記以外にも、関連する融資制度として、建築
〔6〕人にやさしい建築物整備事業
〔7〕エコビル整備事業
〔8〕アスベスト対策事業
物の施設・機能等を要件とする制度もございま
〔9〕防災対応促進事業
す。詳細は当行担当者にお問い合わせください。
〔10〕環境配慮型経営促進事業
〔11〕建築物内の設備に対する融資制度
〔1〕特定民間都市基盤施設整備事業
○地域冷暖房施設
1
都市開発整備事業
○都市ガス冷房設備
2
都市計画施設特許事業
○蓄熱式空調・給湯設備
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市街地再開発 2006年9月 第437号