ブラジル中銀は2会合連続で0.25%の利下げを決定

2016年12月1日
ブラジル中銀は2会合連続で0.25%の利下げを決定
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ブラジル中銀は政策金利を13.75%へ0.25%引き下げる決定を下す。利下げは10月に続いて2会合連続となる。
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中銀は利下げ決定の背景として、①景気回復の遅れ、②インフレ環境の改善、③財政改革審議の進展、を挙げる。
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10月のインフレ率は前年比+7.9%へ鈍化。中銀は2017年末に前年比+4.4%へインフレ率が鈍化すると予想。
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上院は11月29日の第一回投票で歳出上限法案を可決。閣僚辞任問題も財政改革審議への影響は限定的。
図1:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率
ブラジル中央銀行は政策金利の引き下げを決定
ブラジル中央銀行は11月29-30日(現地時間)の金融
政策委員会(COPOM)で、政策金利を13.75%へ0.25%
引き下げる決定を下しました。利下げは前回10月19日の
COPOMに続いて2会合連続となります。ブラジル中銀は利
下げ決定の背景として、①景気回復の遅れ、②インフレ環
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ブラジル中銀はインフレ環境の改善に言及
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られることから、最近のインフレ指標は予想以上の改善が
みられるとの指摘をしました。実際、2016年10月の拡大
消費者物価指数(IPCA)伸び率は前年比+7.9%へ低下し
ています(9月は前年比+8.5%)。COPOM声明文で示され
たブラジル中銀のインフレ見通し(基準シナリオ)では、
IPCA伸び率は2017年末が前年比+4.4%、2018年末が
前年比+3.6%へ一段と鈍化が予想されています(図1)。
ブラジル上院は歳出上限法案を大差で可決
財政改革に関しては、11月29日、財政再建のカギを握
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また、足元ではテメル政権の閣僚辞任が続いていること
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(参照レター)「ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決」(10月12日)
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(年)
(出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院(IBGE)
(期間)政策金利:2013年1月1日~2016年11月30日
拡大消費者物価指数(IPCA):2013年1月~2016年10月
(注)基準シナリオは政策金利とレアル相場を一定と仮定した見通し。
インフレ見通しは11月30日時点。
図2:テメル政権発足後の主な政治イベント
日付
主な出来事
5月12日 テメル暫定政権の発足。
8月31日
弾劾裁判でルセフ大統領の失職が決定。
テメル暫定大統領が正式に大統領へ昇格。
10月2日
地方選挙(第一回投票)で連立与党であるブラジル民主運動党
(PMDB)とブラジル社会民主党(PSDB)が躍進。
10月10日
ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決(第一回投票)。
賛成366票、反対111票、棄権2票。
10月25日
ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決(第二回投票)。
賛成359票、反対116票、棄権2票。法案を上院へ送付。
11月9日
る財政改革審議への影響は限定的に留まっていることを
示唆しています。
3.0%
0
て表明しました。今回、上院で歳出上限法案が大差で承
認されたことは、与党内部の一部政治家の汚職問題によ
3.6%
4.4%
下限 2.5%
を受けて、テメル大統領は11月27日に緊急会見を開き、
政治家の過去の汚職への恩赦は容認しない姿勢を改め
6.0%
インフレ目標(中心=4.5%)
れば、テメル政権が進める年金改革などの他の財政健全
化策にも弾みがつくと期待されます(図2)。
ブラジル中銀
インフレ見通し
(基準シナリオ)
上限 6.5%
る歳出上限法案が上院で可決されました(賛成61票:反
対14票)。次回12月13日の上院の最終投票で可決され
13.75%
インフレ率
(IPCA、前年比)
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食品価格の下落や幅広い品目にインフレ鈍化の兆しがみ
ブラジル中銀
政策金利
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境の改善、③財政改革審議の進展、を挙げました。
インフレ動向に関して、ブラジル中銀は声明文において、
(%)
11月29日
ブラジル議会がブラジルの深海油田(プレサル)開発に関わる規制
緩和を承認。
ブラジル上院が歳出上限法案を大差で可決(第一回投票)。
賛成61票、反対14票。上院の最終投票は12月13日の予定。
(出所)各種報道
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