市街地再開発事業等の補助対象事業における 消費税相当額の取り扱い

制度の紹介等
市街地再開発事業等の補助対象事業における
消費税相当額の取り扱いについて
国土交通省
近年、市街地再開発事業や優良建築物等整備事
2.本件通知の対象
業等の民間事業者等に対する間接補助事業におけ
本件通知の対象となるのは、民間事業者などの
る消費税の取扱について、会計検査院より指摘を
消費税法の定める課税事業者(消費税を納める義
受ける事例が散見されるようになったため、住宅
務が免除されることとなる小規模事業者が、届出
局では消費税の取扱に関するルールの明確化を図
により課税事業者となる場合を含む。)が補助対
るとの趣旨で、「住宅局所管補助事業等における
象事業を実施する場合である。
消費税相当額の取扱について」(平成17年9月1
市街地再開発組合などの消費税法別表第3に列
日付け国住総第37号国土交通省住宅局長通知)を
挙された法人及び地方公共団体(特別会計を設け
発出したところである。本稿では、当該通知の内
て事業を行う場合に限る。)の消費税の仕入控除
容を紹介する。
税額の計算においては、一般の事業者とは異なり、
なお、都市・地域整備局所管の市街地再開発事
補助金、交付金等の対価性の無い収入を「特定収
業等についても平成18年3月6日付け事務連絡に
入」として、これにより賄われる課税仕入れ等の
より同様の取扱となることとされている。
消費税額(特定収入に係る課税仕入れ等の消費税
額)を仕入控除税額から控除するという調整を行
1.本件通知の趣旨
市街地再開発事業等の補助対象事業を実施した
施行者については、当該施行者が消費税法の課税
うこととなっている(消費税法第60条及び消費税
法施行令第75条第3項)ため、従前通り補助対象
額に消費税相当額を含めても差し支えない。
事業者である場合には、保留床の処分により得ら
また、施行者等が自ら住宅の賃貸を行う場合に
れる売上が課税売上となること等から、補助対象
は、家賃は非課税(消費税法第6条別表第1第13
施設の取得に係る消費税を、建築業者等に支払う
号)となるため、消費税相当額を補助対象事業費
ものの、その後に消費税の確定申告において当該
に加えて差し支えない。但し、住宅の賃貸期間が
消費税相当額を仕入れに係る消費税額として消費
1ヶ月に満たない場合は除かれる(消費税法施行
税納付額から控除できる(還付を受ける)場合が
令第16条の2)
。
ある。
なお、賃貸住宅事業を行う場合であっても、当
本来、費用として支払う(負担する)消費税は
該事業者が例えば駐車場経営など賃貸住宅以外の
補助対象となるものであるが、上記のように補助
事業につき消費税の確定申告を行う場合には、課
対象事業における消費税相当額が仕入税額控除の
税売上の割合に応じて、当該賃貸住宅の取得(仕
対象となる場合には、施行者は実質的に消費税相
入)に係る消費税相当額についても控除が受けら
当額を負担しないこととなるため、結果として当
れる場合があるため、留意されたい。
該仕入控除税額を補助対象として交付された補助
金が消費税として使われずに施行者に滞留するこ
3.交付決定等の考え方
ととなる。補助金とはあくまで費用として負担す
一般的に「実質的に負担しないこととなる消費
るものに対して補助するものであるという補助金
税相当額」が明らかになる時期は個々の事業によ
本来の趣旨に鑑み、実質的に負担しないものにつ
り様々である。そこで交付決定等の手続きに際し
いては補助対象となり得ない。このため、交付決
ては、それぞれの事業の中身・性格・時期等に応
定等の取り扱いについては留意する必要がある。
じて、下記の通り対応されたい。
―2―
市街地再開発 2006年6月 第434号
1
交付決定前に消費税仕入控除税額※が明らか
3
補助金の額の確定後、消費税の申告により消
になる場合
費税仕入控除税額が明らかになる場合
費用として使われない補助金が施行者に滞留す
上記12に拠りがたい場合には、まず、交付決
ることを防ぐため、交付決定は、消費税仕入控除
定については、返還条件(精算条件)を付したう
税額を除いた額について行う。
えで消費税仕入控除税額を含めて行う。実績報告
及び補助金の額の確定についても、そのまま消費
2
実績報告の段階で消費税仕入控除税額が明ら
税仕入控除税額を含めて行い、その後、消費税仕
かになる場合
入控除税額が確定した段階でその額の返還(精算)
交付決定は、予算の限られた補助金の効率的執
を行う。
行の観点から、その時点で合理的に予想しうる消
費税仕入控除税額の見込額を除いた額で行う。こ
の後の実績報告及び補助金の額の確定において
は、確定した消費税仕入控除税額を除いて行う。
制度に関するご相談や制度についてご不明な点
がございましたら、国土交通省都市・地域整備局
市街地整備課、住宅局市街地建築課若しくは最寄
りの地方整備局建政部等の都市・住宅整備担当課
までお問い合わせください。
※補助対象事業費に含まれる消費税相当額のうち、
消費税法の規定により仕入に係る消費税額として
控除できる部分の金額に補助率を乗じて得た金額
市街地再開発 2006年6月 第434号
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(参考)
平成17年9月1日
国住総第37号
68
各都道府県知事
各指定都市の長
宛て
国土交通省住宅局長
住宅局所管補助事業等における消費税相当額の取扱について
補助事業等の事業主体が、補助事業等を実施する過程において消費税法(昭和63年法律第108号)に
規定する課税仕入れを行うときには、仕入れ先に対し消費税相当額を含む支払を行うが、事業主体の性
格等によっては、確定申告の際に当該消費税相当額を仕入れに係る消費税額として税務署に納める消費
税納付額から控除できる場合がある。
本来、費用として支払う消費税は補助対象となるものであるが、補助事業における消費税相当額が仕
入税額控除の対象となる事業主体に対する補助金の交付決定等の取扱は、下記によることとするので、
遺憾のないよう周知徹底を図られたい。
また、補助金以外の交付金等についても、該当するものがある場合には、これに準じて取り扱うこと
とされているので、御了知願いたい。
記
1.補助金の交付決定前の段階で当該補助金に係る消費税仕入控除税額(補助対象事業費に含まれる消
費税相当額のうち、消費税法の規定により仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額に補助
率を乗じて得た金額。以下同じ。
)が明らかになる場合
交付決定は、消費税仕入控除税額を除いた額について行う。
2.補助事業の実績報告の段階で消費税仕入控除税額が明らかになる場合
1 交付決定は、消費税仕入控除税額の見込額を除いた額について行う。
2 実績報告及び補助金の額の確定は、確定した消費税仕入控除税額を除いた額について行うものと
する。
3.補助金の額の確定後、消費税の申告により消費税仕入控除税額が明らかになる場合
1 交付決定は、返還条件を付した上で消費税仕入控除税額を含めて行う。
2 実績報告及び補助金の額の確定は、消費税仕入控除税額を含む額について行う。
3 消費税仕入控除税額が確定した段階でその額を返還する。
附 則
1.補助金の交付決定を変更する場合には、上記1から3までの区分を変更して差し支えない。
2.消費税法別表第3に列挙された法人については、特定収入割合が100分の5を超える場合、消費税
税相当額を補助対象事業費に含めても差し支えない(消費税法第60条及び消費税法施行令第75条第3
項)
。
3.施行者等が自ら行う住宅の貸し付けは、非課税のため、消費税相当額を補助対象事業費に含めて差
し支えない(消費税法第6条別表第1第13号)。但し、住宅の貸付けに係る期間が一月に満たない場
合(消費税法施行令第16条の2)を除く。
なお、貸付のための住宅の取得であっても、当該事業施行者が他の取引きにより消費税の確定申告
を行う場合においては、課税売上割合に応じて、当該住宅の取得に係る消費税相当額についても控除
が受けられることがあるので注意されたい。
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市街地再開発 2006年6月 第434号